ぼくらのありのまま記

ぼくらは
こんな大人になりました。

特別な日の本鮪

2016-05-22 19:13:38 | 唐桑日記
磯屋の鯛に続いて、今日は臼福本店の本マグロ。

出張の鮨握りで使った本マグロ。
東部大西洋、天然モノ186キロ。
気仙沼で遠洋マグロ船を操業している
臼福本店の「第1昭福丸」が水揚げしたもの。



臼福本店は、松島に店舗を持っていて、
水揚げした鮪を少量でも売ってくれるからすごい重宝する。
(ふつうは大きいブロックしかない)
今日その臼福さんの船、第58昭福丸が遠洋航海に向けて出発した。


僕は僕で
【東京から来るお客さんに気仙沼の美味しいものを食べさせたい!!】
といちよさんの知り合いに頼まれた出張握りの仕事があって。
話を聞いたら、そのお客さんたちは食事の前に
第58昭福丸の出船送りに行くということだった。


これは臼福マグロの出番だ!!
「この中トロ、臼福さんの船が水揚げしたマグロなんですよ!」
と言いたかったので、早速社長の臼井さんに連絡してマグロを手配してもらった。
事情を説明したら、僕に頼んでくれたお客さんも喜んで了承してくれた。

今日使ったネタは、牡蠣、帆立、トロ、中トロの4種類。


うちの牡蠣と帆立もこの鮪に見合うもので、今日は握っていて楽しかった。
今日は牡蠣の煮ツメがめっちゃくちゃ美味しくできたし。
いちよさんも一緒に来てくれてその場で牡蠣剥きをして、
提供した帆立と牡蠣のBBQもやっていて、「こりゃあ気仙沼らしいや。」という一日だった。


「これが、臼井さんの鮪かぁ。
上手いなぁ。おかわりないの?
あぁそおかぁ、もう終わりかぁ。
じゃあまた来年も食べにくるから。
臼井さんにもよろしく言っておいてね!」
食べたお客さんに言ってもらえた。

お客さんたちはとても喜んでくれたし、
ホスト役で僕たちに仕事をくれた方も大変喜んでくれた。


この本マグロ、どんくらいの価値がある魚なのかというと、、、
これはもう、扱えるだけで鮨屋として幸せなレベル。
例えば東京の鮨屋で一貫1000〜2000円(場所によりけりだけど)はする品質と値段のネタ。
使いたいけど値段的にもリスクが高いのでマグロはメバチやインドを使っている所が多い。
あつかうマグロの質をあげるということは、その値段で食べて、
価値がわかるお客さんに認めてもらわないといけない。


「マグロは美味しいけど他はちょっとなぁ」では駄目なので、
他の魚の質もランクを落とせない。そうなってくると、
このサイズの天然本鮪が食べられる鮨屋の客単価は
2万~3万円のお店に限られてくる。
(もっと良心的なお店もあるでしょうけどね。)

札幌にいた時には、300キロ級の津軽海峡の天然本マグロを
秋から冬にかけて一番脂の乗る時期に一本買いするお店にいて
(一匹300〜400万前後、頭や骨、鮨ネタとして使えない部分も含めた値段)。
その2年間は日本中の最高級の魚を扱わしてもらっていた。
でも毎日めっちゃくちゃ怒られてて、鮨屋もうやだ!!
嫌になって逃げ出して1年間旅をしていた。
それで気仙沼にたどり着いて、
いちよさんに誘われて今ここで料理をしているのですが。
気仙沼にある魚がどれだけ価値のあるものなのかが、
客観的に判断できる経験と知識が
札幌にいたおかげで身に付いていてよかった。

嫌で嫌で仕方なかった札幌での2年間がじわじわと肯定できるようになってきた。
気仙沼のみなさん、どうもありがとうございます。

ちなみに臼福本店のマグロは
こちらで買えます。
家庭用サイズもあるし、解凍方法も
詳しく教えてくれるので
「特別な日」にぜひ!!

最新の画像もっと見る