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カード投げとヒッグス粒子

2013年10月15日 | 科学


今年、ノーベル物理学賞は「ヒッグス粒子」の提唱者に与えられました。
この粒子の存在は、今年、ジュネーブ郊外の巨大な地下実験所で確認された。
この重要性について、私の感想を記します。




< 欧州原子核研究機構(CERN)の検出器、左下に人間 >

若い頃、私にはある疑問がありました。
トランプカードを投げる時、手首のスナップを効かせて回転させると遠くまでよく飛びます。
回転させないと、ふらふらとすぐ落ちてしまいます。
これは回転により慣性エネルギーが増え、空気抵抗に対して減速し難くなるからです。
回転させたコマが倒れ難くなるのと同じ理由です。
しかし、釈然としませんでした。

宇宙の中身
現在、人類は半径137億光年(実は400億光年)の宇宙内の銀河や星の動きを重力で説明することが出来ます。
しかし重力は、瞬時ではなく光速でしか伝わりません。
これまた厄介です。
宇宙空間は真空であっても、何かで満ちているようで、中世からこの考えはありました。



< ヒッグス粒子が慣性質量を生む >

ヒッグス粒子の登場
1964年、宇宙の物質に質量を与えるものとして「ヒッグス粒子」が提唱されました。
それを証明する為に、多くの学者が一周27kmの粒子加速器で数十年も実験を行って来たのです。
そしてやっと確認されたのです。

この発見が意味するもの
回転させると、カードにヒッグス粒子が纏わり付き、慣性が増大していたのです。
宇宙、慣性質量への理解が一歩前進しました。
しかし重力をまだ説明することが出来ないそうです。



< 宇宙誕生の歴史 >

このヒッグス粒子は何時生まれたのか?

137億年前、何も無いところから宇宙がビッグバンで誕生し、粒子も誕生した。
その後の急速膨張で、0.00・・01秒以内に、ヒッグス粒子が宇宙に満ち、光以外は質量を持つようになった。
こうして私達宇宙の物質は、形と運動を持つ安定したものとなったのです。

何が凄いのか

我々人類は、最大半径400億光年の空間、最小1億の10万分の1mm以下の世界、さらに137億年前の過去まで推論し、それを実験で証明することが出来たのです。
人類は、この宇宙の一点で、40億年前に生じた生命から進化し、高々3千年ほどの知識の蓄積によって、これを成し遂げたのです。
その割には、平和や安寧を得ることは難しいようですが。



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