脱走犯の空ちゃんがいなくなってから、
風ちゃんは以前にも増してケージに入れられることが大嫌いになった。
夜中じゅう泣きわめき、あてれんは夜中の2時に途方に暮れた・・
このままでは犬も人間もストレスでダメになってしまう・・。
限界のところまで追い詰められ、ついに寝るときもフリーに
してみることになった。
風ちゃんのケージの真下は両親の寝室だ。
だから・・
もう、そうするしか選択の余地がなかったのだ。
と言っても、危険なことが起きないようにリードで係留し
風ちゃんの周りから危険なものを撤去しての試みだった。
ところが、リビングで夜を過ごした風ちゃんは
非常によい子であった。
1日目も2日目も、3日目も・・
何事もなくリビングで寝てくれる。
最初はリビングで一緒に寝たあてれんも、安心して隣の寝室で朝まで
ぐっすりと眠ることができたのである
さて。
3連休も終わり、昨日から人間は通常スケジュールに戻った。
当然風ちゃんも、昼間だけはケージでお留守番だ。
久々のケージに入った風ちゃんは、案の定泣きわめいた。
でも、
昼間はだーれもいないから好きなだけ泣けばいい。
そのうち諦めて寝てくれるさ・・・。
ところが・・・。
昼休み、家に帰って驚いた
風ちゃんがリビングでくつろいでいるではないか
『早かったね・・。』
なんでそこにおるん・・・?
原因は、あてれんの施錠の甘さであった。
クリップ二つで入り口を留めたのだが、
いつの間にか風ちゃんはそれを外す技を身につけていたのであるっ
幸いにも、リビングにイタズラの形跡はない。
不思議なもんだ・・・。
さて、翌日。
つまり今日の午前中のお留守番は、二度と脱走されないように
クリップ+結束バンドで二重のロックをし
安心して仕事に出かけたのだったが・・・・。
またもや昼休みに唖然とする光景が目に飛び込む
部屋の戸、開いてるし・・
(折り戸の開け方も完全に覚えちまった。)
風ちゃんそこにいるし・・
『早かったね・・。』
あの2重ロックをどうやって解除したのか
・
・
・
クリップは簡単に取られ、上の部分だけに付けた結束バンドが災いして
網の下を押し出して出てきたようだ。
こうなったら知恵の勝負だ!
負けないっ・・。
だってあたしは人間だもん。
午後からのお留守番は、どんな手を使ってもぜったいに出られないように
結束バンド3重とクリップ1個で再び挑んだのであるっ。
がっはっは!まいったか!
・・・・・。
いえ・・・。
参りません・・・
夕方、恐る恐る帰宅してみると・・
そこにはまさかの風ちゃんのお出迎えが・・
そして、ルパンでも開けられないはずのあのロックはこのとおり
歪んだケージからは、風ちゃんが必死で脱出した光景が想像できた。
一体、キミは・・・・
本当に犬なのか・・?
(しかも子犬だとぉ?)
今思えばあてれんが結束バンド3重でロックしているとき、
風ちゃんは余裕の表情で中に入ってたよな・・・
コイツ・・・先を見越していたのか・・・
『だってアタシは犬だもの。』
しかし・・
リビングでフリーになっているわりには
なにも被害がないのが不思議である。
約4ヶ月ですでに善悪を見極めているのだろうか・・・?