オレはボブジ。高校2年生。訳あって長いこと不登校生活をしていた。
しかしその生活ももう終わり。今日からは真面目に学校に行くのだ。
昨日、社会科の先生兼、学年主任の先生が家庭訪問で家に来た。
そして「明日の世界史の授業で三国時代のビデオを見せようと思ってるんだ。5分5分に分けて見るのと、10分でいっぺんに見るのとどっちがいい?」などと言っている。
正直、どっちでもいい。
「先生の好きにすればいいんじゃないですか?」
と答えると、先生はニコニコしながら学校に帰って行った。
その日は明日からの学校生活に備えて早めに眠りについた。
翌朝、「お兄ちゃ~ん、早く起きないと遅刻するよ~?」と可愛いらしい声が響く。コイツは詩織。オレの同居人。まぁ妹みたいなもんだ。高校でも同じクラスに通っている。
「は~い、すぐ行くよ」と返事をして体を起こす。
そこで背筋が凍りつくような衝撃が走る。
まだ学校へ行く支度をしていないのだ。
慌てて鞄を用意し、教科書を探す。
「あれ?日課表どこにあるっけ?」
「お兄ちゃん、そこだよ!」
あぁ、なるほど。1限目が体育。2限目が世界史。3限目が現代文。4限目が数学。5、6限目が書道。7限目が化学か。
「そういえば教科書どこにあるっけ?」
「お兄ちゃん、そこの押し入れの中にあるよ。あ、もう時間ヤバイよ!」
オレは慌てて教科書を詰め込んだ。
「あ、そういえば体育ってプールじゃん!水着も持って行かなきゃ!」
秒針とにらめっこしながら急いで水着も用意する。
準備が終わると焦燥感を覚えた。
なぜか高校の記憶があまりない事に気付いた。
「なぁ、高校ってどこにあるんだっけ?オレのクラスはどこだっけ?」
あれ?何かがおかしい。確かに不登校だったけれど、学校の位置やクラスの位置くらいは覚えているはずなのに。
おかしい。何かがおかしい。この世界は狂っている。真相を確かめなきゃ。
オレは詩織の手を引き、家のドアを勢いよく開けて駆け出した。
真っ白な世界。雪のように白く、だけど何もない世界。そう「無の世界」だ。
物と物の境界線は曖昧でここがどこなのか、自分が立っているのか浮いているのかさえ分からない。ただ分かるのは、自分がここに存在している事だけ。いつの間にか詩織もいなくなっている。
「早く学校に行かなきゃ」
その時、白い世界の中に1点の歪みを見つけた。
「あそこから外に出られるかもしれない」
オレは走ってその歪みへ飛び込んだ。
…
……
…寝ている。今オレは寝ている。目を開けるといつもの部屋。やけにリアルな世界だ。
「そうか…夢か」
しかしその生活ももう終わり。今日からは真面目に学校に行くのだ。
昨日、社会科の先生兼、学年主任の先生が家庭訪問で家に来た。
そして「明日の世界史の授業で三国時代のビデオを見せようと思ってるんだ。5分5分に分けて見るのと、10分でいっぺんに見るのとどっちがいい?」などと言っている。
正直、どっちでもいい。
「先生の好きにすればいいんじゃないですか?」
と答えると、先生はニコニコしながら学校に帰って行った。
その日は明日からの学校生活に備えて早めに眠りについた。
翌朝、「お兄ちゃ~ん、早く起きないと遅刻するよ~?」と可愛いらしい声が響く。コイツは詩織。オレの同居人。まぁ妹みたいなもんだ。高校でも同じクラスに通っている。
「は~い、すぐ行くよ」と返事をして体を起こす。
そこで背筋が凍りつくような衝撃が走る。
まだ学校へ行く支度をしていないのだ。
慌てて鞄を用意し、教科書を探す。
「あれ?日課表どこにあるっけ?」
「お兄ちゃん、そこだよ!」
あぁ、なるほど。1限目が体育。2限目が世界史。3限目が現代文。4限目が数学。5、6限目が書道。7限目が化学か。
「そういえば教科書どこにあるっけ?」
「お兄ちゃん、そこの押し入れの中にあるよ。あ、もう時間ヤバイよ!」
オレは慌てて教科書を詰め込んだ。
「あ、そういえば体育ってプールじゃん!水着も持って行かなきゃ!」
秒針とにらめっこしながら急いで水着も用意する。
準備が終わると焦燥感を覚えた。
なぜか高校の記憶があまりない事に気付いた。
「なぁ、高校ってどこにあるんだっけ?オレのクラスはどこだっけ?」
あれ?何かがおかしい。確かに不登校だったけれど、学校の位置やクラスの位置くらいは覚えているはずなのに。
おかしい。何かがおかしい。この世界は狂っている。真相を確かめなきゃ。
オレは詩織の手を引き、家のドアを勢いよく開けて駆け出した。
真っ白な世界。雪のように白く、だけど何もない世界。そう「無の世界」だ。
物と物の境界線は曖昧でここがどこなのか、自分が立っているのか浮いているのかさえ分からない。ただ分かるのは、自分がここに存在している事だけ。いつの間にか詩織もいなくなっている。
「早く学校に行かなきゃ」
その時、白い世界の中に1点の歪みを見つけた。
「あそこから外に出られるかもしれない」
オレは走ってその歪みへ飛び込んだ。
…
……
…寝ている。今オレは寝ている。目を開けるといつもの部屋。やけにリアルな世界だ。
「そうか…夢か」