【 閑仁耕筆 】 海外放浪生活・彷徨の末 日々之好日/ 涯 如水《壺公》

古都、薬を売る老翁(壷公)がいた。翁は日暮に壺の中に躍り入る。壺の中は天地、日月があり、宮殿・楼閣は荘厳であった・・・・

めくるめく知のフロンティア・学究達 =043= / 渡辺佑基(13/53)

2020-06-05 06:21:33 | 浪漫紀行・漫遊之譜

地球に生息するアザラシから、チョウザメ、ウナギ、ワニ、ペンギン

つまり 北極圏―中国深部―マレーシア―フロリダ―南極まで

インディ・ジョーンズばりに世界の極地を飛び回り、兵器“データロガー”で野生動物を狙う

驚くべきデータを次々に発表する / 大型捕食動物の生理生態学者・渡辺佑基

【この企画はWebナショジオ_【研究室】「研究室」に行ってみた を基調に編纂】

(文=川端裕人/写真=藤谷清美 & イラスト・史料編纂=涯 如水)

渡辺佑基・マグロは時速80キロで泳がない!? =2/2= ◆◇

渡辺さんは、今後興味を持っている研究として、「魚の遊泳速度」をあげる。

 ちなみに、先ほどの遊泳速度の比較に魚類が入ってこなかったのは、海鳥、海洋哺乳類、ウミガメのように、肺呼吸で息をこらえて潜る動物と、単純に比較しにくいからだ。

 水中での魚類は別格。きっとすごい速度で泳ぎまくっているに違いない、とぼくは思った。

 しかし、バイオロギングで明らかになってきたデータは、どうもそうではないらしい。

「魚の泳ぐ速さ比べというのが、子ども向けの図鑑でよく出てきますよね。カジキは100キロで泳ぐとかマグロは80キロだとか。でも、私がハワイで測ったイタチザメというサメは2キロくらい、マグロもちゃんと測ると時速3キロとかそれくらいなんですよ。昔の論文を調べていると、釣りをしてマグロがかかったときに出ていく糸のスピードを拡大解釈して計算したりします。そもそも非常時の速度だし、測り方も対水速度になっていなかったり、船も動いているし……」

 へえっ、とぼくは驚いた。

 ぼくも、ほかならぬ、カジキは100キロで泳ぐと思っていたクチだからだ。

 それが、時速2キロとか3キロとは!

 非常時でも、カジキはせいぜい時速30キロくらいであろうというのが、渡辺さんの読みで、今後、そういったことを検証できたら、魚類についての教科書も、子ども向けの本もずいぶん書き直されることになるだろう。

さて、5回にわたって、渡辺さんとバイオロギングによる研究について語ってきた。

 実に夢のある、研究分野だというのがぼくの第一の感想である。

 データロガーという新たな道具を駆使し、動物自身にデータを取ってきてもらう。人間の五感の拡大ともいえるし、動物にくっついて動物になりきって測定してくる、ともいえる。

 分からないことはあまりに多く、検証すべき仮説がまだない状態でも、とにかく付けてデータをとれ!とばかりに、データロガーを付ける。失敗、空振りは多数。しかし、素晴らしい発見も多数。

 現在、我々の社会は、大きなストレスの下にある。非常な閉塞感に苛まれていると言ってよい。渡辺さんが以前在籍していた岩手県大槌の研究所にしても、震災・津波によって大きな被害にあった。

 しかし、渡辺さんのようなバイオロギングの研究者が、ぼくたちに示してくれるパイオニア精神は、人間の知的好奇心をどこまでも肯定する、前向きなものだ。

 連載の最後に、渡辺さんの恩師の一人で、被災した大槌の研究所所属である佐藤克文さんによる学生募集の文言を再掲して、結びとしたい。

 求む男女,  ケータイ圏外 わずかな報酬 極貧 失敗の日々,  絶えざるプレッシャー 就職の保証なし,  ただし成功の暁には知的興奮を得る

・・・・・・追考・特別編に続く・・・・

◇ 皇帝ペンギンが昭和基地にやってきた(後編)

・・・https://youtu.be/gFXEw3tnwmQ・・・

動画再生不能の時は上記URL(⇑)をクリックしてください  

■□ 特別編 渡辺佑基/  「マグロは時速100キロで泳がない」 =前節= □■

南極なう!/ 特別編 渡辺佑基「マグロは時速100キロで泳がない」 =前節=

 世界最速のスイマーであるバショウカジキは時速100キロ以上で弾丸のように海を飛ばす。マグロも負けず劣らず、時速80キロでびゅんびゅん泳ぐ。シャチは時速70キロで前進するし、ペンギンは時速60キロですいすいと海を渡る――。

 以上の話は子ども向けの図鑑などでしばしば見られる、海の動物たちの「真実」である。流線形の体とアスリートのような筋肉をしたカジキやマグロやシャチは、驚くほどうまく水中生活に適応しており、まるで高速道路をはしる車のようなスピードで大海原をびゅんびゅん泳ぐとされる。

 ところがどっこい、である。海洋生物学者である私は、実際にバショウカジキの遊泳スピードを海で計測した科学論文を調べてみたところ、平均スピードは時速2キロと知った。いや書き間違えではない。20キロでも200キロでもなく、2キロ。ちょうどお年寄りの散歩くらいのスピードで「世界最速」のバショウカジキは泳ぐ。

 ちなみにマグロは時速7キロ、シャチは時速5キロ、ペンギンは種類にもよるが、おしなべて時速6~8キロと報告されている。私は自分自身でも、高速遊泳(と思われている)のサメやペンギンやアザラシなどの遊泳スピードをあまた測定してきたけれど、平均的な遊泳スピードは例外なく時速8キロ以下である。

 もちろん逃げるエサを追いかける折など、瞬間的にならそれ以上の速度が出せるだろう。瞬間的な最高速度は測るのが難しいため、データが揃っていないが(その動物が本当に最大パフォーマンスを発揮しているのか、客観的な判断ができないから)、たとえば体重200~300キロの巨大なクロマグロに発信機を取り付けて追跡した実験によれば、最高速度は時速18キロと報告されている。同じようにカジキの最高速度は時速8キロ、サケは時速10キロ、ペンギンの1種は時速14キロ、シロナガスクジラは時速18キロという実験結果が発表されている。

 つまり「カジキ100キロ、マグロ80キロ」の通説は、はなはだしく間違っている。

 どうして海の動物はそれほど遅いのだろう。

・・・・・・明日に続く

◆ 情熱大陸_2/3_【渡辺佑基▽生物学界のインディ・ジョーンズが持つ世界】

・・・https://youtu.be/xEaVb1krLAM?list=PLw3QxSAmxbO08nPTUdZcf5cx_mRmcw6l2・・・

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・・・・・・山を彷徨は法悦、その写真を見るは極楽  憂さを忘るる歓天喜地である・・・・・

森のなかえ

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1 コメント

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Unknown (lemonwater2017)
2020-06-05 08:07:59
初めまして、像が転んだです。
確かに、巨大なマグロやサメがそんなに早く泳いだら、直ぐにバテるでしょうか。データよりも願望が先に行った結果なのか?

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