3年に一度は「勝利の方程式」を変えなさい寺田 和正サンマーク出版このアイテムの詳細を見る |
献本御礼。サマンサタバサの社長・寺田和正氏の新刊です。
ステージが上がるごとに、成功の方程式を変えていく。古い方程式は捨て、新しい方程式で行動していく。過去の成功体験にとらわれない。
寺田さんの実体験にもとづいて書かれています。寺田さんは苦しい体験をたくさんされていて、失敗秘話が盛りだくさんです。生々しくて臨場感があります。
まるで映画を見ているようでした。寺田さんを応援しながら手に汗握ってしまいました。
自分が捨てた「勝利の方程式」は、自分にとってはもう必要がなくても、別の誰かにとっては将来必要なものかもしれません。
逆に、別の誰かが捨てた方程式は、これからの自分にとって必要なものかもしれません。
循環を感じました。
「勝利の方程式」の循環は、物質の話に似ていると思いました。
ぼくは理科がまったく得意ではありません。それでも、物質の数には限りがあると聞いたことがあります。限られた数の物質が組み合わさったり、バラバラになったりして世界ができている、と。
だからもしかすると…
むかしナポレオンの体の一部だった物質が、今ぼくのからだの一部になっているかもしれません。
ナポレオンが流した血が地面にしみ込んで、分解されて、植物の栄養になって、その植物の花粉が風で運ばれて、遠い土地で根をおろして、実をつけて、その実を人が食べて…
という旅を何度も何度も繰り返して…
その結果、かつてナポレオンの体の一部だった物質はいま、ぼくの体の一部になっているのかもしれません。
物質という言い方がニュアンス的に正しいのか、わかりません。原子といったほうがいいのかもしれないし、元素といったほうがいいのかもしれません。もっと別の言葉があるのかもしれません。そのへん、まったく詳しくないので、詳しい方からすると歯がゆいかと思いますが、ご容赦いただけるとありがたいです。
とにかく。
限られた物質がぐるぐる循環しながら世界ができている。
だから、ときどき思うことがあります。
遠い未来。
いつか地球はなくなります。地球がなくなると、地球にあった物質たちは広い宇宙に投げ出されます。
広い広い宇宙の中を、あっちにいったり、こっちにいったりして、漂うんだと思うんです。
そしてもしかすると、ものすごい確率で、地球出身の物質同士が再会するかもしれません。
たとえば、恋人の体を構成していた物質同士が、何百億年かあとに宇宙の果てで再会することだってあるかもしれません。
それはすごい再会だし、すごい奇跡です。遠い昔に愛し合っていたふたつの個体。それを構成していた物質同士が、宇宙の果てで偶然出会うんです。
もしかすると。
今ぼくの目の前にある光景。鉢植えの植物。この中でも、かつて愛し合っていた人同士の物質が再会しているのかも知れません。
本書を読んで感じたのは、壮大な循環です。物質も、人の考えも、循環している。ぼくらはその中で生きている。そういう感覚が味わえる一冊でした。