映画批評&アニメ

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映画寸評「ジョン・ウィック:チャプター2」

2017年08月01日 11時06分08秒 | 映画寸評

「ジョン・ウィック:チャプター2」(2017年・米国)
監督 チャド・スタエルスキ

敵の弾はジョンには当たらない

前作は見ていないが、今回もストーリーはともかくとしてアクションがすごい、という紹介記事につられて観たところがっかりである。冒頭のカーチェイスの果てに車が止まり、ジョンが車から出てきたところを敵が襲ってくるのだが、当然銃撃してくるものと思うと何故か全員素手で向かってきて格闘技となる。ジョンが次々と倒すが最後に巨漢が出てきてやられそうになると、突然拳銃を出して射殺するのである。DVD鑑賞ならここでやめるところであろう。

その後も中心は延々と続く銃撃戦なのだが、ジョンの強いわけは敵が撃った弾は当たらない、ということに尽きる。建物内を動き回りながら撃ち合う時に、ジョンが先に敵を見つけた場合や同時に気づいた場合はともかく、敵が先にジョンに気づいて撃った弾は当たらずジョンが反撃して倒す、というシーンが何度もあり、白けてしまった。射撃の腕が良いとか、早撃ちとか、物陰に隠れて撃つのが上手とかではなく、単に運が良すぎるだけとしか思えないシーンだ。そうであるから、敵が何十人もいる催物会場に何の工夫もなく正面から乗り込んで行くこともできるのであろう。また、敵方の中には、ただ撃たれるためにのみ登場したかのように見える者もいたりする。この基本のリアリティが無視されている以上、所どころそれなりに良く出来ている細部の凝った設定も楽しむことはできない。

ストーリーに期待はしていなくても、最初は裏社会のルールを真剣に理解しようとしていたが、それも屁理屈を並べたようなものに思えだした。1対多数の闘いは、チャンバラや格闘技ならともかく、正面切っての銃撃戦では成立しにくいのであるが、それ故に何らかの工夫が必要なのであり、それによって映画の出来不出来が決まる。本作はその点で全く失格であり、ただ次々と多数を殺し続けるというだけで、殺した人数の多さでスケールアップしたと勘違いしているのではないだろうか。

総合評価 ②  [ 評価基準: (⑥まれにみる大傑作)⑤傑作 ④かなり面白い ③十分観られる ②観ても良いがあまり面白くはない ①金返せ (0 論外。物投げろ)]


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