あんず☆のペーパーバックはお宝箱

英語多読始めました&英語多読始めましょ♪
~めざせ!1000万語!~

あんず☆からのお知らせ

★現在の登録洋書数600冊以上(9/4)★語数1200万語(2011で終了)★お断り・当ブログや英語学習に関係のないコメントやトラックバックなどは削除させていただきます。なにとぞご了承ください。

Number the Stars

2010年12月11日 | ★YL5
Number the Stars (A Yearling book)
情報
作者:Lois Lowry
ジャンル:歴史
種類:ペーパーバック、児童書
YL:5.0
ページ数:132ページ
語数:26108語
お気に入り度:☆☆☆☆☆
Yearling

ストーリー
1943年 ナチス占領下のデンマーク、コペンハーゲン。
10歳のAnnemarie Johansenは妹のKirstiと親友のEllen Rosenと学校帰り、思いっきり通りを走っていた。走る練習だ。しかし、通りの角に立っているドイツ軍の兵士に急に呼び止められた。コペンハーゲンではもう何年も通りの角々に兵士が立っていた。子供でも目立った行動をとれば呼び止められ、質問される。最近ではコーヒーやバター、砂糖などの食料品も不足するようになってきた。
9月のある日、Annemarieはあるユダヤ人の一家がいなくなっているのに気がついた。ドアにはドイツ語で何か書いてある。他の国で行われていることが、いよいよデンマークでも始まろうとしていた。ドイツ軍はユダヤ人をどこかへ連れて行こうとしているのだ。
親友のEllenもユダヤ人だった。Annemarieの両親はEllenをかくまうことにした。しかしドイツ軍はAnnemarieの家にもやってきた。いなくなったRosen一家を探しているのだ。
翌日、母親に連れられKirsti、Ellenとともに漁師をしているおじのHenrikの家へ行くことになったAnnemarie。おじさんの家は海辺にあり、海の向こうに自由の国スウェーデンが見える。そこで何か計画があることに気がついたAnnemarie
Ellenたちを助けられるのだろうか?

感想
絶えず緊張感が漂っています。Annemarieは子供だからあまり多くを知らされないんです。それが余計に何かがあるのだ、起こるのだ、ということをざわざわと予感させます。後半はスリリングで手に汗握ります。
ラスト、戦争は終わります。でも児童書だからといって安易なハッピーエンドにつなげているわけではありません。この話には、もう一つのストーリーが描かれています。最後に涙なくして読めないのはその話が明らかになるからです。Annemarieの両親らも友人を助けてあげたいという思いもあったと思いますが、尊い意志を引き継ぎたいという気持ちもかなりあったのではと思いました。単に戦争ってひどいわね、ということではなく、隣人や友人を助けるために命をかけたデンマークの人々の勇気と温かい心が描かれている感動的な話です。

一番最後の作者のあとがきはぜひ読んでいただきたいです。ここを読めばこの話が単なる作り話ではないということが分かります。多くの事が歴史や事実に基づいて書かれています。作者がなぜこの話を書こうと思ったのかという話もあります。これは作者が考え出したことだろうと思っていたものが、意外と事実なのです。
ニューベリー賞受賞納得の、老若男女に幅広く読んでもらいたい本ですね。

心に残る表現
"Well" Annemarie said slowly, "now I think that all of Denmark must be bodyguard for the Jews, as well."

as wellと言っているのは、Annemarieが父親から聞いたあるエピソードを受けているからです。
ナチス支配下でも護衛をつけずに毎朝一人で馬に乗って街に出、市民にあいさつして回ったというデンマークの王Christian Xについて、ドイツ兵と少年が交わしたという会話がAnnemarieの心に強く印象付けられたようです。(詳しくは本を読んでね。)なすすべもなく降伏し、大国に支配されるしかなかった小国デンマークですが、そんな不安の中でも理想や人間性を失わない人々の強さや結束があらわれている話です。このエピソードについても作者あとがきに説明があります。

Comments (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする