吟遊詩人の唄

嵯峨信之を中心に好きな詩を気ままに綴ります。

鄙ぶりの唄/茨木のり子

2008-12-22 13:51:10 | 茨木のり子
それぞれの土から
陽炎のように
ふっと匂い立った旋律がある
愛されてひとびとに
永くうたいつがれてきた民謡がある
なぜ国歌など
ものもしくうたう必要がありましょう
おおかたは侵略の血でよごれ
腹黒の過去を隠しもちながら
口を拭って起立して
直立不動でうたわなければならないか
聞かなければならないか
   私は立たない 坐っています
演奏なくてはさみしい時は
民謡こそがふさわしい
さくらさくら
草競馬
アビニョンの橋で
ヴォルガの舟唄
アリラン峠
ブンガワンソロ
それぞれの山や河が薫りたち
野に風は渡ってゆくでしょう
それならいっしょにハモります

  ちょいと出ました三角野郎が
八木節もいいな
やけのやんぱち 鄙ぶりの唄
われらのリズムにぴったしで


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1 Comments

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Unknown (ローレライ)
2016-04-07 07:09:06
真っ赤な日の昇る国
真っ赤な日の沈む国
私の生れた この国
歌が嫌い
歌が嫌い
私は歌わない小鳥
引き裂いたのは

私を引き裂いた
あの閃光は
一瞬にして
街を滅ぼし
人を焼きつくした

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