ひとり言 ひとつふたつ詩集

沖縄から詩をつぶやきます。

ちゃいなタウンの世は老けて

2017-05-28 23:44:15 | 日記

                       ちゃいなタウンの世は老けて



                  梅雨の合間の
                  夏空が
                  ぎらつき
                  沸騰した空気が
                  喉の奥で
                  熱くやけている





                  路地裏の薄暗い壁のどぶに
                  垣根を越えようとして
                  落っこちた
                  天才は
                  愚かな
                  ふつうで




                  遠いお国の
                  暗闇に足を突っ込んだ
                  お人よしは
                  腕を捻じ曲げられ
                  動きが取れない




                  しろい細い顔の
                  のっぺりとした妖怪は
                  自信を持って
                  薄笑いをし
                  札束を手にした思いで
                  そこにある
                  モラルというものを
                  簡単に突き破り
                  生肉を食らう勢いで




                  薄目の辮髪が
                  肉を今か今かと切り落としたい
                  と
                  手ぐすねを引いて
                  うすきみわるい口髭で
                  嗤っている



                  ちゃいなタウンのロマンは
                  消えた


                  






 

新しいむじな

2017-05-20 21:48:09 | 日記

                       新しいむじな



                  海の向こうには
                  お菓子で作ったお家のある国がありました
                  屋根がチョコレートで
                  壁はビスケットで作られていました
                  飴が降りそそぎ
                  飴があちこちにばらまかれ
                  それはそれは
                  甘くて苦いものでした




                  ある日
                  紙で作られたお家のある国に
                  火がつき
                  ぼうぼうと
                  燃えて
                  灰に覆い尽くされてしまいました




               
                  飴玉と
                  ビスケットとチョコレートが投げ込まれ
                  小麦粉の雨が降り
                  白くなりました
                  鼻が詰まり
                  白の霧で
                  眼が見えなくなりました




                  耳も小麦の粉で詰まり
                  何も聞こえなくなりました
                  口の中は
                  チョコレートのお歯黒
                  ねばねばと
                  チョレートとビスケットが
                  歯に歯茎にくっつき
                  ものが言えなくなりました




                  ビスケットとチョコレートと
                  小麦のためならば
                  それに
                  それを食べていれば
                  白黒になり
                  ストライプの
                  縦長のかっこいいものになれるから
                  いいのではないのか 
                  と
                  疑問も浮かばず
                  一般という
                  ひとくくりになって
                  


                  何も思わず
                  ただただテレビを眺めて
                  溝のないのっぺらぼーの脳みそをしたてて
                  今日の今のことさえ忘れてしまうのでした



                  新しいむじな
                  の
                  できあがり
                  

                       おしまい
                  
                  





                  


                 

                  
                  
              

ゆいレールに乗って

2017-05-12 00:01:35 | 日記

                    ゆいレールに乗って


               進行方向に背を向けて
                過ぎていく景色を眺めていた

                1年後
                向かう景色がつぎつぎに立ち上り
                変わっていく街並みを見せてくれる


                3本の足と
                たらりと垂れ下がった腕と

                1枚の紙に
                これまでたどってきた道のりと
                崩壊していく姿と
                わずかばかりの関係者が
                書き込まれ



                おひとり様の
                集合体が
                うごめいている
                烏合の衆

                弱く優しき
                ふつう
                普通ではない
                頑固者も
                ほんとはふつう
                さみしき
                孤独



                知らぬ者たちが
                余計な心配をする
                平和
                

                針の穴から
                毒は忍び込んでくる
                ふつうのなかに
                仰々しい
                飾り立てた
                うそのはなを
                ばらまいて


                金だけじゃないんだ
                ばらまきは


                毒々しい派手な
                馬鹿丁寧な
                だまし絵もばらまいている
             
              
                じっと目を凝らせば
                観ようとすれば
                みえてくるものも
                と
                いつもの席と違う席に
                すわれば
                景色が変わった
               



                                
                

蚤の夫婦の艦

2017-05-02 21:07:58 | 日記
                   蚤の夫婦の艦




                ねこが
                のびをし
                手
                足を延ばし
                牙をむき出しにして
                大あくびをした




                突然
                ぴょんと
                飛び上がり
                ぺろぺろ
                かしかしと
                毛づくろい



                黒い影が
                しろい草原を
                するすると
                走っている


               
                姿をすぐに隠し
                気配を消す




                皮膚に炎症
                かゆい
                かゆい
                水ぶくれ
                アレルゲンを
                知らぬ間に
                突き刺して
                注入し




                黒い二つの影が
                海の上で
                するすると
                水しぶきを上げ
         

 
                蚤の夫婦
                大きな体のボスの後ろで
                小さく腰低く
                イソギンチャクの子分


          
                守るの攻めるの
                かんかんかんの
                艦