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第2回作家スタジオ訪問(2011.6.12)、CAP STUDIO Y3 のご報告

2011-07-29 09:10:50 | Weblog
第2回作家スタジオ訪問としてCAP STUDIO Y3を訪問しました。

日時:2011年6月12日(土)13:00-15:30

(1)各アトリエの訪問、展示観賞と作家との交流
(2)意見交換会

(1)
 小雨が降り始めた午後、CAP STUDIO Y3を訪問。
 今回はサウンドアーティストであり、C.A.P.の創設に携わってこられた藤本由紀夫さんが案内役を引き受けて下さいました。

 現在C.A.P.が使用している建物は1928年国立神戸移民収容所として建設。戦後は看護婦の養成機関として使用されていましたが、その後は長年放置され廃墟同然となっていた建物でした。1999年からC.A.P.が関わり、現在は3階の半分と4階の全てをC.A.P.が使用しています。


 今年の6月の初めにアトリエの交代があったばかりで、訪問時には各部屋はまだ引っ越したばかりの緊張感がありました。これから歳月が経過するとドンドン作家の個性がにじみ出てくるでしょう。
 まず見学させていただいた3階の共同スペースは資料室、ワークショップルーム、共同アトリエがあります。共同アトリエには大きな古い木製の靴箱。かつて使用され放置されていた、椅子、机なども廃棄せず残され、現在も皆さんで活用されてました。


 次に4階に移動し、まず訪問した田岡和也さんのアトリエは神戸の街が見渡せる景色の良い部屋で、大変使いやすいとのことです。
 井ノ岡里子さんとは訪問者との距離感の難しさや、そこから興味を持った茶道についても話は広がりました。

 築山有城さんは大きな木の幹を使った作品。腐った部分を除くことで出来た形は不思議な力を感じました。
 坂井良太さんは生活空間に作品を設置したいという試みで、今後この場で行うイベントも計画されてます。

 Veronika Dobersさんは、ドイツ出身。CAP STUDIO Y3での交流や制作を満喫しておられます。
 山村幸則さんは地図を使った、これからの制作構想を話されました。地図の横にはドローイングが数枚あり作品だと思い込んでいましたが、実は山村さんのまだ幼い息子さんが描いたものと知り、一同驚かされました。
 林延子さんは放置されていた椅子を使った作品や、海外で購入した絵はがきを再構成した作品。

 そして後は4階の展示スペースで澤田摩耶さんと松田晶子さんの展示と、工房建物も見学しました。

 スタジオは全てオープンスタジオ。つまり各スタジオのドアはいつも開放され、だれでも自由に訪問することが出来ます。
CAP STUDIO Y3をアトリエとして使用を希望する人は多いそうですが、「自分の個人的なアトリエとして使いたい」という利用希望者はお断りされるそうです。なぜなら、オープンスタジオという名にちなんで、訪問者を受け入れ対応することが大切で、そしてC.A.P.のイベントには参加協力することが前提とのこと。制作現場や表現を見てもらいたい、多くの人と関わりたいという気持ちの持ち主が使用者として向いているようです。

 訪問すると皆さんは制作の手を止め、快く見学に応じて下さいました。作家の皆さん、ありがとうございました。
いつでも自由に訪問が出来ますので、今回参加出来なかった方はぜひ一度CAP STUDIO Y3へ足を運んでみてください。
 


(2)
 C.A.P.が運営している1階のカフェに移動し、意見交換会は始まりました。
 まずは用意して下さった資料を拝見しながら、C.A.P.代表の杉山知子さんがC.A.P.の始まりから現在までを話して下さいました。
元々はアーティスト同士のミーティングからスタートし、特定の場所を持たず企画を中心に活動。そして「CAP HOUSE -190日間の芸術的実験」で現建物を借り受け、半年間の期限付きで活動。この活動が注目され継続して行こなうこととなり、2001年まで活動は続きました。その後NPO法人となり、改修工事前の2008年3月まで建物の管理を神戸市より委託事業として受託され、2009年6月より共同指定管理者の1団体として、芸術の国際交流活動を担っています。

 1996年からスタートしたメンバーシップ制度は活動趣旨に賛同した支援者を募るもので、その存在は大変大きくC.A.P.の活動はメンバーシップから得た収益を元に企画運営されています。
 こうした支援者を増やし、継続して活動を続けていくのに重要なのは、C.A.P.ならではの様々なイベントやワークショップです。
 1999年にスタートしたCAP HOUSEプロジェクトのオープニングワーク「100人大掃除」は使う前に建物の大掃除を楽しんでしまうイベント。
 昨年開催された「アート林間学校」ではただ穴をひたすら掘るだけの講座もあり、キャンセル待ちが出る程の大盛況だったとか。このような企画はアーティストや美術愛好者でなるC.A.P.メンバーの皆さんで企画され実施されています。
 衣装を用意するなど、イベントの細かい部分までトコトンこだわるのがC.A.P.スタイル。
「自分たちもやりたい、楽しみたい。これがいちばん大事」という明るさでユニークな企画をされています。
 そして多くの人が集まり、活動を継続していくにはパーティーも不可欠だと、さまざまな笑い話を交えてお話下さいました。

 C.A.Pは、このようにアーティストが主体となり、運営を行っている国内では珍しいNPO法人です。今後もどのような活動をされるのか楽しみです。
 長時間になりましたが最後までお付き合いいただいた、代表の杉山知子さん、藤本由紀夫さん、ありがとうございました。

(記録:寺谷友美)

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