あんなこと、こんなこと

人生もそろそろ林住期にはいりはじめた昭和女ですが、まだまだ現役!

その時が来た

2013-05-31 14:19:45 | Weblog
ついに「その時」がやってきた。

母は今年90歳。その母との同居が始った。40年以上も別に暮らしていたのだから、もう大変
彼女は認知症ではないらしいのだけれど、年齢相応のボケははいっている。

そんな母が転居して来たのだから、私以上に母のほうが大変なはず・・・なのだけど・・・。

豪邸でもない我が家の間取りがわからず、迷ってしまうなんていうのはカワイイものから始って、一番大変なのは2,3分前に聞かれたことを聞き返されることウン十回。これが一番参ってしまう。老人特有のことなんだからと思いつつも5,6回目ころからはついつい声がトンガッテくる。

「もう、何百回も言ってるわよ。」(ホントは10回くらいだけど)
ーーあ~、私ってなんて意地悪なんだろう。ウン十回くらいどうってことないじゃない、繰り返し言ってあげればいいのに・・・

と自己嫌悪。

考えてみれば彼女はトイレだって自分でできるし、ご飯だって自分で食べられる。着替えだって時間はかかるけど、できるんだ。
そうだ、できないことじゃなくて、できることだけ見て、明るい介護、頑張ろう子育てとおんなじだ。

お勧め本

2013-05-11 15:49:26 | Weblog
『一週間』 井上ひさし著

考えてみると井上ひさしの本をきちんと読んだことがなかった。
この『一週間』という本は最近の書評にあって、読んでみようかなと思い買った。

余談だか私は基本的に本は文庫本しか買わないと決めている。以前は新刊書が出ると大仰な宣伝文句につられてつい買ってしまったりしていたが、失敗もたびたび。そしてそのあと本棚のゴミとなる。その点文庫本はハードカバーでの評判を経て文庫になっているし、なにより値段が安くて小さいから失敗しても傷が浅い。

で本題にもどると、これは戦後ロシアで捕虜になった日本人の一週間の出来事を1日ごとに章立てにしているのだが、ふつうこの主題になったら、重苦しい内容になるに決まっている。ところが、この本は一大エンターテイメントになっていて、ユーモアの精神が底辺にながれているから決して重たくなく、むしろ痛快。それでいて批判精神もしっかり。

初めロシア人の名前になれないし、階級を表す言葉も読むのが面倒になって火曜日あたりで(月曜日から始まって、月、火が長い)挫折しそうになった。でももう少し、もう少しと思っているうちに今度は加速度がついて一気読みになった。

人間どんな困難な場面に陥っても、くじけない精神を保つにはユーモアが必要なのだ。正面からがっつり問題に取り組むのもいいだろうけど、ちょっと俯瞰してユーモアをもって対処する。これができたらいいなぁ、サイコーだな、人間として。そしてこの主人公がそんな人間なのだ。次から次へと起こる問題を必死に乗り越えていく。本人は大まじめなのだが、どこかおかしみがある。私の理想の男性かもしれない。

それにしても井上ひさしの共産党と戦後のロシアの知識がすごい!と思った。これだけの本を書くにはプロットを考えるだけでなく、どれだけ準備が必要なのだろうか、と思っていた。

・・・あとがきを読んで多少納得。井上ひさしの奥さんはかの私が敬愛する米原万理さんの妹さんだそう。若くして亡くなったロシア語の同時通訳者の米原万理さん、知的で、ユーモアのセンスあって、私は大フアンだった。

話はそれたが、お勧めの一冊である。