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インド

2008-02-27 08:11:42 | BOOKS
堀本武功 「インド グローバル化する巨象」 岩波書店 2007.09.21. 

独立から1980年代末までの約40年間、インドのポストコロニアル政策は一定の成功を収めてきた。英国時代の分割統治政策を否定し、政治と宗教を分離させる政教分離主義の浸透を図り、外交分野では非同盟外交を推進した。 インドは、独立達成後、経済的自立と貧困解消を経済運営の2大目標としてきたが、貧困解消は今日にいたるまで未解決だ。 インドの重要性にもっとも早く着目したのはアメリカで、2000年3月のクリントン訪印から、2004年1月にはブッシュ政権で「戦略的パートナーシップ」の構築に着手した。 米印の貿易総額は1992年の33億ドルから2004年には230億ドルと約7倍に膨らんでいる。また、インドの原子力発電の拡充に1,000億ドル、インフラ整備に1兆ドルの費用が見込まれ、さらに武器市場として年間約120億ドルの調達費用は魅力がある。 一方、日本の場合は、明治政府の殖産興業の中核である綿工業を支えたのがインド原綿であった。第二次大戦後には対日請求権を放棄し、1950年代半ば(昭和30年頃)からの高度経済成長期には、安価で安定した鉄鉱石を供給したのがインドだった。日本が鉄鉱石を輸入し、鉄鋼製品と機械をインドに輸出するという貿易パターンが出現した。 1974年のインドの核実験で途切れた日印関係も、2000年以降には好転する。インドには、民主的な政治体制、潜在的な経済力、そして巨大な人口(市場)があり、加えて、対中関係での戦略的な関心もある。 日本は輸出入とも1997年までの第3位から第10位と、大幅に下降している。インドの輸入総額に占める日本のシェアは、1990年の7.5%から2004年の2.8%へ減少し、日本の世界貿易に占めるインドのシェアは、0.5%にも満たない。 逆に中国との貿易額は、2002年度に日本を追い抜き、2005年度には2.7倍になり、韓国のシェアも2005年度には日本と肩を並べるほどに拡大している。 将来の超大国候補は中国とインドだが、中国は一人っ子政策の影響で2020年には人口の減少に転じ、一方のインドは総人口の半分が25歳以下で、まだまだ増加すると予測される。この豊富な労働力資源が今後ともインドの成長を支えていく。 インドにとっての懸念は貧困に尽きる。貧困層の不公平感を放置すれば民主制を聞きに陥れる可能性さえあるからだ。


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