博多は飛行機の便数が多いので、たいていの出張では日帰りしていて、今回は4日連続…の予定でしたが、移動時間ももったいないし、ちょっとサボりたいと思っていた私は、22、23日はステイにしようと、勝手に決めたのでした。
ホントとウソのあいのこみたいな言い訳をして、東京でのミーティングをいくつかキャンセル。夜の部の仕事は当日の担当が信頼できる子たちばかりなので問題なしということで、久々にぼーっとすることに。
ところが22日の夜になって、クライアント先でアクシデント発生の報を受け、急遽23日朝9時からのミーティングにはどうしても出なければっていう状況になってしまった。連絡を受けたのは13時間前の22日夜8時。はひー。
まず慌てて飛行機の予約変更。ネットでAM7:05に福岡空港発のJALの席が取れ、これは問題なし。
次に23日の午後三時に返す予定のレンタカーだけど、はて、遅くとも朝6時45分には返却しなきゃな計算になるけど、そんな早くに営業所はあいておるのか?
で、ここからが「ハカタホスピタリティー」への感動のはじまり。まず電話で問い合わせたら、営業所は7時にならないと開かないという。トーゼンだけど愕然。普通はここで諦めるところだけど、私の悪い癖がまた始まってしまった。
「ど…どーしてもぉ、300便に乗りたいんですぅ…」
私がレンタ屋さんの営業所の人なら「そんなこと知るか」といったところだけど、ここのおにいさんはあっぱれだった。ちょっと動揺しているアタシに「お客様、おちついてください、まず携帯かPCからウエブチェックインをしたことはおありですか?」
「明日はJAL便なんですけどカードをICにしてないからできないんですぅ…」
「そうですか、それではまず車を返却していただく前に正面の空港駐車場に停めていただき、搭乗手続きをお済ませください。荷物がある場合は預けてください。次に手荷物検査の列が長かったら航空会社のグランドの方に先に一声かけられて、便名とすぐに戻る旨を伝えられてから車をご返却ください。」
「えっ、てことは早めにあけていただけるのですか?」
「確約はできませんしお約束も無理ですが、明日朝の担当にご事情は申し送ります」
「うわー、ありがとうございます」
「次にご精算ですが距離計算しますと時間を要しますので事前に給油をお済ませください。博多中心部方面からお越しでしたら、空港まで20分ほどかかりますので余裕を見てご出発ください。道の左側にはその時間にあいているガソリンスタンドが近隣にございませんが、途中右側のエネ○スがあいています。」
…おお、な・なんという手馴れた案内。でも「七時前にあけます」とは決して言わない。きっと慣習になると営業体制上まずいということでしょうね。でもしっかりした対応にめちゃくちゃ安堵。まずは一つ目の問題クリア。それにしても東京では絶対こういう対応はして貰えないだろうな。ひたすら感動。
ほかの課題はなにかって?…うーん…
課題その2。
翌23日に訪問する予定だった会社にいけなくなってしまった。製本したレジュメと頼まれていたアンリ・シャルパンティエのお菓子をどうやって届けよう…
課題その3。
あさごはんが食べたい。この日(22日)の夜は深夜まで私用も含めてアポイントがふたつ。晩ご飯食べられないのは明らかだった…
(どっちもたいした問題ではないかもしれないけど、ワタシには一大事だ)
ホテルの朝食券をみると7時からレストランが空くとかいてある。うーむ。じゃ、ルームサービスか。…でも、これだって一番早い時間で6:00~6:30、それもこのレンジでホテル側の任意の時間ってことだよね。
…ここで普通なら朝ごはんくらい諦めるのが常識というものだけど、前の日の夜の時点で既に空腹だった私は諦められなくてフロントに問い合わせてみた。(難儀なやっちゃ)
電話口の方はチェックインの手続きをしてくれた馴染みの方だった。いつも夜中に何度か出入りするので車をエントランス前に置かせてもらうというのが私のいつものお願い…なのだけど、他所のちょっと格式のあるホテルでは「わ」ナンバーのコンパクトカーがエントランス前に鎮座することをあまり歓迎なさらない。(特に外資系ホテルでは露骨に嫌がられる)…けど、ここは嫌なそぶりを見せないばかりか、夜中に車を出し入れするときもちゃんとチェーンを外して度々誘導してくれるので、悪いなぁと思いながらいつもつい甘えてしまっている…。(ご・ごめんなしゃいっ)
一つ目の荷物の問題は比較的スムーズにクリア。梱包材と宅配便のラベルを持ってサービスフロントの方が預かってくれた。てきぱきと梱包もして下さり、配達時間指定のことその他色々提案してくれたり…何気なくてすばらしい対応。
ふたつめの「あさごはんを早めに食べたい」という、一つ間違うとヤクザやさんのワガママみたいなリクエストに、フロントはやはり快く応じてくれた。ここでもやはり「六時前にお持ちします」とは絶対言わないのだけど、口調から『六時前に大丈夫ですよ』といってくれているのがわかって、安心した。
その夜も深夜になってから車を二度出し入れしたけど、このワガママな正体不明の、でも月に数日現れるゲストに、快く対応してくれた三人の方々、ほんとに感謝しちゃう。
ある程度の規模のホテルの「ほっといてくれる」感が好きなのだけど、困ったときや要求したときはちゃんと一緒に考えて欲しい。お客ってのはワガママなモンなのだ。
一時間だけ仮眠を取り、AM5:45に目が覚めた。のこのこ起きだして顔を洗おうとして明かりを点けたら次の瞬間チャイムが鳴って「ルームサービスです」の声が聞こえた。(きっとドアスコープが明るくなるのを待っていたに違いない…! お…おそるべし!)
「本当は6時からなんですよね、すみません」
「いえ!大丈夫ですよー」
サーバーの女性はにっこりと笑ってくれた。コンチネンタルの朝食と一緒にテーブルには「佐賀北初優勝」の文字が一面に躍る地元新聞が置かれた。前の日の結果は知っていたけど新聞であらためて見るとまた別の感動。「よかったですね、九州勢がんばりましたよね。」「はい、いい試合でしたね」
サーバーの方は大きく頷いて笑ってくれた。
フロントに下りてみると、昨晩からあれやこれやと世話を焼いてくださった三人のスタッフの方がずらりとにこやかにお出迎え。夜勤中、きっと「ワガママでくいしんぼのお客さん」についてひとしきり話していたに違いないと思うと、急に恥ずかしくなった。
決して小規模ではないけれどアットホームなサービスが必要に応じて提供される…この体制はすごいかもと感心しながらホテルを出た。恩着せがましくないカスタマーサービスが徹底されていることに感動しつつ…。
予定通り6:20に出発。外は大雨。レンタカーを返してから、空港側に渡るまで徒歩で数分かかるから、きっとずぶ濡れになるだろうなと覚悟した。
「わがままばっかり言ってるからばちがあたったんだ…いや、用事をでっちあげて博多でサボろうとしたのが良くなかったか?」
…運の悪さは「バチアタリ」という交換条件要素をあてはめることで受け入れることができるので、気持ちを収束させるのにはこの解釈方法は好都合だ。
ところが、例の「交差点右側」のエネ○スにさしかかったあたりで、急にその雨はあがってしまった。バチアタリはどうした!?
円滑に搭乗手続きも済んで、時計は6時45分。レンタカーの営業所はそこだけが既にあいていて、私を待つように所員の方が立っていました…。うーん、早朝からここでも泣かせるぅ~。
こうして文章で書いてもあまり伝わらないかもしれないけど、こういう人情味のあるホスピタリティを東京で感じたことは実はあまりないのです。勿論丁寧なサービスというのはあるけれど、たとえば時間にイレギュラーを作るということには、判例を作りたくないという理由で、どこも二の足を踏むもの。
「前はやってくれたのに今回は駄目なの?」という手合いのクレームにならないために、防衛策として特例を作ったり営業時間を早めたりといったことは通常はしないのよね。これは理解できます。
急な会議で「23日はサボるぞ計画」は頓挫になり、先に書いたとおり「ばちが当たったか」と思ったけど、暖かいサービスに随所で触れ、大切なものを得た気がしました。ホテルもレンタカーサービスも、それを何気なくやってのけるところがすごい。
古いホテルは設備関係と土地取得代金の償却が終っている場合が多いので、予算を人材獲得にシフトさせることができるというのも、きっとありますね。マニュアルをどう解釈し、どう判断するかという部分に判断への根拠を持ち、適切な対応ができる人材の確保が、肩書きやキャリアよりも本当は一番大切かもしれません。これは仕事の本質と社会的役割を認識しつつ業務が行えているかどうかということに繋がってるかも。
サボるどころが結局またまた二晩徹夜になってしまったけど、いいサービスを受けて、なんだかとても嬉しかった私なのでした…。さすがに一日あけて本日はダウン。
ホントとウソのあいのこみたいな言い訳をして、東京でのミーティングをいくつかキャンセル。夜の部の仕事は当日の担当が信頼できる子たちばかりなので問題なしということで、久々にぼーっとすることに。
ところが22日の夜になって、クライアント先でアクシデント発生の報を受け、急遽23日朝9時からのミーティングにはどうしても出なければっていう状況になってしまった。連絡を受けたのは13時間前の22日夜8時。はひー。
まず慌てて飛行機の予約変更。ネットでAM7:05に福岡空港発のJALの席が取れ、これは問題なし。
次に23日の午後三時に返す予定のレンタカーだけど、はて、遅くとも朝6時45分には返却しなきゃな計算になるけど、そんな早くに営業所はあいておるのか?
で、ここからが「ハカタホスピタリティー」への感動のはじまり。まず電話で問い合わせたら、営業所は7時にならないと開かないという。トーゼンだけど愕然。普通はここで諦めるところだけど、私の悪い癖がまた始まってしまった。
「ど…どーしてもぉ、300便に乗りたいんですぅ…」
私がレンタ屋さんの営業所の人なら「そんなこと知るか」といったところだけど、ここのおにいさんはあっぱれだった。ちょっと動揺しているアタシに「お客様、おちついてください、まず携帯かPCからウエブチェックインをしたことはおありですか?」
「明日はJAL便なんですけどカードをICにしてないからできないんですぅ…」
「そうですか、それではまず車を返却していただく前に正面の空港駐車場に停めていただき、搭乗手続きをお済ませください。荷物がある場合は預けてください。次に手荷物検査の列が長かったら航空会社のグランドの方に先に一声かけられて、便名とすぐに戻る旨を伝えられてから車をご返却ください。」
「えっ、てことは早めにあけていただけるのですか?」
「確約はできませんしお約束も無理ですが、明日朝の担当にご事情は申し送ります」
「うわー、ありがとうございます」
「次にご精算ですが距離計算しますと時間を要しますので事前に給油をお済ませください。博多中心部方面からお越しでしたら、空港まで20分ほどかかりますので余裕を見てご出発ください。道の左側にはその時間にあいているガソリンスタンドが近隣にございませんが、途中右側のエネ○スがあいています。」
…おお、な・なんという手馴れた案内。でも「七時前にあけます」とは決して言わない。きっと慣習になると営業体制上まずいということでしょうね。でもしっかりした対応にめちゃくちゃ安堵。まずは一つ目の問題クリア。それにしても東京では絶対こういう対応はして貰えないだろうな。ひたすら感動。
ほかの課題はなにかって?…うーん…
課題その2。
翌23日に訪問する予定だった会社にいけなくなってしまった。製本したレジュメと頼まれていたアンリ・シャルパンティエのお菓子をどうやって届けよう…
課題その3。
あさごはんが食べたい。この日(22日)の夜は深夜まで私用も含めてアポイントがふたつ。晩ご飯食べられないのは明らかだった…
(どっちもたいした問題ではないかもしれないけど、ワタシには一大事だ)
ホテルの朝食券をみると7時からレストランが空くとかいてある。うーむ。じゃ、ルームサービスか。…でも、これだって一番早い時間で6:00~6:30、それもこのレンジでホテル側の任意の時間ってことだよね。
…ここで普通なら朝ごはんくらい諦めるのが常識というものだけど、前の日の夜の時点で既に空腹だった私は諦められなくてフロントに問い合わせてみた。(難儀なやっちゃ)
電話口の方はチェックインの手続きをしてくれた馴染みの方だった。いつも夜中に何度か出入りするので車をエントランス前に置かせてもらうというのが私のいつものお願い…なのだけど、他所のちょっと格式のあるホテルでは「わ」ナンバーのコンパクトカーがエントランス前に鎮座することをあまり歓迎なさらない。(特に外資系ホテルでは露骨に嫌がられる)…けど、ここは嫌なそぶりを見せないばかりか、夜中に車を出し入れするときもちゃんとチェーンを外して度々誘導してくれるので、悪いなぁと思いながらいつもつい甘えてしまっている…。(ご・ごめんなしゃいっ)
一つ目の荷物の問題は比較的スムーズにクリア。梱包材と宅配便のラベルを持ってサービスフロントの方が預かってくれた。てきぱきと梱包もして下さり、配達時間指定のことその他色々提案してくれたり…何気なくてすばらしい対応。
ふたつめの「あさごはんを早めに食べたい」という、一つ間違うとヤクザやさんのワガママみたいなリクエストに、フロントはやはり快く応じてくれた。ここでもやはり「六時前にお持ちします」とは絶対言わないのだけど、口調から『六時前に大丈夫ですよ』といってくれているのがわかって、安心した。
その夜も深夜になってから車を二度出し入れしたけど、このワガママな正体不明の、でも月に数日現れるゲストに、快く対応してくれた三人の方々、ほんとに感謝しちゃう。
ある程度の規模のホテルの「ほっといてくれる」感が好きなのだけど、困ったときや要求したときはちゃんと一緒に考えて欲しい。お客ってのはワガママなモンなのだ。
一時間だけ仮眠を取り、AM5:45に目が覚めた。のこのこ起きだして顔を洗おうとして明かりを点けたら次の瞬間チャイムが鳴って「ルームサービスです」の声が聞こえた。(きっとドアスコープが明るくなるのを待っていたに違いない…! お…おそるべし!)
「本当は6時からなんですよね、すみません」
「いえ!大丈夫ですよー」
サーバーの女性はにっこりと笑ってくれた。コンチネンタルの朝食と一緒にテーブルには「佐賀北初優勝」の文字が一面に躍る地元新聞が置かれた。前の日の結果は知っていたけど新聞であらためて見るとまた別の感動。「よかったですね、九州勢がんばりましたよね。」「はい、いい試合でしたね」
サーバーの方は大きく頷いて笑ってくれた。
フロントに下りてみると、昨晩からあれやこれやと世話を焼いてくださった三人のスタッフの方がずらりとにこやかにお出迎え。夜勤中、きっと「ワガママでくいしんぼのお客さん」についてひとしきり話していたに違いないと思うと、急に恥ずかしくなった。
決して小規模ではないけれどアットホームなサービスが必要に応じて提供される…この体制はすごいかもと感心しながらホテルを出た。恩着せがましくないカスタマーサービスが徹底されていることに感動しつつ…。
予定通り6:20に出発。外は大雨。レンタカーを返してから、空港側に渡るまで徒歩で数分かかるから、きっとずぶ濡れになるだろうなと覚悟した。
「わがままばっかり言ってるからばちがあたったんだ…いや、用事をでっちあげて博多でサボろうとしたのが良くなかったか?」
…運の悪さは「バチアタリ」という交換条件要素をあてはめることで受け入れることができるので、気持ちを収束させるのにはこの解釈方法は好都合だ。
ところが、例の「交差点右側」のエネ○スにさしかかったあたりで、急にその雨はあがってしまった。バチアタリはどうした!?
円滑に搭乗手続きも済んで、時計は6時45分。レンタカーの営業所はそこだけが既にあいていて、私を待つように所員の方が立っていました…。うーん、早朝からここでも泣かせるぅ~。
こうして文章で書いてもあまり伝わらないかもしれないけど、こういう人情味のあるホスピタリティを東京で感じたことは実はあまりないのです。勿論丁寧なサービスというのはあるけれど、たとえば時間にイレギュラーを作るということには、判例を作りたくないという理由で、どこも二の足を踏むもの。
「前はやってくれたのに今回は駄目なの?」という手合いのクレームにならないために、防衛策として特例を作ったり営業時間を早めたりといったことは通常はしないのよね。これは理解できます。
急な会議で「23日はサボるぞ計画」は頓挫になり、先に書いたとおり「ばちが当たったか」と思ったけど、暖かいサービスに随所で触れ、大切なものを得た気がしました。ホテルもレンタカーサービスも、それを何気なくやってのけるところがすごい。
古いホテルは設備関係と土地取得代金の償却が終っている場合が多いので、予算を人材獲得にシフトさせることができるというのも、きっとありますね。マニュアルをどう解釈し、どう判断するかという部分に判断への根拠を持ち、適切な対応ができる人材の確保が、肩書きやキャリアよりも本当は一番大切かもしれません。これは仕事の本質と社会的役割を認識しつつ業務が行えているかどうかということに繋がってるかも。
サボるどころが結局またまた二晩徹夜になってしまったけど、いいサービスを受けて、なんだかとても嬉しかった私なのでした…。さすがに一日あけて本日はダウン。