ぼくらのありのまま記

ぼくらは
こんな大人になりました。

フィーチャークッキング

2017-10-22 16:08:01 | 東京日記

鮨会ではなく、特定の食材にひかりを当てるフィーチャークッキング。
色々な種類を食べる鮨会とは違う良さが伝わります。

気仙沼での3年間、ひたすら牡蠣と向き合い、ただ純粋に
「牡蠣のおいしさを伝える」という課題に取り組むうちに
フィーチャークッキングの楽しさにハマっていきました。



今回は「鯛のお吸い物が飲みたい」と奥さまのリクエストがあったので、
鮨ではなく、フィーチャークッキングでいこうと決めました。

・鯛のカルパッチョ
・かぶととあらの酒蒸し
・鯛と牡蠣のアヒージョ
・鯛のパエリア
・鯛めし
・鯛のお吸い物

の6種類の鯛コースをつくりました。

「俺、鯛、嫌いなんだよねぇ、、、でもこれはうまいわ」

結婚◯◯年の夫婦なのに、旦那さまは、まさかの鯛が嫌いという、
一気にアウェー感が半端ない感じになった食事会でしたが、、、。

はじめに出した、カルパッチョと酒蒸しを食べて「うまい!」をいただき、一安心でした。


ここ2ヶ月は「ぶり」にメロメロでしたが、、、。
ぶりはねぇ、、、めっちゃくちゃ美味しいんです。
脂のっているので、しゃぶしゃぶも、握りも最高なんです。
それでも、、、ぶりのコースだとねぇ、最後は飽きてしまうというか。
一回食べたら「大満足!!」という食材な気がします。
(年齢のせいかもしれないなぁ、、、、)

鯛コースは「来週もまた食べたい。」と思えるような、
あっさりした、日常的な美味しさをかもし出しつつ、
「やっぱり特別だよねぇ。」
とも思わせてくれるポテンシャルを持ち合わせています。
鯛は日本を代表する魚なのだと、あらためて思いました。


(みんな、丸ごとの鯛を初めて見たので撮影会になってましたーw)

つくり方を聞かれたので、載せておきます。

写真はお客さんが撮ってくれたのをもらいました。

・鯛のカルパッチョ
ヨコ井のお酢とオイルのドレッシング・岩塩・白こしょう・バルサミコ酢をそれぞれお好みで。
鯛をお刺身カットで切り、オニオンスライスにのせるだけ。自家削りのかつお節があったのでかけていました。



・かぶととあらの酒蒸し
じゃがいもの1センチスライスを鍋に敷きつめ、かぶと、あらをのせる。
お酒、塩、昆布、生姜スライス5枚を入れ、沸いたらコトコト火で15~20分。
鍋底にじゃかいもなどのお野菜(玉ねぎ、長ねぎ、大根とかも合う)を敷きつめて煮ると,
鍋の熱が魚に直接わたらないので、ふっくら仕上がります。
じゃがいもにも鯛フレーバーが染みついて、おいっしいです。




・鯛と牡蠣のアヒージョ
鯛を15分、牡蠣4分塩漬け後、どちらも水洗い、水気を拭き取る。
丸ごとニンニクを何個か入れ、オイルで煮る。
グツグツしたら弱火にして10分。
短時間で強めに塩漬けし、追い塩をせず、
食材からの塩分をオイルにのせていくのが好きです。





・鯛のパエリア

ベーコンをオイルで炒め(ドライトマトを忘れ、ベーコンがあったのでw)、生米を入れ炒める。
オイルが米に馴染んだら、お吸い物のお出汁を投入。沸騰したら蓋をして弱火で15分。)






・鯛めし
鯛の炊き込みご飯。お吸い物のお出汁に、醤油、酒を加え、土鍋で炊く。
炊き上がりに針切りにした、ミョウガ、ネギ、生姜と三ツ葉をまぜて完成。
薬味を後から混ぜると、香りと食感が感じられて最近はそうしている。
刻み生姜は炊くときにいれてもいい。





・鯛のお吸い物
出し昆布と、鯛の骨をいれて80度くらいでずっと火をかけておく。(お酒と塩で味を調節。)
全ての調理が終わり、お吸い物をだすころにはいいお味になっています。
そこに、角切りの鯛の塩焼きを入れて、温めたらできあがり。




何年か前にいったバルセロナ。
連れて行ってもらったパエリア屋さんで
前菜と、肉料理、パエリアが2〜3種類。
ゆっくりワインを飲みながら、パエリアが出来上がるのを待つ。
その時間がすごく楽しかったのを思い出して。
「ごはんもの」が何種類かあるのも、全然悪くないなと考えるようになったのでした。

「和」とか「洋」とか意識もせず、完成するイメージさえ曖昧のまま。
枠からはみ出した自由の中で「鯛が料理に導いてくれる。」
それが、フィーチャークッキング!!!

正解もレシピも後付け。キャンプ料理や家庭料理に近い美味しさかも。




ヨコ井のお酢

2017-10-21 10:31:49 | 東京日記
横井醸造さんに行って来ました。

東京にお酢工場があるなんて知らなかった、、、。


この前、とある飲み会で(合コンじゃないよw)、
目の前に座った、初めましての女性と話す機会があった。


食に精通している方だったので、
『最近、赤酢(粕酢)にハマってて、ミツカンミュージアムに行って来た』なんて話をしていたら、
「東京にも赤酢つくっているところありますよ。」と教えていただいた。

言ってみるものだ。

そして、去年、いや、半年前に
「東京にお酢つくってる会社あるんですよ」と言われても
なんとも思わなかったから。人のアンテナは不思議だ。
そして、その会話から細い糸をたどっていくのが、好きだ。
(興味ないときの聞いてなさも、半端ないんだよなぁ、、、。)

「ちょっとの興味と集中力と行動力」で、どんどん世界は広がっていく。

後日、飲み会で出会った女性にお礼のメールをして。
(ナンパじゃないよw)

「あの、、、横井さんの工場見学とかできたらしたいんですけど、紹介いただけますか?」と言ったら
みなさま、快く受けていただき、工場見学をさせていただく運びになった。



初めて酒粕を熟成しているタンクを見せてもらったのだけど。
香りがめっっちゃくちゃいい!!!!

人類が誕生する前から、果物が木から落ち、皮に守られて中の果肉が発酵して、サルや像が
その匂いに魅了されて、アルコールを含む果物を食べていた。
ということが発酵の技法に書いてあったけど。


いやぁ、これは魅了されるのわかるわぁ。


発酵も醸造、それに必要な「菌」は人類より長生き!!!
とか、考えると世界の見え方が変わってくるわぁ。こういう「勉強」はとっても楽しいね。
こういう、ここでしか味わえない香り、色、空気を知るためなら、
本当どこでもいくよー。

今年の春に仕込んだもの、6年目、9年目。
それぞれのタンクを見せてもらったけれど、
それぞれ、香りも色も全然違う。

やっぱり9年ものが、香りも色も濃いー!!!!
ベリーのような、チョコレートのような、ブランデーのような。

発酵により、アルコール、アミノ酸、糖、香り、色が熟成されていく。
(アルコール、アミノ酸、糖がある程度の年数で熟成具合が止まっても、香り、色は熟成を続けるんだってー)





このまま9年ものの酒粕だけで粕酢つくったら
モデナみたいな濃厚で甘ずっぱいお酢になるのかなぁ。
モデナは熟成の香りと味そのまま閉じ込めたみたいだったから。
「あの酒粕の香りを閉じ込めた粕酢」あったらめっっちゃ楽しいだろうなぁ、、、、。



飲んで見たいけれど、、、9年ものだけでのお酢はつくってないらしい。
(もしや、、、他の誰かは、もう誰かつくってるのか??
知っている人いたら教えてくださいーw)


「ミツカン山吹」は「3年熟成」の酒粕のみを使うのに対し、
「ヨコ井のお酢」は、様々な年数の酒粕をブレンドして、お酢をつくる。

そして米酢も玄米から作る黒酢もつくっているんだけれど。
それらをブレンドして「横井のお酢」として、売っているんだってー。

今は、残念ながら純正な「赤酢」のラインナップは生産終了しているそうな。

ヨコ井さんのお客さんはほとんど鮨屋もしくは、
居酒屋などで、寿司もだしたりとかする事業者向けで。
お客さんに合わせて、好みに合わせた
「ブレンドの合わせ酢」をつくるのが得意なんだって。

得意というか、、お客さんの期待に答えて言ったら
そういうラインナップが増えて来たそうで。


(寒い雨の中、アテンドありがとうございました。)

僕がいた鮨屋は自分たちで「すし酢」を配合していたけれど、
その「合わせ酢」さえあれば、誰でもできるから、
大きい事業者になればなるほど「合わせ酢」の需要が増える。

まぁ、そりゃあそうだ。
「シャリきって」と言ったときに
だれでも配合気にせずそのお酢いれれば完成!!のほうが
効率的だから。

そして、、、その合わせ酢「金将」、その場で味見したけれど。
「うわぁ、美味しい酢飯できるわぁ!」と想像できるもん。

次回の鮨会はヨコ井のお酢でやろーっと^^。



(玄関の樽と、買った「金将」を持って、記念写真を)


「買う人がいない」というのは、文化がどんどん無くなるね、、、。
せっかく「粕酢」が売りなのに、100%の商品が売れないなんて。

その辺、ミツカンの吹っ切れ具合はすごい。


(MIM(ミツカンミュージアム)限定発売 純酒粕酢 三年熟成 千夜【ミツカン公式】)

ミュージアムでしか買えない、6年熟成のお酢があるくらいだから。

ヨコ井さんも、長期熟成の粕酢でガンガン攻めてくれたらお酢業界面白くなるなぁ!!と。
お酢ウォッチャーは身勝手に思うのでしたーw



みなさま、今度、ヨコ井醸造さんに、
一緒に熟成酒粕の香りを嗅ぎにいきましょー!!!
新木場でーす。

10/20わたくし、誕生日なのですが、また1年頑張れる、思い出が欲しいですー!!!

2017-10-18 23:08:09 | 東京日記

おかげさまで、明日、10月20日、35歳を無事に迎えることができそうです。



34歳も、遊んでいただきありがとうございます。
それで、年に一度のお願いなんですが、誕生日プレゼントとして、



鮨会で使う、
・ぐい呑み
もしくは、
・小鉢が欲しいです。

100均に売っているものでも十分です。
揃ってなくても構いません。ひとつだけで構いません。
アマゾンでポチってしてくれても構いません。
(住所教えますので、ご連絡くださいー!!笑)
ふぞろいのぐい呑みや小鉢たちも、それはそれで、味があります。


生牡蠣のマリネとかをスッとだせる、小さな小鉢が欲しいです。


「あー、これ、あの人にもらったんだよなぁ」



そんな思い出がある器を使って、鮨会ができたら嬉しいなぁ!!
そういう器がそばにあると、ひとりでつくっていても、
誰かと一緒にいるんだなーと感じられます。

「そういえば、この器、隣の方からいただいたんです!!」
なんて、いつかの鮨会で紹介できたら最高じゃん!!
と思っています。



(今は月3回限定で日本橋のレンタルキッチンで鮨会を開催しています。)

そういう、思い出って、自分で買った器じゃあ、つくれないんです。





誕生日は両親への感謝と、
友人へ欲しいものをお願いできる日と考えていますので笑、
ご協力お願いしますー。
まぁ、僕が言うのもなんですが、送っていただいた方は、
「いいことしたなぁ!!」と嬉しい気分で、
1日が過ごせること間違いなしです。
毎回、鮨はあなたへのプレゼントだと思って握ってる僕が言うので、間違いないです笑。
本人がお願いしているものなので、絶対に喜びます。



かたちあるもの、いつかは壊れますが、それまで一生大切に使います。



鮨会でも、毎回、食材や人と新しい出会いがあります。

ようやく「めずらしさ」や「若さ」「あたらしさ」とかではなく、
「いつでも、どこでも、おいしい」と認めてもらえるような評価を
いただけるようになった。そんな手応えを感じられるようになりました。
(気を抜いたらすぐに足元すくわれる)






22歳からはじめたこの仕事。
はじめの10年では鮨の技術、仕込み、道具の使い方を覚えました。

気仙沼での3年間は海のそばで暮らし、
牡蠣とホタテを自分たちで育て、
その食材を、育った海が見える宿にて料理で届ける仕事をしました。



そこの3年間ではほぼ鮨を握りませんでしたが、食材への理解が深まったせいか、
自分で言うのもなんですが、すげーレベルアップしました。
あと、気仙沼に行って、一番良かったなと思うことは、、、、
技術とともに身体に染み付いてしまった「鮨職人はこうあるべき」という
小さな社会の常識が、抜け切ったことです。





今から、ゼロになり、自分が続けられる鮨職人のあるべき姿を、考えていこうと思います。
(一度、こんな仕事はもう無理!!と思ったので、持続可能な方法を探します。)

これからおそらく数年間、僕は東京のキッチンにとどまることなく、
食材探求のキャンプのような時間をすごすと思いますが
「鮨職人のあるべき姿」の探求として、時間を使おうと思います。

そんな、新たなスタートの一年目。
みなさまがくれる(はずの!)思い出の器と
暮らせたら嬉しいです。

ということで、恥ずかしがらずにカモンベイベ。です。

送ってあげるよー!!と言う天使のような方は
sushi.to.oyster@gmail.com にご連絡を。よろしくお願いしますー!!!






人ができないことをやる。

2017-10-17 20:54:34 | 東京日記
職人という仕事は人ができないことの「代行業」だと思っている。

お鮨を食べたい人が、つくるより、
お店に行く方がいいと思うからそれが仕事になる。


鮨業界の今はどうなんだろうなぁ、供給過多な気がする。
回転すしも、大衆店も高級店もどこにでもある。
その中で「どうやって選ばれるか」ということを、
考えないといけない。

「回転すし」しか食べたことない人もいるし。
日帰りで札幌の鮨屋にお鮨を食べに行く人もいる。

「鮨」自体は、カレーと焼肉、とんかつくらい、
みんなに愛されている食べ物だと思う。

その中でも、新しいお店もできるし、
閉店するお店もたくさんある。


その中で、どうやって生き残っていくのか。

鮨職人が少ない場所に行くのか。
あえて需要が多い場所で勝負するのか。
高くするのか、安くするのか。
ワインで勝負するのか、日本酒で勝負するのか。
それとも他の鮨職人にすらできない何かを身につけるのか。
「働き方」を変えるのか。
基本は「味の追求」それしかない。
でも、それは、鮨職人はみんながしていることだ。
それだけで成功しないことは、閉店した
沢山のお店を見ればあきらかだ。


これから、選ぶ道は無数に広がっている。



今の僕は、気仙沼の3年間での経験が
他の鮨職人では体験していないことだったから、
今はなんとなく、ウケているし、
そこで出会ったお客さんが来てくれている。
でも、例えばどこかでお店を開いたとしても、
それが「ふつうの鮨屋」だったら、
すぐに飽きられるんだろうな。とも思う。



最近、自分が職人として活躍するのは、
50~70歳くらいがいいなとぼんやりと思っている。
そこで自分が活躍できる職人になるためには
・「一流の鮨職人」の人でさえ「したくてもできない経験」を積むこと。
・今から、それまでの過程を楽しんでくれる人と一緒に成長すること。

が、できたら楽しいなと思う。



その時に「鮨職人」の技術が求められる社会かどうかはわからない。

クジラ漁みたいに、漁業自体が悪とか、環境汚染で生魚食べれません。
みたいな話になっている可能性だってあるから、、、、。


日経ビジネスにこんな記事が流れてました。









記事よりスクリーンショット)



はっきりいって、のんきに鮨握ってる場合じゃないくらい魚ないんですね。
かといって解決策は養殖しかないとも限らなくて、
養殖魚の餌は、海からとる魚を砕いてペレットにしたものも使っているから、
そもそも資源の枯渇につながってるんじゃね?例えばさ、エビの養殖場つくるのに、
その場所の生態系も壊してるし、餌取るのにも、生態系破壊してんじゃね??



という話もあります。↑↑(The four fish we're overeating -- and what to eat instead | Paul Greenberg;4分くらいから)

そもそも、日経ビジネスの記事で語られていることは、
「食料供給量が足りなくなる」という話で。
「天然か養殖か、回転すしか、高級店か」という贅沢な話ではなく、
「栄養源として食っていかなきゃいけない」という話なので、
そこまでの食料危機になれば鮨屋のスタイルは今と同じようにはいかないでしょう。


でも、きっと、最上級の贅沢品としての鮨はなくならない。
自分がそこに、情熱を見いだせるか。そこまでになれるのか。

そういうことになってくるだろうな。

こういう話をすると、何にも考えずに、ただ純粋に
「おいしい!!」と思って鮨が食べられなくなるんだけど。
2017年の今、こういう現状の中で生きていながら、
いろんな鮨職人はこの現状を知ってかしらずか、それぞれの道を進んでいるんだねー。
(僕は鮨職人の友だちがひとりもいないので、他の職人がどう思っているかわからないですが、、)



まぁ、今やるべきことはちゃんとやる。
それが将来、「必要とされない仕事」になる可能性があったとしても。
「やりたいからやる」という姿勢で、やろうと思います。