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ぼくのほんだな

フワフワしたノリやすい僕が本を中心にスキな話題だけを勝手気ままにお届けします。

ぼくのほんだな253・・映画「唇からナイフ」 ジョセフ・ロージー監督/モニカ・ヴィッティ/ダーク・ボガード/テレンス・スタンプ

2024年05月27日 | 映画・クルマ
ひょんなことから昔みた映画を見直しました。タイトルは「唇からナイフ」。 コメディアクション映画です。 貴方は観たでしょうか?

こんなんです。

パンフレット/表紙



「唇からナイフ」 パンフレット A4 1966

「唇からナイフ」 原題 Modesty Blaise(モデスティ・ブレイズ) イギリス・1966年製作 カラー 118分

監督:ジョセフ・ロージー
出演:モニカ・ヴィッティ (女泥棒モデスティ・ブレイズ)
  :ダーク・ボガード(国際犯罪組織の大物ガブリエル)
  :テレンス・スタンプ(モデスティ・ブレイズの相棒ウイリー)

☆解説: 世界的に有名(らしい)なイギリスの漫画「モデスティ・ブレイズ Modesty Blaise」の映画化。『エヴァの匂い』や『召使』のジョセフ・ロージー監督がコメディアクションに挑戦。出演は女泥棒を演じるモニカ・ヴィッティ、 その相棒をテレンス・スタンプがつとめ、マザコンの悪漢を怪演する微笑ましいダーク・ボガード。コミックのヒーロー・ヒロインらしくどなたもあたりかまわずの大活躍!

☆あらすじ: (有って無いようなものですが・・・。)
イギリスは、中東マサラ国の石油をえる際、同国の元首シークの要望を聞き入れた見返りとして、ダイヤモンドを送ることにした。このことが国際犯罪組織の知るところとなり、イギリス秘密情報部長のタラントは女犯罪者・モデスティにダイヤの護衛を依頼する。その際、彼女は相棒のウィリーを協力者としてつけるという条件で引き受ける。 犯罪組織のリーダー・バシリオはモデスティをおびき寄せる形でウィリーを捕らえたうえで、ダイヤを盗んだ。モデスティは色仕掛けと変装でウィリーとダイヤを奪還するが、組織に見つかり窮地に陥る。・・(後略) ーウィキペディア(Wikipedia)よりー

どお?よ~分からないでしょ。 この僕でもよ~分からなかったんだから。 登場するこれらの大物スターが自分たちの役どころからかけ離れたコミカルな演技で、観るものを驚かせたり、戸惑わせたり。 おそらく演じる方もそれを観る方もどちらもワクワク・ドキドキ・ゾクゾクしながら楽しんでたんじゃないでしょうか?

そもそもジョセフ・ロージー監督のコメディ映画は珍しい。 そしてモニカ・ヴィッティがこのような映画に出るのって珍しい。 ダーク・ボガードやテレンス・スタンプもこんな役は珍しい。 これだけの珍しづくしも珍しい。 モニカのぶっ飛んだファッションやボガードのなんじゃこりゃ変身、モデスティ(モニカ・ヴィッティ)危うしで救援に突如現れる大軍団の唐突さ。思わず拍手!ギャグあり、涙なしの全編コレ突飛だらけ!これはもうゴボウあり、こんにゃくあり、人参、油揚げ、干し椎茸ありのまるで賑やかな役者ぞろいの五目ごはんと言うか、かやくご飯の大爆発。 (五目ごはんがお好き?)

こんな豪華絢爛な五目ごはんを更にポップでキッチュなキラキラの五目、いや天目茶碗にてんこ盛り。さあドぉだ!とばかりに愉しげなデュエットもふりかけて、これでもかのドンチャン騒ぎ。

少しお疲れが過ぎたのかペースダウンの処もありながら、ひたすらごちゃ混ぜのノー天気が煌めきわたった、笑っちゃうしかない実におかしな映画でありました。 登場する車はどれもウフフだったし、後半の舞台となる地中海を臨む絶壁にたつ悪漢どものアジトなんかは、 いかにも悪の巣窟あるあるです。ピッタリ!そのロケーションの素晴らしさは息を呑みます。とにもかくにも楽しい映画デス。 僕は好きです。(笑)



ジャ~ン、これが悪漢どものアジトだ!
(サンタレッシオ シークロ城 Castello di Sant'Alessio Siculo・伊)

今日の目線で見ればその出来栄えに物足りなさを言い言いしたいところかもしれませんが、それは曜変天目茶碗を偉大な失敗作だと言うようなものかもしれませんねエ。 (曜変天目茶碗もお好き?)
結果をどお愉しむかは受取る側次第なので大いに論じ合うのも楽しいですよね。
こんなヒッチャカメッチャカな作品を見てしまった当時の僕なんかはもう頭の中もスッカリ、すっちゃかめっちゃかになっちゃって、ただボ~ッとトランス状態になっていたのを思いだしたぞ!(今も変わりません。) 後半テンポがおちて残念なんて言わないけど、(言ってる) このようなよくわからない作品は二度と作れないでしょうし、作らないでしょうね。ってあの時さすがに思ってしまいました。
ついでに思いだしたんだけど、 あの頃世の中は高度経済成長期で僕は *♪ノッテけ、ノッテけ、ノッテけ♪って皆が誘うもんだから、よく分からずに、じゃあ僕も一緒にノッケて、ノッケて、ノッケてってノッケてもらい、オイルショックも何のその、またまたバブルで景気も良くなり勢いづいて遊びに遊び、皆でこのままノッとけ、ノッとけ、ノッとけと調子にノッてたら、 世の中 そおそお調子よいことばかりは続きません。とほほバブルがパッチンとハジけて一斉にひっくり返っちゃった。あとは散々。ご想像にお任せします。でも、ノリやすい僕が何んとか今日までやってこられたのも、ひとえに、僕の努力のおかげだったんデス。 僕って凄~い‼ (・・・長生きして下さい。)

* ♪太陽の彼方に♪ 曲:アストロノウツ。 1964年日本でシングルリリースされました。寺内タケシとブルージーンズをバックに藤本好一の歌でお馴染み(?)

と、言うことで (どう言うこと?) この映画は僕にとってあの大変だった時代のはしりの良き時代の気分を映し出した傑作・怪作でありました。ある意味ぼくにとって心地よい快作でもあったんです。

コレだけの破茶滅茶をやってのけられたのはさすがに良くも悪くもジョセフ・ロージー監督ならではかもしれません。 成功作だとか失敗作だとかを尽き抜けた、味の効いた豪華なハチャメチャ映画と言うしかないんじゃないのぉ? 最後に捕えられた悪漢ガブリエル(ダーク・ボガード)が銃口を突きつけられて言ったセリフなんゾ、ニクイねぇ~。 ダーク・ボガードなればこそですね。このように随所に蒔かれたギャグやしぐさには、唯、おもしろいだけじゃ終わらせないジョセフ・ロージー監督の企らみがあり、僕たちはまんまとノセられたって感じかな?

僕としてはまるで"アンニュイ"がそっくりそのまま女性になったようなモニカ・ヴィッティのカッコいい、生き生きと甦った はしゃぎっぷりを2時間弱たっぷり見られただけでも、もぉ~大満足です。 最初に観たのと今回で二度美味しかったというのが僕の至極他愛のない感想でありました。 (それだけ?) ハイ、それだけです。  
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ぼくのほんだな237・・バレエ映画「ホフマン物語」

2020年07月15日 | 映画・クルマ
このバレエ映画はオッフェンバックの名曲で知られるグランドオペラ「ホフマン物語」の音楽と歌をバレエ音楽として使うという当時全く新しい、すごい野心作であったらしい。映画『赤い靴』のマイケル・パウエルとエメリック・プレスバーガーが製作・脚本・監督している。英国ロイヤル・バレエ団のダンサーたちが競演。 「赤い靴」と共に名作と言われている映画です。

パンフレット (表紙)

ホフマン物語 The Tales of Hoffmann
監督:マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー
撮影:クリストファー・チャリス
音楽:ジャック・オッフェンバック
出演:モイラ・シアラー、ロバート・ヘルプマン、レオニード・マシーン、ロバート・ランスヴィル
製作年:1951
製作国:イギリス
上映時間:128分
受賞歴:1951年カンヌ国際映画祭特別賞。フランス映画高等技術委員会賞 1951年ベルリン国際映画祭銀熊賞

ホフマンが語る三つの恋の物語。全編は「プロローグ(序幕)」と「第一話」「第二話」「第三話」そして「エピローグ(終幕)」を一つの幻想的な様式で構成。

◆プロローグ (序幕) 19世紀、ニュウルンベルクのあるオペラ劇場。
オープニングいきなり、ステラ (ホフマンを愛するバレリーナ) 役のモイラ・シアラーが満場の舞台で踊る「蜻蛉(トンボ) の踊り」がすばらしい! ご存知のとおり蜻蛉の雌は色々と事情があった後に雄を喰い殺しますよね。このあたりの凄味ある踊りはよそ見できない。ゾクッとするョ。妖美!



「蜻蛉の踊り」左頁下と右頁/モイラ・シアラーとエドモン・オードラン

◆「第一話 オリンピアの物語」 エッフェル塔のなかった頃の巴里
バレエでは「コッペリア」で有名。 人形のオリンピアをモイラ・シアラーが演じています。



華麗に踊るオリンピア

オリンピアが「ゼンマイ仕掛けの人形」だという設定が随所にいかされていて、第一話の見せ場になっていてずいぶん楽しませてくれます。ファンタジックで、動きに可愛さと笑いが加わり、 少し怖い場面があったりしますが観ていて楽しく飽きません。
オリンピアを造ったコッペリウスは学生のホフマンに人形のオリンピアが生きているように見える魔法の眼鏡を売り付けます。 ホフマンがその魔法の眼鏡を掛けると、仕上げの眼が入った人形のオリンピアは活き活きと歌い踊りだします。まるで生きているよう。ほかの人形たちも動きだして大騒ぎ。若きホフマンはオリンピアに心を奪われます。オリンピア (モイラ・シアラー) の踊りが冴えわたります。 さあ、一緒に踊ろう!

この映画の全編で良いなって思える場面はたくさんあるんだけれど、僕が「舞台」には無い、「映画」ならではの魅力が最もよく表現されていると思ったのは、短いけれどコノ場面 。

クルッ、クルッ、目がまわる~。

恋する人形のオリンピアと共に踊れるうれしさに有頂天のホフマンはダンスをしながらオリンピアと階段をクルクルと駆け下りていきます。このシーンが見事なんです。二人?を照らすきらびやかな光線が緊張感とスピード感を盛り上げます。
ホフマンのわれを忘れた高揚感がこちらにもよく伝わってきて、思わず僕も楽しくなりました。 だけど、いくら嬉しくてもチョッと踊り過ぎです。 ホラね、階段から二人は仲よく落っこっちゃいました。 どうなるの!?
話は進んで、オリンピアは壊されます。このシーンに僕は少し違和感を覚えるんだけど、 モイラ・シアラーのバレエの魅力が大きく超々上まわっているのでとても満足しています。

さて、 第二話は第一話とチョッと違って大人の雰囲気で迫ります。

◆「第二話 ジュリエッタの物語」 水の都ヴェニス



左下) ゴンドラに乗るジュリエッタ。 小さいので分かるかな?
右) ジュリエッタ役のリュドミラ・テェリーナ

ホフマンはすでに有名詩人になっている。第二話は舞台美術の良さかな? 特にゴンドラにからむシーンが出色。ご存知「ホフマンの舟唄」がバックに流れ、 ゴンドラに乗って歌うジュリエッタ役のリュドミラ・テェリーナがこれまた妖艶。 思わず「ホフマン、気をつけろ!」って叫びそう。でも無理。やはり男女の愛憎劇がくりひるげられるのです。 このあたりは僕がもっとも不得意とするところです。 悪魔も出てきます。悪魔役のロバート・ヘルプマンが歌舞伎役者顔負けのギョウギョウしい演技でとても良い。夢幻的なこの映画の全編で独特の濃厚な光を放っています。

ギロッ!
悪魔(ロバート・ヘルプマン)とジュリエッタ (リュドミラ・テェリーナ)



決斗の場面が近づいてきますが筋書きはソコソコに、映像美を愉しんでほしいです。

◆「第三話 アントニアの物語」 ギリシアのとある小島の古城
第三話はアントニアの「死」が主題になっています。 僕にはとては大きすぎる問題なので、 もっともっとよく考えてみてからお話しようと思います。 それまでお待ちください。

◆「エピローグ (終幕)」
ホフマンが四人の女性と踊る幻想場面。華麗で典雅な英国ロイヤル・バレエ団との競演が繰り広げられます。あれも良いなコレも良いなって感じで堪能した後、 いよいよ最後は種明かし。何の? 人生の。

僕は第三話で息切れしました。でも、この映画は「プロローグ」と「第一話 オリンピアの物語」そして「第二話 ジュリエッタの物語」や「エピローグ」だけでもバレエ映画として十二分に楽しめます。 当然ですが古さも感じます。この映画を封切り当時(69年前)に観ていれば、またどのような感想になっていたでしょうか。 出来れば旬に観たかった映画の中の1本です。 貴方はどうでしょうか?

やっぱり、映画はなんだかんだ云っても、観なきゃ損!

   
左から)ブルーレイ・DVD・ビデオ
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ぼくのほんだな225・・ミニチュアカー専門誌「コレクター」と〈モデルペット〉

2018年03月17日 | 映画・クルマ
あれから叔父さんに逢ってないなあ。 少しだけ喋りたくなってきたんだよね。 キッと噂をするとやってくるぞ ! (●ぼく ○叔父さん)

●ヤッパリ来た!叔父さん、しばらくです。 ついでと言ったらなんだけど、日本のミニチュアカーが誕生したのに合わせて、ミニチュアカーの専門誌『コレクター』が創刊されたってこのまえ言ってたよね。そのあたりの様子を知ってたらおしえてほしいんだけど。

○いよっ!それはいい質問だ。ついでで結構、おまかせあれい!  興味が沸いてきたのかなぁあああ? ガッテンガッテン。 知ってることは喜んでお話しますよ~。
そう、月刊誌『コレクター』の第1号は昭和35年(1960年)3月1日の発行だね。 旭玩具製作所内・略称JMCC (日本ミニチアーコレクタークラブ)の機関紙として創刊されたんです。  編集・発行人は岸淑浩(社長)。 このJMCCに入会手続きして年間会費300円を収めると『コレクター』誌を毎月送ってくるんだ。 それがすんごく愉しみだったねぇ。
創刊号は16ページの小冊子だったけど、当時ミニチュアカーの情報は、当然だけどほとんど無かったので若かりし頃の叔父さんたちはこの小冊子に"待ってました"とばかりに飛びついたものさ。 新しい世界が開かれたって感じかな? ワクワクしたね!

● (・・と言いながら遠くに目をやる叔父さんの横顔は少しひねてますがまるで少年のようです。)

○創刊号はこんなのでした。




                              
オープニング・ページ(上段「創刊の言葉」下段「目次」)


目次

月刊『コレクター』創刊第1号 16ページ 編集・発行人 岸淑浩
発行所 旭玩具製作所内・JMCC 昭和35年(1960年)3月1日発行

熱い 熱い『創刊の言葉』は ♪やけど覚悟で読まんとね~!

創刊の言葉

 日本の社会分化は日に日に複数化
していく。 共通の広場を求めてやま
ない人々が、 その分化する集団に走
っていく。 ぶっそうなカミナリ族、
マンボ族等も分化された一つの集団
である。 その他貴品の高い音楽愛好
者集団、人形愛好者集団等・・・・・数え
あげたらキリがない。
 既成の集団に、 また新しくミニチ
アトーイコレクターの集団が生まれ
た。 この集団はバラ園に咲くバラの
如く、 茶の間をいろどる夢と希望の
果てしない集団である。
 本誌はそうした集団の窓になりた
い。

旭玩具製作所は昭和34年(1959年)10月に亜鉛軽合金という材料を使ってインジェクション・マシンという機械で精密につくられた国産初の量産ミニチュアカーを発売しました。商標は〈モデルペット〉です。 機関紙『コレクター』が発行されたのは、この〈モデルペット〉の売り上げを拡大することと、その購買者である会員間の交流を図る目的があったんですね。
このあと、旭玩具製作所は英国のコーギー製品とディンキー製品を数量は少ないんだけど輸入することになるんだ。 このように国産ミニチュアカー〈モデルペット〉も世界のミニチュアカーと共に市場を賑わすことになっていきます。

世界にも視野を向けながら新しいホビー情報誌となった『コレクター』は創刊号に引き続き、経済成長の波にのって順風満帆、 2号 3号・・・と発行されていきました。






月刊『コレクター』創刊第2号 4月号







月刊『コレクター』第3号 5月号

『コレクター』が創刊された昭和35年(1960年)には〈モデルペット〉も既に4台発売されていて、 そのNo.1は 「トヨペット クラウン デラックス」でした。 やっぱりトヨタ車は人気がありましたね。

●それって どんなの?

○それって こんなの!





モデルペットNo.1 トヨペット クラウン デラックス  縮尺1/42 170円 旭玩具製作所

○モデルペットの5作目がこれ。





モデルペットNo.6 プリンス スカイライン デラックス 縮尺1/42 170円 旭玩具製作所

そして引き続き、どんどこどんと新製品を発売していきました。

やがて『コレクター』の誌名も昭和37年4月号のNo26号から横文字の『COLLECTOR』ってことになったりしました。



月刊『COLLECTOR』No26

こうして〈モデルペット〉の発展と共に新しい製品の広告や情報を紹介し、会員の交流を図ってきた『COLLECTOR』誌ですが、昭和44年(1969年)突然廃刊になりました。
昭和35年(1960年)の創刊号から最終号 No.106までの全106冊をもってその歴史を終えたのです。社会の大きなうねりに呑み込まれていったのでしょうか?

この短い記事では、当時の叔父さん達の熱気や高揚感はなかなか伝わらないと思うんだけど、日本初のミニチュアカー専門誌『コレクター』をひもとくことで、日本のミニチュアカーの草創期を少しでもみんなに知ってもらえれば、叔父さんは大変嬉しく思うのです。 パチパチパチパチ!

●叔父さん!拍手をするのは僕なんだけど。勝手に〆てもらってありがとうございました。 まとめて終わる叔父さんって初めてでしたああ。  パチパチパチパチパチ!

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ぼくのほんだな224・・映画「死刑台のエレベーター」とメルクリンの 「メルセデスベンツ300SL」

2018年01月21日 | 映画・クルマ
マイルス・デイビスの音楽とともにやって来たあの人は誰でしょうか? そうです、あの軽さは間違いなくぼくの叔父さんです。 叔父さんとの2回目のインタビューが実現しました。 今回は今だにその輝きを失わないすばらしいミニチュアカーの紹介になりま~す。 あの鉄道模型で超有名なメルクリン社が造った「メルセデスベンツ 300SL」です。
その精巧さにはさすがに舌をまくしかないんだけれど、興味のない方は「いったい何が面白いんだッ?」とつぶやきながらやり過ごしてやって下さいませ。
でもチラッと次の画像を見てもらえば、その良さが分かってもらえるかも・・・。



メルクリン 「メルセデスベンツ300SL シルバー」 1/43 西独 Marklin 8019 Mercedes Benz 300SL silver Scale 1/43 western German

(以下、☆は叔父さん ★はボク)

☆おまたせぃ!
★叔父さん、メルクリン社のミニチュアカー 「メルセデスベンツ 300SL」について色々話したいそうですが?
☆さいです。
★じゃあ、早速マイルス・デイビスの音楽を聴きながら、ノリノリで本題に入りましょう。
☆ガッテンです。
★なぜ今回この「メルセデスベンツ 300SL」のミニチュアカーを取り上げたんですか?
☆叔父さんが若かりし頃に観た「死刑台のエレベーター」というフランスのサスペンス映画に登場した車がすごくカッコよくて、一発でイカレちゃったんだ。 百聞は一見に如かず、そのガツンとイカレちゃったシーンに少しだけふれてみるね。

「死刑台のエレベーター」ルイ・マル監督(仏)1958年劇場公開 92分

この映画は当時25歳だったルイ・マル監督のデビュー作で言わずと知れた傑作サスペンス映画ですね。 出演はジャンヌ・モロー、モーリス・ロネ、リノ・バンチュラなど錚々たるメンバー。 音楽はマイルス・デイビスです。 フランス・ヌーヴェルヴァーグの代表的作品。


主人公を演じるモーリス・ロネがエレベーターに閉じ込められる有名な怖~いシーン。

ストーリーははしょりますが、若い恋人同士が車を盗んで逃げるんだけど、街中を疾走したあと



路上に止めて,クルマから降りるシーンがあるんです。



こんなありふれた場面で普通は"手前"に開くと思ってるクルマのドアが、いきなり"上"に跳ね上がって開いたんだ。



これにはビックリ! 「わぁ!戦闘機みたいだ。 格好いい!!」 って単純に感動。 このクルマのドアは開くとカモメが翼を広げたように見えるので「ガルウイングドアー」って言うそうだけど、叔父さんはそれまで見たことがなかったので驚いたってことだね。
そのクルマが「メルセデスベンツ 300SL gullーwing」だったんだ。 そのカッコよさが強烈で、絶対に乗ってみたいって切望すれど叔父さん(当時はオジさんじゃないよ)のポケットマネーでは買えなかったので少し小さ目のミニチュアカーにしたって理由(わけ)。

掌に載せるとその時の映画の場面を鮮明に思い出させるようなミニチュアカーが欲しいなあって探したよ。 メルクリン社の「メルセデスベンツ300SL」はそれに応えてくれるだけの緻密さで造られていたね。
この頃、他のメーカーも「メルセデスベンツ 300SL」モデルを出していたんだけれど、やはりこのメルクリン社のものが最高の出来だと叔父さんは思ったんだ。 つまり、叔父さんが観た映画の想い出とともにあるこの素晴しきミニチュアカーをみんなに知ってほしくて今回取り上げたんだ。 どうかな ?

★どうかな ?って別にいいですけど。 ところでメルクリン社にこだわってますけど、メルクリン社といえば鉄道模型がとっても有名ですよね。
☆そうですね。 鉄道模型ほどクルマは知られてないかもですが、けっこうミニチュアカーも造っていますからね。

★そうですか。 で、このメルクリン社の 「メルセデスベンツ 300SL」モデルはいつ頃造られたんですか?
☆1958年(1956年型)から製造されたようです。 叔父さんが購入したのは1962年です。 当時、少ししか輸入されなかっようですけど。 60年代当時、ミニチュアカーの蒐集が流行った時期があって、一般的にはイギリスのコーギートイ(CORGI TOYS)やディンキートイ(Dinky Toys)、それにマッチボックスなどがブイブイ言わしてましたね。 それぞれに良いのがありました。
日本でも1959年に旭玩具製作所が国産初のダイキャストミニチュアカー〈モデルペット〉シリーズを次々と発売したり、1960年には小冊子のミニチュアカー専門誌「コレクター」を創刊するなど、いろいろと愉しく頑張っていましたね。〈モデルペット〉シリーズNo1の「トヨペット クラウン デラックス」Scale 1/42は、いま見ても当時の一生懸命さが伝わってきて胸がキュンとなりますです。

★メルクリン社の「メルセデスベンツ 300SL」モデルはその造りが精密なのはうなずけますが、どこがどお精密なんですか?
☆画像を見ればわかるでしょ。
★そんな身も蓋もない!
☆ハハハッ、言ってみただけ。 そうですね、ザックリ言ってしまえば、愛想がありません。 ウインドーや車内のシートなど有りません。 今では普通に見られるようなドアが開くといったギミックもありません。 まったくもってスカスカです。
しか~~し、そのプロポーションが抜群!なんですよ。 フロントはギリシャ人の顔に劣らぬ彫りの深さですし、ヒップ、おッと、リアはまるで室内管弦楽団が奏でる音楽に似て繊細優美。 その曲線の仕上がりは「精緻の極み」とでも申せましょうか。 実車がもつ華麗なスタイリングをそのままミニチュアカーとして再現してみせるツボをおさえた創造力と技術力はさすがです。









その小さなボデーには、実車を彷彿とさせる疾走感があり、流麗でありながら、かつスポーツカーの精悍さも合わせ持っていてスモールだけど、しかし雰囲気はグレイトな気品溢れる、鋭くて、硬くて、輝く、奔る宝石のような逸品です。 その造型の完成度は他のメーカーのものと比べても突出しておりました。

★ヒャー!ずいぶん盛りましたねェ。 ま、なんとなくスバラシさは感じられるような気分になってきましたが・・・。 この感じだとまだまだ突っ走りそうですね。 インタビューもこのあたりで終わったほうが良さそうに思います。
叔父さん、そのまま心ゆくまで酔いしれて下さい。 それではどうも有難うございました。

とりあえず、インタビューは終わりにします。 FIN
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ぼくのほんだな212・・映画「ラ・パロマ」 ダニエル・シュミット

2016年07月07日 | 映画・クルマ
いきなりですが、僕のすきな映画「ラ・パロマ」は「今宵かぎりは・・」(1972)に続くダニエル・シュミット監督の二作目の映画です。
こんな感じ。


パンフレット

映画「ラ・パロマ」 ダニエル・シュミット La Paloma Daniel Schmid 1974年 スイス・仏 110分

監督 ダニエル・シュミット
脚本 ダニエル・シュミット
音楽 ゴットフリード・ヒュンベルグ
出演 イングリット・カーフェン
ペーター・カーン
ペーター・シャテル
ビュル・オジエ

ダニエル・シュミット監督の略歴:
1941年12月26日、スイス生まれ。
生家は大きな城館のホテル。高校時代に映画狂となり、またオペラやコンサートにも熱中。
66年、ファスビンダーと知り合い、67年から69年まで映画TVアカデミーに在籍。
71年、ファスビンダーとその妻カーフェンと共にタンゴ・フィルム設立。
72年、生家で初長編『今宵かぎりは…』を撮り、以後、耽美的な作風の映画監督として注目される。
84年の「青ひげ」以後、オペラ演出も手がける。    - Wikipediaよりー
                          
作品:
「今宵かぎりは…」1972 「ラ・パロマ」1974 「天使の影」1976 「ヴィオランタ」1977 「カンヌ映画通り」1981 「ヘカテ」1982
「トスカの接吻」1984 「デ・ジャ・ヴュ」1987 「季節のはざまで」1992 「書かれた顔」1995 など・・・

何だかよくわからない人にはわからないと思います。 いきなりですし。
じゃあ、まずストーリーからかな?・・・
「高級キャバレーの歌姫ラ・パロマと、彼女の夫となった富豪の息子、そして彼の友人の関係を描く退廃的でオペラティックなメロドラマで・・・」 おっと、ストーリーを追ったところでこの映画の魅力は伝わらないと思います。 この映画はまるで夢を見るようなつくりになってますからね。 ストーリーのある夢なんてねぇ。 なのでストーリーは省略します。

僕の注目は歌です。
高級キャバレーの歌姫ラ・パロマを演じるイングリット・カーフェンが歌う『上海』。


『上海』を歌う歌姫ラ・パロマ (イングリット・カーフェン)

これがもう素晴らしいのひと言!! まるで「どお、このかったるさ、誰よりもあなたに感じてほしいわ。」って歌っているようです。
この独特の饐(す)えたような甘酸っぱい感覚は幻想的で、耽美的で、退廃的で、蠱惑的で、なんて言葉を並べていると、すり抜けてしまいそうです。
そお、どんな感覚かってゆ~とね・・・、
甘美なんだけど冷たくて危険な毒が細いほそい注射針をツーッと流れぬけて、痛くない痛くないって暗示をかけながら、しずかに震えるように、脳髄の奥深くへジュワ~っと浸透していって、シビレる~っ、ああ、きもちィィ! いつまでもこのままで放っといて~って感じでしょうか。 (よくわからない。)

そうですか、じゃあ、上等のコーヒーを100杯くらいイッキ飲みしたらおもいっきりカフェインにどやされて、天上の世界にもってかれちゃったって感じかなあ? (もっとわからない。) わからないかあ。ああ、もう僕もわからない! でも、みじかい歌なんだけど、さすが名まえどおりにカフェインがきつく効いてますね。 (カーフェンです!!)
この歌を聴いていると、遊ぶことに疲れきった繊細なぼくの脳髄が、ぼたっと潤ってきて、 聴いているすこしの間だけれど、すべてを忘れ、ひたすらボ~ッとできるのです。 (じゃ、いつもどおり。)
あと、このシーンはカーフェンの背中の美しさにも ドキドキ!

そして『上海』の歌だけではありません。 やがて山上で歌う場面が現われます。


山頂のデュエット

結婚して幸せの絶頂にいるふたりがアルプス山頂をバックにオペラの「アリア」をデュエットするシーン。これはもうエクスタシー (you see?)そのものです。 映像と音楽がピタッとよく合っていて見事です。 背景の山頂の雲と一緒に漂う、ただならぬ人物の映像はなんともかんとも、たとえようがありません。この情景を見てしまったら、貴方はキッとうなされ・・いや、流れるオペラの「アリア」とともに決して忘れることはないでしょう。 ダニエル・シュミットならではの、ダニエル・シュミットしか表現できない、ダニエル・シュミットらしい名シーンでしょう。
はたして、これほどに美しいシーンが かつてあったでしょうか!? (は~い!『フェリーニのアマルコルド』でありました。) んっ・・・・・・、ありますよね。
まさに映像と音楽で想像する「映画」の持っている魔力の一面を見せ付けられたような気がします。

僕の気に入った歌の話だけだったけど、これだけではありません。 この「ラ・パロマ」には他にたくさん息を呑んだまま吐くのをわすれさせるシュミット・マジックがギュッと詰め込まれているんです。 宝の箱、開けたら何がとびだすやら。 もしこのような映画が創られなかったら『映画』はどんどん痩せていっちゃう気がします。 たやすくは観られないようだけど。 ぜひ!


   
左)【DVD】ラ・パロマ110分\5,076(税込)発売元:IMAGICA販売元:パイオニアLDC 2001/02/23発売 
右)【VHS】ラ・パロマ110分\14,308(税込)販売元:SONY
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