ガラパゴス通信リターンズ

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「血液型は何ですか?」3

2006-08-03 07:44:52 | Weblog
 昭和天皇はAB型だった。最期のころ彼は恐ろしい量の輸血で命をつないでいた。その時、若い自衛隊員が大量に献血に狩り出されたという話を聞いたことがある。まだ足りなれば、AB型の人間が献血に「徴用」されるのではないかと妄想めいたことも考えたが、さすがにそんなことは起こらなかった。血液型と性格占いがブームになっていたころに、おかしな形で血液型がクローズアップされたものである。

 韓国映画で「B型の彼女」というのがあった。日韓で共有される血液型信仰は日本の植民地支配の名残かと思っていた。だが、どうもそうではないようである。ある学生が、韓国からの留学生に「血液型は何」と聞いた。するとその留学生は、怒ったそうである。「日本人が人の顔をみると血液型を聞くって噂、本当だったんだね。その変てこな習慣がこっち(韓国)にも来て、随分迷惑してるんだよ!」。

 韓国の血液型ブームは、最近日本から輸入されたもののようである。韓流ブームが起こって、日本の中高年女性はヨンさまにめろめろになった。しかしそのはるか以前から日本のポピュラーカルチャーは、韓国の若者の間に深く広く浸透している。血液型性格判断もそのどさくさにまぎれて、玄界灘を越えてしまったようだ。しかし彼女は何に「迷惑」を受けているのだろう。

 かの国では「韓半島」という映画が大ヒットしている。南北統一を阻止するために侵攻してきた日本の自衛隊と南北朝鮮連合軍が戦う話だ。日韓関係は戦争が起こってもおかしくないほど悪化してきている。しかし日本人も韓国人も相手の文化がものすごく好きなのだ。日中関係は「政冷経熱」と評されている。日韓関係は「政嫌文萌(もえ)」といったところか。日韓、日中との良好な関係抜きにこの国の未来はない。かけがえのない隣国との関係を、ここまで悪化させてしまった日本の指導層の姿勢は、まさに万死に値するものである。