annaのLIFE & LIKE

おうちが趣味!の のんびりまったりブログ

たま~に少し激しいかも?

奪取 真保裕一

2024-01-29 22:25:55 | 

簡単に言うと偽札づくりに励む人たちの話

彼らが偽札に掛ける情熱は、犯罪をしていると言うよりは、職人を見ているみたいな気持ちで読みました

 

疾走感があって、すごく面白かったです

 

一見、刑事モノっぽい表紙だなと思ったのですが、警察は出てきません

刑事が偽札づくりをしている人たちを捕まえて終わる…というパターンではないところもまたなんだか新しいなと思いました

 

特に前半がとても良かったですが、中盤も後半も良かった

ラストのオチが私としては若干…余計だったかなーと思いますが…

 

お札が新デザインになる事にこんなに絶望する人間がいるんだなと新たな気づきもありました(笑)

 

また、忘れた頃に読んでみようかな。


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楽園のカンヴァス 原田マハ

2023-12-17 12:16:50 | 

最後の1ページを読み終えて、ほろほろと涙が溢れてきました

素晴らしいエンディング

本当に素晴らしいエンディングです

 

余韻と言うよりも名残惜しいような気持ちで「あと少しでいいから続きが読みたい」と、

本を閉じた今も夢心地でいます

私は子供の頃に行った母との思い出が原点になって、大人になった今も美術館に行くのが好きです

 

娘が中学に上がり、すこし自分の時間も取れるようになったのでまたふらりと美術館に足を運びたいな、と思っていた矢先に、

偶然寄った本屋で目に飛び込んできた『楽園のカンヴァス』

 

もう…なんというか…

読み進めながら指先がしびれてくるほど面白かった

 

中心にある謎、それを解いていくというミステリーでありながら、

胸を打つロマンティックなルソーの世界…

 

謎を解き明かすまでの7日間が、知らず知らずのうちに「愛おしい時間」になっていく主人公たちの感動を私も一緒に体験できて、こんなにうれしいことはありませんでした

 

あー、絵を観に行きたくなってしまいます

 

美術館が好きな母にも勧めてみよう

絵画が好きな夫にも勧めてみよう

 

ティムと織絵が情熱を共有したように、私も誰かと思いを共有したくなる、

そんな本でした


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ルパンの消息 横山秀夫

2023-12-15 22:44:01 | 

【小説を書いていて楽しかったのはこの作品だけ】

と、横山秀夫さんが話していたという、本作品

 

本当に、衝撃的に面白かったー!

横山さんらしい刑事モノではあるんだけど、事件のベースになる過去の話が同時進行で語られていて、

この過去の話がもうすっごく楽しい青春モノで、高校生三人組の過ごす毎日を読み進めてワクワク、惹きつけられているうちに読了してしまいました

 

横山秀夫さんの作品はこの他に読んだことがなかったのですが、

事件が終わったと一息ついたらまだ真相があって、流石にもう一息ついていいだろーと余韻を楽しむつもりでいたらまだ真相があって…と、最後まで気が抜けない展開だったのも刑事モノとして素晴らしく、本当に流石の一言でした

 

横山さんで特に有名なクライマーズ・ハイなど、読んでみたいな〜と思う本がまたたくさん増えちゃいました

ただ、冒頭にも上げた通り、御本人が本作以上に楽しんで書いた本がないって言っているからなぁ〜

もしかしたらこのルパンの消息が最高傑作なのかもしれない

 

この本でデビューできなかったというのが本当に不思議でたまらないです


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チョコレートコスモス  恩田陸

2023-12-10 20:38:32 | 

二人の女優がオーディションで情熱をぶつけ合う話…と思っていたんだけど(あらすじがそんな感じで書いてあった)、読んでみると印象がかなり違いました

 

結果、想像以上に面白かったです

 

あれ、こういう展開なんだ

とか、

こういうふうになるのか〜

とか、

以外だなぁと思う方に話が進むんだけど、どれも期待をはるかに超えるというか、私が想像していることの何段も上のところに連れて行ってくれるストーリー運びでとても興奮しました

続編があるらしいのですが(正しくは出すつもりのようですが)、私としてはこの一冊で既に大満足です

 

 

恩田陸さんの作品、いくつか読みましたがどれも文章が心地よくて大好きです!


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非色 有吉佐和子

2023-12-07 09:08:07 | 

戦後に米軍と恋をして、結婚して、子供が生まれて、戦争花嫁としてアメリカに渡る女性、笑子の話です

 

とても読みやすく、登場人物たちが魅力的で、でも読者の私達にきちんと当時の現実も突きつける、

この本を読んで良かったと思える一冊でした

 

こちらの本、

大きくは人種差別がテーマなんだけど、ずっと笑子の視点だから常に発見があって面白い

 

少なくともハーフの娘にとっては日本にいるよりも黒人のハーレムのほうが住みやすいよね、と思ったり、

同じ黒人でもニューヨークにいる黒人、南部にいる黒人では差別の質が違うことを知って驚いたり、アフリカにいる黒人は差別されていないことに驚いたりとか、

ハーレムにいる被差別者の黒人が、プエルトリコ人を更に差別していることを知ったりとか、

 

そういう、一見しただけではわからないアメリカの構造を知って、それでも強く生きていくしか無いと割り切る笑子は流石だと思いました

 

 

笑子の他にも戦争花嫁が何人が出てきますが、

実際に米国に渡るまで、自分が結婚した相手が何系のアメリカ人なのかなんて気にしたこともないし、そもそも気にするところじゃないとみんな思っています

当然ですよね。日本人にとってはどの外国人も「外国人」でしかない

そこに細かい区分けがあるなんて思いもよらないんです

 

日本という国に差別がないとは思わないけど、パット見の見た目が同じだから少なくとも一瞬で相手を差別対象に認定することは少ないように思う

(逆に言えば、だから多様性を受け入れづらい国だとも言えるけど)

だからこそ笑子がアメリカに着いて直面する現実や、受ける扱い、でもそれなりに毎日楽しかったり、良い知り合いもできたり…

そういう一つ一つの描写に、同じ日本人目線である私も、そこで生活しているかのような気持ちになりながら読み進めました

 

そしてずっと自分は「日本人妻」、つまりアメリカ社会の差別の外側のつもりでいた笑子が、

私も夫(黒人)の妻で娘(夫とのハーフ)の親である以上、「差別社会の当事者」なんだと気づくラストが潔かったです

 

一筋縄ではいかないテーマを、とても受け入れやすい文体で、重たくなく、小難しくなく、書いてあるのはとてもありがたかったです

 

 

厚い本ではなかったこともあり、あっという間に、とても面白く読みました

冒頭の繰り返しになりますが、この本に出会えてよかったなと思っています


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【イラク水滸伝】高野秀行

2023-11-20 22:01:49 | 

きっかけは中東情勢が揺れている中、知らないものを知っておきたいなと思って手に取ったことでした

本書はほぼ筆者の高野さんが中東で出会った良き友人、恩人とのすったもんだとした日々を記していましたが、

それを通して知らないものを少し知ることができたのではないか、と思っています

 

 

さて、感想ですが。

 

【はじめに】の引きがとても強く、始まる前からワクワクしました

冒険が始まるドキドキ感みたいなものを本書を通して疑似体験させてもらいました

 

本自体も想像以上に厚くて、内容も盛り沢山

筆者がイラク(アフワール)にいかに情熱を傾けていたかがその厚みからも伺えます

 

どの章も面白い!というわけではなく(笑)、

ここは飛ばし飛ばしでいいか〜とか、このあたりは飽きてきたな〜と思う箇所もちらほらありましたが、

終章まで読み進めて、【あとがき】を読み終えた後、なんだか凄くさみしくなって泣けてきました

 

いつの間にか、私も高野さんと一緒にアフワールを旅していたんですね

 

 

本書にも書いてありましたが、昨日まで笑い合っていた人が明日も笑顔でそこに立っているとは限らないような情勢ですので、

一期一会であることを常に噛み締めているだろうし、あの土地での出逢いはまさに宝物なんだろうなと思います

(高野さんご自身にとってだけではなく、読み終えた私にとっても彼らとの出会いは宝物だなぁと思います)

 

読み終えた後にイラクに行きたい!とはやっぱり全然ならないし、アフワールで船旅!したーい!!とも全然なりませんが(イラク旅は本書での体験で充分に楽しかったし、苦労話が本当に苦労しかないって感じだったので私にはリアル旅は無理そうです)、

高野さんがイラク及びアフワールで出会った愛すべき人たちの平安と幸運を願っています


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アルケミスト パウロコレーリョ著

2023-11-15 22:42:04 | 

とても薄い本なのですが、分厚い一冊を読み終えたような満足感で本を閉じました

とても面白かったです!
 
旅に出ること、人に出会うこと、
それ自体が尊いということを感じさせてくれる本です
 
分けるならばファンタジーの部類だと思うのですが、
時代背景や土地は実在のものということもあり、なんだか本当にこんな事があったのかも、と思わされて、それがまたハラハラワクワクする気持ちを増幅させてくれました
 
 
誰に勧めても間違いない一冊だと思うし、
私も誰かに勧めて貰いたかったなーと思う本でもありました
この本を勧めてくれる人のことは大切にしたいって思う、そんな本でしたので。
 

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同士少女よ、敵を撃て

2023-11-03 10:12:57 | 

戦争ものだし、外国の地名や人名が出てくるし、かなり複雑かもしれないと思いながら読み始めたのですが、とても読みやすい戦争小説でした。

大人の私が読んでも面白かったですが、娘でもすんなり読めるのでは、と思います

 

読み始めたあとすぐにパレスチナとイスラエルの衝突が始まったこともあり、おそらく平時に読むよりも沢山のことを考えながら読んでいました

この本にあるような世界が、実際に間違いなくあるんだな、と。

文体が丁寧で読みやすいだけに、この本の登場人物たちがやけに身近に感じたことも手伝って、強くそう思いました

 

文章中にある、【戦争の中にある人間は、誰もが自分を正当化している】という言葉

守るものがある以上、そこに自分の暮らしがあった以上、

今の自分の行いを正しいと疑わず、戦う兵士たち

 

一方の私は、

諍いが起こるたびに、正義について考えては答えが見つけられずに揺らいでいます

 


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少年と犬 馳星周

2023-04-22 23:12:13 | 

馳星周さんの本なので、アンダーグラウンドでずっしりしてて多分人が死ぬ、のを覚悟して読みました😂

 

そのとおり、アンダーグラウンドな描写もあったし重めなシーンもそれなり、人も死にますが、こちらは連作短編なのと毎回犬が出てくるからかなりマイルドな印象のまま読み終えることができました

犬の癒やし効果って最強ですね…

登場人物たちにとってもだけど、読み手である私にとっても。

犬がいなかったら暗い話になりかねないのに、犬が出てくるだけでなんかほんわかしちゃう

 

色々な人生があって、それぞれに生きていて、殺したいほどの相手がいるのと同時に守りたい相手がいる。

そんな彼らの人生にもし一瞬交差したり関わったとしても、その一瞬で彼らの人生を変えるなんてことは到底できなくて、因果応報、なるようにしかならずに物事は流れていく

 

でも

彼らにそっと犬が寄り添ったことで、彼らがどんな始まりと終わりを過ごそうとも、彼らの人生で一瞬だけでも口角を上げられたんだろうな、としんみりしました


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ザリガニの鳴くところ

2023-04-20 14:54:52 | 

貧困で湿地のほとりに住む少女の話

最初は家族でそれなりに楽しく住んでいますが、一人またひとり湿地から去り、最終的にカイア一人でそこに住んでいくことになります

 

そんな主人公カイアの日常と、ある事件が交互に描写されていく展開で、読みやすいし飽きなくて最後まで面白く読みました

 

このお話について私がいいなぁと思ったのは、

主人公カイアが不幸で可愛そうな少女だというばかりではないということです

もちろん、貧困に生まれて家族もないという状態は不幸と呼んで間違いないと思うのですが、

カイアは自分でボートを操縦して勝手知ったる湿地を行ったり来たり、貝集めでお金を得たり、魚を燻製にして売ったりして暮らしていて、

大自然の動物たちとは言葉はなくとも通じ合っていて、不幸ながらも自分の場所に足をつけて生きています

 

湿地の人間は貧困であることから、街では弾き者のような扱いを受けていますが、そもそもカイアはあまり街に出ないこともあってか、街の人間も一部を除いてカイアとは距離を取っており、そういう差別されてる感じの悲しい描写もほぼなしです

 

そして、カイアの割と穏やかな暮らしを支える周りの人が暖かかったりして、いいなぁと。

 

そんなまったりした前半ですが、

後半は事件のウエイトのほうが強くなってくるので、少しずつスリルがある展開になってきてさらに面白いです

裁判のシーンも、検事と弁護士のどちらかが勝ちすぎない展開が続き、結構ハラハラします

 

そんなわけで、面白かったんです

面白かったんです、が。

 

 

以下、ネタバレさせてください

叫ばずにはいられない

 

 

 

 

で、お前なんかよー!!

 

と、言いたい

 

 

あの裁判での態度は一体何だったの…

あの、「自分繊細なんでこんな裁判とかそういう場所にもうあと一分たりともいられません」みたいなあの態度は一体何…

ほんと、お前かよ!でしたねー

いやはや

 

これは犯人のネタバラシだけがズコーって感じでした

そのズコーっも含めて面白かったです


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