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森茂氏作品鑑賞

森茂氏の作品を個人的に鑑賞します

詰将棋パラダイス 25番

2006-11-24 23:57:00 | Weblog
詰将棋パラダイス 25番

今回取り上げるのは残念ながら不詰であった最悪詰である。

初形のポイントとしては3段目に並んだ2枚の角であろうか。
初手はいつものように飛と金とで選択が出来るようになっている。もっとも飛で1六飛と回るのは、1八合とされて、同飛でも同金でも2九金でもすべて詰みである。また、2九金もそのまま1手詰なので、当然初手は1八金である。
1八金、同玉の後にまた先手に手の選択権が与えられる。ここで1六飛なら同歩で、作意順は飛を2度動かして捨てるのに対し、この順は1度しか動かさずに捨てているので、早詰になるという仕組みだと思われる。しかし実際にはこの後見ていくが、作意には攻方に詰みを逃れる順がある。また1六飛、同歩の後の4五角成の変化も難しい。

ちなみに4五角成のところで4五角不成は詰んでしまう。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ 角v銀 ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|六
| ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・v玉|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:なし

ここでは3六銀とし、同角には1九玉と行く。2八銀ではそのまま詰んでいるので、4六角(成)しかないが、2八合とされれば同角(馬)しかなくやはり詰んでいる。3六銀に2八金と変わっても1九玉、1八金、同金となればやはり3六角を強制される。ここで先に4五角成となっていれば、3六銀、同馬、1九玉には1八馬と捨てる手があり、受方が詰みに誘導することが困難になる。

作意順に戻ると、飛から捨てるのは早いはずなので、2八金と金で王手をする。1九玉とかわせば出題図と似た格好となる。1八金、同金で今度は3八飛と横から迫る。1九玉と再度かわして1八飛、同玉となれば先ほど1六飛と捨てるよりも2手長いことがわかる。

これで邪魔な飛と金がいなくなったのでいよいよ攻方は4五角成と角で王手をする以外に手がなくなる。(ここで4五角不成とするのは上記で示したように詰む。)3六銀と1三角の通り道を空けて同馬、1九玉と進む。ここで4六角(成)とすると受方に2八銀(金)という手をくらってしまう。王手なので、2八同角(馬)とするしかなくこれで受方玉が詰んでしまう。3六の馬を3七、4六に動かして王手も全く同様なのでここは1八馬と捨てるしかない。受方も同玉の一手である。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:銀

ここで角は筋違いなので銀で王手をする他はない。2七銀は1九玉で4六角、2八合、同角で詰む。1九銀も同玉、4六角不成から作意順と同じ手順で詰むので攻め方は2九銀と頑張る。2七玉は3七金から金を押し売りされて詰まない。1七玉は1八銀と銀の方を押し売りされて、同玉は王手が続かなくなり、逃げてもやはり銀で追っていく筋で駄目であろう。
2九銀には1九玉と入る。ここで作意は2八銀であるが、実は今までさんざん駄目であった4六角(成)がここでは成立してしまうのである。なぜなら2八合には角ではなく銀でとって王手をすることができるからである。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|五
| ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 ・v玉|九
+---------------------------+
持駒:合駒1つ

ここからは1八玉、1九銀とされ、1七玉には2八角、2七玉には3七金、1七(六)玉、2七金と完全に誘導に破綻をきたしてしまうのである。
このようになってしまった原因は攻方に渡した銀が強すぎたからである。では出題図で3五銀が例えば歩であれば、手数は短くなるが、成立するのであろうか?今までのところで変化できそうなところが少ないので成立する気もするがここももう少し調べて御報告したいと思っている。

再度作意に戻り、2八銀に1八玉とすれば、今度は銀が2七か1九に移動する以外に手はない。2七銀は先述したとおり早詰である。1九銀に同玉とすると1三の角以外では王手が続かない。今度は不成でなくてはいけない。なぜならば成れば2八合を取ったときに詰んでしまうからである。4六角不成に対する2八の合駒は香限定である。飛は1八玉に1九飛、2七玉、1七飛で詰まない。その他の駒は最終手3七金に対し1六玉と逃げれてしまう。1六に効かせるための香なのである。

作意順は3段目の角が成るものと成らないものにわかれており、合駒の種類も読ませる面白い狙いになっている。ただサービス精神が過ぎたか銀では強すぎて結果的に不詰の局になってしまったのは大変残念なところである。