先週、ゲイの出会い系アプリからメッセージが来ました。
随分前にやりとりをした人からでした。
週末に東京に遊びに行きます。
お時間ありますか?
その人は遠方に住む30歳、
プロフィールの画像は坊主頭で素朴そうな顔。
悪い感じじゃない。
以前のメッセージの記憶によると、
この世界はあまり知らないし、友達もほとんどいないとのこと。
落ち着いた年上の人と知り合いたいと書いてきたのです。
自分はそんな落ち着いた渋いタイプじゃないですよって返事をしたら、
別に渋くなくてもいいです、
機会があれば会ってみたいですだなんて、
ちょっと可愛いことを書いてくれたのでした。
その後、特にやり取りも無く、
もちろん実際に会うこともありませんでした。
そんな折、とつぜんのメッセージでした。
とりあえず、日曜日に時間が取れるので会うことにしました。
東京は全くわからないと書いてあったので、
宿泊しているホテルまで迎えに行くと、
ロビーに座っていた彼は予想していたタイプとは少し違っていました。
切れ長な童顔ではありますが、
短めのソフトモヒカンで体つきもイメージよりも大きく、
素朴な男の子というよりはノンケのような粗野な雰囲気がありました。
それでも挨拶をする笑顔はイメージ通りで、
すぐに打ち解けて、話をしながら外へ出ました。
東京は観光らしいことをしたことがないということで、
自分たちは、とりあえずお決まりな場所、
東京スカイツリー、浅草へ向かうことにしました。
彼とは話しずらさは感じませんでしたが、
それでも年齢のギャップはあります。
あまり共通の趣味とかもないので
当たり障りのない話をしながら下町を歩き回りました。
一通り、歩き回った後、
食事をしながら一休み。
さて、次はどこへ行こうかと彼の意向を尋ねると、
歩き回って汗をかいたから、
どこか温泉か、風呂に入りたいと言い出しました。
へっ?風呂?
自分はこいつ、ゲイサウナにでも俺を誘っているのか、
なんてちょっとドキっとしながら、
「浅草ならゲイサウナもあるけど」と言ってみたら、
彼はそういう場所には興味がないんですと即答しました。
自分は、そうだよなぁって苦笑しながら、
近所の風呂屋をスマフォで探してみました。
浅草には、浅草観音温泉というのがありました。
そこへ行ってみると、
かなり老朽化した建物でした。
中へ入ると、そこはもう半分お化け屋敷のような雰囲気、
木製の下駄箱、廊下を進んで脱衣所に入りました。
風呂場はタイル貼りの広い風呂場でしたが、
かなり古いままで、シャワーもなく、
ガランと殺風景な空間がありました。
自分たちは顔を見合わせ、
恐怖にも似た失望感を感じながらも
仕方なく、観念したように服を脱ぎました。
湯船はなぜか、黒ずんでいました。
カビではなさそうなので、
温泉のために黒く見えたのかも知れません。
お湯は非常に熱く、
そう簡単には要れそうにありませんでした。
彼と自分は湯船の淵に座って、
足をお湯に入れて熱さに慣れるのを待っていました。
自分は彼の意外に肉付きの良い体にドキドキしていました。
特別に鍛えてはいないようでしたが、
学生時代はバスケットをやっていたという肉体が、
緩やかに丸みを帯びて大人の男の体をしていました。
考えてみれば、
こうして若い人の体を身近にみるのは1年半以上ぶりでした。
何せ、昨年は発症して体調が悪く、
それどころではなかったのでしたから。
今年に入っても、海などにはいきましたが、
一糸まとわない若い大人の男の肉体を見るのは初めてでした。
それまで彼を性的に見ていなかったのですが、
その瞬間に自分にスイッチが入ってしまったようです。
それでも自分の病気を考えると、
彼とセックスしようと誘うこともできません。
彼もそういう素振りを見せてはいませんでした。
彼の背中に輝く玉の汗を眺めながら、
なんとか勃起だけはしないように気を紛らわしながら、
熱い風呂と発情で自分の胸の鼓動は音が聞こえそうなくらいに鳴っていました。
とりあえず、汗を流した自分たちは、
レトロ過ぎる風呂屋を後にして、
新宿に移動して二丁目を見学し、
彼の新幹線の時間までに夕食を取ることにしました。
どうやら、彼は日本人よりも中年の白人が好きなようです。
日本人でも、普通のお父さんのような人なら好きだということでした。
え?それじゃ俺は普通のお父さんぽかった?
そう言うと彼は、ただ笑っていました。
彼はもしかしたら、小悪魔なのかも知れないと、
小さな疑惑が頭を過りました。
新宿駅の改札口まで一緒に行き、
じゃあ、またねと言って手を振り彼を見送りました。
彼は改札に入る前に振り向いて、
手を振り、会釈をして、
改札に入りました。
改札に入って少し進んでからからもう一度、
こちらを振り向いて、
小さく手を振って人ごみに紛れていきました。
若くて美しい女性を見てムラムラ、ドキドキする、
ノンケのお父さん達の気持ちが少しだけわかったような気がします。
生殺し状態の欲望の炎は、
昨日には弱火には治まりましたが、
まだ消えた様子はありません。
どう鎮火したら良いのやら・・・・・・
(おしまい)
随分前にやりとりをした人からでした。
週末に東京に遊びに行きます。
お時間ありますか?
その人は遠方に住む30歳、
プロフィールの画像は坊主頭で素朴そうな顔。
悪い感じじゃない。
以前のメッセージの記憶によると、
この世界はあまり知らないし、友達もほとんどいないとのこと。
落ち着いた年上の人と知り合いたいと書いてきたのです。
自分はそんな落ち着いた渋いタイプじゃないですよって返事をしたら、
別に渋くなくてもいいです、
機会があれば会ってみたいですだなんて、
ちょっと可愛いことを書いてくれたのでした。
その後、特にやり取りも無く、
もちろん実際に会うこともありませんでした。
そんな折、とつぜんのメッセージでした。
とりあえず、日曜日に時間が取れるので会うことにしました。
東京は全くわからないと書いてあったので、
宿泊しているホテルまで迎えに行くと、
ロビーに座っていた彼は予想していたタイプとは少し違っていました。
切れ長な童顔ではありますが、
短めのソフトモヒカンで体つきもイメージよりも大きく、
素朴な男の子というよりはノンケのような粗野な雰囲気がありました。
それでも挨拶をする笑顔はイメージ通りで、
すぐに打ち解けて、話をしながら外へ出ました。
東京は観光らしいことをしたことがないということで、
自分たちは、とりあえずお決まりな場所、
東京スカイツリー、浅草へ向かうことにしました。
彼とは話しずらさは感じませんでしたが、
それでも年齢のギャップはあります。
あまり共通の趣味とかもないので
当たり障りのない話をしながら下町を歩き回りました。
一通り、歩き回った後、
食事をしながら一休み。
さて、次はどこへ行こうかと彼の意向を尋ねると、
歩き回って汗をかいたから、
どこか温泉か、風呂に入りたいと言い出しました。
へっ?風呂?
自分はこいつ、ゲイサウナにでも俺を誘っているのか、
なんてちょっとドキっとしながら、
「浅草ならゲイサウナもあるけど」と言ってみたら、
彼はそういう場所には興味がないんですと即答しました。
自分は、そうだよなぁって苦笑しながら、
近所の風呂屋をスマフォで探してみました。
浅草には、浅草観音温泉というのがありました。
そこへ行ってみると、
かなり老朽化した建物でした。
中へ入ると、そこはもう半分お化け屋敷のような雰囲気、
木製の下駄箱、廊下を進んで脱衣所に入りました。
風呂場はタイル貼りの広い風呂場でしたが、
かなり古いままで、シャワーもなく、
ガランと殺風景な空間がありました。
自分たちは顔を見合わせ、
恐怖にも似た失望感を感じながらも
仕方なく、観念したように服を脱ぎました。
湯船はなぜか、黒ずんでいました。
カビではなさそうなので、
温泉のために黒く見えたのかも知れません。
お湯は非常に熱く、
そう簡単には要れそうにありませんでした。
彼と自分は湯船の淵に座って、
足をお湯に入れて熱さに慣れるのを待っていました。
自分は彼の意外に肉付きの良い体にドキドキしていました。
特別に鍛えてはいないようでしたが、
学生時代はバスケットをやっていたという肉体が、
緩やかに丸みを帯びて大人の男の体をしていました。
考えてみれば、
こうして若い人の体を身近にみるのは1年半以上ぶりでした。
何せ、昨年は発症して体調が悪く、
それどころではなかったのでしたから。
今年に入っても、海などにはいきましたが、
一糸まとわない若い大人の男の肉体を見るのは初めてでした。
それまで彼を性的に見ていなかったのですが、
その瞬間に自分にスイッチが入ってしまったようです。
それでも自分の病気を考えると、
彼とセックスしようと誘うこともできません。
彼もそういう素振りを見せてはいませんでした。
彼の背中に輝く玉の汗を眺めながら、
なんとか勃起だけはしないように気を紛らわしながら、
熱い風呂と発情で自分の胸の鼓動は音が聞こえそうなくらいに鳴っていました。
とりあえず、汗を流した自分たちは、
レトロ過ぎる風呂屋を後にして、
新宿に移動して二丁目を見学し、
彼の新幹線の時間までに夕食を取ることにしました。
どうやら、彼は日本人よりも中年の白人が好きなようです。
日本人でも、普通のお父さんのような人なら好きだということでした。
え?それじゃ俺は普通のお父さんぽかった?
そう言うと彼は、ただ笑っていました。
彼はもしかしたら、小悪魔なのかも知れないと、
小さな疑惑が頭を過りました。
新宿駅の改札口まで一緒に行き、
じゃあ、またねと言って手を振り彼を見送りました。
彼は改札に入る前に振り向いて、
手を振り、会釈をして、
改札に入りました。
改札に入って少し進んでからからもう一度、
こちらを振り向いて、
小さく手を振って人ごみに紛れていきました。
若くて美しい女性を見てムラムラ、ドキドキする、
ノンケのお父さん達の気持ちが少しだけわかったような気がします。
生殺し状態の欲望の炎は、
昨日には弱火には治まりましたが、
まだ消えた様子はありません。
どう鎮火したら良いのやら・・・・・・
(おしまい)