じりじりとうなじを攻撃する太陽光。
ほんとに梅雨はあけてないのか?
猛烈な紫外線地獄から
涼しいカフェへ逃げ込む。
午後2時半。
暇な主婦と茶髪の大学生と
なぜかサラリーマン風の男と女。
店は満員だ。
青いバンダナを頭に巻いた店員に案内された席から外を見遣ると
銀座の街が俯瞰で見えた。
壁一枚隔てて
熱風に汗する人々が右往左往する。
窓枠の隅に見えるドアから
急に少女が飛び出してきた。
唐突な違和感を覚えてしげしげと見つめる。
「あ、ロングスカートだ。」
小学校一年生くらいだろうか、
中年の女性がはくような巻きスカートをはいている。
これが違和感の原因。
あれくらいの歳の子は短いプリプリのスカートが
一番かわいい。と思う。
ちょうちん袖で、ピンクや赤の水玉模様の。
でも。
でも、確かにあたしもあれくらいの頃はどうだった?
保育所のゆり組さんの時だったか。
2段スカートがどうしても欲しかった。
絵本で読んだお姫様スカートにあこがれて、母親にせがんだ。
どれだけか経って、膝丈の赤い2段スカートを買ってきてくれた。
あの頃の我が家にしてはとても奮発した買い物だったと思う。
すごくすごく嬉しくて、うきうきして保育所にはいていった。
それを見たみんなはかわいいねと言ってくれた。
いいないいな、あたしも欲しいな。
次の日、同じ組の一人っ子でかわいい女の子が
4段スカートをはいてきた。
みんなは彼女を囲んでスカートを褒め称える。
あたしの赤い2段スカートは忘れられてしまった。
昨日はあたしがあの子だった。
・・・・
こんな小さなときから
女は女なんだねぇ。