ぼくらのありのまま記

ぼくらは
こんな大人になりました。

増山清 「一生サッカーやっていたい」

2014-04-13 07:01:06 | ぼくらのありのまま記
第3話 昼間は仕事、夜サッカー

好きな事でプロになりたい!
それでも、それでも、なれなかったとき。
潔く別の道を歩む人もいるし、
好きだから続けられる方法を探す人もいる。

今日もよろしくお願いします。

目次はこちらから。

たら
ブラジルでは
どんな1年を過ごしてたんですか?

増山
一日中サッカー。午前中サッカーして
ご飯食べて昼寝して、午後もサッカー。
だけど、へたくそなわけ。
高校で公式戦すらやったことないから
その場で、努力するしかない。
午前と午後の間、コーチに隠れて練習して。

たら
なんで隠れて?



増山
禁止だから。
見てない範囲で怪我されても
コーチの責任になるから。


たら
学校なんですか?

増山
いや、クラブチーム。
月10万払って生活は全部面倒みてくれる。
使うのは自分の小遣いくらいだけど、それが
無くても、生活はできる。なかなか壮絶な
経験だったね。「へたくそ」「帰れ」
なんてしょっちゅう言われた。


たら
それでも東京で通用しないより、
「日本人サッカーへたくそ」って環境の方が
サッカーしやすかったんですね、面白いな。

増山
もう現場に入っちゃう。料理の世界でいえば
専門学校いって就職するんじゃなくて
すぐ働いちゃう。っていう考え方で。


たら
実際にスキルの部分は?

増山
もちろんすごく上がった。今までのは
サッカーじゃなかったってくらい変わった。


たら
小笠原だと、ボール蹴ってみんなで
追いかけるみたいな感じでしたよね。

増山
戦術も無いし人もいない。島は隔離されてる
から、それが正解かがまずわからない。


たら
判断ができない。

増山
そう、18歳で初めてサッカーに触れたって
感じ。「うわー!!すげーなー!!」って。
全然通用しない。でも試合にでたいから、
とりあえず走り込んで筋トレして。最初は
下の方だったフィジカルテストも半年過ぎて
走る事はトップになって。






たら
ちゃんと結果もでてきたんですね。

増山
それで「めちゃくちゃ走る」という評価を
もらって。あとは試合の度に「俺は
どうすりゃいいんだ?」って監督と話した。
「俺のサッカーを理解してるな」って
思わせるように。


たら
監督の求めていることを
理解しようとしたんだ。

増山
そうじゃないと試合にでれないから。
それから試合も出れるようになってきた。


たら
そのときは試合に出たい一心で?

増山
だって意味ないもん。試合にでないと。
一週間練習しても試合に1度でるほうが
よっぽど実力がつく。


たら
試合に出るチャンスがないと
実力もつかないのか。

増山
そうそう。まずは、試合にでないと。でも
上手くなくても試合に出れるってわかった。
技術や才能には限界がある。だからチームの
足りないところを補ったり、
必要とされているプレイをしたり。


たら
身体もできて試合も出る機会ももらって。
そこでプロに行こうって思ってたんですか?

増山
ブラジルでやろうとは思ってなかった。
帰って来て日本でプロテストを受けたん
だけどそれでも全然レベルが違った。
J1を解雇された選手が受けにきてて、
一緒にサッカーして。
「こんなに上手いのにクビになるんだ」
っていうのを感じて、もう次元が違った。



たら
それは頑張って
どうにかなりそうだなって思えないくらい?

増山
思えなかった。
「もうちょっとでプロに行けた人」と
「1年間でもプロでやってた人」
でも全然違うから。





たら
スポーツを本気でやってて、プロを
目指してた人はプロを諦めたとたん
その競技自体を辞める人もいますよね。

増山
そのパターンもあるよね。でも俺の周りは
続けてる。俺はプロテスト受からなくて、
クラブチームに入れてもらったんだけど。


たら
そこで辞めようとは思わなかった。

増山
そう。で、アマチュアの関東リーグの
チームに入って。そこのチームでも
プロ上がりの人が沢山いて。俺が20歳の時
周りは27歳くらい。今は先輩達も40過ぎ
だけど今でも一緒にやってる。


たら
クラブチームはみんな仕事しながら?

増山
もちろん。
昼間仕事、夜サッカー。すっげー大変。
練習もしなくちゃ行けないし平日は仕事だし
週末は試合、そのサイクルがずーっと続く。


たら
はい。

増山
やらなければどんどん落ちてくし。
月曜から土曜日まで仕事、5時に仕事上がり
夜はずっとトレーニング。週末は絶対試合。
5年くらいそういう生活してた。


たら
プロじゃないから、仕事はしながら。

増山
そう。そのなかでのモチベーション保つのは
結構きつい。でもいい出会いはあった。
そのチームはみんなキャラが濃かったね。

たら
それはサッカーとしてじゃなく
人間性としてのキャラ?

増山
そう、人間的にも仕事も面白いことを
やってる人が多かった。今の俺の社長も
その仲間だし、その仲間は今でも
すごく助けてくれる。


たら
グラウンド以外でも
つながって行くんですね。

増山
真面目に練習していたのを評価してくれた。
そこでも全然試合には出られなくて。
それなら他でチームに貢献しようと思って
練習以外でも裏方仕事をやって。
当時、先輩とは全然絡まなかったから
見てくれてるなんて知らなかったけど。


たら
そうなんですね。

増山
今となって、ようやく話せるようになって
真面目にやっててよかったなーって思うよ。


たら
「あの時、増山、一生懸命だったよなー」
みたいな話に。

増山
そうそう。今はすごい仲いい。




今日はここまで、
読んでくれてありがとうございます。

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arinomamaki@gmail.com
今井たら竜介

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