きりはりへりをり

あまねそうの短歌ブログ。歌人集団「かばん」所属(16年度副編集人)。歌集『2月31日の空』kindleストアにて販売中

短歌研究 2016短歌年鑑

2015年12月14日 | 短歌紹介

もう年末。今のところ過ごしやすい冬。寒いのが苦手なので、暖冬は個人的な感覚としては嫌いじゃないです。スキー場は死活問題でしょうが・・・・・・。

JR東日本のSKI SKIの広告のキャッチコピーが、いつもその年の気候を引っ張ってしまうような気がして、少し怖くもあります。

今冬は「そこに雪はあるか。」。雪不足の時にはキツイ・・・・・・。

2年前は「ぜんぶ雪のせいだ。」でしたが、雪害がひどく、関越自動車道が通行止になるなどの被害があった年でした。

言葉に見えない力が込められているようです。


って、前置きが長くなりましたが、短歌研究の2016短歌年鑑に、今年も3首掲載していただきました。ありがたいです。かばん6月号から3首選んでいただきました。

革靴の硬き底には砂浜は柔らかすぎる(オレ、重いんだ)  あまねそう

結論を求めていない足取りで海岸歩く飼い主と犬

結論を知っているかの顔をしたサーフショップの店長が嫌



文フリ用同人誌「chi 吃【チー】」に参加

2015年11月02日 | 短歌紹介



文フリ販売用の同人誌「chi 吃【チー】」に参加しました。「食」をテーマに、短歌やエッセイが掲載されています。僕は自分の歌集から、給食をテーマにした連作「延長戦」のうち10首と、かばん2010年6月号に出したエッセイ「似て非なるもの」を修正して出しています。


延長戦(抄)   あまねそう

昼休み遊ぶことなく給食の延長戦にひとりで挑む

白衣用ロッカーのなか前の日のシチューのにおい微かに残る


海、祈り(かばん2015年6月号)

2015年06月09日 | 短歌紹介

初夏ですね。一番好きな時期のひとつです。隅田川沿い、荒川の堤防上、堀切~向島~両国あたりを自転車で走り回りたい気分ですが、とりあえず脳内サイクリングで落ち着かせています。

さて、かばん6月号に「海、祈り」8首を寄せていますので、掲載します。また三浦半島を詠んでいます(2年ぶり5度目)。


海、祈り   あまねそう

消えたいと思い向かえど駄目だともいいとも言わずただ海である

革靴の硬き底には砂浜は柔らかすぎる(オレ、重いんだ)

結論を求めていない足取りで海岸歩く飼い主と犬

焚火する人は見えねど潮の香に焦げの匂いが混ざりて届く

結論を知っているかの顔をしたサーフショップの店長が嫌

みすぼらしい後ろ姿で構わないオレの背中はオレには見えぬ

海を見る眼差しはみな美しく祈りのように何かを許す

結論をすぐには出さぬ足取りで三浦海岸歩く夕暮れ



ネットプリント『午前三時の庭』に参加

2015年04月03日 | ■お知らせ

こんにちは。東京は風が強く、桜の花びらが舞い上がりながら散っています。

さて、とみいえひろこさんの企画・編集によるネットプリント(折本『午前三時の庭』に参加しました。
セブンイレブンのネットプリントで印刷できます。120円。期限は4月10日まで。

庭に はな 37352863
庭に かぜ 09432788
庭に とき 38897441
庭に やみ 50179467

今回、僕は”庭に はな” に「摘み取られた花」6首で参加しています。

なお、PDFは下記のリンクより。
▼午前三時の庭PDF版

・・・・・・

「摘み取られた花」より  あまねそう

音もなく光もなくて感覚は僕を感じるためだけに 息

幸せになってほしいと思うんだ。ごめんね優しくしてもらってて



歌集『2月31日の空』から2年

2015年03月21日 | 日記/エッセイ

歌集『2月31日の空』をアマゾンのkindleストアで出版してから、丸2年が過ぎました。

毎度のお知らせになりますが、kindleの専用端末でなくても、スマートフォンのkindleアプリ(アプリ自体は無料です)、パソコン等があれば、kindleの電子書籍は読むことができます。

ぜひどうぞ。

▼アマゾンkindleストア『2月31日の空』はこちら


■歌集『2月31日の空』より

てつぼうに手のとどかない子のために広がっている青空がある

『基礎問題精講』を解く玉ねぎにすかしたような日の射す部屋で

僕が僕であろうとすれば花は咲く僕から少し離れた場所で

呼吸器をはずしたような静けさにときはなたれて海は金色


■歌集後より

我の中で歳とらぬ君 悲しみは悲しみとしてとっておきたい

氷点下とは静寂の単位なり雪を踏む音だけが聞こえて

冷たくも光を含むものとして「雪」の名をもつ中島みゆき

一呼吸おいて鳴り出すオルガンのように歩めり京島の春

自らの体の形を感じおりぬるき豪雨に打たれ続けて


※5首目ふりがな:「体」=「たい」



かばん新人特集号vol.6に寄稿しました

2015年03月19日 | ■お知らせ

かばん新人特集号vol.6が出ました。

前回のvol.5に新人として参加させていいただいてから、もう4年も経ったみたいです。

今回は、酒井真帆さんの「あすなろ」30首への内部評を寄稿しました。


帰り来たこと噛みしめるためのパイ「よんひゃぐにじゅうえんになります」  酒井真帆


「あすなろ」は、寺山修司以来、下北を現代の感覚で読んだ一連です。

と、そんな言葉でまとめてしまってはいけないくらい、地元と自分との距離感がいろいろな意味で濃く表現されていたと思います。

黒瀬珂瀾さんが外部評を担当されていて、鋭い指摘もたくさんされていました。

他の方の作品も評も、とにかく盛りだくさんで超豪華ですので、どうぞご一読を。

なお、通販も行っているそうです。詳細はかばん関西歌会blogにアップしましたので、そちらをご覧ください。
▼かばん関西歌会blog



夜の影(かばん2014年12月号)

2014年12月11日 | 短歌紹介

かばん12月号が届きました。4冊の歌集の特集や、引用についての特集など、分厚く届きました。以下、今月号に出詠した連作です。『Bluesy 34名の短歌作品集』に出詠した8首の再掲になります。


夜の影  あまねそう


自らの体の形を感じおりぬるき豪雨に打たれ続けて

雨上がりタイヤの弾く水音が過ぎて静まる夜の街道

影はいつも我より少し足早に次の街灯まで伸びてゆく

最終のバスが過ぎてもバス停は光ったままで影を生み出す

生ぬるき夜の湿り気 信号は音も立てずに青へと変わる

街灯の多き街なり我の影幾重に伸びて雨に濡れおり

雨音はブルースとなりシャンソンとなりて街には哀しみばかり

雨粒よもっと強まれ錆びついた身体を貫通するほどに 刺せ


※1首目「体」のルビ=「たい」

初出:アンソロジー歌集『Bluesy 34名の短歌作品集』2014


短歌研究 2015短歌年鑑

2014年12月04日 | ■お知らせ

ついこの前に白歌合戦を見ながら白短歌合戦に参加していたように思うのですが、もう1年。年末年始の妻の帰省に合わせた新幹線も無事に確保でき、とりあえずそこを目指して年末の追い込みをしていこうと思います。

さて、今年も短歌研究2015短歌年鑑の「年刊歌集」に3首掲載していただきました。ありがたいかぎりです。


一呼吸おいて鳴り出すオルガンのように歩めり京島の春  あまねそう

新東京タワーが此処に建つという遠近法でも君より高く

震災も空襲も経た業平の地図に四角い区画が並ぶ



今月は、かばん関西オンライン歌会の進行役にもなっています。かばん関西歌会は、かばん会員に限らず、どなたでも参加できるメーリングリストを中心に行われ、定期的にオフライン歌会も実施しています。興味をお持ちのかたは下記のリンク先をご覧ください。

▼かばんwebサイトでのご案内
▼かばん関西歌会blog


アンソロジー歌集『Bluesy 34名の短歌作品集』

2014年12月03日 | ■お知らせ

かばんのとみいえひろこさんの企画による、アンソロジー歌集『Bluesy 34名の短歌作品集』に参加しました。

11月24日の東京文学フリマでも販売され、通販も受付中とのことです。

Downtown Blues
Room Blues
River Blues
Deep Blues

4つの章で構成された、34名の歌人による連作です。
4枚組のブルースアルバムのような、迫力と泥臭さ、
かっこよさを併せ持った仕上がりになりました。
相聞歌あり、各章を担当したゲストによるテキストあり。
短歌という形式によって、底に流れるうねりが引き出されています。
魂のこもった作品集をどうぞ。

……と、とみいえさんからの紹介文を転載しました。


僕はDeep Bluesに参加しています。

自らの体の形を感じおりぬるき豪雨に打たれ続けて  あまねそう

影はいつも我より少し足早に次の街灯まで伸びてゆく

※1首目「体」のルビ=「たい」


通販等の詳細はとみいえさんのブログをご覧ください↓
▼うたう とみいえひろこ




かばん関西PDF歌集「東京」

2014年07月25日 | ■お知らせ

かばん関西有志による地方歌集シリーズ第5弾、「東京」に参加しています。今回のお題地域は地元になりますので、22首ほど出詠できました。ぜひご一読ください。

一呼吸おいて鳴り出すオルガンのように歩めり京島の春  あまねそう

▼PDF歌集「東京」(制作:かばん関西有志)


なお、僕が参加しました第1弾の「おおさか逃走」もPDFになっています。合わせてご覧ください。
▼「おおさか逃走(表)」
▼「おおさか逃走(裏)」