「ドント・ブリーズ」(2016年 米国)
監督 フェデ・アルバレス
設定以外に新味は無い
荒廃したデトロイトの町に住みコソ泥を繰り返していた若者3人が、盲目の老人宅に忍び込み、思わぬ反撃に出会って恐怖を味わうという話。自堕落な親と別れて町を出るための資金が必要な女性、ロッキー(ジェーン・レビ)は、ボーイフレンド2人と老人宅に忍び込んだが、この老人はイラク戦争で盲目になった退役軍人で頑健な体と研ぎ澄まされた聴力を持っており、逆襲されて窮地に陥る。照明を消されてしまい、暗闇の中で勝手の判らない屋内を逃げ惑うことになる。オードリー・ヘップバーンの「暗くなるまで待って」と逆の設定が優れており、興味を呼ぶ。
しかし、そのドキドキハラハラ感は始めのうちだけで、後は単純な攻撃と防御と反撃の繰り返しで、取り立てての新味はない。もうちょっと暗闇における両者の立場を反映した駆け引きが描かれる展開を期待したのだが。コソ泥から強盗になったロッキーたちより、被害者たる障碍者の老人に肩入れしたくなり、ロッキーの恐怖に感情移入することができない。いくらロッキーの事情があり、また老人が隠された犯罪を犯しているとしてもだ。闘いも、明らかに殺されたと思えるように描かれた者が、実は死んでいなくて反撃に移るなど、不自然さが見られる。一番かわいそうなのは、ロッキーたちのとばっちりを受けるもう一人の登場人物であろう。したがってラストの描き方にも大きな抵抗がある。
結局、本作も設定の面白さだけが目を引く映画となっている。
総合評価 ② [ 評価基準: (⑥まれにみる大傑作)⑤傑作 ④かなり面白い ③十分観られる ②観ても良いがあまり面白くはない ①金返せ (0 論外。物投げろ)]
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