「政治を国民の手に」国民会議

政治を国民の手に取り戻すために、腐りきった菅政権や検察、裁判所などの実態、権力と癒着したマスコミの横暴を暴きます。

米国が米朝国交正常化を急ぐ理由

2007年05月15日 | Weblog
5月11日付の米紙ワシントン・タイムズは、マカオの金融機関バンコ・デルタ・アジア(BDA)で凍結されていた北朝鮮関連資金の送金問題について米国の銀行が資金を受け入れると報じた。「凍結解除」に続く「米銀との取引容認」は3月に財務省が決定した「BDAと米銀の取引禁止」を早くも撤回したことになる。

北朝鮮に対する米国のさらなる譲歩はライス国務長官が6カ国協議再開をいかに急いでいるかを暗示している。ネオコンなど強硬派の批判を押さえてまで急ぐ理由について、ブッシュが任期までに「北朝鮮との国交正常化」を成し遂げたいからとも報じられているが、裏にロックフェラーの陰も感じられる。

北朝鮮には現在世界で品薄となっているレアメタルが豊富に埋蔵されている。恐らくロックフェラーは中国と協同でレアメタルを開発するためにブッシュの外交顧問であるキッシンジャーを通じ米朝国交正常化を急がせている可能性がある。ブッシュも大統領を辞めればただの人、将来を考えればロックフェラーの指示を断るわけにはいかないだろう。

さらに国交正常化を急ぐ理由として北朝鮮の政治情勢も絡んでいるようだ。北朝鮮国内では4月の最高人民会議で朴奉珠(パクボンジュ)首相が解任された。解任の理由は朴首相の「国内企業に成果報酬の賃金制度導入し、労働者の意欲を高める」施策に対し、利権喪失を恐れた労働党が「資本主義的な制度」と批判したためと伝えられている。

さらに昨年5月、南北政府で合意した南北間の列車往来試運転が前日になって北朝鮮軍部の反対で急遽中止となった。先日の5月11日に板門店で開かれた第5回南北将官級軍事会談で試運転はやっと合意した。昨年、金正日も合意し政府が決めた試運転でも、軍部が決定しなければ前に進まないことを今回の事件は示している。

このように政府(官僚)が党や軍部に押さえ込まれ、金正日も軍部の扱いに苦労している状況は北朝鮮の金桂冠外務次官から米国のヒル国務次官補に伝わっているだろう。核廃棄や拉致問題解決に対し根本的に反対する軍部の力がこれ以上拡大すれば、6カ国協議が暗礁に乗り上げる可能性もある。これが急ぐ第二の理由かもしれない。

もしこの仮説が正しいならば今後日本にとって厳しい状況が現出するかもしれない。恐らく北朝鮮軍部も拉致問題について北朝鮮が主張する「拉致被害者は5人生存、8人死亡」の条件下で米国がテロ支援国家指定解除を行えば核廃棄には応ぜざるを得なくなるだろう。

先月27日の日米首脳会談に同席したライス国務長官が「米国内法の観点からは拉致問題の解決が指定解除の前提条件にはならない」と安倍を牽制していたが、今後ライスは水面下で安倍政権に対し北朝鮮の従来通りの主張を認めるよう迫ってくる可能性は高い。

安倍がブッシュに泣きついてもブッシュもロックフェラーの指示に従わないわけにもいかないので「ライスとよく話をしてくれ」と言わざるを得ないだろう。国内からの大反発を覚悟で北朝鮮の主張を認めるのか、6カ国協議を破綻させて日米同盟を犠牲にするのか、という選択を迫られたとき安倍総理はどう決断するのだろうか。