Scarving 1979 : Always Look on the Bright Side of Life

1979年生な視点でちょっと明るく世の中を見てみようかと思います。

映画生感想『歌え!ジャニス・ジョプリンのように』

2004年08月12日 23時25分06秒 | 映画
横浜から千葉への帰省のついでに日比谷に寄り道して、
プティフランス映画祭を開催しました。

いえ、せっかくなので第2回イカンヌ映画祭にしときましょう。
第2回イカンヌ映画祭は第1回と比べ規模も小さくなり、2本のみです。

まず1本目は『歌え!ジャニス・ジョプリンのように』です。
初めて訪れたシャンテ・シネ、11:15の回で鑑賞しました。

感想を一言で言うと、
平凡な主婦がジャニス・ジョプリンにのめり込んでいく様が、
生々しく情熱的で、なにより本当に嬉しそうで、
その姿が演技を超えて、誰の心でも火が点いたら止まらなそうな、
退屈な日常から解放された主婦そのものに見えて、
その姿を見た私までもが、その自由に憧れて、
社会人という規制された自分の生活を壊してしまいそうな気分になる、
そんな影響力があり、コワさまでも感じる、力強い作品でした。

とか、いきなり言われても困るだろうので、
今回は、あらすじを少し紹介しましょう。

あるところに平凡な3人家族がいました。
保険会社に勤務する夫にはひとつ秘密があり、
ある顧客と車両保険の空契約を結び、私服を肥やしていたのです。

しかしある日、その車両が壊れ、修理日用として、
50万フラン、およそ1000万円を払わなければならなくなりました。

そんな大金を用意出来るわけもなく、
しかし大金がないと逮捕、さぁ困った、という状況の中、
ラリってる従兄弟に莫大な相続金が舞い込んだ話を聞く。

ラリっている従兄弟は、21世紀になった今でも、
ジャニス・ジョプリンとジョン・レノンが生きていて、
自分に会いにきてくれることを信じています。

ということで夫は、ジョン・レノン役の役者を用意し、
さらに自分の冴えない妻をジャニス・ジョプリンに成り切らせて、
相続金を横取りして、保険金を支払おうとするのですが…、
なんて、お話です。

面白そうに思えました?大丈夫です?

あらすじでわかる通り、基本的にはコメディなんですけど、
徐々に人間関係や、自分の存在意義を考えさせられ、
そして最後には大切なものを見つけあう心温まる系の作品となります。

その自分の存在意義を見せる演出が、
芸術家には避けられない性なのか、
いわゆる平凡な社会人を皮肉り、
自由な表現者こそ本当の幸せを得ている人、
という印象を強く与えるものとなっています。

なので、抑圧されて無理矢理に平凡な生活を行なっている人、
例えば、元舞台女優の私の母親様とかに見せると、
舞台復帰したがりそうでコワイですし、
そもそも私も隠していますが、本性的には前に出たがりなので、
こういう、自分をさらけ出して得られる自由こそ最高の喜びだ、という、
お話を見せられると、どうにも感化されてしまいそうになりがちです。

抑圧された暮らしをしている方がこの作品を見たら、
もしかしたら生活を一変させてしまうかもしれません。
そのくらいの力があります。

あまり抑圧されておらず、平凡が幸せだよね、という方が作品を見たら、
たまにああ弾けるのもいいよね、ああ気持ちよかった、
と笑顔で劇場を後にすることでしょう。

規制された退屈な日常をこなしてるからこそ、
普段との違いがより楽しめるのであって、
例えば旅行に出たときの楽しみとかもそうですし、
そもそもこの作品で感化されるのも退屈な日常なおかげであるので、
自由であり続けることで得られる日々の楽しみと、この特別な楽しみ、
どちらの楽しみが大きいか、なんてことはわかりません。

そして、どちらが正しいかはわかりませんが、
本来の私は自分の思うがままに表現し続けて、
太く短く死にたいかもしれません。

サマーーー♪

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ともっち)
2004-09-09 22:32:32
この映画、予想を遥かに上回ってすごく面白かったです。

マリー・トランティニャンすごく素敵でした。

これが遺作だなんて残念です。



50万フランっておよそ1000万円なんですか…

予想以上に小さい額だったかも…

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現実感 (aliz)
2004-09-10 00:01:22
確かに、あらすじとかで予想出来る印象を超える出来で、

実際観てこそ面白い作品ですよね。



マリー・トランティニャンは、

ホントに残念ですよね。。。



私的には、1000万円というところが現実的で、

一介の会社員が、ホントにオドオドしてしまう、

絶妙な金額という気がしました。
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