Akatsuki庵

後活(アトカツ)中!

谷庄さん「歳末茶道古美術展」

2012年12月01日 07時17分32秒 | 美術画廊・ギャラリー
谷庄 東京展 ※12月8日(土)まで サイト

年2回、とても楽しみにしている展示会。
今年は初日に、時間的な余裕をもって訪れることができた

まず、入口で足を停める。

なにか見覚えの茶釜。脇に織部焼の香合。

入店すると「今年は初日のご登場ですネ」(←既に顔を覚えられてマス

ということもあり、まず表の茶釜は何かと質問してみる。

「織部筋釜です。作者は浄清」

なるほど。

なので、「今、大西清右衛門美術館であれと同じ釜が展示されてますヨ」。

道理で見覚えがあるハズだ。
大西美術館を訪れたのは半月前だけど、その感想記を朝書き上げたばかり。
メモとチラシを見ながら、一生懸命に記憶の糸を辿る作業をした直後に
実物をまた観られたのだから。

(やはり浄清作の茶釜に本能的に「いい」と反応する感覚はあるんだなぁと思った)

続いて、目の前の炭道具を拝見しようとして、その上の画幅に目が留まる

雪信だったから。
女性図をと中心にボタン?と何か花の図。

「雪信って、女性の画家ですよね?」と思わず確認してしまう。

やはり、当たり。
「いえ、最近読んだ小説に雪信が主人公のものがあったから」
なるほど、こういう絵を描いていたのね。

茶釜では伊勢芦屋がよかった。
(芦屋釜の職人さんの中の一派?が伊勢に流れて製作したらしい)
肩が直角になった形。
切子の摘みに平べったい獅子の鐶付。

吊り釜にも使えるようで、脇に古い自財と弦を鐶。
弦と鐶がすごーくお洒落。
加賀象嵌の市松模様を施した弦。金と黒の縞を巻いている鐶。

唐物の編み方と立ち上がりがいかにも中国的な炭斗。

仁清の水指。
釉薬は高取っぽいような茶色なんだけど、フォルムで「仁清」だと一目瞭然。
耳と共蓋の摘みが縦笛。
とても持ちづらい摘みなのに、よく今まで残ったなぁ。
塗り蓋を誂えてもステキ。
底に「仁清」のサインが彫ってあった。
(仁清の水指や茶壺にはこれがあるらしいんだけど、美術館では底までは見られない。
 よいものを見せてもらった

ちなみに、同じような色合いの高取の烏帽子形の水指もあって、これは以前も拝見したような。
でも、やはり仁清の方が“買い”だな。

振り返れば、茶籠に目が行った。
御所籠。小ぶりだけど、とてもいい。
お値段が23万円。

思わず「安いっ
紐を解いて、中を確認。
茶籠だけのお値段かと思ったら、蒔絵の平棗と茶筅筒がついてのお値段。
そして、籠の中には紫縮緬の大津袋も入っていた。

茶籠にしては小ぶりなので、格安らしい。

でも、池田瓢阿さんの籠だったら、100万円はするところをこのお値段ならお買い得
(でも、今は買えないけど

このセットに合わせたらよさげな薩摩焼の小さい茶碗は120万円。

まぁ、こんなに高いものは更に買わないけどね。

将来的に茶籠は1つ持ちたいと思っている。
やはり、古美術ねらいでお安くいい品を見つけるのが上策か

と思案しつつ、奥へ。

と、お軸が三幅。

その中の一幅に注目

宗旦筆の円相。
細いんだけど、横長。
仰々しくないけど、本席をキリッと引き締める雰囲気。

私ね、茶室の床の間はもっともらしい一行物の墨跡を掛けるのは好きじゃないんだぁ。
自分が亭主になったら、部屋の広さにもよるけど、そういうのやりたくない。

これくらいの細い「○」くらいがいい。

と思いつつ、お値段を見たら「字の雰囲気ほど軽くはないな」と。
これは頑張っても買えない

ソファの奥には今回のハガキにも印刷されている遠州の歳暮小色紙。
小さすぎて、読めない。(もともと文字も読めないけど)

『寝ては夢覚めてうつつとはかりに あはれ今年も暮れしける哉』

表装がね、遠州らしいというか。
公家好みの鳥が刺繍されているのを上下にバンバンっと配されていて豪華。
中回しに対して、本紙のあまりにも小さすぎるバランスというのも、ねらってるんだろうだなぁ。

奥座敷へ。

点前座は炉の設え。
茶釜は、、、教えてもらったけど忘れてしまった

古備前の矢筈口の変形の水指。
塗り蓋の形も雲みたいな変形で面白い。

細長く縞の段々が入っている茶入は茶色いから高取かな~?と思ったら、織部

へぇ~。織部でもこういう釉薬があるんだぁ。
形は確かに織部っぽいかも。
正面の箆目もよかった。

茶碗は高麗ものの大ぶりな、、、なんだたっけ。

奥には古備前の水指が2つ。
伊部手の縄のような共蓋の摘みや耳がついている、野性味あるものと
一重口のもの。

どちらも桃山から江戸初期だって。

志戸呂焼の水指もあった。裏千家には馴染みが薄い窯元なので、特徴がつかめんなぁ。

茶碗が御本が2つ。
あと、注文ものの、えっとなんだっけ? 倭館じゃなくて茂三でもなく、、、もう一つの。
とにかく、それもよかった。

国産では萩。
灰色の釉薬と内側に雨漏がたくさん。
先週も社中の稽古で灰色の萩茶碗が出てきて、萩だと理解できなかった。
だって、私が持っている萩は琵琶色のものばかりだったから。

こういう萩もある、と勉強になった。

ちなみに、見た目に比してとても軽かったのも印象に残った。

青磁の菓子鉢もよかった。
元代の青磁の色。(たぶん珍しいと思う)

棗は盛阿弥。
利休好の形。
利休さんは中次はしっかり真塗りに仕上げるけど、棗の塗りは粗くていいと仰ったそうな。
だから、塗り方がまだら。
蓋裏に「利休」。隋流斎の筆らしい。

もう一つ、やはり利休さんの塗師で中次を得意とした人の棗。(←名前がド忘れ~
やはり棗だから粗い仕上げ。

でも、もう400年も経っていると、漆も透けて、どちらもいい~味わい。

蒔絵の棗と中次はどちらも細身。
たぶん京都の蒔絵、、、かな?(←産地的な特徴がない描き方)

でも、お洒落っ気があってよい棗。

香合は梅捻り文の螺鈿がよかった。
清代のデザイン。すごーく細かい細工。

床の間は「光陰可惜念々無常」。
なんとなく、師走に時の流れを感じながら味わいたいオコトバだな。
(時は刻一刻と流れ元に戻ることはない。その時々、力一杯励むべき)

後半の4文字はバリエーションあるんですよ。
「時は人を待たず」とかね。

はぁ。なるほど。

書体が生真面目で「光」がわかりやすかったので、近代の人の筆かと思いきや、
大徳寺の紫衣事件で連座した一人。(←名前聞いたけど忘れた)

花入は青磁の耳付。
香合は朝鮮唐津~ではなく、30年ほどに高取の初期の窯と判明したもの。

葉っぱの形でかわいい。

脇床の染付の鳥の下にある若狭盆。
思わず、鳥をどけて触らせてもらった。

やっぱり、ホンモノの若狭盆はよいなぁ。

お呈茶もいただいた。

和菓子は金沢から朝届いたばかりの「吉はし」さんの「冬ごもり」。
お茶碗は出雲焼の刷毛目写。

満足っ

古美術なんだけど、骨董じゃなくて
現代に生かして使おうよっ。

谷庄さんの道具はそう語りかけてくれるラインナップのような気がする。

いつものながら、「いつか、買うぞっ」って思いつつ、
何も買わずに帰ってきた。

古美術の茶道具を使いたい方にはお勧めなので、
是非っ行ってみて買ってください。

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2011年12月 谷庄「歳末茶道古美術展」→こちら
2011年7月 谷庄「寄付掛けと茶器」→こちら
2010年12月 谷庄「歳末茶道古美術展」→こちら
2010年6月 谷庄「釜と炭道具」→こちら
2009年7月 谷庄「懐石の器」展 →こちら
2008年7月 谷庄「茶杓」展 →こちら

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