愛と情熱の革命戦記

猫々左翼の闘争日誌

弁護士でさえも食えない時代になってきた

2009年12月13日 15時11分00秒 | 人間らしく働くルールの確立を

 先日、法律会計特許一般労働組合(略称は法会労、以下法会労とします)の人と会って話をする機会がありました。

 この時期なので、暮れの一時金の話などが出てくるわけですが、やはりこの経済不況を反映してか法会労のなかでも団体交渉をしても低調、増額どころか一時金の減額が出てくる状況です。内部留保を潤沢に溜め込んでいる大企業とは違い、団体交渉の相手先、経営側の状況そのものが相当悪化している事実があるもとなのでいち労組の努力だけではどうにもならない実態があります。

 法会労の人から聞きました。現在、弁護士でさえもだんだん生活できるだけの仕事を得られなくなってきているというのです。ベテランで実績のある弁護士はまだいいのです。一番深刻なのは、弁護士登録して日の浅い若手の弁護士の状況です。年間の売り上げが500万円程度しかえられない弁護士が特に若手の中で増えてきているというのです。どうして、そういう状況が生じるのかというと、一言で言うと弁護士への仕事の依頼が全国的に減っている、パイ全体が減っているからです。確かに、こういうご時世だと、揉め事事態は増えていくわけですが、それでも、金銭を使って弁護士を依頼するより当事者同士で話をつけようということが多くなっています。刑事事件と違い、民事事件は当事者同士で話をつけてしまえば良い、という側面があり必ず弁護士を依頼しなければいけないというわけではありません。それで、弁護士への以来そのものが社会全体で減ってきているのです。こういう事態で一番打撃を受けるのは実績が少ない若手の弁護士だというわけです。

 年間の売り上げが500万円程度だと事務所維持費やその他の経費を考慮すれば、自宅と事務所が別々の場合だと事務所家賃やそのほかの経費を考えると所得が出なくなってきます。ようするに生きていけないというわけです。また、自宅と事務所を同じ場所にして事務所家賃の節約を図ったとしても、ワーキングプアの弁護士バージョンになるのは目に見えています。

 法会労の人から聞きましたが、特許事務所(弁理士の事務所)も仕事自体が減って厳しい状況にあるといいます。

 弁護士、司法書士、税理士、行政書士、社会保険労務士、弁理士といった六大士業全体が厳しい状況におかれているようです。

 現在中小零細企業の倒産、廃業が相次いでいて、税理士や社会保険労務士は顧問先の倒産により、顧問先を失うという自体が相次いでいます。税理士や社会保険労務士も仕事がだんだんなくなってしまうという実体があります。弁理士にしても、経済活動が不調になれば特許申請の数そのものがなくなってきます。行政書士も中小零細企業を顧客にすることが多いので厳しい状況です。弁護士や司法書士も同様に厳しい状況があります。

 湯浅誠(NPO法人もやいの事務局長)さんが現在若者が急速に食えなくなってきていることをメディアなどで指摘していますが、賃金労働者だけではなく勤労市民(自営業者、中小零細企業の経営者)でも、若者が生業によって生活を維持するのが困難になってきます。

 六大士業を営んでいる人は、世間では「先生」(私としてはこういう言葉は使われてほしくないのですが)と呼ばれていますが、それとは裏腹に普通の賃金労働者より困難な状況に置かれている人が少なくありません。中小零細企業の倒産、廃業が相次いでいて国民所得全体が下がり続けているもとで、六大士業だけが無事でいられるわけではないということです。

 話が変わって私事ではありますが、11月の上旬に私が参加した、東京都行政書士会江戸川支部が行った支部研修会のテーマは、離婚の法律問題を扱ったものでした。ちょうどあの時期はNHKのドラマで離婚届か何かの書類作成のことで行政書士に相談する場面があったそうですが、そのときに大阪の弁護士会が弁護士法72条のことでテレビ局側に抗議したわけでありそ言う言う背景があって東京と行政書士会江戸川支部も離婚の問題について扱う研修会を執り行ったという面があります(ドラマの題目は「コンカツ・リカツ」だったそうです)。行政書士は、官公庁への許認可などの書類の作成や提出のほか事実証明に関する書類の作成、権利義務(契約書など)に関する書類の作成・提出およびこういった書類に関することの相談に業として応じることができます。離婚問題が絡んでいる場合でも、当事者同士で折り合いがつけられる状況においては、行政書士が相談に応じたからといってただちに弁護士法違反となるとは思えません。大阪弁護士会の対応は粗雑であると考えられます。

 東京都行政書士会江戸川支部の研修会の時に司会を務めていた方が、こういうご時世なので弁護士も相当厳しい状況にあるのではないでしょうかという旨のことをおっしゃっていました。

 法会労の人から話を聞いてなるほど、と思いました。

 労資は対立する、これは大企業においてだけではなく中小零細企業の中でも同じことが言えます。それでも、中小零細企業においては、労資が共同して行うべき取り組みがあります。平和の問題、大企業や大金持ちへの優遇税制を正す問題のほか、憲法第25条にかかわることでも部分的には共同できます。中小企業への支援の問題でも労資が共同できる事柄があります。中小零細企業の労組においては労働組合の活動の中に労資が共同できる部分として、中小零細企業の生活と営業を守る事柄が含まれてきます。職場が倒産してしまったのでは元も子もありません。また、中小零細企業を営んでいる人にも、労資が共同できる取り組みについては自分と従業員の生活を守るために積極的に取り組んでほしいところです。

 士業を営んでいる人には、ぜひ労資が共同できる取り組み、運動に積極的に参加していただきたいところです。それが、自分の事務所経営を守ることにつながるのですから。


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