goo

■ 野沢温泉 「熊の手洗湯」 〔 Pick Up温泉 〕



<野沢温泉 「熊の手洗湯」>
(長野県下高井郡野沢温泉村、5:00~23:00(11~3月は6:00~)、原則無休、寸志(浄財)、0269-85-3114(野沢温泉村役場商工観光課))
紹介ページ (野沢温泉観光協会)
紹介ページ (野沢温泉旅館ホテル事業協同組合)
紹介ページ (野沢温泉宿泊業組合)
紹介ページ (@nifty温泉)
紹介ページ (るるぶ.com)

外湯は古くから地域住民の生活の共同の場所として毎日利用されています。
それぞれの外湯は、その周辺の住民が「湯仲間」という制度をつくり、管理、維持をしています。電気料や水道料の負担、当番制で毎日の掃除をしています。
共同の場所です。お互いに気持ちよく入浴できるようエチケットを守りましょう。
(野沢温泉観光協会HPより)

北信の名湯、野沢温泉には外来客も入れる「外湯」といわれる共同浴場が13あります。
なかでも人気が高いのが大湯、真湯、熊の手洗湯の3湯。
熊の手洗湯(くまのてあらゆ)は傷ついた熊により発見されたという古い湯で、野沢温泉発祥の湯ともいわれる由緒正しいお湯です。
かつては伝説に因んで手洗湯、照湯、寺湯とも呼ばれ、いまでも寺湯と呼ばれることがあるようです。 


【写真 上(左)】「熊の手洗湯(寺湯)温泉街」入口
【写真 下(右)】 外観-1

野沢温泉街の北西側、「野沢温泉ホテル」に向かう坂道の途中左手の「熊の手洗湯(寺湯)温泉街」というアーチの路地に入ります。
急坂を下りつつしばらく行くと右手に外湯のひとつ「上寺湯」、さらに進んだ右手に「かわもとや」が見えてくるので、この角を右に入って少し行った左手。


【写真 上(左)】 入口正面
【写真 下(右)】 古湯の風格

ベースは木造ですが入口まわりは白レンガ貼りでそこにサッシュの入り口がふたつ。
端正な木造湯屋建築の外湯が多い野沢温泉のなかでは異彩を放つつくりながら、それがかえって風格を感じさせます。
建物左上に「熊の手洗湯縁起」、上部に「名湯 熊の手洗湯」の看板。
十二神将は因達羅大将、本地仏は地蔵菩薩、方位は午です。

建物入口に設けられた賽銭箱に浄財を入れてから入ります。
”無料”と書いてある資料もありますが、野沢温泉の外湯は、地元の”湯仲間”という組織によって大切に維持管理運営されているもの。
浄財(寸志)というかたちで感謝の意を示すのが、外来客のマナーでしょう。

このときは、熊の手洗湯のそばの「河一屋」に泊まったので、ちょこちょこ覗きにいきましたが、午後~夕方は入浴待ちも出るイモ洗いの大混雑。さすがに人気外湯です。


【写真 上(左)】 夜の熊の手洗湯-1
【写真 下(右)】 夜の熊の手洗湯-2

ここは温泉街中心からはずれていますが、「温めで入りやすいお湯」「野沢を代表する名湯」などと喧伝されているので、観光客もけっこうやってきます。
23時少し前、外湯巡りから帰る途中で覗くと無人。写真だけgetして翌朝再攻撃。
翌朝はすいていてラッキーにもほとんど独占。じっくりとこの名湯を味わえました。


【写真 上(左)】 浴場
【写真 下(右)】 浴槽から脱衣所

右が男湯、左が女湯。
入って正面に木枠の脱衣棚、木組みの高い天井、数段低く浴槽、どれもこれもが絵になっていて文句のつけようがありません。


【写真 上(左)】 入口側から
【写真 下(右)】 窓側から

浴槽は赤タイル枠コンクリ叩きで、右手に3-4人、左手に1-2人のふたつが隣りあっています。
右手浴槽はタイル壁から突き出たパイプからややぬる湯を投入。
湯口の上には「低温(41℃)は熊の手洗湯です。湧出口は薬師堂 裏)」とあります。


【写真 上(左)】 右手浴槽の湯口 (熊の手洗湯)
【写真 下(右)】 熊の手洗湯の説明

左手浴槽はタイルから突き出た左側パイプ湯口からのややぬる湯投入&タイル壁から突き出たパイプからの熱湯ドコドコ投入で、熱湯のほうは多くを木樋から浴槽外に逃がしています。
左側パイプ湯口のそばにはコップがおいてありました。


【写真 上(左)】 左手浴槽の湯口
【写真 下(右)】 右手浴槽から入口方向

アメニティ類なし。日曜10時で2人~独占。

ふたつの浴槽はつながっていて、側面の穴をつうじてお湯の行き来があります。
左手浴槽はかなりの熱め、右手浴槽はややぬる~適温なので、右手浴槽では側面の穴のあたりから熱湯がでてくるといった塩梅になっています。
両槽とも槽内注吸湯なしでオーバーフローのかけ流し。

投入源泉ですが、右手浴槽はおそらく熊の手洗い湯源泉、左手浴槽左側のややぬる湯も熊の手洗湯源泉?。
左手浴槽右手の熱湯は麻釜系特有の焼けタイヤ臭があったので、おそらく麻釜系源泉の引湯かと思います。
熊の手洗湯だけでは寒い時季に温くなるので、おそらく加温用に麻釜系源泉を引湯しているのだろうと思います。


【写真 上(左)】 左手浴槽
【写真 下(右)】 右手浴槽

熊の手洗湯(右手浴槽)はきもち翠がかってうすく懸濁し、白と灰と黒い湯の花がたくさんただよっています。
芒硝たまご味に苦味と微塩味が混じりますがのどごしよく美味。また、塩味は右手の麻釜系源泉よりよわくなっています。

スペックより力強い浴感でイオウ成分をかなりつよめに感じます。
アルカリのヌルとイオウのスルスルにとろみをまじえる絶妙の湯ざわり。
噂どおり神がかり的な浴感がある絶妙のあと曳き湯でなかなか脱出できず。脱出に成功しても(^^)、またぞろ入りたくなります。
なるほど、いつも混みあっているワケです。


【写真 上(左)】 湯色
【写真 下(右)】 湯の花がワンサカ

左手浴槽はほぼ透明で、湯の花は右手浴槽よりすくなめ。

ただひとつ残念なのは、右手の熊の手洗湯槽に左手浴槽から麻釜系源泉が流入していること。
熊の手洗湯槽は十分適温だったので、夏場など、流入を止めたら100%ピュアな熊の手洗湯が楽しめると思うのですが・・・。
(正直なところ、今回(9月)は予想より熱めでした。)


【写真 上(左)】 熊の薬師
【写真 下(右)】 裏手の泉源

泉源は、左手はす向かいの「熊の薬師堂」の裏手にあります。
お堂の裏手にコンクリ造の貯湯槽があって木板の屋根が掛けられています。
覗きこんでみると、一段低い湯槽に源泉が湛えられていました。

単純硫黄温泉(Na-SO4・Cl型) 41.1℃、pH=8.8、湧出量不明、成分総計=390mg/kg、Na^+=89.4mg/kg (85.31mval%)、Ca^2+=10.9 (11.84)、Cl^-=38.2 (23.18)、HS^-=9.5、SO_4^2-=102.1 (45.71)、HCO_3^-=40.7 (14.38)、CO_3^2-=14.2、陽イオン計=103.5 (4.56mval)、陰イオン計=205.2 (4.66mval)、メタけい酸=77.3、メタほう酸=3.4、硫化水素=0.2 <H18.6.7分析> (源泉名:熊の手洗湯)

単純硫黄温泉(Na-SO4型) 43.3℃、pH=8.8、湧出量不明、成分総計=409.6mg/kg、Na^+=76.0mg/kg (82.34mval%)、Ca^2+=11.6 (14.43)、Cl^-=25.5 (14.31)、HS^-=7.9、SO_4^2-=142.2 (58.85)、HCO_3^-=34.8 (11.33)、CO_3^2-=15.0、陽イオン計=91.2 (4.02mval)、陰イオン計=226.7 (8.92mval)、メタけい酸=81.2、メタほう酸=10.4、硫化水素=0.1 <H9.12.26分析> (源泉名:熊の手洗湯)

<温泉利用掲示> 加水:なし 加温:なし 源泉かけ流し 消毒:記載なし

〔 外壁掲示/熊の手洗湯縁起 〕
「当野沢温泉発祥の湯と称せられる本鉱泉は今を去る約一二五○年前の養老年間。元正天皇の御宇一獵師適此の地に到り射止めし巨熊の跡を辿れど小溜池に掌を洗ふを見る怪みてひそかに窺えば先刻負傷を鉱泉の湧出口に浸し居たり此に於て人々木の根を伝ひ草を分け此処に居を移せしものにして因に効用は外傷火傷切疵勿論高血圧症其他諸々の疾病に顕著な効用を示すものなり。」

■ブランドグルメ
〔 野沢菜 〕
全国的な人気と知名度を誇る野沢菜はもはや野沢の代名詞。
宝暦年間、野沢温泉村健命寺第八代住職晃天園瑞大和尚が京都遊学の際に持ち帰られた天王寺蕪の種子が発祥といわれています。
温暖な西国育ちの天王寺蕪が寒冷で積雪の多い野沢で変異を起こし、野沢菜が誕生したとされています。
いろいろな食べ方がありますが、なんといっても有名なのが葉と茎を漬物にした野沢菜漬け。
畑で根(蕪)を切り落としてから麻釜などで「お菜洗い」したあとで木桶で塩漬けにします。
もうもうと湯気をあげる麻釜(茹釜や大釜)で野沢菜を洗う風景は、野沢の風物詩として広く知られています。(「野沢温泉観光協会」HPなどを参考)
(今回立ち話をした地元の方によると、いまはどこでも野沢菜をつくっているが、本来、麻釜で洗った野沢菜だけを”野沢菜”というらしい。)

〔 2009/12/31UP (2009/09入湯) 〕


E138.26.51.583N36.55.16.343
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« ■ しもつま温... ■ 宮城野温泉... »