トウキョウ◎アワー

ふるさとの自然が、愛しい。
懐かしいとよく似てるけど、ちょっと違う。
帰りたいと思うか、思わないかだ。

描くこと、書くこと

2008-08-29 16:01:20 | Weblog


「じゆうちょう」が好きだ。
真っ白い、
どこまでも自由な線を描ける、
それでいてどこか知らないところに
来てしまったような心細い気持ちになる、
「じゆうちょう」が好きだ。


でも、7mmとか、8mm感覚で
ぼやけたインクをひっぱってあるキャンパスノートじゃないと
世の中は生きにくいんだ。



最近あたしはむさぼるように小説を読む。

そのせいか、もともと1,0あった左目も、
0,2の右目とおんなじくらいの視力になってきたようだ。
世界がかすむ。

本屋の店頭に平積みしてある文庫本を
適当に何冊か買う。
よく見えないから、よく考えないで、指が触れるままに。

今、読んでるのは『黄色い目の魚』。
主人公は画を見るのが好きな少女と
画を描くのが好きな少年。

きっと著者の佐藤さんも絵が好きなんだろうなと思う。
だって、絵が好きな人の心が痛いほど分かるもの。

あたしは久々に思い出した。
『じゆうちょう』が好きだってこと。




雷の花火

2008-08-22 00:06:33 | Weblog
トウキョウは今日も激しい夕立。

くっきりとした入道雲が見えていたかと思うと、
まるで映画の中で悪魔がやってくるときの空のように
真っ黒い雷雲がズモモモモモ・・・と空を塗り替えていく。

「来るな、こりゃ。」
ってたぶん、通りを歩いていた人のほとんどが思ったと思う。
(現に早歩きが小走りに近くなった人が多々あった)

ドドドーン!
ッカカカ!!


太鼓のような腹に来る音と
バチバチ光る空。

隣にいた若い女性二人組みは「きゃあーん!」と言った。
あたしは「ちっ」と言った。会社まで50メートル。走るか。
空をキッと見上げると
雲の上がムラムラと薄く光って、時折バチバチっと稲光がする。


雷の花火だ。


「ともこ、それ、外見てみい。雷が見えっろ。」
ばあちゃんが言う。
「嫌や!怖いもん。」
ピンクのタオル地でできたパジャマを着た、おかっぱ頭のあたし。
「ほら、どもねぇて(大丈夫だって)。」

ばあちゃんが玄関の扉をそろっと開ける。
ビュウと音をたてて風が吹き付ける中、彼女は玄関先に出た。
あたしは首から上だけを外に出して空を伺う。
真っ暗な分厚い雲の、もっと上でピカピカと光る雷。
ゴロゴロゴロと音を立てて威嚇してくる。
雨だって横殴りだし、なんて恐ろしい光景なんだ。

びくびくしながら見ていると
「よーく見とってみい。花火、見えるぞ。」
「花火?」
「雷さんの花火や。」

言ってる間にもドドドーンとそのあたりに雷が落ちている。
その落ちる直前の光が、空でバババッと四方に走り、花火のように見えるのだ。
目がチカチカするほど、そこここで花火がひらく。
それはそれはきれいで見上げる首が痛くなるほど長い間眺めていた。


このこと以来、雷はあまり怖くない。
これは一重に嵐の夜のばあちゃんのおかげである。





来てくれて ありがとう。

2008-08-18 10:49:03 | Weblog

毎日毎日、
映像ばかり見ていて
でもそれが仕事で
楽しくもあったけど、
やっぱりどこかうまく表現できないって
モヤモヤした想いがみぞおちあたりに沈殿してた頃。

文章が書きたくてしょうがなかった日々。


「ブログ」って流行りのものに乗っかってでも
やっぱり書きたいから、と思ってはじめた『トウキョウ◎アワー』

実は、それから3年近く経ちました。


書きたいときに書きたいことを書く。
これがブログの美味しいところ。

自由に、素直に。

些細な感情をどうやったらうまく表現できるか。
どうやったら見てくれる人に伝わるのか。

かっこいいことは書かなくても、
「なんかこれ分かる分かる」って思ってもらえたら
嬉しいんだ。


最近はたくさんの人が
ちょいちょい遊びに来てくれるようになりました。

大したことはなにも書いてないけど、
まあ、ちょっとした息抜きに、また来て下さいね。





背中に膏薬を貼る

2008-08-17 14:48:56 | Weblog

膏薬、というのはいわゆるサロンパスみたいなもの。

うちのばあちゃんなんかは病院から大量にもらってきては
「背中と肩に貼ってくれ」
とよく頼んできたものだ。

久々のトウキョウでハッスルしすぎた母は
寝る前に弟にマッサージしてもらっていた。
腰を触っただけで
「あ、すっげえ凝っとるわー。」
と言った弟。
少しでも力を入れると悲鳴をあげる母。
残酷な姉弟はひゃっひゃっと笑う。

ふくらはぎなんか、まったくさすってるだけなのに
イタイイタイと言いながら悶絶している母。

仕上げに私が膏薬を腰に張る。
「そーーーっとして!そーーーっと!!」
そう言って母は正座した状態で
頭をひざにうずめるように待機する。

はいはい、とベタッと素早く貼るとひゃあ!!と言う。
弟はひゃっひゃっひゃと笑う。

もう一枚は1センチずつ貼り進める。
一ミリも進んでないのに母は
「ひーーっ!」と頭を上げる。
「今、なにもしとらんよ~。」

ひゃっひゃっひゃと親子して笑う。


観覧車

2008-08-15 17:54:46 | Weblog

お盆の夕暮れ。

毎月のように仕事で通うお台場へ
母と弟と3人で行く。

観光客さながらにゆりかもめに乗って、
フジテレビを横目に見ながらパレットタウンの観覧車に徒歩で向かう。
車社会の田舎から来た親子には
このトウキョウスピードで歩くのはちょっと辛いかな。

「いつも会社で歩いてるから大丈夫や!」
母は気丈に言う。
そうだね、と私と弟は歩幅を小さくしてゆっくり歩く。

目の前に放射状に広がるネオンの観覧車が見えてきた。
巨大な渦がクルクルと回る。
あたし達は15分ほど列について、乗り込む。

昼間の酷暑のニオイがかすかに残る風が
小さな箱の中に吹き込んでくる。
目線がちょっとずつ高くなり、
だんだんトウキョウが見えてきた。


「ほらお母さん、トウキョウタワーが見えるよ!」
振り返ると母は鉄の棒にしがみついて、街のほうを見ようとしない。
弟は失笑している。

「お腹が汗かいてびしょびしょや~。」
忘れてた、母は高所恐怖症だった。
てっぺんをすぎる頃には
「あー、きれいやった!」と発言し、
また姉弟の失笑をかっていた。

見慣れたトウキョウの夜景が
ちょっとステキに見えた夜。



2008-08-15 11:26:42 | Weblog
今日はバンバン書きますよ。
書きたくてしょうがない。




母と弟が上京してきた。

なんと弟は初トウキョウ!!
23年間、田舎で牛のようにパラサイトしている弟。
いや、ここ数年は『親の相手をしてあげている』という
なかなかできそうでできないことをやってる弟。
(はねっ返りの姉ちゃんでゴメンネ)

小さいときはよく一緒に遊んだけど、
私が大学に入ってからは、帰省しても食事のときくらいしか
一緒にいなかったことに気づく。

だから、丸一日一緒にいること自体、
十何年ぶりのこと。

こんな顔だったっけ。(そりゃ成長してるもんな)
こんなボキャブラリーあったっけ。(そりゃ大学生だもんな)
こんなでっかい手だたっけ。(そりゃ成人男子だもんな)
ちょいちょい驚くことばっかり。


初のトウキョウで秋葉原に一日2回も行った弟よ。
また遊びに来まっし。
姉ちゃんの家に泊まってけ。





家族想い

2008-08-15 11:12:28 | Weblog

家族と久しぶりに会った。
丸一日、水入らずで。

まあ、それだけだけど心は充電満タンで、
いろんなことに耐えられる気がするし、挑戦できる気がする。

なにより、『想いやり』を思い出した気がした。


強力だなー、一人じゃないって。



雨の日と、晴れの日と、曇りの日。

2008-08-05 13:21:25 | Weblog

「雨の日と晴れの日と曇りの日、どの日が好き?」


『思ひ出ぽろぽろ』に出てくる、
主人公のことを好きだったオトコノコは
彼女にこう聞いた。

「曇り、、」
「え?」
「、、曇りの日。」
「おんなじだ!」

これだけのやりとりの中に
だいぶ青春が詰まってる、と
当時青春真っ只中にいたあたしは思った。



今日のトウキョウは土砂降り。
本当に土砂がワーワー降ってきているみたい。

地下鉄から出口に上って行ったら、
珍しく人の行列がある。
皆が一様に見上げる先は、地上の四角い出口。
そこから見えるのは轟々と叩きつけてくる雨の大群。
ほんとに雨粒ではなくて、ホースから出した水のごとし。

あまりに水量が多いので、空間全体が白っぽく見える。
私も皆に混じって大群が去って行くのを待つ。

じっと、ぬるい雨風に吹かれながら
白い雨の線を見つめて思い出したのが、
『雨の日と、』ってやつ。


ここには青春はないけどね。


電車で肩を貸す

2008-08-04 22:29:07 | Weblog
いつもの帰りの電車。
表参道から乗る千代田線は、
うたたね寝して、西日暮里あたりで起きたら
大体満員電車になっている。

今日もいっぱい。
右隣はばあちゃん。
左隣はねえちゃん。

まあ、汗をたくさんかいた真夏のサラリーマンよりは
いいかと思う。

そのうちに右のばあちゃんが舟を漕ぎ出した。
くくくっとこちらに寄りかかってくる。
私はすすすいと肩をすぼませる。
それでも私に寄りかかってくるのは時間の問題だろう。
ひじで起こすのは、あんまり好きじゃないんだよな。
自分がそうされたとき、軽くショックだから。

なんて思いながらばあちゃんの膝元に目線を移す。
きちんと揃えられた手が乗っている。
しわとシミがたくさんある手。
細いスジが浮いていて、そこに血管もちょろっと乗っかっている。

なんか見たことあんな~と思ったら、
あ、そうか、うちのばーちゃんの手に似てるんだ。

働き者の手。
土と水をたくさん触ってきた手。
フシが出ている指には
形がちょっと変形した金の指輪がはまってるんだ。

トン、とあたしの肩に隣のばーちゃんが寄りかかってきた。
あたしは肩をそのまま貸す。

「お疲れさんやね。」




ポニョの映画館

2008-08-04 15:13:11 | Weblog
しまった、ポニョをなめてた。


映画館に開演30分前に行くと、当然のように親子連れでごった返していて、
そこらじゅうで幼い奇声が飛んでいた。
子供を3人も連れた母親の後ろに順番をつき、チケットを購入。
『お席がここしか空いておりませんが・・』
一番広いホールの略図を見せられて、その四隅を指差される。

通路脇の座席につくと、真っ暗なのにドタバタ騒いでいる物音が
いろんなところからする。

ドスン、と私の座席も後ろから蹴られる。
「こらっ!」と直後に母親がしかる声。
「だって、ポニョまだぁ~?」とすねる女の子の声。

・・いやー、楽しい時間になりそうだ。

いつもより長いCM。
それも半分くらいが子供向けの映画告知。
ゴレンジャーとやらのCMが始まると、なぜか皆が主題歌を歌いだす。
ちゃんとCMのBGMと一緒。さすが!

本編が始まれば始まったで、
「これ、見たことある~」
「この子、そうすけって言うんだよ!」
「ポニョだあ!」
と大はしゃぎのちびっ子一同。
そして泣き出す子やら、おしっこに立つ子。

エンドロールが流れている間もみんなでポニョの主題歌を合唱する。

『ぽーにょぽーにょぽにょ さかなのこ~!!』


なんとか会場を出てきて、あたしたち二人ぼそっと
『・・逆に子供いないと、きついな(笑)』

ちびっ子パワーに圧倒されたポニョの映画でした。