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ビッグスワンの入場者数が激減した背景を考察する(其の六)

2008年05月22日 06時00分00秒 | 観客動員 サッカー観戦付随の観光

 

      アルビレックス新潟と言えば

            【無料招待チケット】

全国向けの新聞や雑誌、テレビ番組がアルビレックス新潟とはどんなフットボールクラブなのかを説明するときの常套句、それが【無料招待券の配布】。

アルビは、地方クラブながら、4万人収容の「器」を常に満杯にしている――
4万人を常に動員できるようになった「武器」、それは無料招待チケットの配布――

ちょっとでも日本のクラブサッカーを知っている人に、アルビの特徴を尋ねたら、
“ああ、アルビレックスって、無料チケットを上手に利用してお客さんをたくさん動員しているクラブだよね”
という答えが、一番多いのではなかろうか。

週刊ダイヤモンドや東洋経済といったビジネス誌や日本経済新聞などは、アルビがJ1昇格を決めた2003年末から2005年くらいにかけて、何かにつけて、【無料招待券】のことを紹介し、観客動員に苦労している他のJクラブや、これからJリーグ加盟を成し遂げようと計画している地域クラブは、挙ってこの【新潟方式】を真似しようとしていると書きたてたものだ。


確かに、アルビレックス新潟というチームが、Jリーグで2番目に観客動員の多いチームになった主たる理由は、【無料招待券の配布】だと思うし、これに異を唱える人間はいないだろう。
サッカーそのものに興味がない新潟県人に、サッカーの魅力を知ってもらうべく、無料招待券を配布したその営業戦術は、見事としか言いようがない。
それもただ単にバラ撒いたのではなく、きちんと組織立って行ったからこそ、更に効果があったのだ。


だけど、この無料招待券の配布、それも大量の配布が、逆に今、観客動員力を失わせている根源に思えてならない。

吾輩は、ケチで有名な名古屋人ほどじゃないけど、吝嗇な性分だと自己分析している。
それでも、これまでただの一度も無料招待券で、ホームとアウエーを問わず、Jリーグの試合を観戦したことはない。
アルビ以外の試合であっても、だ。
何故って、それはプロの興行だから。
それはJリーグ発足当初から決めている、個人的な矜持だ。

尤も、アマチュアだったら話は別で、仮に無料券がもらえるならば、それを利用しているのだけど。

Jリーガーは、観客からお金を頂戴して、その対価として技量を見せているし、勝つために全力を尽くしている。
それなのに、お金を払わないで観戦するというのは道理にもとる―それが吾輩の考えであり、故に、お金を支払ってスタジアムに行っている。

もちろん、当日料金ではなく前売りチケットを買うことで少しでも出費を抑えているし、無料券じゃなく、割引券であれば、それを活用させてもらうことはある。
Jリーグオールスターサッカーの招待券を、取引相手を通じてもらったけど、それはもらうだけで、結局、自腹で購入したチケットで入場したこともあった。


で、そういう吾輩の立場から言えば、無料観戦チケットを大量に配布して集客を図っているアルビレックス新潟の営業方針が気に喰わない。
無料招待チケットで、何度も何度も東北電スに行き、それでサポーター面している人間がいるのだとしたら、吾輩はその人間を軽蔑するし、不公平だと後ろ指を差す。

経済的に、生活が苦しくて、でもアルビを応援したいという欲求が強く、それで仕方が無く無料観戦券に頼っているのだとしても、吾輩はその行為を、不公平だと感じざるを得ない。
応援したいという熱い気持ちは理解できるけど、割り切れなさと、矛盾を感じてしまう。

というか、経済苦でそういう方法を選択している人間よりも、〝矜持〟がなくて無料チケットで行っている人間の方が多いような気がしてならない。

この春、新聞を賑わせたネタで、高校の入学金と授業料を払わない生徒と保護者が全国に数多くいるというものがあった。
それだけ、貧富の差が拡大して、子どもを学校に通わせるのも難儀なのかと思ったら、左にあらず。
生活苦という理由で支払わない家庭が少なくなかったのは事実だけど、単に払いたくないから払わなかったという家庭が多いという検証記事を読んだときには慄然としてしまった。

給食費の未払い問題もそう。
貧しくて未払いなのではなく、面倒だから、給食費も国や地方公共団体が払うべきだと思うから、という身勝手な理由で給食費を学校に納めないという保護者が相当数に上るという話ではないか。

実は、ずっと以前に、“非公開でお願いします”と添えられた或るコメントが、弊ブログに寄せられたことがある。
それと「通りすがり」という名のコメントで、似たような〝告発〟ももらった。
奇しくも同じような内容だったのだけど、“シーパスも買わず、コンビニで前売り券も買わず、コネを利用して無料券を入手して、ホームゲームの半分くらいを観戦している知り合いがいます。
決してお金が無いわけじゃないのに、そういうことをしています。
金を払って観るように諭しても、一向にその気配を見せず、私は内心怒っています”というようなものだった。
こういうのは極端で、特殊な例かもしれないけど、でも、娯楽遊興費に廻せるお金の余裕があるにもかかわらず、無料券で年間3~4回、東北電スに入場している人間は、結構いるような気がする。

やや論点が横道に逸れてしまったので、本筋に戻します。

何が言いたいかというと、シーパスを購入している人たち、コンビニの端末を操作してチケットを買っている人、新潟日報の販売店などを通してチケットを購入している方々が大勢いる反面、無料で観戦している人がたくさんいるという矛盾・不公平、それに心の中で不満に感じているサポーターが、実はかなりいるのじゃなかろうか、ということ!

苦しい家計をやりくりし、身銭を切って、アルビの応援に出かけている人間にしてみたら、無料招待券が大量に出回っているなんて状況は、納得できないし、受け容れられない。

吾輩は東京に住んでいる人間なので、東北電力ビッグスワンへの行き帰りに、結構な出費を強いられている。
新潟県内、特に新潟市内に住む人に比べて、余計にお金を支払っていることになるわけだけど、“新潟に住んでいる人は良いよなあ”と羨ましく感じることはあっても、それを不公平だとは思ったことはない。
逆に、関東のアウエーゲームだと、こっちが楽だし、九州や関西や北海道に向かうのは、新潟よりも東京の方が便利なのだから、恨む筋合いが無い。

けど、無料券で観に行く人が多いのは、とても我慢ならない。
有料でスタジアムに行くのが、時々、馬鹿馬鹿しく思うことがあるもの。


たとえば、同じ無料券でも、スポンサー企業の福利厚生として、その企業の社員・従業員が利用するのだったら、理解できる。
後援会に入会していて、その特典で、無料招待券で入場するのは納得できる。
しかし、それ以外は、頭に来てしまう。

ちなみに吾輩は、アルビレディースのサポート会員の特典として頂戴する無料入場券で彼女たちを応援しているのだけど、その代わり、2口分、入金している。
自己弁護の形になるけど、こういうように、何らかの形でアルビを経済的に支援していて、そのバーターで無料券を利用するのはいいのだけど、そうじゃないのは、嫌なのだ。

 

今回のエントリーは、個人的な恨みを基にした分析記事なんだけども、実は吾輩同様に、無料チケットの大量配布に嫌気が差したサポは多いのではないか、そう分析したのだ。
結果、金を払って応援することを止めてしまったり、スタジアムに行く回数を減らしてしまったという人間は、それなりに存在するのではないか。

また、無料チケットがあることで、消費者に〝甘え〟を与えているような気もする。
“いざゲームを観たいとなったら、無料チケットを用立てれば安上がりだもんね”っていう甘えである。


2年前のサポーターズカンファレンスの記録だったと記憶しているのだけど、サポ側から中野社長に対し、無料券を今後も継続するのかどうかという質問があった。
それに対し、社長は、無料券の配布枚数や配布方法に変化はつけるけど、今後も継続していくと返答した(若干、間違っているかもしれないけど、その場合はご容赦を)。
中野社長の説明によれば、毎年、新潟県から転出する人と家庭がいる一方で、新潟県内に転居してくる世帯もあるので、そういうアルビを知らない人たちをターゲットに配布していきたい、みたいなものだったと思う。
これはこれで理に適っているし、文句をつけようがない。

けど、実態は、既に一度以上は観たことがある人たちに、再び無料チケットが廻っているような気がするのだけど、これは被害妄想か。

いずれにせよ、無料券システムそのものが曲がり角に来ていると考える。
無料観戦券そのものの価値が、文字通り「¥0」、いや、それ以下になってしまっていると思うのだ。

アンビバレンツな表現だけど、無料券で人を東北電スに集めている一方で、無料券のせいで人が東北電スから駆逐されているいるのではなかろうか。

 

もしも無料チケットを配布するならば、それは小学6年生以下に対象を絞るなど、子供向けにすることを提案する。
それも、新潟県内の児童に満遍なくだ。

子どもならば、そもそもチケット料金は低いのだし、そういうチビッコたちが未来のアルビサポ予備軍、もしくは将来のアルビ戦士になるのだから、『先行投資』という意味合いが持てる。
また、子どもだけではスタジアムに行けないから、当然、親や祖父母や叔伯父、叔伯母などの保護者が付き添うことになる。
となると、親は入場チケットを買う羽目になるので、それはアルビの収入になる。
でも、親にしてみれば、子ども料金は無料なのだから、負担感は多少なりとも和らぎ、家族でスワンに行く動機付けが増すであろう。

また5年生や6年生などは、友人同士だけでも行ける年頃のはず。
19時キックオフの試合だと、流石に危険だけど、14時や15時開始のそれならば、充分安全。
スタジアムと自宅の往来だけでも少年には大冒険だし、保護者の目を気にせず、友だち達とアルビの応援をするという行為は、幸せな体験として脳裏に刻まれるに違いない。
ちょうど、その頃は反抗期の始まりだし、『スタンド・バイ・ミー』じゃないけど、少年少女たちの想い出作りにもなる。

そういう記憶がやがて、高校生・大学生・専門学校生・社会人になっても、アルビを応援し続けていく〝きっかけ〟になる―そう考えるのは、理想的すぎますかね。

 

というわけで、本稿の仮説の結論。

無料招待券の配布には抜群の効果があったし、それを考えた人、GOサインを出した人には敬意を表するけど、もう潮時だと思う。
無料券の存在が、却って、客離れを引き起こしている。
配布するのならば、対象者を絞るなり、一度利用した人は二度と使えないようなシステムにするなり、有料入場者に不公平感を与えないものに変更するべきである。

 

 

ところで、昔から疑問に思っていたことなんだけど、クラブは無料チケットを配り、スタジアムに来場してもらったお客さんに対し、「アフターケア」をしているのだろうか?
しているとしたら、どんなアフターケアなのか?

例えば、チケットの購入マニュアルを載せた案内書を渡すであるとか、初観戦しての感想アンケートを回収するであるとか、アルビの事をもっとよく知ってもらうための書籍・雑誌・ムック本のリストを提示してみせるだとか。

中野社長が、否、今後もアルビ経営陣が、無料券誘客システムを金科玉条のごとく、今後も続けていくのならば、初観戦した人たちに2度目はお金を出して来させたくなるようなサービス・検証を実施する必要がある。

それをやらず、無料券を配布して、はいお仕舞い、ならば、噴飯モノだ。

クラブは、無料招待券で試合観戦してくれた人たちが、その後、何人コアサポになったのかというデータを持っているのか?
2度目、3度目と観に来てくれているか追跡調査しているのか?
実際、どれくらいのリピート効果を生んでいるのか、検証しているのか?

漠然と、惰性でやっているくらいならば、無料招待券は、スポンサー企業と後援会会員の特典以外には無くしちまえ!

 

お手数ですが、こちらのバナーをクリックして下さると誠に嬉しいです。

 

※追記
首都圏にお住まいのこちらのアルビサポが、ご自身のブログで、無料招待券不要論を唱えております
吾輩は、その意見に同意します。

弊ブログにアクセスされた皆さんも、ぜひ、御高覧くださいませ。
http://joehenderz.exblog.jp/7948021/



 


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