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森茂氏作品鑑賞

森茂氏の作品を個人的に鑑賞します

虫食い算 4番

2006-12-01 21:42:09 | Weblog
虫食い算 4番

2桁×3桁の掛け算であるが、3桁の数の百の位と十の位は同じAであるので、当然乗算の結果も同じになる。

    □□
  ×AA□
  ----
   BB□
  □CC
 □CC
 -----
 □222□


ここで全体の十の位と百の位に注目すれば、
・B+Cの計算結果の一の桁が2
・B+C+C+(B+Cの計算結果の十の桁への桁上がり(0か1))の計算結果の一の桁が2
だということがわかる。
十の桁の結果を百の桁の結果に当てはめれば、
『2+C+桁上がり(0か1)の計算結果の一の桁が2』
だということがわかる。
桁上がりがもしあればC=9、桁上がりがもしなければC=0になる。
CからBの値もわかるので、数字を当てはめれば下記のようになる。
    □□     □□
  ×AA□   ×AA□
  ----   ----
   33□    22□
  □99    □00
 □99    □00
 -----  -----
 □222□  □222□


ここで全体の乗算結果の千の位に着目すれば、左側の図は百の桁から2繰り上がっているので、上段×Aの乗算結果は199、右側の図は百の桁から繰り上がりがないので、上段×Aの乗算結果は200にならなければならないことがわかる。
しかし、実際には199は素数なので、2桁×1桁の乗算結果としては不適で、左側の仮定が間違っていることがわかる。

     □□
   ×AA□ B=2
   ---- C=0
    22□
   200
  200
  -----
  2222□


掛け合わせて200になるような、上段の数とAの数との組み合わせは、
・25×8
・40×5
・50×4
の3種類となる。

最後に下段の一の桁の乗算結果に着目し、上段の数と1桁の数を掛け合わせた結果が220~229の間になるような組み合わせを調べる。
25×8=200 25×9=225
40×5=200 40×6=240
50×4=200 50×5=250

よって、上段の数は25であることがわかる。

     25
   ×889 A=8
   ---- B=2
    225 C=0
   200
  200
  -----
  22225


個別の問題としてみれば最初の図で示した通り、隠してはあるがCが下段百の桁の乗算結果に現れるのは自明であり、少し不満の残るところではあるが、様式を0~9までA,B,Cの出現が2つずつ(既出数字は3つずつ)と統一するためであり、仕方のないところかもしれない。

詰将棋パラダイス 25番

2006-11-24 23:57:00 | Weblog
詰将棋パラダイス 25番

今回取り上げるのは残念ながら不詰であった最悪詰である。

初形のポイントとしては3段目に並んだ2枚の角であろうか。
初手はいつものように飛と金とで選択が出来るようになっている。もっとも飛で1六飛と回るのは、1八合とされて、同飛でも同金でも2九金でもすべて詰みである。また、2九金もそのまま1手詰なので、当然初手は1八金である。
1八金、同玉の後にまた先手に手の選択権が与えられる。ここで1六飛なら同歩で、作意順は飛を2度動かして捨てるのに対し、この順は1度しか動かさずに捨てているので、早詰になるという仕組みだと思われる。しかし実際にはこの後見ていくが、作意には攻方に詰みを逃れる順がある。また1六飛、同歩の後の4五角成の変化も難しい。

ちなみに4五角成のところで4五角不成は詰んでしまう。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ 角v銀 ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|六
| ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・v玉|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:なし

ここでは3六銀とし、同角には1九玉と行く。2八銀ではそのまま詰んでいるので、4六角(成)しかないが、2八合とされれば同角(馬)しかなくやはり詰んでいる。3六銀に2八金と変わっても1九玉、1八金、同金となればやはり3六角を強制される。ここで先に4五角成となっていれば、3六銀、同馬、1九玉には1八馬と捨てる手があり、受方が詰みに誘導することが困難になる。

作意順に戻ると、飛から捨てるのは早いはずなので、2八金と金で王手をする。1九玉とかわせば出題図と似た格好となる。1八金、同金で今度は3八飛と横から迫る。1九玉と再度かわして1八飛、同玉となれば先ほど1六飛と捨てるよりも2手長いことがわかる。

これで邪魔な飛と金がいなくなったのでいよいよ攻方は4五角成と角で王手をする以外に手がなくなる。(ここで4五角不成とするのは上記で示したように詰む。)3六銀と1三角の通り道を空けて同馬、1九玉と進む。ここで4六角(成)とすると受方に2八銀(金)という手をくらってしまう。王手なので、2八同角(馬)とするしかなくこれで受方玉が詰んでしまう。3六の馬を3七、4六に動かして王手も全く同様なのでここは1八馬と捨てるしかない。受方も同玉の一手である。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:銀

ここで角は筋違いなので銀で王手をする他はない。2七銀は1九玉で4六角、2八合、同角で詰む。1九銀も同玉、4六角不成から作意順と同じ手順で詰むので攻め方は2九銀と頑張る。2七玉は3七金から金を押し売りされて詰まない。1七玉は1八銀と銀の方を押し売りされて、同玉は王手が続かなくなり、逃げてもやはり銀で追っていく筋で駄目であろう。
2九銀には1九玉と入る。ここで作意は2八銀であるが、実は今までさんざん駄目であった4六角(成)がここでは成立してしまうのである。なぜなら2八合には角ではなく銀でとって王手をすることができるからである。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩|五
| ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ 金 ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 銀 ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 ・v玉|九
+---------------------------+
持駒:合駒1つ

ここからは1八玉、1九銀とされ、1七玉には2八角、2七玉には3七金、1七(六)玉、2七金と完全に誘導に破綻をきたしてしまうのである。
このようになってしまった原因は攻方に渡した銀が強すぎたからである。では出題図で3五銀が例えば歩であれば、手数は短くなるが、成立するのであろうか?今までのところで変化できそうなところが少ないので成立する気もするがここももう少し調べて御報告したいと思っている。

再度作意に戻り、2八銀に1八玉とすれば、今度は銀が2七か1九に移動する以外に手はない。2七銀は先述したとおり早詰である。1九銀に同玉とすると1三の角以外では王手が続かない。今度は不成でなくてはいけない。なぜならば成れば2八合を取ったときに詰んでしまうからである。4六角不成に対する2八の合駒は香限定である。飛は1八玉に1九飛、2七玉、1七飛で詰まない。その他の駒は最終手3七金に対し1六玉と逃げれてしまう。1六に効かせるための香なのである。

作意順は3段目の角が成るものと成らないものにわかれており、合駒の種類も読ませる面白い狙いになっている。ただサービス精神が過ぎたか銀では強すぎて結果的に不詰の局になってしまったのは大変残念なところである。

虫食い算 9番

2006-11-17 21:32:33 | Weblog
虫食い算 9番

(11月25日修正:18日に図が訂正され、6の表出位置が修正されました。(誤)□666□→(正)□□666。上段一の桁の数字の決定方法は誤図での方法と違わずに求めることが出来るので、下記内容の修正は行わない事とします。)

虫食い算9番というページが2つあり、虫食い算7番というページが1つもないようなので修正される可能性が高い。
また今回順番を無視して取り上げたのは、この問題が解けないのではないか、という疑念からである。
    □D
  ×ABC
  ----
   □□A
  □□B
 □□C
  -----
 □666□

上段の一の位をDと置いてみる。下段百の桁との乗算結果からA×Dの乗算の一の桁がCとなり、下段一の桁との乗算結果からC×Dの乗算の一の桁がAとなることがわかる。
上記2つの乗算から、A×D×Dの乗算結果の一の桁の値は、C×Dの乗算結果の一の桁の値と同じ、すなわちAになることがわかる。
Aは下段百の桁になっていることからも0ではありえず、よってD×Dの乗算結果の一の桁は1になることがわかる。

Dを2乗して、一の桁が1になるのは、Dが1か9の時であるが、A、Cが異なる数字であるとすると、1では有り得ないので、Dは9であることがわかる。
そして、下段十の位の乗算結果から、B×9の乗算結果の一の桁がBになることがわかり、これを満たすBは0か5しか有り得ないが、下段十の位の乗算結果が3桁なので必然的にBは0であることは有り得ず、B=5であることがわかる。
    F9
  ×A5C
  ----
   □EA
  □□5
 □□C
  -----
 □666□

ここから下段一の位の乗算結果の十の桁Eは1であることがわかる。

C×F9の乗算結果で十の桁が1になるものは以下の通りである。

2×59=118 (A=8)
3×39=117 (A=7)
4×29=116 (A=6)
4×79=316 (A=5)
6×19=114 (A=4)
6×69=414 (A=4)
7×59=413 (A=3)
8×39=312 (A=2)
8×89=712 (A=2)
9×79=711 (A=1)

これで、上段およびABCの全ての数字が決まったので、実際に計算を行う。
59×852=50268
39×753=29367
29×654=18966
79×654=51666
19×456=8664
69×456=31464
59×357=21063
39×258=10062
89×258=22962
79×159=12561

実際に計算した結果千、百、十の桁が全て6になるようなものはなかった。
つまりこの問題を満たすような解はないのである。
ただ、79×654を見てみると、百、十、一の桁の値が全て6になっている。
もしかすると正しい問題は、最終解の『百、十、一』の桁の値が全て6、なのかもしれない。
しかしながらそれでは、A=6ということが最初からわかってしまうので問題としてはあまり優れていないので、疑問の残るところではある

    □□      79
  ×ABC    ×654
  ----    ----
   □□A     316
  □□B     395
 □□C     474
  -----   -----
 □□666   51666


詰将棋パラダイス 27番

2006-11-14 22:23:08 | Weblog
詰将棋パラダイス 27番

まずは疑問点。と言っても作品の疑問点ではなくルールの疑問点。
最終手の局面。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 角 ・ ・ ・ 銀 角 香 香v香|六
| ・ ・ 銀 王 ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 香 ・ 飛 桂 桂 桂 桂 ・|八
| ・ ・v玉 ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:なし

作意は6九飛までの詰みだが、当然7八飛も攻方は選択できるはずである。
実際は攻方6九銀がある状態で、6八飛、7九玉、7八飛、6九玉、6八飛、7九玉の手順を経て当局面に至っている。
つまり、ここで7八飛は、4手前の局面と完全に同一であり千日手となる手なのであるが、最悪詰では攻方が千日手を指すことはルール上禁じられているのであろうか?
そのようなルールは聞いたことがないが、おそらく禁手ということで構築されているのであろうと思われる。

改めて最初から見ていくと、持駒は歩17枚。残りの駒は全て盤面に配されている。9段目の金と、と金、成銀の配置に違和感を感じるであろうか。

初手はとを寄るか引くかするしかないが、引いた場合は、3七玉、4七と、同銀、6四角・・・と早詰となるので、銀を取りつつ寄るのが正しい。と金をもぎ取り、取らせたばかりの銀を打たせて、かわして、6四角とさせる。
ここで気になっていた成銀を寄り取らせ、さらに歩合をする。
この歩合の意味は、前述の最終手の局面を見ていただければわかると思うが、角を4六まで呼び寄せて置かないと、7八飛、6九玉に7九飛と飛を無理やり玉方に取らせる手が成立してしまうためである。4六角があれば当然7九飛で詰んでしまうために攻方は指すことができない。
最終局面に至る伏線手が入ったが、その為に成銀を配することになり痛し痒しである。下手に成銀の位置をいじれば、9六の角を使われるような筋もあり止むを得ない選択であったと思われる。

角を4六に引き寄せ、2七玉、1八銀、同玉と進めば、趣向の局面に入る。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| 角 ・ ・ ・ 銀 角 香 香v香|六
| ・ ・ 銀 王 ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ 香 飛 飛 桂 桂 桂 桂v玉|八
| ・ ・ 銀 金 金 金 金 ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:歩18

ここから1九歩、1七玉、1八歩、同玉を繰り返し攻方歩を消費していく。
ここで2九金とするのはすぐ同玉で、この後は玉は9段目を這っていくので、歩を消費することが出来ないので早詰となる。つまりこの歩の消費は単なる手数伸ばしなのである。
また1九歩に同玉とするのは1六桂と空き王手されて詰みに誘導できなくなる仕組みである。ほぼ無防備な受方であるが、1六の香が受方になっているのはそのためである。

歩を消費しきれば、2九金以下の指手しか攻方は選択肢がなくなり詰に至る。

全体を通してみれば、歩を18枚打ち続ける趣向であるが、当初の持駒は17枚で18枚目は攻方のと金を奪い、さらに合駒にして取らせる仕組みになっている。察するに歩を全部持駒にし、それらを全て同じ趣向で捨てるのでは余りに単調であると判断されてのことと思う。
森氏の作品にはどこかに必ず一工夫が感じられる。出来ることをただやっただけでは作品とは呼べない。工夫して色をつけて初めて作品と呼べるものになる。そういった姿勢が氏の主張のように思えるのであるがどうだろうか。
最後の詰みに必要な角も移動させてこようとされているのも主張の一端のように感じられる。

最後の局面が千日手模様になっているは、趣向部の千日手ではない歩の消費による繰り返しとの対比なのかもしれない。なぜならば終局部分は他にいかようにも詰めさせることが可能そうに思われるからである。

虫食い算 3番

2006-11-10 20:33:36 | Weblog
虫食い算 3番

詰将棋パラダイス1983年12月号に掲載された虫食い算は、10作品全てで一連のシリーズになっていて、また全て合わせて初めて作品価値があると言っていいものであるが、このページでは1題ずつ記載していくことを御容赦願いたい。

また虫食い算一覧のページの発表順の番号と、各ページに振られた通番は異なっており、当ページでは通番の番号を使用しているので確認の際には御注意頂きたい。

まず100の位の積が111であるが、2桁×1桁の掛け算で積が111になるものは37×3しか存在しない。
また、10の位も100の位と同じ上段×Aの式になっているので当然この部分も37×3になっていることがわかる。
    37
  ×33□
  ----
   BB□
  111
 111
------
 □□□□□


残るは1の位の乗算であるが、37×1桁の積は
37×0=0
37×1=37
37×2=74
37×3=111
37×4=148
37×5=185
37×6=222
37×7=259
37×8=296
37×9=333
となるから、BがA(3),C(1)と違う値とすると、100の桁、10の桁の結果が同じになる積は37×6=222しかないことがわかる。

よって、答えは、
    37
  ×336  A=3
  ----  B=2
   222  C=1
  111
 111
------
 12432

となる。

さすがにこれ一題では評価対象とはならないであろう。



詰将棋パラダイス 24番

2006-11-03 22:12:11 | Weblog
詰将棋パラダイス 24番

初形は1一に閉じこもった玉と持駒銀一色が目に付く。

初手は1二桂成しか王手がかからない。
さて受方の応手はなんであろうか。
同玉、同飛、同龍、同金と4種類用意されているが、同金では2一香成、同玉では2三銀くらいで攻方が自由に手を選べるようになり到底詰ましに来ては貰えないであろう。
同龍は、2二香成、同龍(同玉では3三歩成で収拾がつかなくなる可能性が高い)と進むであろうが、ここで攻方は2一金と打つ手がある。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 金v玉|一
| ・ ・ ・ 馬 ・ ・ ・v龍 ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・v角 ・ ・ ・ ・ ・v飛|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:銀4 歩

1二玉では2二金と龍を取られ論外。同龍も2二銀で同玉は3三歩成で厳しいので、2二銀に再度同龍だが、ここで1二銀に同飛とは取れない(攻方持駒が銀3歩なので王手が続かなくなる)ので、同龍、同玉のいずれかしかないが、どちらの形もとても詰みそうな形ではないことがわかる。

ということで2手目の応手は同飛であることがわかる。応手の可能性がある手は4種もあるが、このあたりはすっきり割り切れていて解く楽しみがあるように思える。この飛は成るべきか成らざるべきか、という問題であるが、最終的にはあまりに受方が強すぎては詰まなくなるので、不成といくのが自然であろう。もっとも本来は最後まで読んで初めて選択はどちらがよいのかわかるものではあるが。

2手目同飛不成とすれば、その後は2二香成、同龍、2一金、同玉、3二銀と攻方
の手を1つに限定させ、誘導していくことが可能となる。

さて、8手目
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・|一
| ・ ・ ・ 馬 ・ ・ 銀v龍v飛|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・v角 ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:銀3 歩

ここで1一玉、2一銀成、同玉とすれば銀が一枚ずつ形を崩さずに消去できる。実際これを2度繰り返し、3枚目の銀を2一に成らせて同龍と取れば、2二銀、同玉、2三歩・・・となって詰ませることができるが、実はこれは正解手順ではない。手数が超過してしまうのである。
作意は3二銀を同龍と取るのである。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・|一
| ・ ・ ・ 馬 ・ ・v龍 ・v飛|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・v角 ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:銀3 歩

解答者側からすればこの手は指し難いのではないか。何故なら次の手が2二銀(作意)でも2二歩でも良いように思えるからである。
しかし、実際は2二歩は1一玉、2一歩成、同龍、2二銀、同飛、1二銀、同飛、2二銀、同玉・・・となり作意より2手短くなる。

9手目2二銀、同龍に再度の3二銀。今度は同龍と取ってしまっては、最後の銀を2二に打たれて、望みの形に誘導できなくなってしまう。(9手目2二銀に同飛と取れなかった理由も同様)
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・|一
| ・ ・ ・ 馬 ・ ・v龍 銀v飛|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・v角 ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:歩

よって今度は1一玉とかわし、2一銀成を同龍と取る。
これで2二銀、同玉と狙いの形に誘導することに成功。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v龍 ・|一
| ・ ・ ・ 馬 ・ ・ ・v玉v飛|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩 ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 歩 ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・v角 ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:歩

この局面で銀が持駒に残っていては、1三銀で失敗することはわかっていただけると思う。
ここで攻方は2三歩と打つが、もし3三歩成では、1一玉、2二と、同飛、1二歩、同飛・・・と進み、持駒の歩を打つことなく玉を詰ましてしまうことになる。
作意の2三歩は攻方の延命手段なのである。
そんな必死の手も1一玉とかわされては、2二歩成、同玉と進むしかなく、3三歩成を強制されることとなる。

3三歩成、1一玉、2二と、同飛、1二歩、同飛と進めば、攻方には6二の馬しか残らず、4四馬と指さざるを得ない。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v龍v玉|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ 馬 ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・v角 ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:なし

3三桂合では当然同馬、2二合に2三桂とは指してくれず、2二馬、同角不成、2三桂で2手長くなる。
2二桂は限定。同角も成ってしまっては、最終手を同馬と取れてしまうので、不成で取って、最後は2三桂までの見事な単騎詰である。

最悪詰ではどうしても攻方の手を誘導しにくいので、作り側とすれば攻方の応手の可能性を潰して行きたくなることもあると思われるが、作者は自身の読みの力で、例えば2手目などなるべく応手の可能性があるように作られており、解答者の楽しみを奪わないような配慮が感じられる。
また中盤もある程度の手の選択の余地を残した作りになっていて、力量が感じられる。
持駒四銀趣向も同じ捨て方をしない凝った形になっている。
歩での手数稼ぎの洒落た手順も入り、最後は盤上に余計な駒が一切残っていない鮮やかな単騎詰で幕を閉じる。
受方の初手(1二同飛不成)の不成の意味も最終手で初めてわかるという仕組みになっていて、また受方の最終手2二同角不成と対になっていることがわかると思う。
また、桂での単騎詰だが、攻方初手も桂成で始まっており、これは当然意識して桂から始められたのだと思う。

森氏の作品は隅々まで配慮が行き届いているといつも感じさせられるが、この作なども正に細部まで凝った完成品だと感じる次第である。



虫食い算 1番

2006-10-30 20:57:01 | Weblog
虫食い算 1番

この問題を見たときにまず目に飛び込んでくるのが、各桁の積の万と一の位がすべて「新春」となっているところであろう。
どのような仕掛けになっているのか、興味が沸くところである。

春に恭賀とりの4つを掛けた積の一の位が全て春になるので、考えられる可能性は、
・春が5で、恭賀とりが奇数
・春が0
の2通りであるが、恭賀とり(及び春)が違う数字だとすれば、恭賀とりはそれぞれ1,3,7,9のいずれかになるはずであるが、各桁の積は全て5桁、1万を超えているため、1であるはずがなく、前提に合わないために、春が0であることがわかる。
また全ての桁の積の万の位が同じ新であることから、恭賀とりのうち2つの数が倍以上離れていてはいけないことがわかる。つまり例えば恭が3で賀が6だとすると、恭を掛けた答えの2倍が賀を掛けた答えになるが、そうすれば万の位は当然2倍されて、同じ新になるという条件を満たさなくなる、ということである。
上記の事柄から、恭賀とりの4つの数字は全て4以上の数、ということがわかる。

恭賀とりについてもう少し詳しく見ていけば、それぞれが違う数字ならば、一番大きい数と一番小さい数では3以上の差が離れていることになる。一番大きい数がとりうる最少の数字は7(7,6,5,4)、一番小さい数字がとりうる最大の数字は6(6,7,8,9)である。
もし新が2以上であると仮定すると、積が2万以上になるので、上段の数は最低3334(3334×6=20004、掛ける数が4,5だとそれぞれ5千、4千以上の数字が必要)であるが、一番小さい数字が6のときは一番大きい数字は9になるので、3334×9=30006になって、積が3万を超えてしまう。新が2以上で各桁とも積の万の位が同じになることは有り得ないので、新は1であることがわかる。

上記までの結果を埋めると以下のようになる。
      □□10
     ×恭賀とり  恭賀とりはいずれも4以上
    ------
     1□aり0
    1□□と0
   1□□賀0
  1□□恭0
 ---------
  □恭賀10とり0


ここでa+と+0の合計の一の位がと、なので当然a=0である。

恭賀とりを掛け合わせて、それぞれ万の位が1になるような上段の数字の可能性は以下のようになる。

         4     5     6     7     8     9
1710             10260 11970 13680 15390
1810             10860 12670 14480 16290
1910             11460 13370 15280 17190     
2010       10050 12060 14070 16080 18090
2110       10550 12660 14770 16880 18990
2210       11050 13260 15470 17680 19890
2310       11550 13860 16170 18480
2410       12050 14460 16870 19280
2510 10040 12550 15060 17570 
2610 10440 13050 15660 18270
2710 10840 13550 16260 18970
2810 11240 14050 16860 19670

さらにこのうち、一の桁の乗算結果が、□□10×り=1□0り0であることから、乗算結果の百の位が0になるのは、
・2010×(5~9のいずれか)
・2210×5
・2410×5
・2510×(4または6)
・2610×5
・2810×5
のいずれかであることがわかり、上段の千の位が2であることがわかる。

      2□10
     ×恭賀とり  恭賀とりはいずれも4以上
    ------
     1□0り0
    1□□と0
   1□□賀0
  1b□恭0
 ---------
  □恭賀10とり0


ここからはある程度試して確認してみる必要があるように思われる。
千の桁の乗算結果から、恭-3<=b<=恭-1であることを利用して絞りこむようなことは行えるが。
最終的には当然ながら、式の全てを満たすような数字の当てはめ方は一通りしかない。
すなわち下記の通りである。
      2010
     ×9856
    ------
     12060
    10050
   160800
  18090
 ---------
  19810560


ここで思い出して頂きたいのはこれが年賀算であることである。
1981年の年賀算、すなわち昭和56年。
そう、乗算結果に見事に埋め込まれているではないか!
一の位は0なので、四つ並ぶのは当たり前だが、これと万の桁を揃えて新春を並べる構想に仕上げたのは巧みなところである。
一意解にするための無駄駒(最初からの表出数字)もなく、あらかじめ文字で表されたものの各種最低2個以上使われている。(言葉にするために一種の文字を一つしか使わないようではやはり減価事項である)
個人的には56という数字に干支のとりが当てられているのが嬉しい。和暦と干支という和的な年の表し方でまとめられている方が、新春や恭賀などで当てられているよりも統一感が生まれると思うがどうであろうか。

ちなみに作者の言によれば「初めて作った虫食い算」だそうである。初めての作からこの完成度とは改めて舌を巻く思いである。

詰将棋パラダイス 26番

2006-10-23 21:21:42 | Weblog
詰将棋パラダイス 26番

(10月26日修正:変化同手数かと思われた部分で早詰が残念ながら見つかったので、内容を修正。)

最悪詰は触れる機会が極端に少なく経験がないため、今回も作品を観ていくのに時間がかかった。
まだ疑問な点が残っているが書いていくことにする。

攻方は王手義務だけ守りながら、ひたすら無理攻めにして詰まなくなるように心がけてくるので、受方はなるべく攻方の手を限定していくことに注意を払いたい。

この作品では、1二、2二の角や6四の飛が自由に動くようでは到底詰ませてはもらえないので、おのずと受方の方針も決まってくる。

初手は1五金しか王手できないが、これをあっさり同玉などと取ろうものならば、たちまち2四銀とされ、角飛を自由に動かされて、紐がつかない状態でどんどんと擦り寄られ逆に受方の手が限定され、玉を詰ませてもらうことなど到底望めない状態になってしまう。
(もっとも2四銀以降に1六玉とかわされた後にどのように攻方が攻めれば攻めが頓挫しそうかが今一つ読みきれていないのだが)

初手1五金から同金、1七歩、同玉、2六銀、同玉とほぼ必然手が続くが、3五銀に対して、取らずに1七銀とかわすのが当然ながら旨い手である。
この銀を取っては、角飛全てが自由に動けてしまうのは明らかである。
2六に呼び込んで取ることにより、次の手を2二の角による王手に限定して、攻方を誘導するのが肝要である。

さて11手目は4四角成だが、生ではいけないのであろうか?
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ 飛 ・ 角 ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・v飛 ・ ・ ・v歩v金|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:なし

この場合は、3五桂合ならば、作意手順と同じ進行になるが、それ以外の手で詰む手を未だ見つけていない。引き続き検討したいところである。

3五桂、同馬、同飛で先手はようやく6四の飛を縦に使うことができるようになったが、3五同飛の瞬間が逆王手なので、取った桂で、3八桂と王手を防ぎつつ手を続けるしかない。
攻方が駒を持てば、指し手の自由度が格段に広がるはずだが、逆王手を利用して手順をコントロールしているのはさすがと言ったところである。

さて、角筋に気をつけて、1七玉と行き、6七飛と王手をさせるわけだが、ここでまた大きな問題がある。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v歩v金|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ 飛 ・ ・ ・ ・v玉|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:なし
 【17手目:6七飛まで】

作意では、3七桂合とし、同飛、同飛生の交換を入れて、この後、1二の角と桂馬のコンビネーションで詰ませるわけだが、ここで、5七桂合、同飛、3七桂合とするとどうであろうか?
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v歩v金|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ 飛 ・v桂 ・v玉|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 ・ ・|九
+---------------------------+
持駒:桂

3七同飛では、同飛生、2九桂に1六玉とする。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩v金|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・ ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 桂 ・|九
+---------------------------+
持駒:桂


2八桂を強制され、2七玉、4五角(成)に3六飛と引き、同角(馬)で詰みである。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v歩v金|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角 ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・v玉 ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 桂 ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 桂 ・|九
+---------------------------+
持駒:飛

なので、2九桂だが、ここで2七玉と寄られてどうだろうか。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 角|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・ ・v飛v歩v金|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ 飛 ・v桂v玉 ・|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・ ・|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 桂 ・|九
+---------------------------+
持駒:なし

2七玉には、3七飛、4五角生、4五角成とあり、攻方の手を限定できなさそうに見える。
しかし、3七飛には1八玉と入る。
1七飛では詰みなので、4五角と王手するが、同飛と取られて、1七飛をやはり強制されてしまう。
  9 8 7 6 5 4 3 2 1
+---------------------------+
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|一
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|二
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|三
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|四
| ・ ・ ・ ・ ・v飛 ・v歩v金|五
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・|六
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 飛|七
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 桂 ・v玉|八
| ・ ・ ・ ・ ・ ・ 王 桂 ・|九
+---------------------------+
持駒:桂

4五角生、成も単に手順前後で、同飛、3七飛、1八玉、1七飛の順に誘導するのを防げないように思える。

作意は全く桂のない局面から徐々に桂を入手し、最後は大駒は全て捨て四桂で詰め上がる見事な作である。
今回の余詰では、桂でのコントロールと大駒の威力がちょうどよく詰んでしまう。
作意の狙いを残しての修正はかなり難しいと思われるが・・・

早詰順:
1五金 同金 1七歩 同玉 2六銀 同玉 3五銀 1七玉 2六銀 同玉 4四角成 3五桂 同馬 同飛 3八桂 1七玉 6七飛 5(4)七桂 同飛 3七桂 3七同飛 同飛 2九桂 1六玉 2八桂 2七玉 4五角 3六飛 同角まで29手詰(飛余り)
21手目2九桂は2七玉 3七飛 1八玉 4五角 同飛 1七飛まで(桂余り)

カピタン その他

2006-10-19 20:49:15 | Weblog
カピタン その他
虫食い算 2番

10月19日現在、虫食い算の1000の桁の乗算結果の枡の数がおかしいように思われる。
おそらく、枡の数は4つが正しいであろう。

またコメントの冒頭、切削1万手越え、は『拙作1万手越え(超え?)』と思われるが、この部分は確認のしようがない。

虫食い算は1982年(昭和57年)の年賀状用の作品らしい。

   □□□□
  ×c□5□
-------
  1□□7□
  9□□a
b□8□□
d□2□
-------
□□□□57□


一部を説明のためにアルファベットで表記した。
まず、簡単にわかる部分では、10の桁の乗算結果で、5倍して9千台になっていることから、上段の数は1800~1999までの間の数であることがわかる。
また、10の桁の加算の結果から、aの値は当然0となる。(よって上段の数は偶数)
上段の数が2000を超えないので、もし仮に9を掛けても、2万を超えないので、bの値は1になる。
また、cの数であるが、もし5だと仮定すると、dの値も(10の桁の乗算結果と同じだから)9になり、b+dで桁あふれをしてしまうので、cは4以下だとわかる。
また1の桁と100の桁の乗算結果は1万を超えているので当然、(10の桁の乗算結果が5をかけて9千以上なのだから)6以上であることがわかる。

いままでわかった部分を表にあてはめる
   1e□f  e:8か9
  ×cg5h  f:0,2,4,6,8のいずれか
-------
  1□□7□  c:4,3,2,1のいずれか
  9□□0   g:6,7,8,9のいずれか
1□8□□    h:6,7,8,9のいずれか
□□2□
-------
□□□□57□


ところが困ったことに簡単な演繹では、上記の事柄以上のことはわからない。
個人的な好みでは、このような演繹だけで解ける虫食い算の方が好きなのだが、仕方がない。

考え方を変えてみる。可能性のある数字を虱潰しにすることにする。
上段の数は1800~1998までの偶数であることがわかったので、
そのような数100個に対し、
・1~4のいずれかを掛けたら、乗算結果の10の桁が2になる
・6~9のいずれかを掛けたら、乗算結果の10の桁が7になる
・6~9のいずれかを掛けたら、乗算結果の100の桁が8になる
の3条件を満たす数を全部洗い出すことにした。

とても面倒なように思えるが、幸い世の中には表計算ソフトというものがあるので、今回はExcelを使用して楽をしてみた。

条件に当てはまるものは以下のものであった。
・1808 ×3=5424 ×9=16272 ×6=10848 
・1810 ×2=3620 ×7=12670 ×6=10860
・1812 ×2=3624 ×6=10872 ×6=10872
・1830 ×4=7320 ×9=16470 ×7=12810
・1842 ×3=5526 ×9=16578 ×7=12894
・1862 ×2=3724 ×6=11172 ×8=14896
・1982 ×4=7928 ×7=13874 ×6=11892
・1982 ×4=7928 ×7=13874 ×7=13874
・1982 ×4=7928 ×7=13874 ×8=15856
・1982 ×4=7928 ×7=13874 ×9=17838

以上10パターンが条件を満たすので、あとはそれぞれを計算して、全体の乗算結果の100と10の桁が『57』になるものを探してみる。

1808×3659=6615472
1812×2656=4812672
1830×4759=8708970
1842×3759=6924078
1862×2856=5317872
1982×4657=9230174
1982×4757=9428374
1982×4857=9626574
1982×4957=9824774

よって正解は、
   1982
  ×4857
-------
  13874
  9910
15856
7928
-------
9626574

になる。

年賀算のようなものであれば、慣れた方ならば、上段がまさにその年『1982』になることは察しがついたのではないかと思われる。
普通に考えれば、一方の数字が決まってしまえば、穴埋め算はその時点で終わりである。
しかし、森氏のすごいところはその後で、見ていただいてわかるように、1982を使用しても、最後の乗算結果を確認するまでに、まだいくつかの可能性が残るようになっていることである。

・当然入れたい狙い(上段の西暦年出現)
・表出配置も過不足、無駄なく、1982と57のみ
・趣向なので狙いがわかっても、その後も確定まで楽しめる内容
・当然唯一解での完璧な着地
と非の打ち所がない作品である。

完成度の高さに感服する一品である。