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「アイヌの象徴的施設」設置を…有識者懇、新法は持ち越し(読売新聞)

2009-05-30 08:12:00 | アイヌ民族関連
「アイヌの象徴的施設」設置を…有識者懇、新法は持ち越し
 政府の「アイヌ政策のあり方に関する有識者懇談会」(座長=佐藤幸治・京大名誉教授)の第8回会合が29日、首相官邸で開かれ、報告書の土台となる「アイヌ政策の課題への対応方向」をまとめた。


 アイヌ民族の精神文化や歴史、多文化の共生などに理解を深めるための象徴的な施設の設置などが盛り込まれた。

 象徴的な施設は、委員の加藤忠・北海道アイヌ協会理事長や高橋はるみ知事が提言していた。国が主体となって設置し、アイヌ文化、歴史の研究、教育施設が核となる。また、文化伝承のための「工芸学校」や、アイヌ協会が強く求めている慰霊施設の併設も視野に入れている。

 アイヌ民族に対し国会に特別議席を付与するかどうかについては、憲法に抵触する可能性があるとして見送ることで一致。それ以外の政治参加の方法について今後、検討していくことになった。

 一方、加藤理事長と、北海道大アイヌ・先住民研究センターの常本照樹センター長は、この日欠席した高橋知事と連名で、アイヌ施策の推進の根拠となる新法制定を求める意見書を提出した。ただ、「法律を作った方がいいのか、最終的に判断したい」(佐藤座長)として、結論は持ち越しとなった。

 常本センター長は、同センターが昨年10月行ったアイヌ民族生活実態調査の速報値を報告した。会合では、大学進学率が低いことに関し、アイヌ民族の入学促進に取り組む私立大学への支援を考えてはどうか、という意見が出た。6月29日の次回会合では、報告書の骨子案について協議する。

 ◆生活「苦しい」「困る」が7割超…北大調査◆

 北海道大アイヌ・先住民研究センターの「アイヌ民族生活実態調査」(速報版)では、アイヌ民族の厳しい暮らしが改めて浮き彫りになった。

 生活ぶりが「苦しい」「多少困る」と感じている人は、道の2006年調査では約2割にまで改善していたが、今回の調査では7割を超えた。

 アイヌ民族に関する施策(複数回答)では「進学や学力向上への支援拡充」(51・0%)、「差別が起こらない社会をつくる」(50・2%)、「雇用対策の拡充」(42・9%)といった要望が多かった。

 一方で、伝統儀式や文化の伝承活動へのかかわりを聞いたところ、「クマ送り」を41・1%が「知らない」と回答。伝統儀式「カムイノミ」などの祭事には58・3%の人が「かかわったことがない」とした。伝統文化とのかかわりが薄れている実態も明らかになった。

 調査は北海道アイヌ協会会員ら3438世帯を対象に実施し、2903世帯から回答があった。同センターは今秋に調査結果の完全版を公表する予定だ。

(2009年5月30日08時12分 読売新聞)




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