見ないフリ

一時的な対応策にしかならない現実逃避をずっとするブログ

シン・ウルトラマン

2022-05-22 | 本と漫画と映画とテレビ
マスク付けた大人は、スーツ姿の男より少し怖い
ー映画『グリーン・ホーネット』より


ノってるやつにはのっていけ、ツイてるやつにはついていけ
とはよく言ったもので、流行りに乗って話題の映画をウキウキで観に行く。



『シン・ウルトラマン』(2022年 東宝)
監督:樋口真嗣
総監修&脚本:庵野秀明
出演:斎藤工、長澤まさみ、西島秀俊 他

1966年に放送された特撮テレビドラマ『ウルトラマン』を現在の時代に置き換えたリブート作、空想特撮映画。
キャッチコピーは「そんなに人間が好きになったのか、ウルトラマン。」「空想と浪漫。そして、友情。」

-

ワクワクの連続。

冒頭の流れるような禍威獣(かいじゅう)の説明に始まり、禍威獣特設対策室(禍特対・カトクタイ)の解説、ウルトラマンのシルエット、禍威獣・外星人の動き、対戦シーンなどなど…
ウルトラマンの知識が全くない私でも心躍るシーンが満載。
(ザラブの声、ゴールデンカムイの尾形だ!とか)

なかでも、
いわゆる「ぐんぐんカット(巨大化する際に入るワンシーン)」が、
一周回ってめちゃくちゃカッコいい…!



過去作へのリスペクトや制作陣のこだわりもゴリゴリ感じられ
ウルトラマンを見ていた世代やウルトラマン好きにはたまらん作品なのだろうと思う。(知らんけど)



ただ…

なんというか、
若干のモヤりもある。

このモヤモヤは、
今年2月に国立劇場で鑑賞した文楽作品『釣女』と少し似たものを感じる。



-
文楽『釣女』
狂言の『釣針』をもとにつくられた歌舞伎の舞踊劇を文楽に取り入れた作品。
ともに独身の大名と太郎冠者が神のお告げに従って釣り竿をたらすと、大名は美しい妻を釣り上げるが、お供に付き従った太郎冠者はとんでもない醜女を釣り上げてしまい大困惑、最後には大名の妻を盗んで逃げだす始末…
-

ルッキズムやフェミニズムが叫ばれて久しいこの2022年に、いくら伝統芸能といえど、平然と上演していて大丈夫なのか?と無駄にハラハラしてしまう作品。
この心配をよそに、醜女役のお福ちゃん(人形の首の名前)は、がっつり観客を笑かしにきます。
その動きは吉本新喜劇の浅香あき恵や島田珠代のようなプロのそれなので、お福ちゃんが「おいしい役」なのは理解するけれど、文楽サイドは早々に物語をもう少し脚色するなりマイルドにした方が身のためでは?とも思う…
手放しで大笑いできず、若干ソワソワしてしまった…


この『釣女』に似たモヤモヤソワソワが、映画『シン・ウルトラマン』にもちょこちょこ感じられるのです。

禍特対へ出向してきた長澤まさみが、自分のコーヒーだけを淹れてきた斎藤工に対して「他人の分のコーヒーも淹れないとは気の利かない男だ」と言い放ったり。
長澤まさみがやたらとお尻を叩く役だったり。ずーっと新社会人みたいなピッタっとしたリクルートスーツ姿だったり(同僚役の早見あかりは服装変わっているのに)。そしてそのまま進撃の巨人化したり。
(長澤まさみ関連のモヤモヤばかり…)

これらは何かしらの伏線なの?
(最後に斎藤工がみんなにコーヒーを淹れることで人間味を出してくるとか、長澤まさみがウルトラマンのお尻を叩いてその感触から正体に気づくとか…?)

そう思いながら観ていたものの、そんな伏線回収的なこともなく、、
あれらのシーンは一体なんの意味があったのだろう。
過去作へのオマージュ?とか??

とはいえ、長澤まさみがお福ちゃんばりにやりきっていたから
こちらが心配することは何もないのだけれど。

あと言葉での解説が多くて、
映像で説明されないと理解できない私は
ときどき置いてけぼりになってしまった。(致命的…)

コメントを投稿