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拝啓櫻井よしこ様・続編「昭和天皇ご発言メモ」によせて(2/5)-(2)戦陣訓を読む・・・

2006-08-08 23:22:40 | 教養・文化・歴史
本日、さっそく『戦陣訓』より以下引用する。
「戦陣訓 本訓 其の二 第八 名を惜しむ」より、
 恥を知る者は強し。常に郷党家門の面目を思ひ、愈々奮励して其の期待に答ふべし。生きて虜囚の辱を受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ。

まず、
(私論にて)上述戦陣訓の一節を以って「武士道精神」の片鱗を視る。
当時、日本人全員により何らの抵抗なく支持され日本人の持つ誇りと潔さの象徴として受け入れられた「文言」なり。と、断言したい。
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さて本日、なぜに「戦陣訓」の一節を引き抜いてきたか?その理由をご説明したい。
先の拙ブログ記事、
『拝啓櫻井よしこ様「昭和天皇ご発言メモ騒動の顛末は」(2/5)今尚ボタンの掛け違い的自虐外交史観か・・』(先回掲載記事はこちらか入れます・・)にお寄せいただいた読者コメントの中、上述戦陣訓について触れられたと思えるコメントを頂いたので、まずは以下に抜粋する。

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Unknown (さむそん) 2006-07-30 12:19:29
侵略戦争か自衛戦争かなどといった論点よりも、祖父が英霊として祀られている遺族のひとりとして思うのは、戦犯として裁かれた者の中に「捕虜になるくらいなら自決しろ」といったメンタリティを推進していた者が確かにいたことである。そうして無駄死にしていった多くの英霊たちのことを想われたに違いない、今回の天皇陛下のメモ。
私は他国に干渉されることなく、靖国問題は自国で討議し、A級戦犯分祀を強く望んでいます。
櫻井よしこ氏の主張は今回の件においては全く破綻しており哀れな印象を私に抱かせていることも追記させてください。
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前回記事に記している通り、
本シリーズ投稿の趣旨は、「昭和天皇ご発言メモ」に端を発する「靖国参拝是非の問題」から「A級戦犯分祀の賛否」、別追悼施設の必要性の問題。シナ共産国政府と韓国政府からの内政干渉的指摘の数々、それを得意げに報道する亡国論的マスコミ各社の無責任さを指摘しつつ、靖国問題且つA級戦犯問題先の発端となった「東京裁判の歴史観」からさらに遡り、負け戦となった大東亜戦争を称して「侵略戦争」ではなく当時日本国に於ける「経済圏防衛且つ国家の存続を目指す自衛戦争」であったと位置付けしたく、関連する論拠を組み立てるを目的とする。そのために我国近代歴史を紐解き独学自習しようとする最中、上記載のコメントを頂いた。
 初めて送られた見知らぬ第3者からのコメントである。コメント欄で論争するにも半端であり、いっそ(コメントにてお断りし)削除に及ぼうとも考えたが、実は我輩自身、かの有名な「戦陣訓」の全文に遭遇したことなく、
まず第一に、自分自身、戦陣訓全文に目を通したく、
第二に、上記「さむそん氏」の論には全面的に反論いたしたく、
まずは、その原因となる全文(戦陣訓の全文)を(以下に)掲載する。
 
 本日記事冒頭に述べたとおり、戦陣訓の有無にかかわらず、現在の我々の常識的ものさしでは推し量れない精神的感度にて、兵士は捕虜になることに恐怖を感じていたに違いなく、かの戦陣訓の云わんとする精神内容とは違った感性にて、すなわち捕虜になることの恥ずかしさ以前に、自殺の苦痛よりも捕虜になれば間違いなく虐待暴行拷問等の恐怖が待ち受けていたと「信じ込んでいた」兵士や当時の外国生活をしていた一般国民が存在していたに他ならない。と、想像をするのである。
 また、戦陣訓に目を通してみれば、将に、昭和のあの時期に想定できうる限りの「美しき武士道精神」を文言にし、兵士の精神的紀律を意図したものに他ならないと考える。日本の伝統的武士道精神にも、平安時代から鎌倉時代へ、室町時代から戦国時代へ、戦国時代から江戸時代、江戸時代も初期と末期では多いに変化しているはず。要するに同じ武士の精神模範といえども、その時代時代により隔たり異なるはず。さらには下級武士と上級武士によって違いはあろう。時代は明治維新へ向かって士族は一旦消滅。代わって召集兵なるものが軍隊の中核をなすものの、武士道精神を嗜好する志は存続していたと考える。しかし全国津々浦々より召集兵として駆集められた一般国民において「戦陣訓」を十分に理解し、四六時中戦陣訓に記載された事項の精神構造を維持全うするなど、至難の業且つ不可能であったに違いない。しかし、一部将校下士官の中には、上述戦陣訓を捻じ曲げて解釈し、最前線における敗戦必死の土壇場で捕虜になることを否定し、兵士を無理やり「死に追いやったケース」、乃至、サイパン島や沖縄戦に於いて一般市民を巻き込んだケースもある。当時、サイパン島には多数の民間人は存在し、兵士と共に生活基盤を形成していた。太平洋上の絶海の孤島に於いて、米海軍の強襲を受けた場合、民間人と兵士を区分しながら戦を遂行するなど、米軍に於いても日本陸軍に於いても物理的に不可能であったはず。加えて、多くの民間人は自国の兵士と共に戦う事を望んだはず。沖縄戦の場合は、また違った戦の様相を呈し、日本本土決戦さながらの様相であったに違いない。
欧州戦線にして然り、シナ大陸戦線にして然り、満州に於けるソ連軍の条約違反を前提に日本将兵及び民間人に対する虐待然り、多くの最前線で「戦陣訓」に乗っ取らない要因で自決した将兵及び民間人は多く存在したはず。
おしなべて「死して奉公する精神」など、全く以って希薄であったかもしれない。

落城直前の、城主乃至上級武士による「切腹」に及ぶ境地。そしてその精神的意義、我輩には理解できる。理解できるから「戦陣訓」も理解できるし(自ら死を選ぶ!こと、実践するを前提として)受け入れられる。しかし人様々にて、自決を拒み俘虜となるを望む将兵や民間人も多く存在したはず。したがって投降した兵士、自決前に救助された民間人の数もあまた多く存在するのも現実である。
もって、「戦陣訓」の影響力拘束力に関しては、後の世の人間が添加した無用なこじつけ屁理屈と判断する。

かくして、A級戦犯の何某をして上述「戦陣訓」を戦場の兵士に適用し無駄死させた張本人とし非難中傷の挙句、60数年経った今からでも、靖国神社から分祀までして、祀られた英霊に制裁を加えようとするか?
となると、我輩の精神的思考可能な範疇から逸脱してしまう。
今尚靖国神社に祀られて居られる御祖父も、このような暴言と暴挙の企てをお聞きになれば、さぞかしお嘆きになるであろう。
我が日本国の存続する限り未来永劫において、分祀は、いかにも不必要である。
もって我輩には、本件(戦陣訓と戦争指導者の責任問題)に関するこれ以上の論争議論を必要としない。

加えて、
このコメントのくくりとして、
「昭和天皇ご発言メモ」の拙ブログ記事投稿日時から逆算して、コメントの括りに「櫻井女史」の非難中傷をこういった文言でなさるはお門違いも甚だしく、櫻井女史のジャーナリズム姿勢と論旨は、この10年間を切り取ってみても「論旨論調」一切!ブレる事など皆無にて、基本姿勢を崩された論旨を喋ったり書き記された事など、一切見当たらない。櫻井女史は一貫して「国を愛し、正しい歴史認識の必要性」を説いてこられた。櫻井女史の論文をある程度通して読破した人物ならば、このような発言はしないはず。コメント最後の文言、誰か他のジャーナリストとお間違えなのだろうか、あるいは桜井女史の本を一冊も読んでいないか、もともと桜井女史の論旨をご理解なさらない超亡国論者なる御仁か?そのいずれかであろう。

 <シリーズ、続く・・>(8月14日投稿記事、こちらから入れます

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「戦陣訓について」(ウイキペディア百科事典より抜粋)
戦陣訓
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: ナビゲーション, 検索
戦陣訓(せんじんくん)は、1941年(昭和16年)1月8日、当時の陸軍大臣・東条英機が示達した、陸軍軍人としてとるべき行動規範を示した文書。島崎藤村が文案作成時に参画した。

敵の捕虜となることを戒める本訓其の二第八「名を惜しむ」の「生きて虜囚の辱めを受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ」の一節が特に有名であるが、反面、占領地住民に関して「仁恕の心能く無辜の住民を愛護すべし」との注意もあった。

太平洋戦争中の日本陸軍兵士の行動を強く支配し、捕虜になる事を拒否しての投降呼びかけ無視・おびただしい集団自決、沖縄戦における住民虐殺や敵軍の捕虜への虐待などを引き起こす原因となったとの説もある一方で、陸軍で小隊長を務めていた経験のある司馬遼太郎が「そんなものがある位の事は知っていたが、特に意識もしなかったし、暗誦させられたこともなかった」とエッセイで語ったように、実際にどれほどの拘束力があったのかは不明とする見方もある。ただし、太平洋戦争を通じて日本軍が組織的な降伏を行ったことは皆無であり、この戦陣訓が守られていたこと自体は事実であると言える。

内容から、葉隠の「武士道とは死ぬことと見つけたり」の一節と混合されるケースがあるが、この一節は「自身の死を意識して常に真剣に生きる」と言う意味であり、「生きて虜囚の辱めを受けず」とは意味が違う。
その構成は以下の通り。


本訓 其の一
第一 皇国
第二 皇軍
第三 皇紀
第四 団結
第五 協同
第六 攻撃精神
第七 必勝の信念
本訓 其の二
第一 敬神
第二 孝道
第三 敬礼挙措
第四 戦友道
第五 率先躬行
第六 責任
第七 生死観
第八 名を惜しむ
第九 質実剛健
第十 清廉潔白
本訓 其の三
第一 戦陣の戒
第二 戦陣の嗜


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「自由文庫」戦陣訓より引用

陸軍省

 夫れ戦陣は、大命に基き、皇軍の神髄を発揮し、攻むれば必ず取り、戦へば必ず勝ち、遍く皇道を宣布し、敵をして仰いで御稜威(みいづ)の尊厳を感銘せしむる処なり。されば戦陣に臨む者は、深く皇国の使命を体し、堅く皇軍の道義を持し、皇国の威徳を四海に宣揚せんことを期せざるべからず。
 惟ふに軍人精神の根本義は、畏くも軍人に賜はりたる勅諭に炳乎として明かなり。而して戦闘竝に練習等に関し準拠すべき要綱は、又典令の綱領に教示せられたり。然るに戦陣の環境たる、兎もすれば眼前の事象に促はれて大本(たいほん)を逸し、時に其の行動軍人の本分に戻るが如きことなしとせず。深く慎まざるべけんや。乃ち既往の経験に鑑み、常に戦陣に於て勅諭を仰ぎて之が服行の完璧を期せむが為、具体的行動の憑拠を示し、以て皇軍道義の昂揚を図らんとす。是戦陣訓の本旨とする所なり。

本訓 其の一

第一 皇国
 大日本は皇国なり。万世一系の天皇上に在しまし、肇国の皇謨を紹継して無窮に君臨し給ふ。皇恩万民に遍く、聖徳八紘に光被す。臣民亦忠孝勇武祖孫相承け、皇国の道義を宣揚して天業を翼賛し奉り、君民一体以て克く国運の隆昌を致せり。
 戦陣の将兵、宜しく我が国体の本義を体得し、牢固不抜の信念を堅持し、誓つて皇国守護の大任を完遂せんことを期すべし。

第二 皇軍
 軍は天皇統帥の下、神武の精神を体現し、以て皇国の威徳を顕揚し皇運の扶翼に任ず。常に大御心を奉じ、正にして武、武にして仁、克く世界の大和を現(げん)ずるもの是神武の精神なり。武は厳なるべし仁は遍きを要す。苟も皇軍に抗する敵あらば、烈々たる武威を振ひ断乎之を撃砕すべし。仮令峻厳の威克く敵を屈服せしむとも、服するは撃たず従ふは慈しむの徳に欠くるあらば、未だ以て全しとは言ひ難し。武は驕らず仁は飾らず、自ら溢るるを以て尊しとなす。皇軍の本領は恩威並び行はれ、遍く御綾威を仰がしむるに在り。

第三 皇紀
 皇軍軍紀の神髄は、畏くも大元帥陛下に対し奉る絶対随順の崇高なる精神に存す。
 上下斉しく統帥の尊厳なる所以を感銘し、上は大意の承行を謹厳にし、下は謹んで服従の至誠を致すべし。尽忠の赤誠相結び、脈絡一貫、全軍一令の下に寸毫紊るるなきは、是戦捷必須の要件にして、又実に治安確保の要道たり。
 特に戦陣は、服従の精神実践の極致を発揮すべき処とす。死生困苦の間に処し、命令一下欣然として死地に投じ、黙々として献身服行の実を挙ぐるもの、実に我が軍人精神の精華なり。

第四 団結
 軍は、畏くも大元帥陛下を頭首と仰ぎ奉る。渥(あつ)き聖慮を体し、忠誠の至情に和し、挙軍一心一体の実を致さざるべからず。
 軍隊は統率の本義に則り、隊長を核心とし、鞏固にして而も和気藹々たる団結を固成すべし。上下各々其の分を厳守し、常に隊長の意図に従ひ、誠心(まごころ)を他の腹中に置き、生死利害を超越して、全体の為己を没するの覚悟なかるべからず。

第五 協同
 諸兵心を一にし、己の任務に邁進すると共に、全軍戦捷の為欣然として没我協力の精神を発揮すべし。
 各隊は互に其の任務を重んじ、名誉を尊び、相信じ相援け、自ら進んで苦難に就き、戮力協心相携へて目的達成の為力闘せざるべからず。

第六 攻撃精神
 凡そ戦闘は勇猛果敢、常に攻撃精神を以て一貫すべし。
 攻撃に方りては果断積極機先を制し、剛毅不屈、敵を粉砕せずんば已まざるべし。防禦又克く攻勢の鋭気を包蔵し、必ず主動の地位を確保せよ。陣地は死すとも敵に委すること勿れ。追撃は断々乎として飽く迄も徹底的なるべし。
 勇往邁進百事懼れず、沈著大胆難局に処し、堅忍不抜困苦に克ち、有ゆる障碍を突破して一意勝利の獲得に邁進すべし。

第七 必勝の信念
 必勝の信念は千磨必死の訓練に生ず。須く寸暇を惜しみ肝胆を砕き、必ず敵に勝つの実力を涵養すべし。
 勝敗は皇国の隆替に関す。光輝ある軍の歴史に鑑み、百戦百勝の伝統に対する己の責務を銘肝し、勝たずば断じて已むべからず。


本訓 其の二

第一 敬神
 神霊上に在りて照覧し給ふ。
 心を正し身を修め篤く敬神の誠を捧げ、常に忠孝を心に念じ、仰いで神明の加護に恥ぢざるべし。

第二 孝道
 忠孝一本は我が国道義の精粋にして、忠誠の士は又必ず純情の孝子なり。
 戦陣深く父母の志を体して、克く尽忠の大義に徹し、以て祖先の遺風を顕彰せんことを期すべし。

第三 敬礼挙措
 敬礼は至純の服従心の発露にして、又上下一致の表現なり。戦陣の間特に厳正なる敬礼を行はざるべからず。
 礼節の精神内に充溢し、挙措謹厳にして端正なるは強き武人たるの証左なり。

第四 戦友道
 戦友の道義は、大義の下死生相結び、互に信頼の至情を致し、常に切磋琢磨し、緩急相救ひ、非違相戒めて、倶に軍人の本分を完うするに在り。

第五 率先躬行
 幹部は熱誠以て百行の範たるべし。上正しからざけば下必ず紊る。
 戦陣は実行を尚ぶ。躬を以て衆に先んじ毅然として行ふべし。

第六 責任
 任務は神聖なり。責任は極めて重し。一業一務忽せにせず、心魂を傾注して一切の手段を尽くし、之が達成に遺憾なきを期すべし。
 責任を重んずる者、是真に戦場に於ける最大の勇者なり。

第七 生死観
 死生を貫くものは崇高なる献身奉公の精神なり。
 生死を超越し一意任務の完遂に邁進すべし。身心一切の力を尽くし、従容として悠久の大義に生くることを悦びとすべし。

第八 名を惜しむ
 恥を知る者は強し。常に郷党家門の面目を思ひ、愈々奮励して其の期待に答ふべし。生きて虜囚の辱を受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ。

第九 質実剛健
 質実以て陣中の起居を律し、剛健なる士風を作興し、旺盛なる士気を振起すべし。
 陣中の生活は簡素ならざるべからず。不自由は常なるを思ひ、毎事節約に努むべし。奢侈は勇猛の精神を蝕むものなり。

第十 清廉潔白
 清廉潔白は、武人気質の由つて立つ所なり。己に克つこと能はずして物慾に捉はるる者、争(いか)でか皇国に身命を捧ぐるを得ん。
 身を持するに冷厳なれ。事に処するに公正なれ。行ひて俯仰天地に愧ぢざるべし。


本訓 其の三

第一 戦陣の戒

 一瞬の油断、不測の大事を生ず。常に備へ厳に警(いまし)めざるべからず。
 敵及住民を軽侮するを止めよ。小成に安んじて労を厭ふこと勿れ。不注意も亦災禍の因と知るべし。

 軍機を守るに細心なれ。諜者は常に身辺に在り。

 哨務は重大なり。一軍の安危を担ひ、一隊の軍紀を代表す。宜しく身を以て其の重きに任じ、厳粛に之を服行すべし。
 哨兵の身分は又深く之を尊重せざるべからず。

 思想戦は、現代戦の重要なる一面なり。皇国に対する不動の信念を以て、敵の宣伝欺瞞を破摧するのみならず、進んで皇道の宣布に勉むべし。

 流言蜚語は信念の弱きに生ず。惑ふこと勿れ、動ずること勿れ。皇軍の実力を確信し、篤く上官を信頼すべし。

 敵産、敵資の保護に留意するを要す。徴発、押収、物資の燼滅等は規定に従ひ、必ず指揮官の命に依るべし。

 皇軍の本義に鑑み、仁恕の心能く無辜の住民を愛護すべし。

 戦陣苟も酒色に心奪はれ、又は慾情に駆られて本心を失ひ、皇軍の威信を損じ、奉公の身を過るが如きことあるべからず。深く戒慎し、断じて武人の清節を汚さざらんことを期すべし。

 怒を抑へ不満を制すべし。「怒は敵と思へ」と古人も教へたり。一瞬の激情悔を後日に残すこと多し。
 軍法の峻厳なるは特に軍人の栄誉を保持し、皇軍の威信を完うせんが為なり。常に出征当時の決意と感激とを想起し、遙かに思を父母妻子の真情に馳せ、仮初(かりそめ)にも身を罪科に曝すこと勿れ。

第二 戦陣の嗜

 尚武の伝統に培ひ、武徳の涵養、技能の練磨に勉むべし。「毎事退屈する勿れ」とは古き武将の言葉にも見えたり。

 後顧の憂を絶ちて只管奉公の道に励み、常に身辺を整へて死後を清くするの嗜を肝要とす。
 屍を戦野に曝すは固より軍人の覚悟なり。縦ひ遺骨の還らざることあるも、敢て意とせざる様予て家人に含め置くべし。

 戦陣病魔に斃るるは遺憾の極なり。特に衛生を重んじ、己の不節制に因り奉公に支障を来すが如きことあるべからず。

 刀を魂とし馬を宝と為せる古武士の嗜を心とし、戦陣の間常に兵器資材を尊重し、馬匹(ばひつ)を愛護せよ。

 陣中の徳義は戦力の因なり。常に他隊の便益を思ひ、宿舎、物資の独占の如きは慎むべし。「立つ鳥跡を濁さず」と言へり。雄々しく床しき皇軍の名を、異郷辺土にも永く伝へられたきものなり。

 総じて武勲を誇らず、功を人に譲るは武人の高風とする所なり。
 他の栄達を嫉まず己の認められざるを恨まず、省みて我が誠の足らざるを思ふべし。

 諸事正直を旨とし、誇張虚言を恥とせよ。

 常に大国民たるの襟度を持し、正を践み義を貫きて皇国の威風を世界に宣揚すべし。
 国際の儀礼亦軽んずべからず。

 万死に一生を得て帰還の大命に浴することあらば、具(つぶさ)に思を護国の英霊に致し、言行を慎みて国民の範となり、愈々奉公の覚悟を固くすべし。


 以上述ぶる所は、悉く勅諭に発し、又之に帰するものなり。されば之を戦陣道義の実践に資し、以て聖諭服行の完璧を期せざるべからず。
 戦陣の将兵、須く此趣旨を体し、愈々奉公の至誠を擢(ぬき)んで、克く軍人の本分を完うして、皇恩の渥きに答へ奉るべし。

(陸軍省、昭和16年1月)

(「自由文庫」より引用)
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<添付画像>『サイパン島同胞臣節を全うす』藤田嗣治
藤田嗣治画伯についての解説、
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』藤田 嗣治(ふじた つぐはる、Leonard FoujitaまたはFujita, 男性, 1886年11月27日 ? 1968年1月29日)は東京都出身の画家・彫刻家。現在においても、フランスパリにおいて最も有名な日本人画家であり、明治以降の日本人芸術家で藤田嗣治ほどの成功を海外で収めたものは他にいない。猫と女を得意な画題とし、日本画の技法を油彩画に取り入れつつ、独自の「乳白色の肌」とよばれた裸婦像などは西洋画壇の絶賛を浴びた。エコール・ド・パリ(パリ派)の代表的な画家である。
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13 Comments

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感涙あるのみ (博士の独り言)
2006-08-09 11:19:47
 残暑のお見舞いを申し上げます。

エセ男爵殿の記事をいつも感涙を以って拝しております。文の奥底から力強く語りかけてくださる憂国の士の益々のご健筆をお祈りしております。



博士の独り言

返信する
戦陣訓ですか (tono)
2006-08-09 13:10:27
これも、良いこと言ってますね。

武力戦のみならず、現在数多ある「戦争」に向かうには必要な事では無いですかね。



これ、書き直して外務省「外交訓」なんか作ったらどうですかね。



8月15日が近づくと、いろいろと勉強させられます。



私は、ずっと軍歌を聴いているのですが、ここにも言わば戦陣訓の語られている事が多々あります。聞いていると万感の思いです。



ちなみに、私は「無駄死にした英霊」など存在しないと思います。

今の日本は全ての英霊のおかげで存在していると思うので、そうのような言は、英霊に対する冒涜と受け取ります。



返信する
無駄死に (語らりたくないです。)
2006-08-09 14:40:44
日本国を愛して止まないお気持ちなのでしょうね。

シラケ時代を親に持つ身には「郷愁」に似た想い?

ですかと、聞いてみたい。



親は親から「何故自分が生き残ったのか」

「戦地での獣以下の出来事」などを聞かされた

そうです、

「無駄死に」させた・・と泣いたそうです。

存在しない・・と言われるけど、無駄死にしたとか

させたとか、実際戦地では会話が存在したのです。

下っ端の兵は上をのろい、殺してやりたいと

密かに言う人もいたそうです。



との・・という方、信じないですか?

年寄りが死ぬ前に嘘を言うハズないと、思います。

国を思うより、親・兄弟・故郷・を思い

もはや絶望を知った時、無駄死に残念無念と国を

のろいながら死んでいった人が大勢いた。

英霊だのと祀られる資格はないし

本人も「やめてくれ!」と言うでしょう。



作文は苦手ですので稚拙ですがお許しを。





返信する
ここは櫻井よし子支援サイト?? (MR)
2006-08-09 15:48:21
不本意ながら彼女は反中国を煽るスパイという噂も聞かれます。

研究されていることはすばらしいのだから、

お隣さん同士仲良くやりましょう。あくまで未来に仲良く向かうための研究であるはずでしょう。喧嘩をするために友達を研究するなんてナンセンス。この世から武器を撲滅できれば戦争という言葉もなくなるし、戦争に費やすお金も私達の給料アップにつながるんだしね。
返信する
こんにちは。。 (yuyu)
2006-08-09 16:08:40
今日も広島は暑そうですね。

ウチは今日、ちょっとした記念日なので

これから買い物に行き、少し腕によりを

かけた?料理でも…と思います(^^ゞ

応援ぽち♪です。
返信する
男爵様、少し場を借ります。申し訳ありません。 (tono)
2006-08-09 17:47:41
語らりたくないです。さんへ



>親は親から「何故自分が生き残ったのか」

>「戦地での獣以下の出来事」などを聞かされたそうです、

>「無駄死に」させた・・と泣いたそうです。

>存在しない・・と言われるけど、無駄死にしたとか、させたとか、実際戦地では会話が存在したのです。

>下っ端の兵は上をのろい、殺してやりたいと密かに言う人もいたそうです。



>との・・という方、信じないですか?

>年寄りが死ぬ前に嘘を言うハズないと、思います。

・もちろん信じますよ。

私の父も海軍に志願して生き残った人間ですから、お年寄りが嘘を言う云々以前に、父から同様の事、直接聞いております。



>国を思うより、親・兄弟・故郷・を思いもはや絶望を知った時、無駄死に残念無念と国をのろいながら死んでいった人が大勢いた。

・それも、聞いております。



>英霊だのと祀られる資格はないし、本人も「やめてくれ!」と言うでしょう。

・この点が私の考え方が違うと言えば違うのでしょうか。

父は戦後、先輩等と3人で会社を興し1部上場の企業にまで成長しました。

闇雲に頑張った気持ちの中に

「生き残った自分たちが国を復興させねば、逝った者達は無駄死になる。そんなことになったら申し訳が立たない。」そう言う思いがあったようです。

個々の件を取り上げれば、仰る事は良く解っているつもりですが、それを言ってしまうと、戦争に負けた以上「全員無駄死に」になってしまいます。

今、私たちが此の日本で生きて、笑っていられるのは、いろいろな思いがあって亡くなった先人達のおかげです。

そして、その尊い命に差があろうはずはありません。

全員がとは言いませんが、父の様に生き残って日本の復興の為に必死で働いた人間の気持ちも考えると、

「無駄死にした英霊」など存在しないと言うより、「無駄死にした英霊」など存在させてはならないと言う気持ちです。



こちらこそ稚拙で、思いを十分に表現できているとは思いませんが、私の気持ちに賛同されなくとも、少しでも理解して頂ければ幸いです。

返信する
私が感じたこと (リカ)
2006-08-09 18:08:59
私も親族から戦争や犠牲の話を聞いています。

靖国に祀られていらっしゃる御霊のご遺族でもご意見は分かれるでしょう。



それでも私は、現在祭られていらっしゃる御霊さまに心から鎮魂を捧げ、平和と御霊さまが命をかけて守ろうとした我が祖国と我が民族を守ると誓います。



靖国は他国に干渉されることなく、日本国内で日本人により静かに語られ、どうしたらよいのか真剣に熟考されるべきです。現在の中韓の内政干渉は異常です。さすが両国ともなりふりかまわぬ国です。私は靖国がこれほど辱められている現状に我慢ができません。



MRさんにお願いです。

実質的な現状は「中国=中共」であり、「中共の実態、悪事」をご承知の上でのご発言ですか?

日本では駄目マスコミが報じませんが、欧米諸国はそう見ています。今一度、大紀元日本をお読みになって下さい。

返信する
リカさんへ (MR)
2006-08-09 18:56:34
御指摘ありがとうございます。

各国は各国の意向というものがあります。中共の悪事もあるでしょう、でも欧米諸国の悪事もあるでしょう。日本の悪事もあるでしょう。大紀元日本でもどこでも報道側はそうですが、立場によって善悪はまったく違ったものにみえます。

私はどこの言い分が善いとか悪いとかはいうつもりはありません。私が懸念している事はそういったもので争いがおきることを懸念しているのです。殺しあいは絶対だめだということです。殺しあいの道具はいらないのです。犠牲になるのは決まって各国の平民です。報道機関は世論を動かす道具です。世論を理由に戦争を起こすための道具です。各国のトップは報道機関がなくても全てすでに知っているのです。おれがおれがの社会ではなく、日本人が本来持っている、感謝の心、譲歩の心、相手を敬う心を世界に広めればいいのです。
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ジャーナリスト (MR)
2006-08-09 19:20:23
ジャーナリストには必ずパトロンがいます。そのパトロンが誰なのかなかなかはっきりさせません。マスコミに大々的に取り上げられる人程、いかにも良心で主張しているようでいて、必ず強力なパトロンがいます。趣味で評論家をしている人は今の時代、皆無なのでは?

無駄死に。

これが一番の悲劇です。イスラエルであろうと、レバノン、イラクであろうと。まして母国ならなおさらです。2種類の核を実験的に落とされた国だからこそ、戦争は絶対だめなんです。

もちろんお互いが譲歩するための、研究はおおいに必要です。
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Unknown (杜のこびと)
2006-08-09 19:32:02
拝読させて頂きました

色々な意味で日本は転換期に来てるのかも。

応援ダブルで゛(*・・)σ【】ぽちっとな♪

足跡残して参ります
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