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第3563号 鳳作の季節

2010-03-14 19:32:26 | 鹿児島
鹿児島市立図書館で、篠原鳳作に関する本を2冊借りました。
前田霧人『鳳作の季節』(沖積舎、2006年)写真左。
岸本マチ子『海の旅―篠原鳳作遠景』(花神社、1985年。絶版)写真右。

【重なり合う2冊】
2冊とも俳人による鳳作の紹介ですが、前田の本は、がっちりと日本の近代俳句の歴史をたどりながら鳳作の位置づけを試みている。岸本の方は、沖縄在住でもあり、女性でもあるという視点が反映されたものになっています。
句集そのものは入手できなかった(ネットにはある)のですが、両著とも、要所要所に鳳作の俳句が紹介されていますから、代表作は網羅されていると思います。

【無季俳句】
俳句のことはまったくわかりませんが、鳳作が俳句の季語というものにこだわらない無季俳句の先達ということで、これに関する紹介があります。
むしろ、芭蕉の頃から、季語にはこだわっていないのでないか?前田 p.277
*以下、ページ数は特記しない限り、前田の方です。
私が、鹿児島の大きな本屋さんで俳句のコーナーを全部見ましたが、いわゆる歳時記ばかいりで「無季俳句」に関するものはなかったようですが、芥川龍之介の俳句に関する見解なども無季俳句を評価しているようです。p.40
私には、季語にこだわる現代俳句はつまらないように思われます。

【さまざまな人物】
久保田彦保・・のちの椋鳩十は1歳上。p.46
兄 国彬が宮古島平良町で歯科を開業p.84
山頭火とは会っていない 岸本p.62

【短い生涯】
鳳作1906-1936 30歳の短い生涯。「鳳作」と改めたのが1934年、28歳のとき。
1935年に結婚して、1936年に亡くなった。墓地は鹿児島市内郡元にある。
沖縄の宮古島の旧制中学の教師をしていたのは3年半。
岸本の本では、宮古島を去る箇所の記述p.102が情感溢れているのに対して、前田の本では鹿児島に戻ってからの短い期間の活躍振りに記述の力がこもっているように思った。

【時代】
葬儀の行われた1936年は、すでに軍事色濃く、通夜の夜は灯火管制がひかれていた。岸本p.186
鳳作が生きた時代は、日本が戦争への道を進んだ時代でもあった。

【愛妻家】
結婚生活は、わずかの期間だったが、妻秀子を可愛がった。岸本の本ではそのあたり女性らしい筆遣いです。岸本p.130
毎月22日は結婚記念日を祝ったp.159 生活俳句として妻を歌ったものもあるp.172


資料編 P3775

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2 コメント

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新しい知識。 (岩清水)
2010-03-16 06:19:32
篠原鳳作さんの句を読ましていただきました。

ルンペンに今宵のベンチありやなし

昭和初期の大不況の様子がわかります。
今の世も同じ困難を抱えている方が少なくありません。
俳人や歌人にも学びたいですね。
ありがとうございました。

ルンペン (bonn1979)
2010-03-16 07:34:55
岩清水さん

コメント有難うございます。

ルンペン
現代語では、ホームレスでしょうか?

鳳作の俳句は
沖縄の宮古島での生活が反映されていて
そこでの季節感は東京や京都とは違い
その作風が理解されるまでに時間がかかったようです。

鹿児島に来て
たまたま鳳作の甥ごさんから
歯科の診療を受けるという機会ができて
本には書かれていない鳳作の話も聞きました。

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