未来への便り アドバンス

学校職員を定年前に辞めました。そして株式会社を設立しました。AIを学びながらブログの記事をアップします。

全入時代-文部官僚の誘導とマスコミのアナウンス効果

2006年09月26日 00時52分26秒 |      +大学
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 今、大学は大変なことになっている。2007年度入試が大学進学希望者と大学の入学定員とが同じになる「全入時代」の始まりの入試になることはマスコミが書きたてているので、ご存知だと思う。それで受験生の動きが激変している。今まだ、9月になったばかりで、状況を正確につかむことは難しいが、学生募集の最前線にいて、肌で感じていることである。おそらく入試が終わり、その実態がわかる来年の6,7月にはその実態が明らかになるに違いない。(このあたりの受験生の動きについてはどこかでレポートしてみたい)

 さて、私学振興共済事業団が毎年夏に定員割れの「実態」を公表する。それによると、今年は実に4割の大学で定員割れを起しているというショッキングな内容であった。全年調査で3割弱だったので一気に一割もアップしたということがいよいよ「全入時代」の到来を予感させるマスコミ的には格好のニュースとなった。 そしてその時に出てきたキーワードが「規模」と「地域」である。「大都市圏にある規模の大きな総合大学しか生き残れない」という大学淘汰のシナリオが提示されたのである。これは、記者発表の時に提示されたキーワードで、やはり、そうした淘汰のイメージを持つ文部官僚のコントロールを感じる。にもかかわらず補助金で縛られた私立大学は従順である。マスコミによる「アナウンス効果」のあおりを受けた地方の弱小単科大学は、加速する淘汰の流れに抗することができるか、今年の入試は非常に厳しいものとなると予測される。

 ところでこの定員割れの実態というのは、大学名が公表されるわけではない。しかも、一学科が定員割れを起こしても、一大学としてカウントしているので、大学全体で入学定員を越えて入学者があっても、一学科でも定員割れを起こすと定員割れ大学となるのである。定員割れというイメージの実態に近いのは「入学定員充足率」という方で、この数字が100%を切っている大学はまだ20%に満たないはすだ。名前が公表されていないからわからないが、人気のない学科が定員割れを起こして定員割れ大学にカウントされているマンモス大学もあるはすだ。大きな大学であってもロシア語学科などマイナーな語学系の学科は苦戦している。

 ところがマスコミが書き立てるとこの「規模」と「地域」というキーワードが一人歩きを始める。「アナウンス効果」というやつだ。この極にある地方の弱小単科大学は、このアナウンス効果によって甚大な被害を受けることになる。あの銀行は危ないらしいという噂による「取り付け騒ぎ」で潰れるということがあるが、それと同じことが大学でも起らないとは限らない。

 大学全入が言われ始めた7,8年前にある大学財務を扱った雑誌に文部科学省の役人の講演録が載っていた。その中で「私学は人口増減の調整弁といわれていますが・・・」という発言があった。私は、そんなことをいわれていること自体はじめて耳にした。そんなことをいっているのは文部官僚だろうといいたかったが、その後の独立行政法人化した旧国立大学への優遇を見ていると、まさに言葉通りの政策を実行しているではないか。 そして、出てきているのが「破綻大学の受け皿」構想である。合併、吸収、清算などのスキームを4つほど提示しているが、これまで名前のあがった大学、立志館大学、東日本学園大学、酒田短期大学、萩国際大学、そしてびっくりしたのは関西学院大学と聖和大学の合併などをみていると、あたかもケーススタディをやっているように実に見事に文科省が考える再編の構想と一致している。

 どちらかというと「規模」と「地域」であおっているのは「個性を輝かせる」大学ということをいってきた文部科学省自身である。「規模」と「地域」が本当に生き残りのキーワードなら、身も蓋もない没個性のマンモス大学への再編ではないかといいたくなる。

 ユニバーサルアクセスであるがゆえに入学者の個性にあった数多くの小さな大学の特色が大切であり、丁寧に育てられると思うのだがいかがであろうか。没個性ということをいうと巨額の税金投入で成り立っている没個性の旧国立大学(国立であったがゆえに建学理念が薄いでしょ)をスリムにして、地方の小さな私学を育てた方が意味があると思われる。これにより地域に密着した人材の育成が可能になる。どうもそのあたりのミスリードが気になる。

参考:私の別ブログ 発見の日々:入学試験の考察に今までの関連事項が書いてある。

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