Strange Daze

映画、洋楽、JAZZがなにより好き!
そして最近メタボ対策でちょっぴりカラダ動かしてます(笑)。

裸足の1500マイル

2006-12-26 01:36:07 | Cinema
「家へ帰りたい一心で、フェンスづたいに3人の少女は歩く・・・」   
母の待つ故郷まで2400キロ。自分たちを信じて歩き続けた、3人の少女の壮絶な真実の物語。

1931年のオーストラリア。当時、オーストラリアでは先住民アボリジニの混血児たちを家族から隔離し、 白人社会に適応させようとする"隔離同化政策"がとられていた。 その政策の対象となり、強制的に収容所に連れ去られた少女3人 は、母の待つ故郷へ帰るため、2400キロに及ぶ行路を歩き始めた・・・

前回の「IN THIS WORLD」に続き、もうひとつ語っておかなければならない作品がこの 『裸足の1500マイル』
この物語はオーストラリアで行われていた「隔離同化政策」によって引き裂かれた親子の実話を見事に再現した作品なのです。
丁度この作品が公開される直前くらいにオーストラリア旅行に行き、先住民族アボリジニのことを現地ツア・コンに聞いていたということもあって観てみた映画です。この物語、正直言って衝撃的でしたね。
眩い太陽の国。青い空、青い海、広大な自然・・・旅行者にとっては楽園のような自由な国、オーストラリア。しかしそこには昔、人間の尊厳を問うような、忌まわしくも恐ろしい "人種差別" の歴史があったのです。
1931年。先住民アボリジニを白人社会に同化させる目的の"隔離同化政策"。この厳しい政策は、先住民居留地に強制収容させられます。そしてそこで、英語を強要され、厳しいしつけが行われ、一旦収容されれば二度と家族に会えないことがほとんどだといいます。この物語の中心人物である3人の少女たちもこの収容所に強制収容されてしまうのです。

                

母親と共にありたいと願う、切なる子供の気持ち。この作品のテー マは、国や人種などを飛び越えた普遍的なものなのです。母の待つ愛する故郷に戻りたい一心で、執拗な追跡者と大自然の脅威にさらされながらも、ありったけの気力と知恵を振り絞る少女たち。そして祈りを捧げながらその帰還を待ちわびる母の姿・・・。彼女達のひたむきな姿、力強さに、胸を打たれました。
映像もオーストラリアの美しく乾いた大自然をリアルに表現していて、さすがクリストファー・ドイルです。ドイルの映像は個人的に結構好きで、ウォン・カーウァイの作品を撮影しているのですが、特に『天使の涙』や『恋する惑星』での映像は素晴らしいです。

この作品、物語の是非はともかく、全ての方にご覧頂きたいですね。「IN THIS WORLD」同様、観ておかなければいけない作品ではないかと思うのです。
ラストの彼女達のコメントが衝撃的です。

因みに、原題の「RABBIT-PROOF FENCE」とは、オーストラリアで19世紀後半に設置された "ウサギよけフェンス" のことで、当時食用や、ハンティング用として輸入されたウサギが異常繁殖してしまったため、農作物などの被害を防ぐ為政府が設置したといわれています。

Rabbit Proof Fence Trailer


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【 裸足の1500マイル / RABBIT-PROOF FENCE 】
監督/ フィリップ・ノイス 
出演/ エヴァーリン・サンピ ローラ・モナガン ディアナ・サンズベリー ケネス・ブラナー
撮影/ クリストファー・ドイル
2002年オーストラリア作品

ゴールデングローブ賞 音楽賞ノミネート
ナショナル・ボード・オブ・レビュー 最優秀監督賞、作品賞ベスト10入賞 表現の自由賞 受賞
豪アカデミー賞 最優秀作品賞、最優秀音楽賞、最優秀音響賞 3部門制覇(最多10部門ノミネート!)
エジンバラ映画祭 最優秀観客賞受賞
ダーバン映画祭 最優秀観客賞受賞  

裸足の1500マイル

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4 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
これは秀作 (tak)
2006-12-27 00:07:44
Bonoさん、この映画紹介してくれてありがとう。
実は僕、「映画で世界を見る」と題して学生に、こういうのをみせておるのです。「裸足の1500マイル」は何度かみせました。かなり好評でした。
詳しくは↓
http://www5.plala.or.jp/takmovie/eiga_jyugyou_top.htm

アボリジニーが置かれた現実、オーストラリアにかつてあった白豪主義を通じて、家族のありがたみを感じてくれたらなぁと思います。ピーター・ガブリエルの音楽もスピリチュアルでよかった。
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ほんとうに (Bono)
2006-12-28 01:12:29
takさま

これはかなり良い映画ですよね。
takさんの言われるようにこのようなテーマの作品を
若い世代の人たちにもっと観てもらうと良いですよね。
この映画をtakさんに紹介してもらえた学生さんたちは幸せだと思いますよ。

これからtakさんのサイトに伺わせていただきますね。
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アボリジニ (メル)
2009-09-12 14:23:08
白豪主義だったころのオーストラリア。
今ではとってもフレンドリーで自由という
イメージがある国ですが、歴史はいろいろあったんですよねぇ~・・
アボリジニを描いた映画で、観た中では一番印象に残ってる映画です。

オーストラリアもほとんどの方が良い人で
心広い人ですが、私の親友がオーストラリアに1年間滞在していたことがあって、その時はかなり苦労もしたようです。
やはりあるんですよね~、差別が。
そして日本人に戦争中に弟を殺されたと言って心底日本人が嫌い、という人にも北部に行ったときには逢ったらしいですし・・。
どの国にも”過去”がありますが、これから少しでも良い国に、良い世界になれれば・・と思います。
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人種差別 (ぼの)
2009-09-14 01:47:51
メルさま

こんばんわ。
人種差別問題はかなり難しいですよね。
植民地や移民の国はどうしてもついてまわる問題です。

でも、この時代の背景ではどうしても英国が悪者みたいになってしまうんですね。
アイルランドやスコットランドしかり。
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