トウキョウ◎アワー

ふるさとの自然が、愛しい。
懐かしいとよく似てるけど、ちょっと違う。
帰りたいと思うか、思わないかだ。

姉妹のように

2007-07-27 18:08:42 | Weblog

姉妹のように
ショッピングして
ランチをして
地下鉄に乗ったら
疲れて寝て。

同じ高さのヒールが似合う歳になったことを
ちょっとさびしくも思う。

軽がると私を抱き上げて
まん丸なほっぺたにチュッチュされたのも
そんなに昔の話じゃないと思っていたのに。

銀座の街のショーウィンドウで映る私たちは
すっかり年頃の娘と背の小さい母だった。


ロングスカートの切ない話

2007-07-25 19:13:10 | Weblog

じりじりとうなじを攻撃する太陽光。
ほんとに梅雨はあけてないのか?

猛烈な紫外線地獄から
涼しいカフェへ逃げ込む。

午後2時半。

暇な主婦と茶髪の大学生と
なぜかサラリーマン風の男と女。
店は満員だ。

青いバンダナを頭に巻いた店員に案内された席から外を見遣ると
銀座の街が俯瞰で見えた。

壁一枚隔てて
熱風に汗する人々が右往左往する。

窓枠の隅に見えるドアから
急に少女が飛び出してきた。
唐突な違和感を覚えてしげしげと見つめる。

「あ、ロングスカートだ。」

小学校一年生くらいだろうか、
中年の女性がはくような巻きスカートをはいている。
これが違和感の原因。

あれくらいの歳の子は短いプリプリのスカートが
一番かわいい。と思う。
ちょうちん袖で、ピンクや赤の水玉模様の。

でも。
でも、確かにあたしもあれくらいの頃はどうだった?


保育所のゆり組さんの時だったか。
2段スカートがどうしても欲しかった。
絵本で読んだお姫様スカートにあこがれて、母親にせがんだ。
どれだけか経って、膝丈の赤い2段スカートを買ってきてくれた。
あの頃の我が家にしてはとても奮発した買い物だったと思う。

すごくすごく嬉しくて、うきうきして保育所にはいていった。
それを見たみんなはかわいいねと言ってくれた。
いいないいな、あたしも欲しいな。

次の日、同じ組の一人っ子でかわいい女の子が
4段スカートをはいてきた。

みんなは彼女を囲んでスカートを褒め称える。
あたしの赤い2段スカートは忘れられてしまった。

昨日はあたしがあの子だった。


・・・・


こんな小さなときから
女は女なんだねぇ。











ポッキンアイスの夢

2007-07-16 12:40:52 | Weblog

「ポッキンアイス」

誰がつけたかポッキンアイス。

ほら、あれだよ、あれ。
ソーセージのちょっと長くしたようなのが
二個くっついてるアイス。
スーパーで一袋199円くらいで山積みされてるアレ。
二つにポキンと折って食べるやつよ。

子供がいる主婦には強い見方。
だって、普通のアイスを買うより断然安い。

あたしもポッキンアイスで育った口だ。


ポッキンアイスって名称で
ピンと来ない人のために。

「チューペット」
「チュッチュ」


どう?

それをだね、久々に買ったわけさ。
気まぐれだったんだけれど、
なんだかすごく美味いんだ。

あなたもこの夏、いかがですか?

二つに折って、半分は意中のあの子にあげてください。




ばあちゃんと一緒

2007-07-15 14:47:05 | Weblog
台風の影響で雨がボタボタ降る
ある駅前のバス停。

あたしは病院までのシャトルバスを待っている。

時刻表を見ると、あと10分足らずで来るらしい。

間近に迫った曇り空を見上げていると
すいません、と声がする。

視線を上から左下にシフトすると
小さなばあちゃんが立っていた。

「このバス停、病院行きですかねぇ?」
「あ、そうですよ。あと10分くらいで・・・」

あれ?

雨ざらしの時刻表に『土日運休』と見えた。
しまった。

「今日はバス来ないみたいですよ。」
「あら~、困ったねぇ!どうしましょ。」
「タクシーで一緒に途中まで行きましょうか。なんていう病院ですか?」
「ほら、田んぼの真ん中のおっきな病院よう。」

・・・いや、それじゃ分からないんだけど。。

ばあちゃんは病院の周りの風景をやたら説明しだす。
それも30年位前の。

あたしは初めて降りた駅で
ぶっちゃけ土地勘はまったくない。

じゃあ家に電話してみましょうと携帯を差し出す。
あらすいませんねと言いながら
なんて番号だったかしら、なんて恐ろしいことを言う。

かばんをひっくり返して息子さんの名刺を発見。
仕事中のせがれに電話をする。

どうやらうまく説明が聞き取れないらしい。
わたしは寿司屋をやっているという茂さんと話す。

うちの母が迷惑をかけまして、と何度も言われる。
接客の仕事で染み付いたであろう高くてまあるい声の人だ。

あたしが話す隣で大きなこうもり傘をさした
小さなシワシワのばあちゃんが心配そうに見ている。

よくよく聞いたら何のことはない、あたしと同じ病院ではないか。

じゃあご一緒しましょうとタクシーに乗ると
ほっとしたばあちゃんはさらに饒舌になる。
そして同じことを何度も繰り返して話してくれる。

83歳なこと。
南柏に嫁いでから住んで居ること。
ご主人が去年亡くなったこと。
次男坊の家にすんでいること。
長男が寿司屋をやっていること。
・・・・・・

相槌をうちながら
ぼうっと故郷の祖母を思い出す。

今年もあの人は畑をちゃんとつくっているだろうか。
風邪はひいてないだろうか。
白髪染めはまだしているのだろうか。
バスで市営のお風呂まで遊びに行っているだろうか。
・・・元気だろうか。元気だろうか。

このくらいの歳の人と
トウキョウで知り合ったのがはじめてなことに気づく。


あたしは優しさの在り処を考える。






ホタル

2007-07-03 16:21:52 | Weblog


電車まで時間があるという彼女を
半ば強引に車に押し込んで
初夏の夜闇をとばす。

目を凝らして前方を見ると
大きな黒い山がのっそりと居座る。

そのふもとまで。
もう少し、もう少し。


口約束の時間より30分オーバー。
申し訳ない。

それでも

「ホタルなんて、何十年ぶりかしら」

と、喜んでくれただけで
連れてきてよかったと思う。

満足した僕は
点滅する光を
ゆっくり目で追う。




土とトマト

2007-07-03 16:12:39 | Weblog


畑で野菜を収穫する。
自然の恵みを指先で感じる。


それだけのことができないトウキョウ。


たったそれだけで
きっと人は太陽と水と緑に感謝する。

パソコンに向かって電話をして
満員電車でiPodを聴いてるようじゃ、
地球という星の10000分の一も楽しんでないよね。


自然を慈しみ敬い、
その中で呼吸をする動物で
あれたらいいのに。