ぼくらのありのまま記

ぼくらは
こんな大人になりました。

大野重男 「ハーモニィセンターの原点」 第4話

2013-11-08 18:43:12 | ぼくらのありのまま記
第4話「また会いたいを、ちょっとだけでも」


前回の話し、プロフィールはこちらから


まだまだハーモニィセンターにはたどり着きません。
学生寮のお祭りで行った運動会のお話しです。



大野 
年に一度寮祭っていう寮のお祭りがあるんだけどね、
僕がそのときは実行委員長になったんだと思うんだよね、確か。


たら 
ええ。

大野 
でね、いままでの企画を見てるとくだらないんだよね、
やってることが。


たら 
はははは。

大野 
学生だからね、わがままが許されるとかさ、
学生だからってことにおんぶにだっこしながら甘えてるんだよね。


たら 
自分たちが楽しければいいっていう感じですか?

大野
そうそう。それはちょっと違うんじゃないかって思うんだよね。
例えばね、自分のお祭りなのに、普段は食べてないそば屋にいって
広告を載せてもらおうとかね、近くの洋裁学院の女の子を呼んで
ダンスパーティをしようとか大学まで裸おどりでいこうとか
なにやりたいかっていったらレベル低いわけね笑。


たら 
レベル低い笑。

大野 
ちょっとね、違うんじゃないかと思って
「俺たちはね、地方からでてきてここで、二年間世話になってる。
二年間いるわけだけれども、出て行ったときにね、
あの学生たちにまた会いたいとか、
あの学生達が二年間ここにいて楽しかったわ
とかそういうふうなことを、残していくようなお祭りにしよう」
って言う訳よ。そうするとね、9割型反対なわけよ。


たら 
楽しくないじゃないかと。

大野
「お前は頭が固い!!だから頭が薄いんだ」
なんて言われちゃって笑




たら 
その頃から薄かったんですね笑
(ハゲネタは理事長お得意のネタであります。)


大野 
ただね、毎日夜更けまで酒盛りしてどんちゃん騒ぎしてだよ、
大声で歌って、迷惑をかけたり、表札、酔っぱらうと
表札もってくる奴いたんですよ。


たら 
あー、何でももってくるやついますよね。

大野 
部屋を調べたら結構集まってるんだよね、はがして集めるのはいいけど、
返すに返せなくなっててね。そういうふうにして迷惑をかけてね。
そういうのが学生だから許されるというのは違うんじゃないかと。


たら 
どんちゃん騒ぎも楽しいですけど、それだけじゃだめだよねと。

大野 
「また会いたいね」って気持ちをちょっとだけでも
この地域で暮らした人たちに残していく、いい機会として
寮祭を考えたらどうか なんていったらみんなシーンとなっちゃってね笑

    

たら 
「大野、そんなに固いこというなよ、
楽しければいいじゃないか、ダンスしようぜ」と。

大野
「若いんだから青春を謳歌しようぜ」
「ダンスパーティや、裸おどりが
青春を謳歌することだとは思わないんだけどなー」
なんて言ってたら、なんでか僕が実行委員長になるんですよ。
「じゃあ、僕を選ぶなら僕の方針通りやろう」って。


たら 
へー。それでも選ばれたのがすごいですよね。

大野 
でね、周りの人に「また会いたい」とか思ってもらうなら
どうすりゃいいんだよ。なんて言われて
「そうだなー、いろいろ考えられるんだけどね!!」
なんて言いながらその場で必死に考えてるわけですよ、ほんとうは。


たら 
フル回転で笑

大野 
それで考えたのが子ども会なんですよ。近所の子どもを集めて、
「庭で運動会をやろう!!」と。したら
「馬鹿言え、こんな小さい庭で運動会なんてできるわけない」と


たら 
ええ。

大野 
「だいたいね、俺の頭固い固いっていうけど、
運動会は広いところじゃないとできないっていう
お前の考えのほうが頭が固いんだ!!」
「じゃあどんなのやるんだよ」
「競馬レースや綱引き、自転車レースとか
いろいろ考えられるんだけどなー」なんてことを話してたら
こんなところでどうやってやるんだってことで、
だんだん興味を持って耳を傾けるようになりましたよ。


たら 
こりゃあ見物だぞと。

大野 
自転車レースどうするかというと近所から自転車をかりると。
で、学生が前と後ろに子どもを乗せて、
倒れずゆっくり行けた人の勝ちっていうね、
そうすれば狭い場所でもなんとかできる。


たら 
高校のころと一緒ですよね、
その場にあるものでどう楽しむかっていう。

大野 
競馬レースなんて面白いですよ。学生を馬にしてね、
子どもに乗ってもらおうなんてね笑


たら 
そりゃあ子ども喜びますね、笑顔が浮かびますもん。
 
大野 
喜びますよ!!学生も泥んこになりながら必死に走るわけでしょ?
で、僕は実行委員長ですから笑。どの馬に、どの子を乗せるか
っていうのをね、反対派のやつには、なるべく
体重の重い子どもを乗せるとかね、そういう差をつけて遊んでたね。


たら 
そういうユーモアっていいですね。

大野 
その二つだけだってね、結構楽しんだね。
そして、案内状をつくったんだよね、その案内状を配るのは、
夜飲むとでっかい声で歌を歌ってさ、
「顔は知られてないけど、声は知られてる」っていう奴で。


たら 
ええ。



大野 
そのときに案内状も作って。
「私たちは、寮に住む学生たちです、心を入れ替えました。
今までは迷惑ばかりかけてたけど、皆さんと仲良く、
楽しく過ごすことを大切にしていきたいと思っています。
ついては何日の日曜日、
親子運動会をやることになりました。
でも、私たちには道具もなにもなく、
当日つかう自転車を貸してもらいたい。」
なんて内容の案内状を書いてね、

   
たら 
ええ、ええ。 

大野 
あと一番大切なのは「当日、自分たちにはお昼ご飯をつくる時間がないので、皆さんの家庭の分、プラス、学生の分もつくってください。」ってお願いしたんだよね。


たら 
へぇー!!なかなかできないお願いですよね、それは。

大野 
したらね、当日はすっごいもって来てくれたの!!



(手作りのおにぎりはいいよなぁ。矢田里美作。)

たら 
ああ、それはいい話しですねー。

大野 
チラシ配りに行っても
「あ、あなた歌が上手な人でしょ?」なんて覚えられてて、


たら 
はははは。

大野 
で、ごめんなさいって言って、
そいつは歌を歌わなくなったんだよね。


たら 
顔もバレたし。
関わりができたことで変化が生まれたんですね。

大野 
騒音防止に役立ったんだよね笑


たら 
だいぶ役立ってますね笑

大野 
「こんなに楽しい学生さんがいたんだ!!」
ってことにも運動会が終って気がついてくれて。


たら 
今まではただのうるさい学生だったのが。

大野 
子ども達も遊びにくるようになりましたから。
一緒に「家庭の味に飢えてるんでしょ?」
なんていって学生の分のお弁当も一緒にもたせてくれたり。
「うちの子どもに勉強を教えてください」
なんて家庭教師の話しも舞い込んだりね。


たら 
へぇー。それはすごいなー。

大野 
関わりが生まれたんだよね。それもね、高校生のころに
子ども会をやってなかったらとっさに運動会なんて思いつかなかったね、
なんにも経験なかったら近所の人とどうしたら仲良くなれるかなんて、
わからなかったね。


たら 
経験があったから。

大野 
例えば「地域のために根ざす学生生活」みたいな本があったとして、
それを読んでいても、そんなんではできなかったと思うね。
で、圧巻は表札なんですよ。



たら 
そこもつながるんですか?

今日はここまで。
読んでくれてありがとうございます。


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arinomamaki@gmail.com
今井たら竜介

今日の感想。
もう何十年も前のことなのに。
大野さんの話しには
色あせない「新しさ」を感じます。

「会いたいって、気持ちをちょっとだけでも残していく」
会いたい人が、沢山いるっていうのはそれだけで幸せなことだ。
沢山でなくてもね、幸せなこと。i miss you だぜー!!

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