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センター試験リスニングテストいろいろ

2006-01-24 | アカデミック
センター試験の英語リスニングテストのトラブルについては、ウェブ上のニュースサイトやブログでさまざまな論評がなされていますが、私の立場はほぼ次の2件のブログ記事が代弁してくださっているので、ここではできるだけ重複を避けて、これらの記事にない論点にしぼります。
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センター試験リスニングの「トラブルによる『再試験』」の裏側 - 辰己丈夫の研究雑報
英語(リスニング)も無事終了 - Okumura's Blog
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総じて感じるのは、トラブルだのなんだのと騒がれていることのほとんどが、リスニング試験をICプレーヤーを使って行うと決めた時点で予想されていたことで、「想定の範囲内」だったということです。再テストにしても、ほとんどのケースは最初から用意されていたマニュアルに従ったまでです。予想を超える事故で教室全体、あるいは会場全体で試験が無効になるような事態は起こっていないのですから、私はむしろ「よくやったものだ」と感心したぐらいです。運悪く不良機器にあたった受験生の方々はお気の毒ですが。

もっとあきれたのは、次のニュース記事。
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センター試験 ICプレーヤー実は“受験生買い取り” - Yahoo!ニュース/河北新報
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記事の要点は「今年度から検定料が値上げされた」「ICプレーヤーは持ち帰れるが他に用途がない」ですが、これらもすべて最初からわかっていたことで、試験が終わってから槍玉に挙げることではありません。

むしろ、より本質的な問題は、それだけの受験生や実施者の負担に見合う教育上の効果がリスニングテストにあるのか、という「費用対効果」を論じることだと思います。トラブル自体をあげつらうのでなく、「そこまでしてリスニングテストを行う必要があるのか」という根本的な問題こそ、われわれが論じるべきことであり、大学入試センターが責任を持って答えるべきことだと思います。
これについて、私は現時点では、リスニングテストの問題内容や、新課程の中学生・高校生が受けてきた英語コミュニケーション能力の教育の実態について、十分な情報を持っていないので、評価を下すことは避けます。大学入試センターを吊るし上げるばかりでなく、高校教員や予備校講師などによる試験内容の論評など、より本質的な問題提起がなされることを期待します。

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