未来技術の光と影。
SIYOU’s Chronicle




実はメスだった 上野動物園のツキノワグマ、「改名」

 富山市ファミリーパークから上野動物園(東京都)に、繁殖のためオスとして送られた幼いツキノワグマが、実はメスだったことがわかった。
 このクマは昨年4月、富山県南砺(なんと)市で猟友会が「タロウ」と名づけて保護。パークでもオスとして預かり、同園の求めに応じ「タロウ」を同園のオスと交換した。
 同園によると、幼いクマは性器が小さく性別の判断が難しかったが、その後成長してメスとわかった。職員らが「タロちゃん」と呼んでいたが、名前は「タロコ」と改められた。


「お座り下さい。」
「はい。結果は、どうでしたでしょうか?」
「血圧、血液検査、尿検査、レントゲン、心電図・・・。全てAランクですね。今時珍しいくらいに、健康状態は申し分ありません。」
「小さい頃から、体力には自信があるんです。ですが、何か引っかかる言い方ですわね。」
「はっきりと、申しあげましょう。今日からは『タロコ』と名乗ることをお勧めしますよ。」
「『タロコ』?」
「上野動物園に贈られた『タロウ』と言う名のツキノワグマが、実はメスであることが解り、『タロコ』と改名された。という、ニュースをご存じありせんか?」
「いえ。知りませんわ。」
「あったんですよ。そーゆー出来事が。」
「ちょっと待って下さい!私の名前は『タロウ』ではありませんし、そもそも私は女ですよ。」
「ええ。それは、分かっています。」
「仮に、『男であることが解った。』とでもおっしゃるのでしたら、『タロウ』と名乗ることを勧めるべきでは、ありませんか?」
「いえ、そうではないんです。実はあなたは、『ツキノワグマ』であることが解りましてね。」
「・・・」
「私の言っていることは、ご理解頂けましたか?」
「・・・」
「ショックなのはお察し致します。」
「・・・」
「カウンセラーをお呼び致しましょうか?」
「・・・いえ、結構です。ちょっと考え事をしていたものですから。」
「心配事があれば、なんでもご相談下さい。」
「名前は、自分で付けても良いんでしょうか。」
「ええ。もちろんです。」
「では『月野うさぎ』に改名したいんですが?」
「セーラームーンですね。」
「ええ。小さい頃からの憧れだったんです。」
「残念ながら、ツキノワグマには、名字の使用は認められていないんですよ。」
「本当ですか?」
「ええ。」
「なんで、そんなこと、ご存じなんですか?」
「最近、良くあるんですよ。手順はマニュアル化されています。」
「良くあるんですか?」
「ええ。」
「『ツキノワグマであることが解る。』なんてことが??」
「いや、ツキノワグマは、私も初めてですがね。あぁ、それから、身分証や携帯電話など、人間の名義で取得されているものは、置いて行って下さい。」
「服は着て行ってもよろしいんでしょうか?」
「ええ。ですが、なるべく早く、ツキノワグマとしての生活に慣れた方が、精神的に楽になりますよ。」
「そうですか。では、思い切って、服も置いて行きますね。」
 ・・・
「それでは、失礼致します。ありがとうございました。」
「・・・あのぉ。」
「はい?まだ、何か?」
「ちょっと、お尋ねし難いことなんですが。。。」
「何でしょうか?いまさら、何を訊かれても、驚きませんわ。」
「では、お尋ねしますが、ひょっとして、裸を見られると興奮するタイプではありませんか?」
「え゛っ?いえ・・・、ふつーだと、思いますが。」
「実は、先ほどうっかりと見逃してしまったようなのですが、どうやら『タロウ』をお勧めするべきだったようですね。」


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする


« 『意識下の意識』 『収斂進化』 »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。