裏山赤太郎~ゲイでエイズで、でも生きてくよ!~

ゲイとして生きて、50代でエイズを発症したけど、自分らしく生きていくことには変わりないないんだよってブログ。

大腸内視鏡検査で見たもの

2015-07-08 20:21:15 | 日記
私は半年以上、水状態の便による下痢症状と、
味覚障害、胃のむかつき、
肛門の痛み、
さらに精神的にもほぼ鬱状態になっていた。

下痢症状は悪化の一途を辿っていたので、
紹介を受けた大きな病院で大腸内視鏡検査を受けることになった。

検査の当日、午前中に約2ℓの下剤を飲み、
検査に臨んだ。
もはや午前中に水便で腸の中はすでに空っぽだった。

肛門から内視鏡を挿入されると、
モニターに私の内部が映し出された。
直腸に入るとすぐに、
赤く炎症を臆していた。
直腸から大腸に入ると、
腸の内部は充血した目のように
全体的に赤く炎症を起こしていることが
素人の私でもわかる程だった。
さらに内視鏡は奥へ進み、
小腸へと進んでいったが、
毛細血管が透けて見えるのではないかと思うほど
全体が炎症を起こしていたのだった。

途中に、ポリープや潰瘍の痕跡などもあり、
細胞を採取された。

一週間後、消化器内科の外来で大腸内視鏡検査の結果を聞いた。
全体に炎症を起こしていたのは、
サイトメガロウイルスによる炎症であるが、
このウイルスは普通ならこのようにひどく炎症を起こすようなことはない
感染力の弱いウイルスであると説明を受けた。

「このウイルスがこのような炎症を起こした理由ですが、
これが原因だと考えられます。」

そう言いながら、医師は検査結果の上にある
「HIV」の三文字を丸で囲んだ。

医師はいくつか腸の中の細胞を摂取したが、
それらは悪性ではなかったと説明を加えた。

「とうとう来たか!」
私はショックよりも、そんな言葉が頭に浮かんだ。

その次に、「癌でなくてよかった」と、
心の中で私はつぶやいた。

自分のこれまでの症状の経緯を考えると、
薄々、HIVに感染したのではないかと考えていたのだった。
HIVはちゃんと治療を行い、
健康維持に努めれば充分普通に暮らせる病気であることも知っていた。
むしろ、癌の方が怖かったのだった。

医師からは、翌週の血液内科を受診するように言われた。
私はふつふつと、不安とも怒りとも、苛立ちともつかない、
様々な感情が心の中で湧き起ってくることを感じた。

紹介状を持って初診の際に、
内視鏡検査のための血液検査をしていた。
その後、2か月大腸内視鏡検査を待たされ、
その間にもHIVであることは血液検査の結果で出ていたはずだ。
それなのに2か月間、何もなく待たされていた。
内視鏡検査後も、更に1週間待たされて結果を聞き、
また更に翌週の血液内科の外来まで待たされる・・・・

次の血液内科の受診まで、
私はさらに薬も何もないまま待たされることになった。
いったい、この無駄な時間は何だろう。
そう思うと、苛立ち、怒りのような感情が、
じわじわと心に染み出してきた。

もちろん、理性ではそれは仕方がないことだと理解していた。
でも、この待たされ続けていた間の辛い時間は、
いったい何だったのだろう。
この後の一週間、私は大丈夫なのだろうか。
不安でいっぱいになった。

しかし、もはや私には、
そうした感情を表現するエネルギーさえなかった。

「薬、何も出ないんですか・・・・」

それを言うのもやっとだった。

診察室を出て、会計を待つ間、
じわじわと不安の闇が私の周りを支配してきた。

来週まで、自分は大丈夫なのだろうか・・・・

消化器内科の医師は最後まで、
「大丈夫」とは言わなかった。
ただ、必ず次の血液内科の受信日に来るように繰り返すだけだった。

1 コメント

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こんにちは (なち)
2018-02-28 06:13:06
最初の血液検査はHIVとは分かっていなかったから、一般的な血液検査だったのでは?いちいち全てHIVの検査はしないように思います。日和見感染していたのを疑って後からHIVの検査されまのでは?でも結果が分かったから1week待たされたのは可哀想ですo(`ω´ )o

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