介護福祉は現場から 2007.02.22-2011.01.25

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第2759号 三富紀敬『イギリスのコミュニティケアと介護者』(ミネルバ書房)

2009-04-21 20:51:29 | 介護福祉
【今日の閣議決定】
育児休業と介護休業に関する法案の閣議決定に関して書きました。(第2757号)

多少の前進ですが、まだまだ道のりは遠いと思います。
そこで、読みかけの三富先生の本を中途ですが紹介しようと思いました。

【2008年12月刊行】
の本です。(写真)
三富先生は、かねてから、イギリスを中心に、介護者の支援施策を深く研究されてきました。

イギリスのコミュニティケアと介護者

は、その集大成です。

*目次がアップされています。

418ページにわたって、イギリスを中心に「介護者」に対する支援政策を詳しく紹介しておられます。

【有償介護労働は全介護労働量の1割程度】
イギリスでの統計では、
すべての介護労働のうち、有償介護労働は11.5%で、残る88.5%は、無償介護労働と推計されています。

*本書、p.114
*意外と思われるかも知れませんが、アメリカや北欧のデータも同様の水準です。
*日本については、このような統計は無い。無償介護労働が1996年に対して2006年には、介護者数で1.43倍、時間数で3.33倍との推計がある。p.361

【介護の社会化】
日本での議論は、おおざっぱで、介護保険によって介護が社会化されれば、あたかも100%が有償介護労働による?かの議論すらありました。

認知症の義母を持つ妻の生活を見ていますと、どのように専門職が支援してくれても、生活暦の長い家族の介護への参加は不可欠です。
もちろん、家族が1人では、365日×24時間のすべてを見ることは無理です。

【介護者への支援への視点】
今夜、NHKのクローズアップ現代では、女性の労働と保育の問題に触れていました。

・専門的な介護(保育)を公的に充実させること
・女性が、社会的な役割を果たすこと(経済的な活動で家計を支えることもその一部)
・家族として、介護(保育)することの重要性
は、相互に関連しています。

個人や家庭の選択肢を広げること、そのための公的な支援を制度化すること、介護(保育)専門職の経済的な処遇を改善すること・・
いずれも重要なことで、社会全体として公私で支える政策体系をもつべきです。

・・・このような考え方は、先進国では共通の認識となっているのですが、日本では、「介護の社会化」も不十分ですが、「介護者」を支援する政策が極めて脆弱です。

【イギリスを例としながら・・】
三富先生のこの本では、イギリスを主な例としてあげながら、日本における介護者支援政策の充実を力説されています。

国際的に見てこの視点が弱い日本の状況を、pp.367-371でまとめています。
*介護者支援政策の国際的な一覧 p.34
*介護者団体の活動状況(各国) p.44

【DAVIES編の教科書】
イギリスのソーシャルワークの教科書
SOCIAL WORK, 3rd. 2008 のことは、まえに紹介しました。
*第2006号 2008.12.21

この教科書、第6章第3節では、
The Carer's Perspective pp.409-414 がおかれています。

【イギリス保健社会省の介護者支援サイト】

Carers

は、圧巻です。
介護者支援の政策、法律、諸団体の活動など、2ページ半にわたるページが介護者支援に充てられていて、各専門のサイトへとリンクしています。
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