Outlander | ||
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Delta |
ストーリー
1945年、第二次世界大戦終了後。従軍看護師として4年間働いてきたClaire Randall(27歳)は新婚旅行の思い出の地、スコットランドはHighlandに夫Frankとともに旅行にやって来ていた。
滞在地の近くにあるストーンサークルを一人で訪れたClaireは石が叫んでいるような奇妙な音を聞き、突然気分が悪くなり意識もうろう・・・。
気がつくと目の前には映画の撮影か何かと思わせるような時代がかった衣装を着た男たち・・・。帰ろうとすると一人の男に捕まってしまう。男は夫Frankに瓜二つ・・・。実は彼は夫Frankの先祖で、18世紀にこの地方で悪名をとどろかせていた英国陸軍の大尉Jonathan Randallだった。Claireは1743年にタイムスリップしていたのだ。
不愉快な悪人Randallから運よくスコットランド人一行に救われたClaire。一行の中に肩に重傷を負ったJamie(23歳)というの青年がいてClaireは彼の手当てをすることに。Jamieはクビに賞金がかかったおたずね者だった。
Claireは一行と共に彼らの本拠地Leoch城へ。そこにいたのは領主であるColum Mackenzieとその弟DougalははじめとするMackenzie一族。Claireは医学の知識があるからと城で病人やけが人の手当てなどをして過ごすことになった。再びストーンサークルへ行く隙をうかがいながら・・・。
しかし城を抜け出すのは容易ではなかった。しかもRandall大尉がClaireを引き渡せと言ってきた。スコットランド側がイングランド人であるClaireの引き渡しを拒否するわけにはいかない。そこで領主の弟Dougullがある提案をしてきた。結婚してスコットランド人になれというのだ。相手はあのおたずね者Jamie・・・。
ちょっぴりネタばれあるかも。
感想
究極の選択(?)。
やさしくて理解のある大学教授のうんちく夫(30代後半)と穏やかに安定した生活を送るか、それとも君を命をかけて守ると誓う若くて威勢のいいイケメンおたずね者童貞男と野山を走り回るか。
う~ん、悩む?
自分がClaireの立場だったら?と考えながら読んでましたが、実際その場にいたらどっちを選ぶか考える間もなくソッコー現代に逃げかえってくるかも。この時代特有の野蛮な所業の数々にはちょっと辟易。数々の快適で便利な最先端機器の恩恵にあずかりすぎている現代人にはこのシンプルさとワイルドさには耐えられそうにありません。1945年に生きるClaireですらやはり200年近くのギャップはキツそう。でもClaireは強い・・・。戦争の惨禍をくぐりぬけてきているし、やわじゃないわ。ちょっと突飛な行動に出たりしますけど、思い切りがよくはっきりした物言いなどは現代でも通用しそうです。(でもオオカミと戦う強さは現代には不要よ)
彼女を看護師の設定にしたというものうなずけます。ストーリー上ちょっと進んだ医学的知識を持った人間が必要なのです。なぜならJamieってばいつも心身ともにズタボロ・・・。目の前で人が傷つくのを見るくらいなら自分が犠牲になったほうがまし、という人間なんです。他人やClaireを守るためにズタボロ、そうでなくてもズタボロ。あぁ~、ひどい仕打ち。Jonathan Randallの、と言いたいところですが、実際は作者のドSぶりがうかがわれるような気が・・・。
Jamieは最初はちょとクールで繊細な印象がありますが、そこは血気盛んな若い戦士。成長著しく、男としてのイニシアチブをとりたがって気の強いClaireと激しくぶつかり合います。生きる時代が違ううえに秘密の多いClaire、そんな2人がお互い理解し合うっていうのは大変なことですね。Jamieに関しては、あの時は何でもない風を装っていたけど、内心はこう思っていたと後になって語るパターンが結構あります。こういうの私的にはツボでしたね~。
二人を苦しめるJonathan Randallもこの話の重要人物でしょう。顔はClaireのやさしい夫Frankにそっくりなのに、内面は似ても似つかない男色の本格的サディスト。Randallの狙いはJamieなのです。Jamieは女性にもモテるんですが、男色の殿方にもモテモテです。でもなんだかんだのワケありで23歳まで童貞のまま、Claireにそちらの手ほどきを受けるという・・・なんともしっくりこない設定と思っちゃいましたが・・・。
タイムスリップするまでがちょっと退屈なので進み具合も良くなかったのですが、タイムスリップしちゃえばこっちのものです。二人の行く末が気になってページをめくる手が止まらなくなることうけあい。☆4つの理由は面白いけど私の好みからはちょっとズレているから。
30万語弱と、ちょっと長い話です。いちいち細かいのです。さては18世紀のスコットランドに取材に行ってきたな、と思うほど。読みにくくはないのですが単語がちょっと難しい。スコットランドなまりとかは最初は戸惑いますが慣れれば何となく・・・。スコットランドの文化、風俗、歴史など知っていればよいのでしょうけど、とくに知らず読み進めてしまいました。うっすらとした知識だけでも何とかイメージできました。
このボリュームの本、この先何巻待ち構えているのやら・・・。知らずに読み始めたのは軽率?便利な最先端機器(Kindleなど)があれば楽チンだろうなぁ、とチラッと思うのはこんな時・・・。でもまだまだ印刷物のずっしりとした重みを両手に感じながら読むことになりそうです。。。