日光山系 ななころびのあの山の向こうに

あの山の向こうには何が待っているのだろう。7回ころんだら7回起き上がる、平凡ハイカーななころびの気まぐれ山行録です。

念願だった県境の山は予想以上のすばらしさだった(加筆版)   荒海山

2014-06-10 21:56:03 | 山行

入山日 2014年6月1日 (日) 晴  単独    ( 昨年6/9 日留ケ岳山頂から観た荒海山(手前左)かな、 奥は会津駒 )
宇都宮ハイキングクラブの発行している”栃木の山100”だか”120”だかという本を、新旧2冊持っていて、以前はよく読んでいた。その中に荒海山というのがあって、非常に気になっていたけれど何故かいままで登らないままになっていた。先週はヤブの大佐飛を夜中歩行を含む長時間歩きをしたので、今週は一般ルートで爽やかあるきもいいでしょう、と思い出かけてみた。長い間行きたかったその山だが、結果として天候にも恵まれ最高の山歩きを満喫できた。
追記する文、写真が有るため、その部分の文字は青として加筆した。
会津高原尾瀬口駅を過ぎて荒海川に沿った林道を走行し、わりと良好な路面状況に安堵しつつ八総鉱山跡地周辺に路駐した。先客は関東各地からの車が3台ほど皆さん既に出発後。軽く朝パンを食べて、出発準備。今日の空は雲ひとつない、日焼け止めを塗りつつも登高意欲も高まってくる。
(最初の歩きは、こんな林道歩きから )



course: 八総鉱山跡付近 6:50 ・・・ 渡渉地点 7:18  ・・・ 荒海山頂西峰 9:47 (東峰まで往復)・・・ 荒海山頂西峰下山開始 10:41 ・・・ 渡渉地点 12:36  ・・・ 八総鉱山跡付近 13:05  

林道はもっと先まで進めるようで、鉱山跡の先も細いながらワダチのあとのある林道がしばらく進むけど、ちょとワイルド走行になりそう。 沢沿いを歩いて行く、進路左側は岩混じりの急斜面が落ちてきていて、福島の深山を感じさせる。
(歩き始めて28分で渡渉地点、ここを渡る。 )


今日の予定コースは荒海山へ登頂する場合、一般登山者のほとんどが辿るであろう北方面からの行程、福島県側からのアプローチになる。 栃木100と考えて歩く場合は、栃木である地点を歩くのはわづか数分、山頂部分の県境線のみで、いささかというかかなり矛盾も感じるけれど、非常に急峻なイメージのある荒海山に栃木側からのヤブ尾根からのアプローチで初歩きをすることは今回は考えてもみなかった。 ので、細かいことは言いっこナシと言うことで・・・。この後、山頂付近である出来事により、そんな栃木県側ルートに思いを馳せることになる。
(渡渉したあとは、沢や沢状のえぐれた地形をしばらくつめていく歩きが続く。)



急な箇所にはロープが設置されていたりして攀じ登りながら、沢の左岸を高巻するように登っていく。左手にめざす荒海山山頂付近であろう稜線が見えてくる。まだかなりの距離感あり、でかい山容は深山の趣きを感じさせる。




沢の左岸を登っていくルートは、途中急な地点もある、ここはロープを補助に登った。




エアリア・マップのコースタイムで想定していた時間がある、それよりも思っていた以上に早く稜線上に立てた。尾根上の鞍部のような場所、峠的な地形になっていて、西の谷からの風が涼しい、ここまで約1時間の歩きで背中は既に汗だくになった。
(登りたった稜線の地点。 荒海山方面を見る。 心地よさそうな森林の中に、くっきり明瞭な踏跡があった。 ”荒海山登山コース”というような道標が方向を示していた。古くから人々に歩かれている山である事を感じさせる。)



稜線合流地点からは、しばらくは意外な事に、尾根道はかなりなだらかなイメージ。アップダウンもあり、優しく登っていく感じで、鬱蒼とした自然林の中を非常に心地よい歩きができる局面が続く。



時に急に登る地点もある。尾根のど真ん中を歩くというよりは、一般ルートによくあるように尾根のセンター少し脇を歩くことの多いコース。 稜線に出てからのイメージは日留ケ岳、あるいは三岩岳に似ていると感じた。

 稜線合流してから約76分地点、大岩が出てきて右に巻く。この辺はかなり上部にきているはずの地点。ここから急な登りが少々続いた。

 大岩の少し上、見上げるとまだ急登が残っている。(P ↓) 小腹がすいてきたので、シャリバテ対策でここでゆっくりめにパン休憩。少しすると、登り口で挨拶を交わした、この日ここまでに唯一であった登山者のおじさんが登ってきた。 そのかたも同じ場所で休憩に入ったので、すこしお話を・・・。かなり栃木の山に登っているようで、2週前には日留ケ岳に登ってツツジが非常に多かったと言っていた。地元をお尋ねすると大田原ということで、アスリート体形、想定するお歳から、もしやY親爺さん? と一瞬思ったが、ネット発信はしていないようだった。
この周辺で下山してくる3組とすれ違う。

稜線に出て約1時間30分超、稜線の周囲に高い木々が少なくなる山頂直下の尾根に到着。独りで歩いていて、思わず歓声を上げた。後方に七ケ岳がくっきりと見え、その左にまだ真っ白な駒ケ岳方面の長い稜線、 尾瀬の燧も目だって見えている。
(七ケ岳の全貌をこれだけま近にみるのは初めて)


燧ケ岳はちょっと拡大して撮った。まだ白い部分が多い。この日は予報では、関東各地、真夏日ということで、場所によっては35度予想。どれだけ山中暑くなるか心配したけれど、ここまでは、汗はかくもののさほど暑い感じはしなかった。
 

展望がよくなった地点からは、山頂方面に稜線を進む。見上げると、もうすぐ近くに山頂があるようだ。(P ↓) 展望地ではまだ、山頂に到達でもないのに、ちょっとゆっくり撮影をした。 

スタートから3時間以内に山頂に到着。 山頂では先ほどの大田原さんと山座同定をして本当の360度の大展望を楽しんだ。よく写真でみて知っていた”大河の一滴 ここより生る”の石碑がどういうわけか、倒れていて山頂の平地に横たわっていた。昨年秋のハイトスさんの記事ではなんともなかったはずなのに・・・。昨年秋には通常通りだったということは、震災の影響ではない。今年3月の大雪が何かの悪さをしたのか、経年劣化で土台と分離したか。・・・
(山頂に着いて、まず目を引いたのはこれだった。)



(男鹿山塊、一番でかく見えるのは日留? 男鹿岳は一段下がった左のほうのどれかのコブなのだろうか。) 



高原山遠望、手前は塩沢山(右)、三依山の稜線か。

日光連山方面、男体山はみえていないのかな。右からふたつめのピークは太郎山? 手前の立派な山容は明神ケ岳かな。  

白根山方面。これを観るあたりで初めてなな”の最新版エアリアを出して、大田原さんと確認。手前の稜線は温泉、根名草か。 

 白根の右、この辺が現地ではよくわからなかった。右のピークは枯木山かな。




さて、一通り360度の大展望を楽しんだ後は東方面の気になる東峰を確認、少し離れた微妙な距離にこんもりしたピークがあった。今いる西峰との間はざっと見る限り、ヤブだらけ。これはハイトスさんの記事で知っていた。
(西峰から見た東峰、遠くにおじか山塊 )


山頂(西峰)で撮影などしていると、まだ行っていなかった東峰方面からがさこそ音がして単独おじさんがやってきた。自分と同じ通常のコースで東峰まで行ってきたのだと思った。挨拶をして、少し話す。下からここまでどのくらいかかったか訊かれるので??と思った。もしかして、栃木県側から登ったのですか、と訊いてみたらイエスだった。訊いてみると、中三依の入山沢の林道に車を置いて最初は沢沿いをあるき、尾根に取り付いて、荒海山まで東方面から稜線をたどったらしい。途中目印はたまにあるが、ヤブがひどい場所も多く、下りにピストンするのも少々不安らしく、福島県側一般ルートで下ろうと考えているらしい。車の回収に悩んでいたようだった。年はなな”より上の気がしたが、山慣れした感じのかたで、普段からそんなことをやっているのだろうか。興味はあったけど、あまり詳しくは聞けなかった。
(帰宅後、同一日のネット記録を探っていると、この栃木県側から来られたかたの記事を見つけた。ご当人はなゴンさんと判明。 この記事にコメントをくださっている。 コメントのお名前クリックで、ブログに訪問できます。)
その後、せっかくなので、東峰に行ってみる。結構なヤブの稜線だけれど、(P ↓)下に薄く踏跡もあり、なんとか辿れる。


西峰から数分で東峰に到着。
南方面に芝草山が見えた。さっきのおじさんはこっち方面からヤブを漕いできたのか。


東峰には西峰よりは質素な山名板。三角点はこちらにある。虫が多くてまいった、この絵にも写っている。


峰も素晴らしい眺望、七ケ岳方面。手前にはこれ、タムシバ? 。ここだけたくさん咲いていた。


さっきのおじさんの話を聞いてしまって、自分の趣向がら変な興味が湧いてしまい、進むつもりはないけれど、東峰の先、東方向の稜線を少し(2分くらい)進んでみた。予想したとおりの結構なヤブ、ただし踏跡はごく薄くある。いけないレベルではないが、小潅木の小枝が少々煩わしいと思った。でも当たり前だが、今日はやらない。
(東峰の先は、ヤブ稜線が続いていた。 )


ヤブをがさがさ言わせて西峰に帰る。はなゴンさんはもう下山を開始されたようで、いなくなっていた。かなりの確率で林道を歩く姿を見るだろうから、その時は中三依あたりまでお乗せしよう、と思った。カップめんを食べていた大田原さんとまたしばらく歓談。このかた、(たしか)まだ山キャリアは浅くて、膝の回復の為に、山歩きをしたら、膝が完治したと言われていた。こういうこともあるのか、きっと膝に関わる筋肉が強化されたのだろう。今年はホノルルマラソン参加と言われていた。また、どこかでお会いしましょうと、山頂でお別れし先に下山。1時間近く二つの山頂にいてしまったが、まだ降りるのが惜しいような素晴らしい山頂でした。
(会津駒方面 )
 


荒海山山頂から西に続く稜線。その向こうに日光の山。

山頂直下から中腹はシャクナゲも咲いていた。

この山、山頂直下は急峻な地形。登山道脇も急に切れ落ちている岩場があったりする。

下り行程、大岩以降は下りといっても、登ったり下ったりの水平歩行で、あっさり終わりー、というわけにはいかない。 この辺で気温も上昇してきて、結構暑い。

稜線から降り、沢状の急斜面を下り渡渉地点まで帰ってきた。その周辺は栗の花が咲いた時のような、濃厚な癖のある香りがあたりに充満していて、白い綿のような種子のようなものが風にのり浮遊していた。渡渉地点でゆっくり顔を冷やし、休憩。


最後の沢沿いの歩きをする頃は、標高も下がり熱さもマックスに。夏休みにアルプス帰りの林道歩きのような雰囲気を味わってしまった。沢の脇にまだところどころ残る残雪の塊が涼を感じさせてくれた。
この日は長い間、来ようと思いながら登れていなかった荒海山に、しかも最高の気象条件で歩けてとてもラッキーだった。一般道ながら、変化のある、起伏に富んだルートで実に味わい深い。あのはなゴンさんの歩いたルートはどの尾根なのか、帰宅して地形図を診るも、これだと確信できるルートは、現在までみつかっていない。 はなゴンさんは登りに山頂まで5時間かかったというので、自分もできないことはないかな。いつか、やってみる日が来るかもしれない。  ■■


(最後、沢沿いの歩きは真夏の歩きの様相だった。 )



林道脇に白いお花が咲いていた。


コメント (14)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 野州原でつつじ見物あるき ... | トップ | 山開きというものに初めて参... »
最新の画像もっと見る

14 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
中三依から荒海山 (野球親爺)
2014-06-07 16:51:54
こんにちは。連日の歩きお疲れ様です。
荒海山は福島県側からは登っているので、中三依から登ろうかともう5年以上前から考えているのですが、時々調べるネット情報だと年々藪化が進んで、危険度が増しているようなので、どんどん足が遠のいています。
やはり下りは福島県側でしょうね。電車利用で戻ることも考えたりしてましたが。
あ、それと、アスリート体形じゃありませんので。
返信する
野球親爺さん (ななころび)
2014-06-07 19:53:28
こんばんは。 いつもありがとうございます。
中三依から登られた、山頂で出会ったかたはブロガーさんでした。(http://blogs.yahoo.co.jp/hanagon60/46380667.html
今回の歩きを詳しく記載されていますのでご覧になってください。確かにヤブ化が進んでいるようです。 記事を見て、私もいつか歩いてみたくなりました。
確かに中三依からの往復はちょっと億劫そうだし、でも福島側に降りると、車回収が大変。ちょっと悩みますね。
野球親爺さんの普段の歩きのスピードを見て、勝手にアスリート体形と想像しております。 
返信する
こんばんは (はなゴン)
2014-06-07 22:07:36
こんばんは。先程は当ブログにご訪問いただき、ありがとうございました。
このあたりの山に詳しいのですね。山座同定、参考になります。記事中、白い山は飯豊ではなく会津駒だったんですね。私の記事も訂正いたします。

私の場合、基本ヤブ山はあまりやらないのですが、以前やっていた沢登りの詰めでよくヤブ漕ぎをやっておりまして、その延長線でたまにヤブに入るくらいかなと。
今回は以前登った芝草山から見た荒海岳が気になっていたので、ヤブにはなるだろうけど栃木県側から登ってみたくなって登った次第です。

ななころびさんのブログ、面白そうですね!
また訪問させていただきます。
返信する
はなゴンさん (ななころび)
2014-06-08 03:46:15
こんにちは。コメントありがとうございます。
この山あたりまでは一応地元なので、一応詳しいというか、メジャーどころだけは、判る程度です。時々、記事の中で、誤った山座同定もしたりします。今回は、白根より右側の山々がよくわかりませんでした。

はなゴンさんは沢登りの延長でのヤブなのですね、山頂で歩いて来たルートの話を聞いた時は、すごいおかたと出合ったものだと感じたものです。栃木県側からの登ることは、今後の私のストックに入れようと思います。

今後は、”まったり山登り”を訪問させていただきたいと思います。
返信する
荒海山 (みー猫)
2014-06-08 20:55:07
こんばんわ。
荒海山は、手前のそれと違って頂上に立ったときの展望が一気に開けるようで気持ちよいですよね。以前、栃木側も林道の途中まで車で下見しようとしたのですが、自分の車では奥までいけそうに無かったのでとりあえず保留になってます。尾根が違いますが、烏ケ森さんが南の尾根のお山のことを気にかけておられるようですね。
返信する
太郎岳の栃木側はもともと薮慣れない人にはちょっと無理かも (ノラ)
2014-06-08 21:13:38
ななころびさん こんばんは。荒海山の福島側は急登で夏に行くと辛いです。太郎岳に栃木側から登るルートはもともと漁師さんが開いたルートなので,薮慣れない人には向きません。沢の渡渉が多く滑り易い。そして沢から離れると急登と踏み跡薄いので籔化しやすい感じでした。芝草山の北ルートと同じ運命かもしれませんね。ななころびさんなら大丈夫でしょう。
返信する
みー猫さん (ななころび)
2014-06-09 22:22:57
こんばんは。
荒海山はいいですね。展望が開けるまでの尾根道も渋いし、山頂付近の眺望は圧巻でした。秋の頃もいいのではないでしょうか、積雪時期はちょっと急で恐いですね。
栃木側は林道ゲートから歩いて登山口まで1時間以内で行けるみたいですけど、もしよろしければ一緒に登りたいですね。 (・・・と、ちょっと困難そうなコースは人に頼ろうとする。 (笑))
返信する
ノラさん (ななころび)
2014-06-09 22:48:41
こんばんは。
ノラさんは、荒海山を栃木からのあのコースも歩かれているのですね。今回お会いしたはなゴンさんの記事やノラさんのコメントから推測するに、沢沿いの歩き、尾根型ではない場所の急登など、自分の不得手とするタイプのルートのようです。 そうなると、余計歩いてみたい気もしてきます。
2009年の  http://73422uzawa.at.webry.info/200911/article_1.html の記事見ましたが、ノラさん早すぎです。!!”
返信する
石碑 (ハイトス)
2014-06-10 00:37:47
こんばんは。
荒海山の頂上からの展望は素晴らしいですよね。
しかしあのしっかりとした石碑が倒れるなんて一体どうしたのでしょうか。
まさか熊さんが相撲をとったわけでもあるまいにと思ってしまいますが。
頂上からの東の藪は自分も眺めていました。
烏ヶ森さんの記事を読んでいて、場合によってはと思っておりましたがやはりあの藪を目に前にして相棒を説得する自信はありませんでした。(笑)
芝草山の林道から登る人がいるのですねぇ。
しかもルートには道標まであると言うのが何ともです。
返信する
ハイトスさん (ななころび)
2014-06-10 22:03:41
こんばんは。
あの山頂からの展望は文句のつけようもありませんね。
あの石碑、クマの突進にしては助走距離も少なすぎますし、何があったのでしょうかね。
東峰から先、東へのヤブにおk3をお連れするのは、いけません。トラブルの元です。(笑) 私は少し進んでみましたが、大佐飛なんかのヤブとはまた一味ちがうテイストで、しかもほどほど密でした。やはり下りから入るのは難しいので、やるなら登りからでしょう。
↑のノラさんが歩いた記事へのあるかたのコメントで、あの栃木からのルートの開かれたいきさつが、よく判りました。
返信する

コメントを投稿

山行」カテゴリの最新記事