吟遊詩人の唄

嵯峨信之を中心に好きな詩を気ままに綴ります。

夜と霧の中で/PANTA

2014-02-22 16:46:39 | PANTA
せめぎ合いを横目で みていたキミは
記憶をなくした母の 涙に手を握りながら
無言の問いかけに 答えるすべもなく
あの時 キミは夜と霧の中にいた

しりたがりやの少女は 屋根裏部屋で
退屈の次に嫌いな 鏡に舌出していた
母の記憶を 覗いちゃ駄目だよ
あの時 彼女は夜と霧の中にいた

すべては夢の中で 焼き直されて
遠ざかる月日に 美しく燃えつづけ
祈りのようにあてもなく漂い続ける
あの時 オレは夜と霧の中にいた

 もしも帰れる舟に乗れたなら
 思い出して欲しい
 あの夜の出会い 霧の別離
 思い出して欲しい

売国奴になれなんて 云われてみても
返事をするには 少し遅すぎたようだ
臆病な夜明けに 呼鈴は危険だよ
あの時 キミは夜と霧の中にいた
 
 もしも帰れる舟に乗れたなら
 思い出して欲しい
 あの夜の出会い 霧の別離
 思い出して欲しい

おそるおそる窓を覗く 少女の顔は
たとえレンブラントさえ 描けやしないだろう
失くした日記 焼かれた辞書
あの時少女は夜と霧の中にいた

キプロスの海よりも キミは奇跡さ
透き通ッたものなんて 信じられやしないだろう
秘密の願いは話しちゃ駄目だよ
あの時 キミは夜と霧の中にいた
あの時 キミは夜と霧の中にいた



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