青空ヒュッテ

登山歴15年目・筋金入りの雨女が青空の下の稜線歩きを求めて今日も山に登ります。

八峰キレット縦走(1日目・前編)

2012-08-20 18:37:20 | 北アルプス

八峰キレット縦走 2012.8.17(fri)-19(sun)

 

【データ】

標高:

爺ヶ岳南峰@2,660m、鹿島槍南峰@2,889m、五竜岳@2,814m

ルート:

1日目@扇沢~種池山荘~爺ヶ岳南峰~鹿島槍南峰~キレット小屋(泊)
2日目@キレット小屋~五竜岳~五竜山荘~唐松岳頂上山荘(泊)
3日目@唐松岳頂上山荘~八方池~八方駅

最大標高差:

1日目@+1,559m、2日目@+434m、3日目@-780m

歩行距離:

1日目@約13.5km(歩数:約33,300歩/約1,400kcal消費)
2日目@約10km(歩数:約26,000歩/約?kcal消費)
3日目@約4.5km(歩数:約10,000歩以上/約500kcal消費)
※2日目と3日目は携帯の電源を切っていたので計測が不完全です(汗)

歩行時間:

1日目@約10時間(04:05出発、14:31キレット小屋着)
2日目@約9時間(05:10出発、14:25唐松岳頂上山荘着)
3日目@約3時間(04:13出発、07:40八方池山荘着)

アクセス:

中央道豊科ICから扇沢無料市営駐車場へ約1時間。

 

 【行程】

 
2012年夏山登山第三弾は、去年常念から見て「絶対来年越えてやる」と誓った大キレット
・・・ではなく(妹が、母が滑落する夢を見たと言って断固反対したので)、
三大キレット(大キレット、八峰キレット、不帰キレット)のもう1つ、
鹿島槍から五竜までの八峰キレットを越えることにしました

天気予報も直前になって悪化の一途をたどり、
目的地を変更しようかどうかと悩みましたが、
強力な晴れ女の妹が「大丈夫」と太鼓判を押すので決行したところ、
雨に降られるシーンはあったものの、殆どレインウェアが不要で
(1回上着だけを20分ほど着用したのみ)
雷も鳴っていましたが、命の危険を感じたこの時ほどではなく、
3日とも朝のうちは好天に恵まれて、大満足の3日間となりました

2012年8月16日(木)
自宅を13:40に出発し、前回までと同じルートで中央道へ。
途中の丹沢あんぱんは我が家の行動食の定番となりました

今回は、松本の一つ先の豊科ICで下りて、
まずはいつものように麓周遊の父をローカル駅で降ろし、
途中の道の駅安曇野松川(寄って亭まつかわ)で夕飯&歯磨きを済ませ、
19:30頃に扇沢の駐車場に到着しました。

今年から、舗装された駐車場は全て有料化されたということで、
一番下の未舗装の市営無料駐車場に入ってみると、
まだ4割くらいは空きがあって、無事木陰のベストポジションを確保

しばらく暑くて寝苦しく、なかなか寝付けませんでしたが、
窓をすかして寝ると、夜中には寒いくらいに冷えました。

2012年8月17日(金) 03:00起床。
外は満天の星空
扇沢駅のトイレ(夜間でもスイッチを入れれば照明が付いて助かりました)を借りて
身支度を済ませ、予定より5分押しの04:05に真っ暗闇の駐車場を出発
まずは車道を下って登山口を目指します。

 
駐車場から13分で柏原新道登山口に到着
コースタイムでは10分でしたが、真っ暗闇でヘッデンを付けての歩行だったので
結構ゆっくりになってしまったようです。


少し進むと、8年前にデジカメのバッテリー切れに気付いた悪夢のポイント、
爺ヶ岳登山口の標識が。。。

http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/013/608/92/N000/000/000/04072301.jpg
因みに8年前に撮影したのがこちら。あの時は駐車場を05:00出発でした。

種池山荘のテン場に8月13日にクマが出没し、
14日からテン場の利用が禁止されている(8/19現在も禁止継続中)ということで、
真っ暗闇の中を歩くのに結構恐怖があったので、
今回は熊鈴3つに大音量のラジオでやかましくして歩きました。


05:00前にはヘッデン不要なほど明るくなりました。
種池山荘まで高低差約1,050mの急登をゆっくり登ります。


八ヶ岳が見えるらしい八ツ見ベンチを05:05に通過。


立派な階段。


モルゲンロートに染まる山肌が見えました。


朝焼けの針ノ木岳・スバリ岳方面。


雲ひとつない快晴が広がっています


晴れてるうちに稜線上へとラジオ片手に張り切って先頭を進む母。


それに続く妹。
しかし私は標高差1,000m以上の急登が段々こたえ、遅れがちに・・・


でも足元に咲く花の観察は怠らず、今年初ものばかり選んで撮影して行きました。
第一号はハクサンオミナエシです。


そして05:29に標高約1,900mのケルン(登山口から+約600m)に到着
ここまではコースタイムを若干上回って最初の遅れを取り戻し、
予定通り05:30に到着できました。
ここからコースタイムでは2時間のはずが、この標識によると、
種池まであと3時間半もある・・・


足元には初めて見る花が。おそらくツルアリドオシと思われます。
どちらも失敗写真ですが、記録用に載せておきます。

 
05:47 ズームしてもまだあんなに遠い種池山荘


05:50に駅見岬(えきみざき)に到着
ここでお腹が空いたので朝食のサンドイッチを食べました。
食べたらまた歩きだします。


サンカヨウは花が終わって実が付いてました。


針ノ木岳、スバリ岳、赤沢岳、鳴沢岳辺り。


柏原新道はとてもよく整備されていて、所々にこんなスポット名を記した看板が。
北アルプス入門コースと言われるだけのことはあります
因みに私が北アルプスに入門した2004年当時
(北ア登山2回目で初めての山小屋泊りがけ登山でした)
はこんなに看板はぶら下がっていなかったはず。。。


07:06にガラ場の手前を通過。
入門コースなのでかなり厳重注意を呼び掛けていますが、実際はよくあるガラ場でした。


手前にミヤマキンポウゲがたくさん咲いていたので、
それを撮影してからさっとガラ場を通過します。


オオバミゾホオズキ


富士山は残念ながら見えなかった富士見坂を越え、鉄砲坂を登ると、


種池山荘に続く石畳の階段が現れます。
樹林帯を抜けるので、最後の木陰で念入りに日焼け止めを塗ってから進みます。


(画像クリックで拡大表示)
ハクサンフウロやチングルマの果穂がたくさん咲いています。
右手にはこれから向かう爺ヶ岳南峰の美しい三角形も見えます。


ちょっと大きめのサービスショット(笑)


コバイケイソウは今年は外れだったそうです。

前回登った2004年は当たり年だったようですが・・・
http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/013/608/92/N000/000/001/04072302.jpg
手元にはこんな小さな画像しか残っていなくてイマイチよくわかりませんね


そして、大汗をかきながら07:40に種池山荘に到着予定より10分押しでした。
ここでザックを下ろしておにぎりタイムです

今回は出発が早かったので、柏原新道の登りで後続の健脚者に追い抜かれることもなく、
種池からの下山者とチラホラすれ違う程度でした。
まだ平日(金)なのと、天気予報がイマイチなので、そんなに人出は多くなさそうでした。


食べ終わったら、休憩時間を若干削って、予定通り07:50に山荘前を出発
(そういえば、クマ出没で使用禁止になったテン場をチェックするのを忘れてました・・・


爺ヶ岳に向かう登山道。


右手は今朝出発した扇沢。これが約1,000mの高度差です。

そして、ここから魅惑のチングルマパラダイスに突入です


というわけで、チングルマイスターの母が気合を入れて撮影。


(画像クリックで拡大表示)
縦長以外は全てチングルマイスターの作品です。


満足したら再び爺ヶ岳を目指して歩きだします。


左前方の鹿島槍は、信州側からわき上がるガスに覆われています。


ズームすると、冷池山荘が見えました
そして、背後には・・・


オレンジ屋根の種池山荘 そしてガスに包まれた(涙)剱岳

画像
因みに2004年当時は赤い屋根でしたが、オレンジに塗り替えたようです。


(画像クリックで拡大表示)
種池山荘セレクション

 
前方の爺ヶ岳南峰はまだガスに包まれていないので、先を急ぎます

・・・と思ったら、何やらカメラを構えてしゃがみこむ登山者が目の前に。
もしかして、と思って熊鈴を抑えながら近付くと・・・


雷鳥の親子でした 母親と息子のようです。


(画像クリックで拡大表示)
すぐ近くまで出てきたので、かなりアップで撮影できました

こちらから動画でもどうぞ

母「ラッキー、木の実見っけパクパクパク・・・」
     子「あれ、ママ、僕の木の実は?」    
          母「知~らない」          
         子「えっ、えっ??」         

・・・なんて様子に見て取れます(笑)


雷鳥を堪能したら再び爺ヶ岳目指して歩きだします。


左:眼下の扇沢/右:種池山荘からの登山道


青空も広がってますが、どんどんガスもわき上がってきています


鹿島槍も相変わらずガスの中


チングルマとトウヤクリンドウ


08:34に爺ヶ岳南峰への分岐点に到着。


ザックをデポ・・・というより甲羅干しして、空身で山頂を目指します。


そして、ものの2分で標高2,660mの爺ヶ岳南峰山頂に到着


山頂で記念撮影


2004年の時はこちらの方向に槍ヶ岳が見えたのですが、今日は残念ながらガスの中。


そして、行く手の爺ヶ岳中峰&北峰にもガスが押し寄せています


ということですぐさま下山します。08:47にザックを回収して南峰分岐を出発。

 
そして、南峰と中峰の鞍部にコマクサの群落がありました


すぐ近くにはトウヤクリンドウも。


キレットを下りる体力を温存するため、中峰は巻いて行きます。
因みに種池・冷池のどちら側からも登山口が付いているので、
ここはザックをデポしないで登った方が時間を短縮できるのかもしれません。


こちらは先ほど登った南峰を振り返った図。

しばらく登山道を進むと、


足元にはミヤマコゴメグサ。


そしてウスユキソウ(左)とヤマホタルブクロ(右)


オンタデ(白)とタテヤマウツボグサ(紫)

この辺で、大きなザックを背負った丸刈りの健脚青年に追いつかれました。
柔道銅メダリストに似たその風貌から、「エビヌマクン」と命名(笑)
母が「今日はどちらまで?」と尋ねると、冷池までとのことで若干拍子抜けしましたが、
考えてみればあのテン泊装備でキレット小屋に泊まるはずもなく、
その先の五竜山荘までこの時間からキレット越えでたどりつくのも難しそうなので、
冷池までと言われれば当然の選択でした。
そして、翌日意外な場所でこのエビヌマクンと再会します

あっという間に見えなくなったエビヌマクンの背中を追い掛けて我が家も歩みを進めます。

 
熱心な視線の先には・・・


(画像クリックで拡大表示)
ガスに包まれた剱岳 もうちょっとで尖端まで見えそうなのに~


そして09:45に冷乗越を通過。


たくさん写真を取ったら冷池山荘まで登り返します。


①09:55に冷池山荘に到着小屋前のベンチにザックを下ろしておにぎりタイム
先ほどのエビヌマクンもテン泊の受付を済ませてからベンチで休憩中でした。

②腹ごしらえを済ませたら、山荘のトイレをお借りします。
この看板、2004年に撮影したときと同じで懐かしくなりました
※この写真http://userdisk.webry.biglobe.ne.jp/013/608/92/N000/000/001/tsumetaike1.jpg
因みに山荘のトイレはとてもきれいで安心して用を足すことができました

③スッキリしたら10:15に冷池山荘前を出発


冷池山荘から10分ほどでテン場に到着。剱は相変わらずガスの中


前方にはガスの隙間から布引岳と鹿島槍が


左から布引岳、鹿島槍南峰、吊尾根、鹿島槍北峰。


足元には黄色と白のニガナの競演


他にも花がたくさん
ウサギギク、イブキトラノオ、エゾシオガマ、クルマユリ、etc.


そしてチングルマ つけヒゲにできそうなほど大きくて毛がフサフサです

これだけお花がたくさん咲いているので、必然的に虫もたくさんいます
2004年に登った時もしばらく虫に悩まされて、
空腹のまま進み続けてシャリバテになる羽目に・・・。
でも今回は強い味方のハッカ油スプレーがあったので、
虫に襲われることなく快適登山を満喫できました


何やら珍しげな高山蝶(蛾)も発見。
その後のネットサーフィンで「クジャクチョウ」であることが判明しました。

 
タカネツメクサ(左&右下)と、イワツメクサ&トウヤクリンドウ(右上)


まだ青空が広がる稜線上を布引岳目指して登ります。
しかし、この辺で段々母&妹と体力の差が出てしまい、
写真を撮り合えなくなるほど遅れを取ってしまいました・・・


ということで、母だけが布引岳に登って記録写真を撮影し、
私は頂上を踏まずに巻いて行きました(妹も道標役に巻き道でスタンバイ)。


体力ゲージが段々下落していきますが、ブドウ糖を補給したり、
たくさんのお花に癒されながら登ります。
因みに、私が今まで逆に覚えてしまっていた左上の花は、
花弁に毛が生えているのでチシマギキョウ(イワギキョウは毛がない。)。


ガスに包まれた稜線上の急登を何度も登って・・・


12:14に標高2,889mの鹿島槍ヶ岳南峰頂上に到着
予定より5分遅れとなりましたがまあ許容範囲内でしょう
岩場に腰をおろし、これからキレット小屋への急な下りに備えて体力を回復させるべく、
おにぎり2個でエネルギーを補給します

山頂での記念撮影もしっかり済ませ(右下は布引岳方面への下山者)
12:30に南峰を出発し、いよいよ未知なる領域へと足を踏み出します

 

1日目・後編に続く

 

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