雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

本と映像の森 133 あさのあつこさん著『グラウンドの空』角川書店

2011年02月11日 21時53分29秒 | 本と映像の森
本と映像の森 133 あさのあつこさん著『グラウンドの空』角川書店、2010年7月20日初版、318ページ、定価1300円+消費税

 「あの」あさのあつこさんの野球少年小説です。

 主人公の瑞希(みずき)は、地元・八頭森東(やずもりひがし)中学の2年生で、野球部のキャッチャーです。

 キャッチャーと言っても、エーズピッチャーが急な転校でいなくなったのが悩みで、同級生で親友の良治(ファースト)とともに、ピッチャーをさがす物語です。

 そこに都会からやってきた転校生・作楽(さくら)透哉(とうや)が2人の前に姿を現します。
 
 一見少女かと思うような顔立ちと細身の身体で、透哉は、都会で元ピッチャーをしていました。
 心に傷を負い、転校してきた透哉を2人の少年が誘い、野球をやろうと接近していきます。

 瑞希と良治の会話はほとんど漫才ののりで楽しいです。

 2人と透哉の会話と行動は、静かな緊張感に満ちていて、キャッチボールなども3人の思いと意志が、じれったいくらい少しづつ進んでいくプロセスの物語です。

 ですから野球小説なのに、試合の中身はいっさいありません。

 透哉の球をなんとしても捕手として捕りたいという瑞希の思いは、ほとんど恋物語そのものです。

 「おれ、ほんとは…他にもちゃんと言わんとあかんことがあったんや。おれ、地区大会とか甲子園とか抜きにして…そういのは関係なく、もう一度、あいつの球、捕りたいんやって…伝えなあかんかった」(p182)

 結果がどうなるか?透哉はグラウンドに来るのか?ドキドキする恋物語です。

 なお、この本を買った方は、「序章」はいちばん後で読むことをお勧めします。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。