(写真はベルトを巻いたクワンタイ)
今までにもないわけじゃなかったけど、今回ほど1敗の重みを感じさせられる試合はありませんでした。WBAミニマム級タイトルマッチのことです。結果は若いクワンタイ・シッモーセンがベテランのピグミー・ゴーキェットジムを破って初めて世界のベルトを獲りました。これが相手がタイ人でなければ、いや相手がピグミーでなければ以前からずっと見てきているクワンタイの戴冠を素直に喜べたんですが…
今回はタイ人同士の試合というだけでなく、
・WBAランキング1位と2位の戦い
・WBA系地域王座PABAのチャンピオン・クワンタイとWBC系地域王座ABCO(またはWBCアジア)王者のピグミーの対戦
・ギャラクシーとゴーキェットという大手プロモーターの第1線選手同士の戦い
・関係者の間でも「実力伯仲」との評判
と揃っており、両者とも知ってるあたしとしても
どっちも応援したい…(汗)
という状況の中、けっこうドキドキしながら現場に向かいました。
今回の現場はラジャパット大学マハナコーン校舎。陸上競技場にリングが設けられ、スタンドのところが選手控え室。比較的早くきて準備していたピグミーに比べるとクワンタイは重役出勤(汗)TV放送開始の30分くらい前にやっと到着。
会場を歩いていたら声をかけられたんですが…
<あんたら誰??(核爆)>
その正体はゴーキェットグループの皆とピグミーの地元の人たちによる「ピグミー応援団」!!!
ホント誰が誰だか全然わからん…(汗)
この人(下の写真)はいつもの美人なゴーキェットの秘書オーちゃんって
かろうじてわかるんですが…(汗)
<ホントかろうじて…>
今回はジャッジとして日本から原田武夫氏が来タイ。あたしのポジションはたまたま彼の隣に。しかしもろに西日が差し込んでめっさ暑いポジション…(汗)前日までは涼しかったのに…
<なぜか親近感を覚える(?)ジャッジの原田氏>
☆この大会の写真をいっぱいフェースブック(Bankok Gurentai)で公開中♪☆
さて、では試合の模様を見て見ましょう♪
[[ 2010年11月05日(金) ]] ギャラクシー・バンコク興行
場所:バンコク都ラクシ区プラナコン・ラジャパット大学構内特設会場
タイのテレビ7チャンネルでタイ時間午後3時から午後5時(日本時間:午後5時から7時)生中継。
▼第1試合:ノンタイトル、6回戦
デンチャイレック・ティティポンサーコン(Denchailek Tithiphongsakhorn)(タイ) VS ディッキー・プトラ(Decky Putra)(インドネシア)
毎度のことですが記者会見時点と順番が入れ替わり、当初第3試合だった試合が第1試合へ。日本で坂田とも戦ったディッキー・プトラがギャラクシーの新星デンチャイレックと対戦。デンチャイレックにとってはこれが初めての外国人選手との戦いでギャラクシーの彼への力の入れようが伺われます。
<デンチャイレックVSディッキー>
しかし試合はデンチャイレックが押し捲り、最後はロープに追い込んで左フックがわき腹に見事に入って10カウントKO勝ち。
<デンチャイレックがKO勝利>
デンチャイレックが3R2分22秒KO勝ち
☆この大会の写真をいっぱいフェースブック(Bankok Gurentai)で公開中♪☆
▼第2試合:WBAミニマム級正規王者決定戦
同級1位クワンタイ・シッモーセン(Kwanthai Sithmorseng)(タイ) VS 同級2位ピグミー・ゴーキェットジム(Pigmy Kokietgym)(タイ)
さて、いよいよのタイトルマッチ。
今回は同国人ということもあり、両者同時に入場。
<入場する両者。左がクワンタイ、右がピグミー>
クワンタイのマネージャーであるドクター・モーセンが壇に上がって挨拶。(だからリングネームが「シッモーセン」)
事前にメディア関係に聞いても実力甲乙つけがたい両者の対戦は
ピグミーがあたしの意見取り入れてくれたよ、おい
記者会見の際にピグミーに「お前の出入りの速いフットワークを生かすんだ!」と言っておいたんですが、まさにその通りで1R、2Rとピグミーの速い飛込みからの左ジャブ、右ストレート、すぐに引いてクワンタイの打ち返しは当てさせないという理想的展開からスタート。
<ピグミーの持ち味はこれだと思ってたんでね>
<序盤は完全にピグミーのペース>
インターバルでコーナーに戻るピグミーが両手を挙げて優勢をアピール!ゴーキェット応援団がはしゃぐはしゃぐ!!
<太鼓まで持ち込んでる応援団…汗>
クワンタイの赤コーナーにはプーンサワット、デンカオセーンの両元WBA王者、元PABA王者のマンファー、現在ナコンルアンでABCO王者になってるヨーッチャンチャイと有力選手が応援に。
かたやピグミー側はWBCシルバーベルトのターッサック、PABA王者のテーパリッ、ネーッ、無冠のデチャーが応援アンドセコンド。ピグミーのセコンドのおっちゃんは試合中にリングの熱くなってリングのエプロンにまで上がって声だしていたのでジャッジの原田氏に注意されてました。(汗)
ところが3Rになると急に両者、特にピグミーの手数が減り、4R以降は1,2Rのようなボクシングが影を潜めてお互い頭をつけてのフックの打ち合いへ。
<こんな感じ?>
それでも軽いが数を出すクワンタイに対して、強いフックを打ち込んでいたピグミーが9Rからは目に見えて失速。クワンタイがアウトボックスし、逆にパンチを差し込む状況に。
<クワンタイの攻勢>
<この辺で「あちゃ~~」と思ってたあたし>
しかし劣勢になった中でも最後の12Rはピグミーが渾身の大攻勢!ホントに「ここでなんとか!」という男の意地を見せてくれたものの後半はクワンタイにストップされてしまい逆転はかなわず…
<ピグミー渾身の攻勢!>
終了直後リングにあがったあたしにがピグミーに「よくやったよ」というと彼は「3Rで左手を骨折したんだ…」とか細い声で…
それで3R以降の戦術の変更の理由がはっきりしました。2R終盤に飛び込みにあわせられ始めたから戦術を変えたのかと思ったけど、拳を痛めてたのか…なんてこったい…
なんて骨体…(死語。おぼっちゃま君語)
そして運命の判定!(点数は左がクワンタイ、右がピグミー)
タイ人ジャッジ、116-112でクワンタイ
日本人ジャッジ(原田氏) 114-115でピグミー ここで観衆歓声!
そして運命の3人目
韓国人ジャッジ、 115 … (うわあああ、歓声) - 114 !!!!!
げぇ~~~、2人が1点差か???????
SDだがクワンタイ・シッモーセンが初の世界ベルト戴冠!!!!!!!!!!!!!!
<クワンタイ勝利コールの瞬間>
大変なんだよな、こういう時。片手でカメラ構えて片手で点数メモしてるから…(汗)
クワンタイの喜びようはもちろんなんだがこの時点でうつむいて落ち込んでしまったピグミー…
<WBA役員のアラン・キム氏が祝福>
試合後、クワンタイに「この後何をしたい?」と聞いたら
「もっと練習をして、このベルトを出来るだけ長く防衛したい。」
と言ってました。もともとギャラクシーのジムではプーンサワットに次いで長くきっちり練習しているクワンタイにしてこの姿勢はいいことですね。
<ベルトを締めたクワンタイ>
「ムアイサイアム」のPR氏に「目標とするボクサーは?」と聞かれて
「カオサイ・ギャラクシーですね。タイ人のボクサーであればやはり誰でも憧れますよね。彼のように強くなりたいです。」
と答えていました。
プロモーターの二ワット氏にクワンタイの今後について話を聞きましたが「日本人との対戦をするかどうかはこれから考えるよ。暫定王者との統一戦?今度のWBA総会でそういう話になればよろこんでやりますよ。」とのこと。暫定王者サミュエル・グティエレスは日本の宮崎との防衛戦交渉中なんて話がありましたが(JBCがOKせんだろうという気がするが)クワンタイの今後の防衛ロードに期待したい。
基本的にはすごい努力家だけど圧倒的強さを持つまでには行かないので、試合の出来不出来の波の激しさをきちんと制御できればだいぶ良くなると思います。
<クワンタイとプロモーターの二ワット氏(右)と息子のテリー氏(左)>
一方のピグミー… うーん… 試合後に会いにいったところ
涙ぐんでました…
「今日は良くやったよ。あれならまだチャンスはあるって」と語りかけたら、ピグミーは「いや、もうボクシングを続けられないです…」とか細い声で言ってうつむいて泣き出しちゃったので
奥さんが抱きしめてあげて慰めてました…
タイ人選手で敗れたことでここまで悲嘆にくれた選手を見たのは初めてでしたわ。やはり年齢(29歳)もあって「今回がまさに千歳一遇のチャンス」と感じていたんでしょう。その思いが伝わってくるだけにこちらも胸が締め付けられました。
月並みですが「今はちょっと何もかも忘れて体を直すことに専念しよう。」といったら奥さんが
「それはわかるんだけど、この人にはホントボクシングしかないんですよ…(だから忘れるってわけにはいかない、という感じのニュアンス)」
う~~~~~ん。タイのボクサーは子供のころからボクシング一筋で「それしかない」って選手は多いんですよね。(だから引退後の転進がうまくいかない)ずっとボクシングを続けてきてやっと巡ってきた最高位のベルトへのチャンス。勝者と敗者の分かれ目… あたしの文筆力じゃ書ききれないですが、今までにない凝縮された人間ドラマがピグミーを見てるあたしの頭の中を巡りました…
しっかしピグミーの序盤のフットワークは完全にクワンタイを上回っていただけに、クワンタイも拳を負傷したことがあるのに、あの場面での拳の負傷は
まさに「王者になる運がなかった」としか言いようがないのか…
☆この大会の写真をいっぱいフェースブック(Bankok Gurentai)で公開中♪☆
▼第3試合:PABAライト級王者決定戦
同級6位ペッツボーディン・シッモーセン(Petchbodin Sithmorseng)(タイ) VS フェザー級10位モハメッド・デス・アフリザル(Muhamad Des Afrizal)(インドネシア)
メインが終わっちゃったあとで記者やカメラマンがみんなクワンタイとかの取材にいっちゃってたリングで行われたPABAタイトルマッチ!
「得意なパンチはフックです」
と自らフックボクサーを自認するペッボーディンが1Rから大攻勢をかけてモハメッドからダウンを奪いますがここはゴングに助けられます。
<攻めるペッボーディン>
続く2Rもガンガン前に出るペッボーディンがロープにつめて連打をかましたところでモハメッドがダウン。ここでレフェリーが試合を止めました。
<モハメッドがダウン!!レフェリーが試合ストップ>
ペッボーディンが2R1分53秒TKO勝ち
しかし可愛そうに今回PABAのベルトを持ってくるのを忘れたようで、せっかくPABA王者になったのに記念撮影はベルト無しでした。(涙)
ちなみに試合終了直後リングに上がってまだ倒れていたモハメッドに近づいたら、彼がセコンドに
「あれはローブローだよ… ちっ」
っと話しているのが耳に入ってしまったのは内緒です。(おいおい)
ペッボーディンはもうちょっとパンチの精度が欲しいのと同じフックでも瞬時に上下に打ち分けるようなところを身につけて欲しいですな。
<悪童っぽいイメージのペッボーディン。彼女はめっさ美人!(おいおい)>
▼第4試合:ノンタイトル、6回戦
パントン・サクニランラッ(Phanthong Sakniranrat)(タイ) VS チャイヨン・シッサイトーン(Chaiyong Sithsaithong)(タイ)
あたしが結構実力を買っているのがシッサイトーンファミリーの若頭格のチャイヨン。実力的には1流半というところか。しかし速さとうまさがある。
そのチャイヨンがリーチの長いパントンにちとてこずりました。
<長いリーチを生かして反撃するパントン>
対するチャイヨンは今回は距離をつぶしてのボディ攻撃に照準。
<うまさを見せるチャイヨン>
結果、1,2Rは粘って反撃したパントンが3R途中から完全に失速。4Rチャイヨンの攻勢に手が出ず亀状態になったところでレフェリーが試合をストップしました。
<勝利したチャイヨン。ホントはもっと上を目指せる器なんだけどなあ…>
チャイヨンが4R1分26秒TKO勝ち
▼第5試合:ノンタイトル、6回戦
モンコンチャイ・パタウィコーンジム(Mongkolchai Patavikorngym)(タイ) VS キェッナコン・ソー・サムランチャイ(Kiatnakhon Sor Samranchai)(タイ)
予定されていたあたし的新星インタノンの試合がなくなり「次代の世界王者」(と本人を冷やかしてやっただけだが)モンコンチャイが登場。
ところが相手のキェッナコンがけっこう良かったっすね。サウスポーなんだけど左でストレートを打っておいてそのまま左フックを打ち込むとか中々器用なところを見せてくれてフックメインのモンコンチャイが苦戦。
<けっこう器用なキェッナコン>
試合は2Rキェッナコンのパンチにモンコンチャイがフラッシュ的にタイミング置いて倒れ、カウント6すぎで立ち上がってレフェリーにアピールするもレフェリーが両手を上げて試合をストップ!
<モンコンチャイダウンの場面>
「あれはないっすよ~~。まだやれるって見せたのにレフェリーが『もういいから家に帰ろうや』ですって。」と苦笑いしながらも不満げなモンコンチャイでした。アンダーカードの悲しさですねえ…普通は少なくとも8までは数えるんですが…
キェッナコンが2RTKO勝ち(時間はアンダーカードのためちぇっくはしょられてます…汗)
☆この大会の写真をいっぱいフェースブック(Bankok Gurentai)で公開中♪☆
<後日談その1>
全試合終了後、リングサイドでPABAの親玉アラン・キム氏に呼び止められて「写真撮るよ。うち(PABA)のHPにあげるから」と言われて彼のデジカメで撮ってもらったら、
まじで昨日(11月7日)写真がPABAのHPに載せられてる!?Σ( ̄□ ̄;)
試合の写真とか送ったときに気になって「ネット上では「バンコク愚連隊」で通しているんで、もし名前出すのなら本名じゃなくて「バンコク愚連隊」でお願いします~~~」とメール送っておいたら
ちゃんと名前が『バンコク愚連隊(Bangkok Gurentai)』になってました♪(汗)
おかげでPABAのフォトギャラリーに
「提供:バンコク愚連隊」の写真がいっぱいに!?Σ( ̄□ ̄;)
ゴーマンかましてよかですか?(BY小林よしのり)
これってもしかして「世界に広げようバンコク愚連隊の輪」????(爆)
なんや知らんけどキム氏にはえらい気にいられてて、韓国人ジャッジのマイケル・リー氏も紹介してくれるし(マイケル氏いわく「日本人?見た目がタイ人みたい」(笑))こっちのメールにも一々きちんと返事くれるし。ありがたいこってす。
<後日談その2>
試合後SDになったんでジャッジの原田氏が「ボクの採点変だったかなあ?」と気にしておられたんですが、試合翌日のタイのスポーツ新聞「ムアイサイアム・トゥデイ」では
タイ人ジャッジの116-112という採点がって開きすぎじゃね?
とジャッジ本人に質問してて、その中で「あの試合はどう見たっていいとこ2,3ポイントの僅差との声があるんですが?」といわれたジャッジのチャラーム氏が「私は自信を持って採点している。ピグミーの攻勢はあったがクワンタイのガードがうまかったからあまりきちんと入っていなかった。」とおっしゃられてました。しかし観戦していた記者の間でも「僅差」の試合だった、という認識なので
全然気にすることないです。>原田様
中盤のピグミーのボディーはけっこうきっちりわき腹に入ってましたからね。
なお原田氏は試合前に「ボクは選手に色眼鏡はかけないできっち試合内容だけで判定させてもらいますから。」と断言されており。その心意気や良し!!!という感じでしょう。
ちなみにあたしは難しすぎて途中で採点放棄しました。(おいおい)1,2,6,12Rははっきりピグミー。9,10,11Rははっきりクワンタイ。3Rは両者手数が少なすぎて10-10。しかし4、5、7,8Rはどっちに転んでもおかしくないラウンドでした。細かいパンチ(威力は小さいけど)の手数のクワンタイか重いフックをわき腹に何度も決めていたピグミーか。見る場所によってもかなり印象は違ったと思います。あたしら(バンコク愚連隊&原田氏)のいた位置からはけっこうピグミーのボディーフックが入っているのが見えたから点数がピグミーよりなってもおかしくないはずです。(ほかの角度からは見にくかったはず)
ボクシングの採点はホント難しいや…
今回は現場からの帰りもピグミー一家と一緒に。(大通りに出るまでね)ピグミーの可愛い娘さんとまだ生まれて間もない息子さん、奥さんやほかの親戚も一緒。しかし
娘のニックネームにDTAC(ディータック、タイの携帯電話大手のブランド)ってどーよ???(汗)
まあタイのニックネーム(チューレン)は宗教的に人間っぽいなまえじゃなければいいとはいえ…
この段階でもうつむいて涙ぐんでたピグミーでしたが出来るだけ励ましてあげました…彼の心には中々届かなかったろうけど。それほどこの1戦がピグミーにとって「人生の一大事」だったということ。
試合後のゴーキェット氏は「再戦も含めて考える」とのことだったそうですが、なんとかまた世界戦のチャンスを与えて欲しいですね。それがピグミーのボクシングへのモチベーションになると思うので。
最後に定番の今日の美人さんです♪
<タイの伝統衣装に身を包んでいます>
ではまた
☆この大会の写真をいっぱいフェースブック(Bankok Gurentai)で公開中♪☆
皆さん、クリックお願いね♪♪
下のスポンサーサイトもクリッククリック♪♪
今までにもないわけじゃなかったけど、今回ほど1敗の重みを感じさせられる試合はありませんでした。WBAミニマム級タイトルマッチのことです。結果は若いクワンタイ・シッモーセンがベテランのピグミー・ゴーキェットジムを破って初めて世界のベルトを獲りました。これが相手がタイ人でなければ、いや相手がピグミーでなければ以前からずっと見てきているクワンタイの戴冠を素直に喜べたんですが…
今回はタイ人同士の試合というだけでなく、
・WBAランキング1位と2位の戦い
・WBA系地域王座PABAのチャンピオン・クワンタイとWBC系地域王座ABCO(またはWBCアジア)王者のピグミーの対戦
・ギャラクシーとゴーキェットという大手プロモーターの第1線選手同士の戦い
・関係者の間でも「実力伯仲」との評判
と揃っており、両者とも知ってるあたしとしても
どっちも応援したい…(汗)
という状況の中、けっこうドキドキしながら現場に向かいました。
今回の現場はラジャパット大学マハナコーン校舎。陸上競技場にリングが設けられ、スタンドのところが選手控え室。比較的早くきて準備していたピグミーに比べるとクワンタイは重役出勤(汗)TV放送開始の30分くらい前にやっと到着。
会場を歩いていたら声をかけられたんですが…
<あんたら誰??(核爆)>
その正体はゴーキェットグループの皆とピグミーの地元の人たちによる「ピグミー応援団」!!!
ホント誰が誰だか全然わからん…(汗)
この人(下の写真)はいつもの美人なゴーキェットの秘書オーちゃんって
かろうじてわかるんですが…(汗)
<ホントかろうじて…>
今回はジャッジとして日本から原田武夫氏が来タイ。あたしのポジションはたまたま彼の隣に。しかしもろに西日が差し込んでめっさ暑いポジション…(汗)前日までは涼しかったのに…
<なぜか親近感を覚える(?)ジャッジの原田氏>
☆この大会の写真をいっぱいフェースブック(Bankok Gurentai)で公開中♪☆
さて、では試合の模様を見て見ましょう♪
[[ 2010年11月05日(金) ]] ギャラクシー・バンコク興行
場所:バンコク都ラクシ区プラナコン・ラジャパット大学構内特設会場
タイのテレビ7チャンネルでタイ時間午後3時から午後5時(日本時間:午後5時から7時)生中継。
▼第1試合:ノンタイトル、6回戦
デンチャイレック・ティティポンサーコン(Denchailek Tithiphongsakhorn)(タイ) VS ディッキー・プトラ(Decky Putra)(インドネシア)
毎度のことですが記者会見時点と順番が入れ替わり、当初第3試合だった試合が第1試合へ。日本で坂田とも戦ったディッキー・プトラがギャラクシーの新星デンチャイレックと対戦。デンチャイレックにとってはこれが初めての外国人選手との戦いでギャラクシーの彼への力の入れようが伺われます。
<デンチャイレックVSディッキー>
しかし試合はデンチャイレックが押し捲り、最後はロープに追い込んで左フックがわき腹に見事に入って10カウントKO勝ち。
<デンチャイレックがKO勝利>
デンチャイレックが3R2分22秒KO勝ち
☆この大会の写真をいっぱいフェースブック(Bankok Gurentai)で公開中♪☆
▼第2試合:WBAミニマム級正規王者決定戦
同級1位クワンタイ・シッモーセン(Kwanthai Sithmorseng)(タイ) VS 同級2位ピグミー・ゴーキェットジム(Pigmy Kokietgym)(タイ)
さて、いよいよのタイトルマッチ。
今回は同国人ということもあり、両者同時に入場。
<入場する両者。左がクワンタイ、右がピグミー>
クワンタイのマネージャーであるドクター・モーセンが壇に上がって挨拶。(だからリングネームが「シッモーセン」)
事前にメディア関係に聞いても実力甲乙つけがたい両者の対戦は
ピグミーがあたしの意見取り入れてくれたよ、おい
記者会見の際にピグミーに「お前の出入りの速いフットワークを生かすんだ!」と言っておいたんですが、まさにその通りで1R、2Rとピグミーの速い飛込みからの左ジャブ、右ストレート、すぐに引いてクワンタイの打ち返しは当てさせないという理想的展開からスタート。
<ピグミーの持ち味はこれだと思ってたんでね>
<序盤は完全にピグミーのペース>
インターバルでコーナーに戻るピグミーが両手を挙げて優勢をアピール!ゴーキェット応援団がはしゃぐはしゃぐ!!
<太鼓まで持ち込んでる応援団…汗>
クワンタイの赤コーナーにはプーンサワット、デンカオセーンの両元WBA王者、元PABA王者のマンファー、現在ナコンルアンでABCO王者になってるヨーッチャンチャイと有力選手が応援に。
かたやピグミー側はWBCシルバーベルトのターッサック、PABA王者のテーパリッ、ネーッ、無冠のデチャーが応援アンドセコンド。ピグミーのセコンドのおっちゃんは試合中にリングの熱くなってリングのエプロンにまで上がって声だしていたのでジャッジの原田氏に注意されてました。(汗)
ところが3Rになると急に両者、特にピグミーの手数が減り、4R以降は1,2Rのようなボクシングが影を潜めてお互い頭をつけてのフックの打ち合いへ。
<こんな感じ?>
それでも軽いが数を出すクワンタイに対して、強いフックを打ち込んでいたピグミーが9Rからは目に見えて失速。クワンタイがアウトボックスし、逆にパンチを差し込む状況に。
<クワンタイの攻勢>
<この辺で「あちゃ~~」と思ってたあたし>
しかし劣勢になった中でも最後の12Rはピグミーが渾身の大攻勢!ホントに「ここでなんとか!」という男の意地を見せてくれたものの後半はクワンタイにストップされてしまい逆転はかなわず…
<ピグミー渾身の攻勢!>
終了直後リングにあがったあたしにがピグミーに「よくやったよ」というと彼は「3Rで左手を骨折したんだ…」とか細い声で…
それで3R以降の戦術の変更の理由がはっきりしました。2R終盤に飛び込みにあわせられ始めたから戦術を変えたのかと思ったけど、拳を痛めてたのか…なんてこったい…
なんて骨体…(死語。おぼっちゃま君語)
そして運命の判定!(点数は左がクワンタイ、右がピグミー)
タイ人ジャッジ、116-112でクワンタイ
日本人ジャッジ(原田氏) 114-115でピグミー ここで観衆歓声!
そして運命の3人目
韓国人ジャッジ、 115 … (うわあああ、歓声) - 114 !!!!!
げぇ~~~、2人が1点差か???????
SDだがクワンタイ・シッモーセンが初の世界ベルト戴冠!!!!!!!!!!!!!!
<クワンタイ勝利コールの瞬間>
大変なんだよな、こういう時。片手でカメラ構えて片手で点数メモしてるから…(汗)
クワンタイの喜びようはもちろんなんだがこの時点でうつむいて落ち込んでしまったピグミー…
<WBA役員のアラン・キム氏が祝福>
試合後、クワンタイに「この後何をしたい?」と聞いたら
「もっと練習をして、このベルトを出来るだけ長く防衛したい。」
と言ってました。もともとギャラクシーのジムではプーンサワットに次いで長くきっちり練習しているクワンタイにしてこの姿勢はいいことですね。
<ベルトを締めたクワンタイ>
「ムアイサイアム」のPR氏に「目標とするボクサーは?」と聞かれて
「カオサイ・ギャラクシーですね。タイ人のボクサーであればやはり誰でも憧れますよね。彼のように強くなりたいです。」
と答えていました。
プロモーターの二ワット氏にクワンタイの今後について話を聞きましたが「日本人との対戦をするかどうかはこれから考えるよ。暫定王者との統一戦?今度のWBA総会でそういう話になればよろこんでやりますよ。」とのこと。暫定王者サミュエル・グティエレスは日本の宮崎との防衛戦交渉中なんて話がありましたが(JBCがOKせんだろうという気がするが)クワンタイの今後の防衛ロードに期待したい。
基本的にはすごい努力家だけど圧倒的強さを持つまでには行かないので、試合の出来不出来の波の激しさをきちんと制御できればだいぶ良くなると思います。
<クワンタイとプロモーターの二ワット氏(右)と息子のテリー氏(左)>
一方のピグミー… うーん… 試合後に会いにいったところ
涙ぐんでました…
「今日は良くやったよ。あれならまだチャンスはあるって」と語りかけたら、ピグミーは「いや、もうボクシングを続けられないです…」とか細い声で言ってうつむいて泣き出しちゃったので
奥さんが抱きしめてあげて慰めてました…
タイ人選手で敗れたことでここまで悲嘆にくれた選手を見たのは初めてでしたわ。やはり年齢(29歳)もあって「今回がまさに千歳一遇のチャンス」と感じていたんでしょう。その思いが伝わってくるだけにこちらも胸が締め付けられました。
月並みですが「今はちょっと何もかも忘れて体を直すことに専念しよう。」といったら奥さんが
「それはわかるんだけど、この人にはホントボクシングしかないんですよ…(だから忘れるってわけにはいかない、という感じのニュアンス)」
う~~~~~ん。タイのボクサーは子供のころからボクシング一筋で「それしかない」って選手は多いんですよね。(だから引退後の転進がうまくいかない)ずっとボクシングを続けてきてやっと巡ってきた最高位のベルトへのチャンス。勝者と敗者の分かれ目… あたしの文筆力じゃ書ききれないですが、今までにない凝縮された人間ドラマがピグミーを見てるあたしの頭の中を巡りました…
しっかしピグミーの序盤のフットワークは完全にクワンタイを上回っていただけに、クワンタイも拳を負傷したことがあるのに、あの場面での拳の負傷は
まさに「王者になる運がなかった」としか言いようがないのか…
☆この大会の写真をいっぱいフェースブック(Bankok Gurentai)で公開中♪☆
▼第3試合:PABAライト級王者決定戦
同級6位ペッツボーディン・シッモーセン(Petchbodin Sithmorseng)(タイ) VS フェザー級10位モハメッド・デス・アフリザル(Muhamad Des Afrizal)(インドネシア)
メインが終わっちゃったあとで記者やカメラマンがみんなクワンタイとかの取材にいっちゃってたリングで行われたPABAタイトルマッチ!
「得意なパンチはフックです」
と自らフックボクサーを自認するペッボーディンが1Rから大攻勢をかけてモハメッドからダウンを奪いますがここはゴングに助けられます。
<攻めるペッボーディン>
続く2Rもガンガン前に出るペッボーディンがロープにつめて連打をかましたところでモハメッドがダウン。ここでレフェリーが試合を止めました。
<モハメッドがダウン!!レフェリーが試合ストップ>
ペッボーディンが2R1分53秒TKO勝ち
しかし可愛そうに今回PABAのベルトを持ってくるのを忘れたようで、せっかくPABA王者になったのに記念撮影はベルト無しでした。(涙)
ちなみに試合終了直後リングに上がってまだ倒れていたモハメッドに近づいたら、彼がセコンドに
「あれはローブローだよ… ちっ」
っと話しているのが耳に入ってしまったのは内緒です。(おいおい)
ペッボーディンはもうちょっとパンチの精度が欲しいのと同じフックでも瞬時に上下に打ち分けるようなところを身につけて欲しいですな。
<悪童っぽいイメージのペッボーディン。彼女はめっさ美人!(おいおい)>
▼第4試合:ノンタイトル、6回戦
パントン・サクニランラッ(Phanthong Sakniranrat)(タイ) VS チャイヨン・シッサイトーン(Chaiyong Sithsaithong)(タイ)
あたしが結構実力を買っているのがシッサイトーンファミリーの若頭格のチャイヨン。実力的には1流半というところか。しかし速さとうまさがある。
そのチャイヨンがリーチの長いパントンにちとてこずりました。
<長いリーチを生かして反撃するパントン>
対するチャイヨンは今回は距離をつぶしてのボディ攻撃に照準。
<うまさを見せるチャイヨン>
結果、1,2Rは粘って反撃したパントンが3R途中から完全に失速。4Rチャイヨンの攻勢に手が出ず亀状態になったところでレフェリーが試合をストップしました。
<勝利したチャイヨン。ホントはもっと上を目指せる器なんだけどなあ…>
チャイヨンが4R1分26秒TKO勝ち
▼第5試合:ノンタイトル、6回戦
モンコンチャイ・パタウィコーンジム(Mongkolchai Patavikorngym)(タイ) VS キェッナコン・ソー・サムランチャイ(Kiatnakhon Sor Samranchai)(タイ)
予定されていたあたし的新星インタノンの試合がなくなり「次代の世界王者」(と本人を冷やかしてやっただけだが)モンコンチャイが登場。
ところが相手のキェッナコンがけっこう良かったっすね。サウスポーなんだけど左でストレートを打っておいてそのまま左フックを打ち込むとか中々器用なところを見せてくれてフックメインのモンコンチャイが苦戦。
<けっこう器用なキェッナコン>
試合は2Rキェッナコンのパンチにモンコンチャイがフラッシュ的にタイミング置いて倒れ、カウント6すぎで立ち上がってレフェリーにアピールするもレフェリーが両手を上げて試合をストップ!
<モンコンチャイダウンの場面>
「あれはないっすよ~~。まだやれるって見せたのにレフェリーが『もういいから家に帰ろうや』ですって。」と苦笑いしながらも不満げなモンコンチャイでした。アンダーカードの悲しさですねえ…普通は少なくとも8までは数えるんですが…
キェッナコンが2RTKO勝ち(時間はアンダーカードのためちぇっくはしょられてます…汗)
☆この大会の写真をいっぱいフェースブック(Bankok Gurentai)で公開中♪☆
<後日談その1>
全試合終了後、リングサイドでPABAの親玉アラン・キム氏に呼び止められて「写真撮るよ。うち(PABA)のHPにあげるから」と言われて彼のデジカメで撮ってもらったら、
まじで昨日(11月7日)写真がPABAのHPに載せられてる!?Σ( ̄□ ̄;)
試合の写真とか送ったときに気になって「ネット上では「バンコク愚連隊」で通しているんで、もし名前出すのなら本名じゃなくて「バンコク愚連隊」でお願いします~~~」とメール送っておいたら
ちゃんと名前が『バンコク愚連隊(Bangkok Gurentai)』になってました♪(汗)
おかげでPABAのフォトギャラリーに
「提供:バンコク愚連隊」の写真がいっぱいに!?Σ( ̄□ ̄;)
ゴーマンかましてよかですか?(BY小林よしのり)
これってもしかして「世界に広げようバンコク愚連隊の輪」????(爆)
なんや知らんけどキム氏にはえらい気にいられてて、韓国人ジャッジのマイケル・リー氏も紹介してくれるし(マイケル氏いわく「日本人?見た目がタイ人みたい」(笑))こっちのメールにも一々きちんと返事くれるし。ありがたいこってす。
<後日談その2>
試合後SDになったんでジャッジの原田氏が「ボクの採点変だったかなあ?」と気にしておられたんですが、試合翌日のタイのスポーツ新聞「ムアイサイアム・トゥデイ」では
タイ人ジャッジの116-112という採点がって開きすぎじゃね?
とジャッジ本人に質問してて、その中で「あの試合はどう見たっていいとこ2,3ポイントの僅差との声があるんですが?」といわれたジャッジのチャラーム氏が「私は自信を持って採点している。ピグミーの攻勢はあったがクワンタイのガードがうまかったからあまりきちんと入っていなかった。」とおっしゃられてました。しかし観戦していた記者の間でも「僅差」の試合だった、という認識なので
全然気にすることないです。>原田様
中盤のピグミーのボディーはけっこうきっちりわき腹に入ってましたからね。
なお原田氏は試合前に「ボクは選手に色眼鏡はかけないできっち試合内容だけで判定させてもらいますから。」と断言されており。その心意気や良し!!!という感じでしょう。
ちなみにあたしは難しすぎて途中で採点放棄しました。(おいおい)1,2,6,12Rははっきりピグミー。9,10,11Rははっきりクワンタイ。3Rは両者手数が少なすぎて10-10。しかし4、5、7,8Rはどっちに転んでもおかしくないラウンドでした。細かいパンチ(威力は小さいけど)の手数のクワンタイか重いフックをわき腹に何度も決めていたピグミーか。見る場所によってもかなり印象は違ったと思います。あたしら(バンコク愚連隊&原田氏)のいた位置からはけっこうピグミーのボディーフックが入っているのが見えたから点数がピグミーよりなってもおかしくないはずです。(ほかの角度からは見にくかったはず)
ボクシングの採点はホント難しいや…
今回は現場からの帰りもピグミー一家と一緒に。(大通りに出るまでね)ピグミーの可愛い娘さんとまだ生まれて間もない息子さん、奥さんやほかの親戚も一緒。しかし
娘のニックネームにDTAC(ディータック、タイの携帯電話大手のブランド)ってどーよ???(汗)
まあタイのニックネーム(チューレン)は宗教的に人間っぽいなまえじゃなければいいとはいえ…
この段階でもうつむいて涙ぐんでたピグミーでしたが出来るだけ励ましてあげました…彼の心には中々届かなかったろうけど。それほどこの1戦がピグミーにとって「人生の一大事」だったということ。
試合後のゴーキェット氏は「再戦も含めて考える」とのことだったそうですが、なんとかまた世界戦のチャンスを与えて欲しいですね。それがピグミーのボクシングへのモチベーションになると思うので。
最後に定番の今日の美人さんです♪
<タイの伝統衣装に身を包んでいます>
ではまた
☆この大会の写真をいっぱいフェースブック(Bankok Gurentai)で公開中♪☆
皆さん、クリックお願いね♪♪
下のスポンサーサイトもクリッククリック♪♪
一度辞めても また戻ってくるかもしれないんだったら そのブランクは大きいですからね。少し休んでから、再びチャンス来ることを信じて練習あるのみです
落ち着いてから頭を切り替えてくれるといいんでうが…
なんだか・・・こっちも辛くなりますね。
でもその状態でこれだけの試合をしたのだから再挑戦の話も出てくると思うんですけどね。
頑張れ!ピグミー!