山とアート

2008年から八ヶ岳南麓に移り住み、庭に小さな菜園を作りながら、知り合いのギャラリーや工芸作家のお手伝いをしている日々。

秋の山々

2009年10月28日 21時19分13秒 | 日記
今日は秋晴れの良いお天気になりました。
私の場合若い頃は国内外の海に行きました。沖縄やグアムの海の色は忘れられないものです。
しかし、いつも居るところは木々のある山の方が落ち着きます。そして八ヶ岳南麓の特徴は四方に個性の違う山を観ることができる点です。ここに移住している人たちは山登りの好きな人だけでなく、この景色にも魅力を感じているのです。

いつも行く郵便局や支所、買い物のひまわり市場などに向かう途中の道に絶景ポイントがありますので、今日は撮影してみました。


まず北には主役の八ヶ岳。富士山に似たなだらかな稜線の8つの頂。赤岳の形が結構強くて目立ちます。

西から南にかけては長い南アルプスの壁です。荒々しい形で富士山と対照的ですが、白州の方に近づくにつれて迫力満点です。右端の北岳は頂上がもう白くなっていますね。

あ~~ ちょっと残念ながら南の富士山はうまく写りませんでした。雲の陰に少しみえますか?

そして東には秩父連山。遠いせいか優しい山並みです。

ひろがる景色をながめながら、車を運転していると雑用に出るのも楽しみです。
夏は雲が多くてあまり見えないですし、今もまだ遠くにみえますがこれからどんどん山の方から近づいてくるのです。山を観るにはこれからの冬が最高だと思います。
大泉の観光サイトもあります↓

http://www.oizumi.ne.jp/~oizumi/
「大泉町ライブカメラ」も昼間見ると結構きれいです。

陶芸とサントリーとランチという組み合わせ

2009年10月26日 20時30分22秒 | 日記
昔からの親友T子さんとM子さんが二人で八ヶ岳に来てくれました。

2日前までは真っ青な秋晴れで紅葉した山もくっきり見えていたのに、お二人が到着した途端曇って山は隠れてしまいました・・・
怖かったのかしら?
T子さんのご希望で清里の草五庵で蕎麦懐石のランチ。その後小淵沢まで行ってGallery Amanoの濱島有莉展を観ていただき温泉はスパティオで温まりました。

二日目の今日は更にお天気が崩れて大雨
誰の心がけが悪いのか・・・?私かも・・・
でも心優しい二人は「雨の景色もまたなかなか良いものよね~」「いつも来る時はお天気だったから、今回初めてこういう風景を見れてよかったわ」などとフォローしてくれます

・・・ということで、有名だけどめったに行くこともないサントリーの工場に行ってみようということになり、普通だと行かないだろう工芸工房も私が縁をつなぎたいと途中で陶芸工房のぎさんを紹介することにしました。
おらんうーたんのメンバーでオープンアトリエの時お邪魔しながら撮影できなかったこともありましたし。
ここはご夫婦で陶芸教室とギャラリーを運営していらっしゃいます。


入り口の看板もなんとなく丸っこい字で「まあるいお人柄」を連想。

津村郁美さんは白地にくっきりと日本画のように華やかな花の絵が特徴です。

ご主人の森山淳さんは青磁のシンプルな器で、伝統的でとても使いやすいです。


写真に失敗しましたが干支の動物たちができていて、丁度来年の虎がたくさん並んでいました。
外は雨なのに薪ストーブであたたかいお茶をいただきながら一休み。
ごちそうさまでした
陶房のぎのサイトは↓
http://www3.nns.ne.jp/pri/nogi/

さて、サントリーの工場へ行ったら雨なのに駐車場にたくさんの車が・・・。
すると受付で工場見学ツアーは今の時間はもういっぱいで、2時からのだったら予約できるといわれびっくりです
そんなに人気があるのか?
あるらしいです・・・
でも結局博物館の中にこれまでの歴史などの展示があって、確かに我々の世代は「赤玉ポートワイン」も知っているし、「トリスをのんでハワイに行こう!」なんてキャッチコピーもなつかしいし、充分楽しめた3人はガイドツアーはやめてランチにむかうことにしました

詳しくはサントリーサイト↓
http://www.suntory.co.jp/factory/hakushu/index.html

ランチはサントリーのレストレンではなく・・・
陶房のぎさんで教えていただいたギャラリーカフェ「かたかご」へ行きました。
着いてみたら、以前に神代桜と桜並木を観に来た時にコーヒーを飲んだ店でした。

http://homepage2.nifty.com/katakago-katakago/

その時は通りがかりに素敵な木の建物に強く惹かれて、ついふらふらと入ってしまったのでした。
工芸のギャラリーには八ヶ岳付近の作品だけでなく、岐阜や伊豆の作家の作品もあり建物と中の空間、展示のバランスが気持ちよいです。
そしてランチメニュー3種類のコースを頼んで3人でシェア
そばがきなどの前菜と鶏肉のハンバーグ、雑穀米のちまきや玄米のごはんなど、自然食でおいしい和食でした。
食後にすぐ外に野生の猿が出没
ご主人が追い出しても、今の時期は人のいない別荘の屋根などを走り回っています。こわ~いのでそうそうに退散。

そして白州の温泉で温まってから、お二人は新宿行きのバスへ

雨でも久しぶりのおしゃべりと、自分も若い時の旅行気分で楽しみました。自分だけだったら決して行かないサントリーでも、森の中の野鳥のサンクチュアリなど意外な発見があり、これからも又別の楽しみ方がありそうです。


オリバー・マースデン展

2009年10月14日 20時19分49秒 | 美術館
今月始まった小海町高原美術館のオリバー・マースデン展は、写真を観ただけで「観に行きたい」と強く思っていました。
丁度そこへ東京のN画廊のKさんから「これを観に行きたいがお宅の近くではないか?」との問い合わせ・・・「待ってました!」状態でご一緒に行くことを即決。
東京からですとちょっと遠回りになりますが、我が家近くの中央道バス停まで来ていただき、私のチビ車で通いなれた141号線をドライブ。

オリバーの作品は今春に小海町に滞在して制作した31点で、期待通り実物は素晴しいものでした。
展示風景は美術館のサイト↓で公開されています。

http://www.koumi-town.jp/museum/exhibition/09oliver/OM03/index.htm

キャンバスにアクリルで描くごく普通の技法ですが、観ているうちにどんどん変化していき、目の錯覚によって動きが感じられます。

美術館の空間を観た上で制作していることもあって、配置といい大きさといい最高の効果をもたらしていて実に気持ちの良い展示でした。
美術館には2箇所の展望台があります。

入り口の脇からのぼり全体を見渡したところ。正面に見える階段のある建物がもうひとつの展望台です。

反対側の展望台は4階まで階段を上りますが、美術館を観るためにあるようです。今日はあいにく曇り空ですがお天気がよければ八ヶ岳連峰が正面にみえるはず。

せっかく松原湖まで来たので前から行ってみたかった白駒池にも行くことにしました。


駐車場から池までの山道は原生林に囲まれています。老いて倒れてそのまま苔むした倒木が沈み込むように地面に同化している様は、生物全体共通の姿を象徴していますがちょっと異様な世界です。

夕暮れ間近の白駒池は神秘的な場所でした。

カメラを持った人に結構たくさん会いましたが、やはりここの風景は被写体としての雰囲気がありました。
かなり山の上の方なので、残念ながら紅葉はもう終わってほとんどの葉が落ちていました。

白駒池から下界におりると車もまばらで、平日の山道はとてもスムーズに帰ってきました。

シーズンとしてはちょっと遅かったですが静かで良い旅でした。

ギャラリー詩遊館

2009年10月13日 16時27分09秒 | ギャラリー
今日は「room 5 斎藤由妃子(陶芸)・神保隆〔平面)」という展覧会です。
斎藤さんはもうずっと10年くらい前から、陶芸作家の中でも気になっていた作品で名前は知っていましたが、ご本人にお会いしたことはありませんでした。
なんとなく、作品のイメージから「寡黙でほっそりした繊細な・・・もしかすると神経質かも」などと勝手な想像をしていたら、とても明るくて気さくな美しい女性でした。
神保さんはやはりずっと以前に東京で拝見したことがありましたが、今年になってからギャラリーアビアントさんの個展でお目にかかっておりました。


会場のギャラリー詩遊館は我が家から車で3分。以前このブログで紹介した村岡夫妻の工房のすぐ近くです。同じ建物の中に「おらんうーたん」の作家の常設展示のギャラリーも入っています。

入り口からみると、全体は白い世界になっていて意外!以前観た神保さんの作品は淡い青や緑だったはず・・・。

器の並ぶ背景の壁は陶芸作品と同じような質感の絵画作品が。

でも、陶芸らしきものがついていて、全体が焼き物のようにもみえます。
これが神保さんの絵・・・?

でした。斎藤さんの陶芸をそのまま組み込んだ作品なのです。
なんともぴったり息の合った展示ですね。

写真だとうまく写りませんが、細い線が入っていて静謐。お茶室に飾りたい。
聚楽壁に合うだろうなあ~

斎藤さんの器は独特のシンプルさで、使う人の力量も問われます。

とはいえ、花瓶はどんなお花をどんな風に入れてもサマになるようにできています。
これも茶室に置きたい・・・。

特にこの花瓶は剣山もいらず、生け花の素養がなくても投げ入れが簡単。なんと親切な・・・

実はこの斎藤さんが作った箸置きを、神保さんが取り入れて平面作品が生まれたのだそうです。

陶芸作品の縦に入っている細い線が、そのまま平面作品の上にもつながっていて違和感なく合体。
本物は質感を味わうような展示なのに、写真が未熟でうまく伝わらないのが残念。

「おまけ」みたいな小さな猫の置物は、飼っている人でないとわからないしぐさで猫好きにはたまりません・・・
それにしても、こんな小さな親指くらいの大きさの陶芸ができるんですね
この展示は18日(日)までです。

ロッジ詩遊館の案内は↓
http://www.oizumi.ne.jp/~oizumi/home/shiyukan/

濱島有莉展@Gallery Amano

2009年10月07日 20時15分38秒 | ギャラリー
Gallery Amanoでは今年最後の展覧会「濱島有莉(はましまあり)展」が始まりました。
私は初めて拝見しましたが、愛知県のご出身で愛知県立芸術大学を卒業されて主に名古屋で発表してきた作家なので、東京の方にはなじみが少ないかもしれません。

タイトルは「Genesis-創世-」
ここ数年はこのシリーズを制作しているとのこと。現在は北杜市大泉町にお住まいで我が家のご近所さんです。

森の中に住んでいると日常生活の中で自然の移り変わりが体にしみこんできます。
四季のうつろいは、そのまますべての生物の発生から成長、老化、枯死というような変化の繰り返しです。
濱島さんはそれを「発生→整理→混沌」と感じ、その中の生まれ変わるイメージー創世ーをテーマにしています。


オーナーの天野氏はひとこと「雅(みやび)」と表現しましたが、本当にどこかなつかしい日本の原風景をも感じます。


黒の背景が白の部分を浮き上がらせて、奥行きがあるようにみえます。

離れて見ると森の奥深くに入っていった時に感じるある気配がみえるような。


作家が森をイメージして表現しても、人によって様々な見え方が出来るのが抽象画の面白いところです。


作品は木製パネルに紙をコラージュし、その上にアクリル絵の具で塗り重ねています。

幾重にも塗り重ねた絵の具の表面を削り取って下の色が見えるところや、細かい草のような線が描いてあったり、細部にわたって繊細な作品です。

拡大するとこんな感じ。

過疎村と都会を行き来するうちに、その変化と気配を心の中に感じ、培養してきたといいます。「都会と自然の幸福な融合を画面に色、形として現すことを制作の基本としてきた」というのが濱島さんの姿勢です。
展示は25日までで、13日(火)19日(月)20日(火)はお休みです。

そして、Gallery Amanoは冬の間は休廊し、来年5月から新たな展示を始めます。
6ヶ月間、毎月まったく違うタイプの個性的な企画展でした。